壱岐郡芦辺町住吉果山(はてつやま)のわきにも河童塔がある。自然石の供養塔が三本立っている。
右の山に供養塔があると伝えられている 昔、立石の西屋敷に侍が住んでいて、馬取川の辺に馬を繋いでいたところ、果津川の河童が出てきて、この馬を果津川に引き込もうとして綱を引くが、刀が弱くて馬が動かない。
河童は綱をからだにまきつけて、全身の力で引いて行こうとした。ところが馬は急に綱を振り払って駈けだした。河童はからだに綱を巻いているので、そのまま引きずられて、身体や頭をさんざん地面に打ちつけて死んでしまった。
川の側(果津山への登り口)にある水神? 果津という地名もこの河童傷死の伝説からきたようにいわれている。
その後この河童の霊が崇(たた)りをなして、いろいろな異変や不祥事が起こって、住民や通行人に迷惑をかけることから、供養塔を建てて霊を慰め供養することがなされた。それが今ある供養塔である。
<西海の伝説 山口麻太郎編著 第一法規出版 昭和49年9月発行より>
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