河童の頭    島原半島民話集 関敬吾著 より 
 昔、あるところに大工がいました。仕事に行っていると、木を盗まれてしょうがないので、番人の代りにしようと思って人形を彫った。

 ところがあまり立派に出来て、人間と同じように口をきくようになった。いろいろ人の悪口をつくので、大工もとうとう怒って槌(つち)で頭をなぐりつけて「うんがごたるもな(※お前のようなものは)、人ん尻どん取って食へ(※人の尻でも取って食え)」と言って、川の中にたたき込んでしまった。

お寄せ頂いた河童の絵
長崎市の富永恵美さんから
お寄せ頂いた河童のイラスト

 それで今でも河童は、頭の眞中がんでおり、よく人の尻を取るそうである。
 そうして大工を最も恐れているそうである。足に黒糸をくくりつけて泳ぐと、尻を取られないと言う。この糸は大工が墨を打つ時の、糸だそうである。

<島原半島民話集 関敬吾著 建設社 昭和10年5月発行より>
(現代かなに修正し、※は方言を訳しました。)



⇒長崎県では、長崎市の水神神社に同じ様な話が伝わっています。


長崎県の河童伝説  長崎坂づくし   対州馬   index