しじみについて


昔から「土用しじみは腹薬」と言われます。
土用の丑にはウナギと一緒にしじみのおつゆを食べる習慣があります。
しじみは、「土用しじみ」として夏に食べられ、「寒しじみ」と言って冬にも食べられます。一年を通じて賞味されるので、「四時美」とも書かれます。(昔はそうだったらしい。)普通は、「蜆」という字が書かれますが、これの起源は分かっていません。
一番美味しい時期は冬で、秋に栄養をたっぷりとり、身が引き締まっています。
土用の頃のしじみは、子を持っているのもあり、冬につぐ美味しさです。
しかし、黄疸や肝臓の薬と言われ、精力増強にも役立つため、夏の強壮食として食べられます。
しじみの美味しさの主成分は「コハク酸」で、貝類の中で一番多く、0.4%含んでいます。

土用の丑のおすすめメニュー シジミの辛み炒め(簡単料理です。)
主・うなぎどんぶり
副・うまき(鰻を入れた卵焼き)
汁・しじみのみそ汁(又は肝吸い)
漬け物・奈良漬け
お酒を飲まれる場合は、お刺身が欲しいです。
(まぐろ、はまち、タイの三点盛り等)
O-157対策に「もずくの酢の物」を加えましょう。
  1. シジミは、殻をこすり合わせるようにして洗います。
  2. フライパンに油を熱し、スライスしたニンニクを炒め、赤唐辛子と
    シジミを加えます。
  3. 紹興酒、醤油、砂糖、スープを入れ、シジミの殻があくまで火を通します。
  4. 最後に、パセリを散らしてできあがり。
新情報  テレビ「はなまるマーケット」より  1999年7月26日
  1. しじみは、冷凍したほうが「ウマミ」が出るらしいです。塩水で砂だししたあと、ビニール袋に入れて、冷凍して下さい。
  2. 塩水で砂だしすると、シジミのウマミ成分である「コハク酸」が、2〜3倍に増えるのです。
  3. 美味しいシジミの選び方
    • つやがあるもの    口が閉まっているもの    口が開いていても指で押したら閉じるもの
    • 黒か赤茶色のもの(黒→ドロ場、赤茶色→砂場、で育った物と思われます。)
    • 口が開いたままで、指で押しても閉じないものは、死んでしまっていると思われます。

しじみの種類など
しじみの種類は4つくらいあるようです。(世界的に見れば、食べられないシジミも含めると、もっといっぱい有るようです。)

「瀬田しじみ」
・琵琶湖と瀬田川で漁獲されますが、瀬田川の川ざらえや琵琶湖総合開発の影響で、瀬田川や南湖では、ほとんど漁がありません。
現在は、琵琶湖大橋以北の北湖での漁獲がほとんどのようです。
しじみ獲りの船にのせてもらい、漁を見せていただいたことがあります。
「おっかき」の大きいようなもの(ジョレンという)を湖底に投げ入れ、船でそれを引き回して、底をさらうようにして漁獲するのです。
私が行ったときは、ゴミが多くて、しじみはあまり獲れませんでした。
琵琶湖の底はゴミが多いと漁師さんは言っておられました。(綺麗にしないとダメですね。)
「瀬田しじみ」は、殻が厚く光沢があり、最高級とされていますが、冬場砂にもぐるため、砂かみが多く、苦情の原因になります。

「やまとしじみ」
・普通、スーパーや魚屋で売られているのは、このしじみです。宍道湖や木曽川などが有名です。
最近は、中国から「稚貝」を輸入して海にまき、成長してから漁獲するのもあるようです。

「ましじみ」
・淡水にすむしじみで、昔、江戸っ子が食べたのはこのしじみです。明治の頃までは、隅田川で獲れていたと言います。
ましじみは、雌雄同体の胎生だと言われています。(他のしじみ類は、雌雄異体の卵生らしい。)今は、九十九里浜などで漁獲されます。

「ひるぎしじみ」
・今回、しじみの事を調べなおして、この名前を知りました。普通には、この名を耳にすることはありません。
奄美諸島以南に生息しているようですが、よくわかりません。もちろん、こちらでは一般に出回っていません。
青森県の十三湖は、有名なしじみの産地です。ここは、昔〃「十三湊」(とさみなと)とよばれて栄えたところです。
ここらへんは、南北朝前後の時代の歴史をひもとけば面白い地域です。(ここのしじみは、地元消費が中心です。)
しじみ亭(青森・十三湖のしじみの案内です。)へリンク。
しじみは、漁獲された場所や季節により、特有の「臭い」がする場合があります。
これは、住んでいる土質の違いや、餌にしているプランクトンの違いによるもののようです。
これらの「臭い」のなかには、カビの「臭い」のようなものもあり、この場合はクレームの原因になりやすいです。
2001年1月21日追記 
貝類では、「貝が死んでる、殻が開かない」という苦情が、けっこう多いです。   
これには、基本的な原因があるのですが、そうなることについての「直接的な要因」については、ケースバイケースなので、なかなか特定しにくいようです。
  1. 基本的な原因
    • 殻の外側にある「靱帯」が、殻をひらけようという作用をします。いっぽう、貝の中にある「貝柱」は、殻を閉じようという作用をします。熱を加えることによって、貝柱の殻を閉じようという作用が弱くなり、靱帯の作用が優先して、殻が開くのです。なんらかの原因で、靱帯の力が」弱まると、加熱により貝柱の力が弱まっても、靱帯が貝柱に勝てなくなり、ひらかないのです。したがって、殻がひらかないというと現象と、貝が死んでいるかどうかということは、別の問題です。
  2. 靱帯が傷つく要因で考えられることなど
    • しじみは、気温の低下にしたがって、砂の中に深くもぐります。したがって、冬にシジミをとろうとすると、ジョレンを深くまでもぐらせる必要があります。この時、ジョレンとシジミの靱帯がぶつかり、靱帯にキズがついたりして弱くなることが考えられます。もちろん、この可能性は、冬以外でもあるわけですが、可能性の「高さ」については、冬のほうが高いでしょう。
    • シジミは、冬はあまり活動せず、栄養分も取り込みません。まあ、おとなしく越冬しているようなもので、身も痩せています。しかし、貝柱は強く、加熱しても、靱帯のひらこうとする力より強いモノがあるようです。そうした貝は加熱しても開きません。
    • 科学的な原因が明確ではないのですが、保存時や輸送時に、貝に直接「氷」をあてると、殻がひらきにくくなるという傾向があるといわれています。
    • これも、科学的な原因が明確ではないのですが、加熱時、強火で加熱した方がひらきやすいといわれています。ゆっくり加熱すると、貝が苦しんで死ぬので、ストレスがおきやすく、それがなんらかの作用をしているのかな?

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