「いかなご」の名前について


「いかなご」は、加工の状態によって名前が変わります。
標準和名は「いかなご」です。
  • 基本情報
    1. 標準和名  いかなご  英語では「サンド・イール」(砂のウナギ)。
    2. 漢字表示  玉筋魚(なんで、これで「いかなご」なの?
    3. 特徴など  イカナゴ科の海産の硬骨魚。体は細長く槍形、全長約25センチメ-トルまで大きくなります。。背部は青褐色、下腹部は銀白色。春、小さいのを捕って煮干・佃煮(つくだに)とします。(その他の料理法は、下記を参照)夏には砂の中に潜って休眠します。北日本に多いですが、九州まで全国各地にいます。 生の可食部100gで、106kcal。釘煮にすると糖分が多くなるので、カロリーは多くなります。(太っている人は注意のこと。)
 加工の状態によって、いくつもの名前を付けられています。そのため、一般消費者のかたは、原料が同じ魚だということを知らない人がたくさんおられるようです。
  1. 生の親イカナゴは、当然「いかなご」と呼びますが、これを「かますご」と呼ぶ人もいます。
  2. 京都で、通常「かますご」と呼ばれるのは、親イカナゴをボイルしたものなのです。ところが、最近これを「いかなごの釜揚げ」と呼ぶところもあるようです。
  3. イカナゴの幼魚(せいぜい4〜5センチ)を、「新子」と呼びます。ただし、本来「新子」という呼び方は汎用的なもので、イカナゴに限ったわけではないのです。しかし、2月末から4月にかけて、関西地方で「新子」といえば、イカナゴの幼魚を指します。
  4. この「新子」をボイルしたものが、やっぱり「商品名・新子」で流通しています。(関西だけかも?) そして、ややこしいのですが、これも「いかなごの釜揚げ」、又は「ボイルいかなご」と呼ぶところもあるようです。ほんと、ややこしいですね(^_^;)
  5. この「新子」をボイルして、乾燥させると、「かなぎちりめん」になります。略称「かなぎ」で、「かますごちりめん」とか「いかなごちりめん」とは言いません。
  6. この「かなぎちりめん」を佃煮にすると、「こうなご」(小女子)となります。これは、関東方面での需要が多いようです。なお、関東方面では「いかなご」自体を「こうなご」とも呼ぶようです。(なんか、ややこしいですよね。)
  7. イカナゴの幼魚を、生のまま佃煮にすると「いかなご釘煮」になります。これの作り方は、生イカナゴの釘煮の作り方を見てください。
  8. なお、北海道で「おおなご」と呼ばれているのは、この魚の大きなもので、明石方面では「フルセ」と呼ばれているものです。この「フルセの佃煮」は、脂がのっていて非常に美味しいのですが、漁獲量が少ないので、地元消費が中心になっているようです。残念!
  9. 北海道にはイカナゴとキタイカナゴの2種がいます. イカナゴは主に日本海側の沿岸に分布して産卵していますが, キタイカナゴは宗谷海峡周辺にのみ分布していることになっています. イカナゴの大きいものをオオナゴ, 小さいものをコオナゴと呼んでいます。
  10.  おおなごの燻製は、酒のつまみとして、北海道ではよく食べられていますが、脂っこいので好き嫌いがあるようです。獲れたての、「おおなごの味噌煮」は、骨ごと食べられるので、人気がある料理です。大きいものだと25センチくらいのもあるので、開いて蒲焼風にしてもいいようですよ。
                                       2000年3月18日
  • 宮城県のほうでは、この魚を「メロウド」と呼びます。略して「メロ」とよぶこともあるようです。これもちょっとややこしい。なぜかというと「マジェランアイナメ」(銀ムツ)も「メロ」と呼ぶからです。
  • そういうことがあるので、「マジェランアイナメ」を「メロ」という表示で売ることに反対している方もおられます。
  • 茨城県の方から、下記のような情報が寄せられました。
    • 関東ではいかなごを、小女子と呼んでいます。
      メロードは10cm近くなって、背中の色が青黒になって、養殖魚のえさになる状態になったときに呼びます
      サンドイールというのは初めて聞きましたが、メロードになって夏は砂の中で夏眠(冬眠の反対ですね)すると聞いてます。納得しました。
                                        2003年1月21日追記
イカナゴのことを「鰻の子供なの?」と、私に尋ねた若い女性がいました。「あほか」と怒ったのですが、この魚の英名は「サンド・イール」(砂のウナギ)、まんざら当たってないわけではないなあと、この頃思ってます。といっても、ほんとに「鰻の子供」ではありませんよ。英名にだまされないように。(^_^;)



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