門川家は、生月遠見番を務めた武家の家柄であるが、ここには河童にまつわる一つの伝説が伝えられている。
平戸島安満岳鯛ノ鼻から見た、生月島 ある日便所で河童が悪さをしたところ、家の者が気が付いて河童の腕を切り落とした。
ところが後日、河童が現れて、手を返してくれるなら、秘密の傷薬の作り方を教えるという。
それで手を返してやり、伝わった薬の製法は、代々の主婦の秘伝として受け継がれたという。また、薬の効き 目もなかなかのものだった。
長崎日大高校の山本 咲 さん
よりお寄せ頂きましたいわゆる「河童の詫び証文」型の昔話の一つであるが、一般にイナカの農家では、河童は悪さもするが、池の水番とも仲が良く、池 祭の時には供物を与えられる水の精霊的な様相が顕著であるのに対し、ここでは、河童は妖怪として人と対立的に扱われている。
同じ存在(河童をモチーフにしても、農家と武家では扱い方が異なっているのが興味深い。
⇒生月町 方倉神社の河童様 へ
<生月町誌 生月町郷土誌編さん委員会編集
生月町教育委員会 平成9年2月発行より>
⇒河童伝授の秘薬の話は、ほぼ全国にあります。九州では特に、家庭常備薬の製造が盛んであった久留米から佐賀に、多く残っています。
この家庭常備薬は、いろいろな地方に「置き薬」として預けられ、薬行商人が巡回し集金と薬を補充していきました。 河童妙薬の話は、薬の効用を宣伝するために、また村人とのコミュニケーションのために、面白い物語として語られ広められたと思われます。
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