生月島の北端近くの裏海岸の磯辺に、方倉(宝倉)神社があり、水天宮として水の神をまつる。この祠の前に、海水と清水の入り交じった沼地がある。 昔、この沼に99匹の河童が棲みつき、住居とするために、夜毎小石を取り除いて池を造った。河童たちの造ったこの池には、どんな嵐のときも小石一つ転がりこまなかったという。
方倉神社(ほうくらじんじゃ) この河童が出現するのを見た島の住人は、「水神様の使いにちがいない」と話し合い、沼地のほとりに石の小祠(ホクラ=宝倉、秀倉)を祀り、「ホウクラ様」と称して、農・漁業を守護する水神社として深く尊崇するようになったといわれている。
河童は水神の徳を慕い、その眷属になったといわれ、当神社に眷属する河童の数は常に99人(匹)と伝えられている。
方倉神社の石祠 漁師は良く大漁祈願に参詣し、人間と出合うとすぐに相撲をとりたがるといわれる河童にあやかり、祈願成就には九99番(回)の相撲取組を奉納する習慣がある。
現在、この沼には河童の化身といわれる大鰻(うなぎ)が昏息しているが、人々はこれを「神うなぎ」とよび捕獲することはせず、参詣のときに現れると御利益があるといわれる。
水神と河童は、元来別の物であるが、古くから河童は家畜の牛馬に災いを及ぽすとも伝えられ、池や川 (井戸)の神祭には、竹棚に竹筒で作った樽を眷属の数に合わせて99本下げてお祀りするようになった。
古くは石祠のみであったが、社殿を昭和7年に創建し、昭和36年再建して現在に至る。
例祭日ー旧暦9月22日<生月町誌 生月町郷土誌編さん委員会編集
生月町教育委員会 平成9年2月発行より>
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