FZ10情報集積所 飛んでいるツバメを撮る

 私は以前から「飛んでいるツバメを撮る」ということにチャレンジしてきましたが、なんとかその方法を自分なりに確立できましたので、もし参考になればと思い、このページを作成しました。私はFZ10を購入してから初めて写真というものを撮り始めたようなド素人ですので、誰にでも出来るようなテクニックしかありませんので、逆に参考にしていただけるのではないかと思います。なお、私は飛んでいるツバメにオートフォーカスでピントを合わせられるほどの腕を持っていませんので、すべてマニュアルフォーカスによる置きピンでの撮影です。また、フレーム内にツバメを捉え続ける為の補助としてオープンサイトタイプの自作のスコープ(照準器)を使用しました。スコープについてはこちらこちらをご覧下さい。なお、オートフォーカスでツバメを撮影している方のその方法についてもご紹介いたします。
場所を選ぶ
 私は以前から自宅前を飛ぶツバメを狙っていたのですが、なかなかうまく撮ることが出来ませんでした。ある時、車で走っていると、私が知っている飛び方とは違った飛び方をするツバメを見つけました。そのツバメは滑るように滑空していました。自宅前のツバメときたら、ちょこまか方向を変えて飛ぶので、フレーム内に捉えることが非常に難しかったのです。どうやらこの差は地形によるようでした。発見したツバメが広い田んぼを飛んでいるのに対し、自宅前はというと、狭いところにごちゃごちゃといろいろなものがあるので、ツバメはそれに合わせて細かに左右上下に方向転換をしているようです。ですから、まず、できるだけだだっ広い田んぼのようなところ選ぶことが、第一のコツだと思います。また、どれを撮ろうかと迷うほどたくさん飛んでいる場所の方が、単純な話、上手く撮れる確率が上がります。
明るさを選ぶ
 置きピンで撮るわけですから、ピントが合う範囲が出来るだけ広い(被写界深度が深い)方が有利です。そのためにある程度絞りを絞っても速いシャッターが切れるように日差しの強い明るい時を選んだ方が良いと思います。具体的にはF5.6程度より絞ってシャッタースピードが1/160秒以上になるような条件の時が良いと思います。ある程度のシャッタースピードがないと、ツバメとカメラの動きが完全に一致しないときにぶれてしまうからです。シャッタースピードが稼げるのであれば、絞りは出来るだけ絞った方がピントの点で有利です。絞りの変化によって被写界深度(ピントの合う範囲)がどのように変化するのかは、こちらのページで計算してみて下さい。明るさが足りず、絞りとシャッタースピードの両方の条件を満たせないときは、シャッタースピードを優先した方が良いように思います。
ツバメの飛ぶコースを観察する
 ツバメはデタラメに飛んでいるように見えて、割と同じようなコースを飛ぶことが多いようです。しばらく同じコースを何度か飛んだ後、別のコースに移動するというような感じです。このコースがわかれば、どこに置きピンをしたら良いかが見えてきます。同じくらいの距離にある別のものにマニュアルフォーカスでピントを合わせます。ワンショットAFを使うと簡単便利です。この時に同時にスコープの照準も確認します。照準がいい加減だとフレームに上手く入らなくなってしまうので、これは慎重に合わせて下さい。はじめは遠目のツバメを狙い、徐々に近づけていくと良いと思います。
後は連写で撮るだけ
 後は連写で撮るだけです。実際に連写で撮った写真をアニメでご覧下さい。ご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、連写中に急上昇したり急旋回したりしても、フレームから外すことなくツバメを捉え続けることが出来ています。また、途中でフレームから外してしまうことがあっても、すぐに修正して同じ連写中に再びフレーム内に捉え直すことが出来ています。
中心からずれていますが、全ショットフレーム内に入っています。
上のよりも大きく写したものです。
急接近してきても大丈夫。でもピントは外れてしまいます。
上空での急旋回でも大丈夫。
急上昇して4コマ目でフレームから外してしまいましたが、すぐに5コマ目で追いつきました。
良いショットを何枚か
すべてリサイズのみ、ノーレタッチ、ノートリムです。
ピントが合った写真が撮れる確率
 今回は、256MBのSDカード3枚が一杯になるまで撮って全部で1486枚でした(記録サイズは2304、画質はスタンダード)。ほぼ全ショットを7連写で撮影していますのでシャッターを切った回数は約220-230回程度だと思います。全枚数のうちフレームから外してしまったものが約10%。露出に失敗していたものが約2%。ピントが外れたりぶれてしまったものが約60%。残りの約30%の450枚程度がピントの合った写真となりました。撮影に要した時間は、約53分間でした。3割しか撮れないという見方も出来ますし、53分間で450枚撮れたという見方もできます。
今回の撮影条件
絞り優先AE;F5.6
ホワイトバランス;太陽光

露出補正値;0.0EV
露出測光モード;分割測光
ISO感度;50
焦点距離(35mm換算);432(mm)

手ブレ補正;MODE2
ほぼ全ショット、高速連写で撮影
同じようにスコープを使ってMFでツバメを撮影している方
1100Rさんのアルバム
AFで撮影する方法
 私は、マニュアルフォーカス置きピン連写でツバメを撮影していますが、オートフォーカスで撮影している方もいらっしゃいます。オートフォーカスでピントを合わせて撮影する方法については、価格.comのFZ10掲示板の投稿NO.「2129012」と「3045945」のisiuraさんという方の投稿から引用させていただくと
「AFで動きの速いものを撮影するコツは、被写体の動きに負けないようにカメラを動かし
常にAFエリアに被写体を捉え続けながらシャッターを半押してAFを合わせ
合焦ランプが点灯した瞬間にシャッターを全押しすることです。
合焦ランプが点灯した瞬間にシャッターを切れば
こちらに向って飛んでくるジェット戦闘機にもピントが合います。(2129012)」
「私は動体撮影では、いつも両目を使っています。
左目で被写体の動きを追いながら、右目でファインダーに捉えた被写体を
AFエリアに捉え続けるように、カメラを動かして流し撮りしています。
これは、飛んでいる鳥を撮影するために身に付けたテクニックですが(後略)(3045945)」
ということです。(ただし機種はFZ1です)。isiuraさんのアルバムはこちらです。
ここで、両目を使って被写体を追う方法について、当サイトの掲示板にバーディーさんという方からわかりやすい説明をしていただきましたのでご紹介します。なおこの方の投稿は、AFを使うという前提での話ではなく、被写体をファインダーに捉え続ける技術としてご紹介いただいたものです。
「私が FZ1/10 の望遠でトビモノを照準に捕らえるやりかたについて説明させて頂きます。

基本的に、右目でEVFを覗き、左目はそのまま裸眼で対象を見ます。
こうすると右目だけ望遠で拡大された画像が見えます。

まず左目に神経を集中しますと広い視野が見えます。(この写真全体がそうです)
集中していない方の右目に微かに見えるEVF枠(赤字部分)を視野に重ね、カメラを動かして撮りたいターゲットがEVF枠の大まかに左下部分に来るようにします。

この状態で右目に神経を集中すると(私の FZ1/FZ10 では)ターゲットが EVF 視野に入って見えます。
急いでカメラの角度を微修正してロックオンします。
もしターゲットが大きくずれたらまた神経を左目に切り替えて修正します。
こうやって左目と右目を交互にアクティブにしながらターゲットを追いかけて行きます。」
実際にどのように見えているかを画像にしていただいたのが以下です。この見え方は人によって違うかもしれません。
他にもFZ10でAFでツバメを撮っていらっしゃる方がいらっしゃいます。じじかめさんのアルバム
MF置きピンとAFのどちらがいいのか?
 飛んでいるツバメを撮ろうとしたときMF置きピンとAFのどちらがいいのでしょうか?またスコープを使う方法、使わない方法のどちらがいいのでしょうか?さらに連写と単写のどちらがいいのでしょうか?それぞれにメリットとデメリットがありますのでいくつかあげてみたいと思います。ちなみにFZ10の合焦スピードは最短でも0.91秒です。正確ですが決して速いほうではありません。
MF置きピンとAF
MF メリット 一般的には、被写体とカメラからの距離がわかっているところを移動するような、たとえばレース、電車、飛行機の離着陸などの撮影に向いてる。その場合、狙った場所で、狙った構図で、狙った大きさで撮影することが出来る。FZ10にはワンショットAFが付いているので、いつでもAFとMFを併用することが出来る。
デメリット 被写界深度内にない被写体にはピントが合わない。ピントを合いやすくするために出来るだけ絞るなど撮影条件がある程度制限されることがある。外れ写真が多くなる。
AF メリット 被写体がどこにあってもフォーカスさえ合えば撮影することが出来る。一般的に、被写体とカメラの距離がわからないところを移動するような、たとえば飛んでいる鳥、上空を飛んでいる飛行機などを撮影するのに向いている。
デメリット FZ10はAFの合焦スピードが速い方ではないので、相当な鍛錬が必要で、実際にAFで飛んでいるツバメを撮影できるのはごく限られたわずかな熟練者だけしかいない。またどこでピントが合うか事前に想定できないので、狙った位置で、狙った構図で、狙った大きさで撮影することが出来ない。
スコープありとスコープなし
スコープあり メリット 誰でも比較的簡単に被写体をフレームに捉え続けることが出来る
デメリット 捉え続けることは出来てもAFエリアが確認できないのでAFにはほぼ使えない。スコープを自作するなり購入するなりの負担が必要。
スコープなし メリット 別の負担は不要。
デメリット 被写体をフレーム内に捉え続けるには鍛錬が必要。
連写と単写
連写 メリット 良いショットを後から選ぶことが出来る。中には思いがけない良いショットが含まれていることがある。
デメリット 連写後の待ち時間にシャッターチャンスを逃す可能性がある(連写後の待ち時間についてはこちらを参照)。失敗写真を量産してしまう。
単写 メリット 撮影間隔に待ち時間がないのでシャッターチャンスを逃しにくい。失敗写真の数は連写に比べて少ない。
デメリット シャッタータイムラグがあるのでここだと思ったときにシャッターを切ってもわずかにずれてしまう。
MF置きピン連写スコープ使用のメリットとデメリット
メリット 誰でも比較的簡単に飛んでいるツバメを撮影できる。
デメリット 被写界深度内から外れるとピントが合わない。スコープを自作する手間や購入する費用が必要。失敗写真を量産してしまう可能性がある。スコープの照準をちゃんと合わせないとフレーム内に収めることが出来ない。ピントを合いやすくするために撮影条件が絞られてしまう場合がある。
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2004/7/29作成
2004/8/5追記
2005/5/18追記(コンバット45)