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東野圭吾さんの本の書評 |
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東野圭吾 (ひがしの けいご) |
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(プロフィール) 1958年、大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒。 エンジニアとして勤務しながら、1985年、「放課後」で第31回江戸川乱歩賞受賞。 1999年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞受賞 。 2006年、「容疑者Xの献身」で第134回直木賞受賞。同書は第6回本格ミステリ大賞、2005年度の「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」、「本格ミステリ・ベスト10」各第1位にも輝いた。 |
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【ガリレオシリーズ】 探偵ガリレオ 予知夢 容疑者Xの献身 ガリレオの苦悩 聖女の救済 真夏の方程式 |
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【加賀恭一郎シリーズ】 卒業 眠りの森 どちらかが彼女を殺した 悪意 私が彼を殺した 赤い指 新参者 麒麟の翼 |
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【その他】 宿命 浪花少年探偵団 ある閉ざされた雪の山荘で 秘密 分身 プラチナデータ |
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探偵ガリレオおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:570円 発行所 :文春文庫 発行日 :2002年2月10日 形態 :文庫・330ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 燃える 転写る 壊死る 爆ぜる 離脱る |
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![]() 突然、若者の頭が燃え上がる、アルミに刻まれた精密なデスマスク、心臓だけ壊死していた男の死体、幽体離脱した少年など、オカルトチックな難事件。 これらの事件の謎に対し、帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学が科学的な眼で挑む。 ![]() 福山雅治、柴咲コウ主演の月9ドラマ「ガリレオ」の原作ということで読んだ。 いずれの難事件も科学的な見地で矛盾無く説明されている点が面白い。 理系の人は特に面白く読めると思う。もちろん文系の人でも困難無く読めると思う。 1話読みきりの短編なので読みやすい。 空いた時間の暇つぶしにもってこいである。 ドラマは事件のエッセンスだけを抽出し、細部はかなり違っている。 人それぞれ好みはあると思うが、私はドラマよりこちらの原作のほうの設定が好きであった。 特に「爆ぜる」のドラマ版は大きく原作を逸脱しており、しかも科学的ではなかった。 |
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(書評作成:2007年12月18日) | ||
トップ > 書名別検索(た行) トップ > 作者別検索 トップ > ジャンル別検索(ミステリー小説) トップ > 映像化された小説 > ドラマ化された小説 |
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予知夢おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:467円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2003年8月10日 形態 :文庫・270ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 夢想る 霊視る 騒霊ぐ 絞殺る 予知る |
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![]() 運命に糸に導かれて少女の部屋に侵入した少年、殺人事件の犯行時間に別の場所で目撃された被害者の少女、ポルターガイスト現象など、に対して帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学が科学的な眼で挑むシリーズ第2段。 ![]() この本もドラマ「ガリレオ」の原作である。 ただし第1作「探偵ガリレオ」が怪事件に対して科学的な考察をする色合いが濃いのに対し、本作では事件のトリックに対して科学的な側面からトリックを暴くという色合いが濃い。 そういう点では前作の雰囲気を楽しみにしていた人にとってはちょっと期待はずれかも。 といっても十分楽しめるないようであることは間違いない。 「ガリレオ」シリーズの第3作は直木賞受賞作の「容疑者Xの献身」であるとのこと。 この本も読んでみたいと思う。 |
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(書評作成:2007年12月18日) | ||
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容疑者Xの献身おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:467円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2008年8月10日 形態 :文庫・394ページ ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説 |
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![]() ガリレオシリーズ第3段でシリーズ初の長編。直木賞受賞作。 ガリレオこと湯川の大学時代の旧友・石神は天才的な数学の能力がありながら不遇の時代を送っていた。 そんな彼は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。 彼女たちが元夫を殺害してしまったことを知った石神は完全犯罪を企てる。 そんな彼の計画の前に立ちはだかったのは湯川であった。 ![]() ミステリーとしても一級品であると思う。 天才・石神の企てたトリックに最後までだまされ続けた。 一方で、本書はそのタイトルにもあるように石神の献身ぶりがテーマである。 自らは決して報われないけれども必死に献身し続ける石神の姿の心打たれる。 本書では湯川はほとんど登場せず、もっぱら石神の仕掛けるトリックにページが割かれている。 前作までにあった湯川の論理的で理系的な思考による謎解きを期待する人にとってはちょっと異質に感じるかもしれないが、今回は人間味あふれる湯川が見られた。 |
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(書評作成:2008年12月14日) | ||
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ガリレオの苦悩おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:648円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2011年10月10日 形態 :文庫・376ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 第一章 落下る 第二章 操縦る 第三章 密室る 第四章 指標す 第五章 攪乱す |
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![]() ガリレオシリーズの短編集。 湯川の恩師の家で発生した殺人事件の解明におけるガリレオの苦悩を描いた「操縦る」、湯川を標的として連続殺人の犯行予告が行われる「攪乱す」など。 ![]() 「容疑者Xの献身」の事件後が描かれており、本作品では湯川は警察との距離を置いており、全面的な協力は行っていない。 その中で、湯川に関連する人々の事件に巻き込まれて行く中での”苦悩”が描かれている。 これまでのガリレオシリーズというと、一見オカルト的な事件に対し、物理的な視点から謎を解明していくというスタンスで描かれていたが、本作品では人間の心理部分にかなり焦点が当てられている。 これまでのガリレオシリーズのような痛快さを期待していると、少しがっかりするであろう。 ただし、路線変更とも思える本作品も非常に面白い。 |
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(書評作成:2012年11月18日) | ||
トップ > 書名別検索(か行) トップ > 作者別検索 トップ > ジャンル別検索(ミステリー小説) トップ > 映像化された小説 > ドラマ化された小説 |
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聖女の救済おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:676円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2012年4月10日 形態 :文庫・424ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 |
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![]() 資産家の男が毒殺される事件が発生した。 毒の今夕経路は不明、さらには容疑者として上がった妻には鉄壁のアリバイがあった。 内海刑事から依頼を受けたガリレオこと湯川は様々な仮説を立て、謎に挑む。 ![]() 「容疑者Xの献身」に継ぐガリレオシリーズの長編である。 本策においても湯川は物理の視点から反抗のなぞについて迫っていくが、ガリレオシリーズの初期作にあったような化学トリックの痛快さはない。 ただ、人間くささが増してきていることらのほうが、個人的には好ましく感じる。 ミステリーとして読むと、犯人は初期から分かっているので、どのようにして犯行が行われたのかというアリバイの部分と、その解明の部分に面白さがある。 ただ本作品では、ミステリーとしての部分ももちろん面白いが、それ以上の注目は人間の心理の部分である。 |
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(書評作成:2012年11月18日) | ||
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真夏の方程式おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:686円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2013年5月10日 形態 :文庫・463ページ ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説 |
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![]() 湯川は海洋調査の一環として、夏休みに美しい海辺の町・玻璃ヶ浦を訪れた。 そこで湯川は恭平という少年に出会い、その恭平が宿泊する旅館に滞在することに決めた。 その宿には、もう一人の宿泊客が宿泊していたが、その宿泊客が死体で発見された。 その宿泊客は東京から来た元・刑事であり、玻璃ヶ浦に縁がある男を逮捕したことがあった。 ![]() ガリレオシリーズとしては「容疑者Xの献身」、「聖女の救済」に次ぐ長篇小説であり、「容疑者Xの献身」と同様に映画化された作品である。 今回の作品は、残念ながら前期のシリーズに比べると残念な点が多かったと思う。 ひとつには初期のガリレオシリーズの面白さを閉めていた科学的考察が完全になりを潜めていること(著者はあえて方向転換しているかもしれないが)、それから何より残念なのが(ミステリーなので詳細はここではかけないが)犯人の動機について感情移入できなかったところである。 本来は犯罪を犯したものに対して感情移入などはありえないが、少なくとも「容疑者Xの献身」、「聖女の救済」では犯罪を犯した者への一種の感情移入というものはあった。 しかし今回にいたっては、犯罪を犯したものの勝手な論理だけで話が完結しており、読後には単なるやるせなさだけが残ってしまっている。 とりわけ「容疑者Xの献身」はすべてにおいて秀逸な作品であっただけに、そのシリーズとしては本作品はただただ残念であると感じた。 |
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(書評作成:2013年9月15日) | ||
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卒業おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() 本体価格:590円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1989年5月15日 形態 :文庫・371ページ ジャンル:ミステリー小説 |
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![]() 加賀恭一郎シリーズの第1作目。学生時代の加賀恭一郎の活躍を描く。 卒業を間近に控えた大学4年の秋に、加賀の友人グループの一人の女子大生が死亡する事故が発生した。 当初は自殺と考えられていたが、とある証拠より他殺の可能性も出てきた。 加賀の友人グループはその死の真相を知るために独自の調査を始めた。 そんな折、友人グループのさらに一人が毒殺される事故が発生した。 ![]() 本作品は加賀恭一郎シリーズの第1作目ということであるが、他の作品と比べるとミステリーの色合いが非常に色濃く出ていると思う。 著者の初期の作品ということもあり、ストーリーとしての完成度は他の作品に比べると少し劣ると感じた。 たとえばほかの作品では人の死に対してかなり慎重に取り扱われているが、本作品では少々軽く扱われすぎているような紀がした。 親友の死は何にもまして衝撃的で悲しいものなのだから、もっとシリアスに描いてもよかったのではないかと思う。 ただミステリーとして謎解きを楽しむのならば、緻密に計算されたものであり十分に楽しむことができると思う。 |
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(書評作成:2013年3月3日) | ||
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眠りの森おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:552円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1992年4月15日 形態 :文庫・328ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 |
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![]() 加賀恭一郎シリーズの第2作目。バレエ教室で教室に侵入した男が、バレエ教室のバレリーナによって殺される事件が発生した。 そばで倒れていたダンサーの女性の話からは正当防衛であるように思われた。 加賀恭一郎が捜査を進める中、更なる殺人事件が発生する。 ![]() ミステリーとしても、また加賀の恋愛小説としても楽しむことができる。 ミステリーとして読んだ場合、事件には様々な謎な巧妙に仕掛けられており、物語の終盤まで頭をフル回転させられることとなる。 また恋愛モノとして呼んだ場合、そのあまりの切なさに心を打たれてしまう。 殺人事件を題材にしながらも、読後感がものすごくスッキリであった。 |
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(書評作成:2011年12月3日) | ||
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どちらかが彼女を殺したおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:590円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1999年5月15日 形態 :文庫・355ページ ジャンル:ミステリー小説 |
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![]() 加賀恭一郎シリーズの第3作目。愛知県警に勤務する和泉康正の最愛の妹が死亡する事件が発生した。 現場状況より、和泉は妹が殺されたということを知る。 自らの手で犯人に復讐したい和泉は、独自の捜査を行い、容疑者として妹のかつての恋人と、妹の親友の2人に絞り込む。 そんな和泉を止めるべく立ち上がったのは、練馬署の刑事・加賀恭一郎であった。 ![]() 通常のミステリーであれば、大多数の容疑者のなかからなかなか真犯人を絞り込ませないのが常套手段。 一方、本作品では本の背表紙にも、またタイトルからも犯人が二人に絞り込まれている。まさに異色のミステリーである。 多少のネタバレにはなるが、本作品を一度読んだだけでは犯人が分からない。 なぜならば犯人を完全に特定するような記述が無いため。 ただストーリーの節々にそれらが示唆されており、そこから犯人を考えさせるという斬新な構成になっている。 おかげで何度も本書を読み返すハメとなった。 その分、ストーリーがこれまでのどんなミステリーよりもしっかりと頭の中に入った。 |
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(書評作成:2011年12月3日) | ||
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悪意おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:629円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :2001年1月15日 形態 :文庫・365ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 事件の章 野々口修による手記 疑惑の章 加賀恭一郎の記録 解決の章 野々口修による手記 追及の章 加賀恭一郎の独白 告白の章 野々口修による手記 過去の章 その一 加賀恭一郎の記録 過去の章 その二 彼らを知る者たちの話 過去の章 その三 加賀恭一郎の回想 真実の章 加賀恭一郎による解明 |
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![]() 加賀恭一郎シリーズの第4作目。人気作家が自宅で殺される事件が発生した。 第一発見者は、作家の妻と、その友人であった。そしてその友人は加賀がかつて勤務していた学校での先輩であった。 やがて、犯人は逮捕され、事件について自白するが、加賀はその動機に疑問を抱き、独自に捜査を進める。 そして加賀がいたった動機には決して語られることがなかった「悪意」が潜んでいた。 ![]() 加賀恭一郎シリーズの第4作目であるが、これまでの3作がかなりミステリー色が強かったのに対し、本作品では人間の心理面に焦点が当てられている。 ミステリーとしても「動機」の謎を楽しむことができるのであるが、最後に明かされるタイトルにもなっている「悪意」の意味を知ると非常に恐ろしくなってしまう。 「悪意」ある動機にいたるまでに仕組まれた伏線は実に秀逸である。 ミステリーなのであまり詳細には書けないが、ころっとだまされてしまった。 決して明るい作品ではなく、読後には得もいえぬ「(いい意味での)後味の悪さ」が残るが、非常に楽しむことができる作品であった。 |
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(書評作成:2013年3月17日) | ||
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私が彼を殺したおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:730円 発行所 :講談社文庫 発行日 :2008年8月10日 形態 :文庫・448ページ ジャンル:ミステリー小説 |
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![]() 結婚式の最中に、新郎が殺害される事件が発生した。 死因は毒入りのカプセルを飲んだことによる中毒死であった。 捜査は、その男性と過去に関係があり、結婚式の前日に服毒自殺した女性による反抗という説が農耕であったが、新婦と加賀恭一郎は疑問を抱いていた。 容疑者として上がったのは、三人であり、おのおのが殺意を抱いていた。 ![]() 「どちらかが彼女を殺した」と同様に、最後まで犯人が語られることなく、犯人については読者の推理と判断にゆだねられる構成となっている。 ただ「どちらかが彼女を殺した」に比べると、判断材料はごくわずかであり、推理のための難易度はかなり上がっている。 私も繰り返し読んでみて、怪しそうな場面までは見つけることができなかったが、結局犯人の確証を得ることができなかった。 本書には犯人を特定するヒントが袋とじで設けられており、それを見ることで何とか犯人に行き着くことができた。 なお、本作品はこれまでの作品とは異なり加賀の登場は極めて少ない。 最後にちょっと出てきて、犯人を導いているだけである。 加賀の活躍を期待していると、ちょっと肩透かしの気分を味わうこととなる。 |
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(書評作成:2014年2月10日) | ||
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赤い指おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:552円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :2008年8月10日 形態 :文庫・394ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 |
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![]() 少女の遺体が住宅街において発見された。 そしてその捜査線上に、ある平凡な一家が浮かび上がってくる。 家族やその生活を守るために、家族が突き通すうそに対し、練馬署の刑事・加賀恭一郎が立ち向かう。 ![]() 話は非常に重苦しいテーマを扱っている。 読んでいる最中、もし自分にこのような事態が降りかかってきたら、どうするんだろうか?ということを問い続けていた。 いざとなるとやはり自分を守るために自分も同じ行動をとるかもしれない、と思った。 「赤い指」という題名はまさにこのミステリーおよびこの本で描かれるべき家族像を示しており、秀逸である。 必ずしも読後スッキリという内容ではないが、エンディングの数ページによって救われた。 |
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(書評作成:2011年11月5日) | ||
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新参者おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:700円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :2013年8月9日 形態 :文庫・400ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 第一章 煎餅屋の娘 第二章 料亭の小僧 第三章 瀬戸物屋の嫁 第四章 時計屋の犬 第五章 洋菓子屋の店員 第六章 翻訳家の友録 第七章 清掃屋の社長 第八章 民芸屋の客 第九章 日本橋の刑事 |
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![]() 日本橋の片隅のマンションで一人の女性が殺される事件が発生した。 日本橋署に着任したばかりの加賀恭一郎は、見知らぬ町の住民と心を通わせながら事件の真相に迫っていく。 ![]() ミステリーの形態をとりながらも、この小説の本質は東京の下町の人情ものであるというように感じた。 もちろん、ちいさな手がかりから”無理なく”、”矛盾なく”殺人事件の真相に迫っていくのはさすが筆者の筆力であるとうならされる。 それよりもむしろ「人情もの」として読んでいて心が暖かくなってきたのが印象的である。 各章ごとは基本的には独立しており、殺人事件の捜査という形をとりながらも、一話一話が人情ものとして完結している。 そして最後の第九章ですべての話が総括されて、なぞが解かれるという形態となっている。 各章ごと楽しいのであるが、なかなか謎解きが進展しなくてちょっともやもやした感じを持っていたが、最終章で一気にすっきりとした。 折に触れてまた読み返してみたいと思う。 |
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(書評作成:2014年8月31日) | ||
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麒麟の翼おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:700円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :2014年2月14日 形態 :文庫・372ページ ジャンル:ミステリー小説、映画化された小説 |
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![]() 胸を刺された瀕死の男性が日本橋の麒麟の像のところまで移動し、そこで息絶えるという事件が発生した。 加賀恭一郎が捜査に乗り出すが、殺された男性の家族は、男性の家以外での行動をあまり理解していなかった。 ![]() ストーリーとしては、家族の内面に深く切り込んだ「赤い指」と、下町の人情を描いた「新参者」の世界観がミックスされた感じである。 特に、被害者の家族の抱える問題がクルーズアップされており、「赤い指」と同様に加賀の心配りによりそれらの問題が解消されていく様は心が温まった。 本作品は内容自体は重苦しいものであり、読後には必ずしもすっきりとしたとは言い切れないが、最後の数ページの記述でいくらか救われたような気がした。 人情ものとしてもミステリーとしても十分に楽しめる作品に仕上がっていると思う。 |
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(書評作成:2014年8月31日) | ||
トップ > 書名別検索(か行) トップ > 作者別検索 トップ > ジャンル別検索(ミステリー小説) トップ > 映像化された小説 > 映画化された小説 |
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宿命おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:619円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1993年7月15日 形態 :文庫・378ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 序章 第一章 糸 第二章 矢 第三章 再開 第四章 符号 第五章 示唆 第六章 決着 終章 |
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![]() 有名企業の社長が殺害される事件が発生した。 その捜査線上に浮かび上がってきた容疑者は、事件を担当することとなった刑事・和倉勇作の幼馴染であり、宿敵とも言える存在であった。 しかもその容疑者の妻は高校時代の初恋の女性であった。 ![]() 様々な謎が用意されているので、分類としてはミステリー小説ということになると思うが、著者が描きたかったのはおそらくは人間ドラマであろう。 宿命ともいえる運命に翻弄される登場人物の心理などがうまく表現されている。 各登場人物のキャラつくりがものすごくうまいと感じた。 ミステリーとしても、また人間ドラマとしても最後の結末は驚きであり、またこのエンディングしかこのストーリーにはぴったりと来ないと思った。 途中までの敵役が最後にその印象を一変させるのはお見事である。 |
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(書評作成:2012年2月4日) | ||
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浪花少年探偵団おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:533円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1991年11月15日 形態 :文庫・305ページ ジャンル:ミステリー小説、ドラマ化された小説 目次 しのぶセンセの推理 しのぶセンセと家なき子 しのぶセンセのお見合い しのぶセンセのクリスマス しのぶセンセを仰げば尊し |
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![]() 大阪で小学校の先生をしている大内しのぶが、ひょんなことからさまざまな事件に巻き込まれてしまい、その好奇心の高さから自らその事件に首を突っ込んでしまう様子を描いた5編の短編集。 ![]() まずはテレビドラマを見て、非常に面白いという印象を受けて本書を手に取った。 会話は全て大阪弁で書かれており、テレビドラマの暖かい雰囲気がそのまま伝わってきた(ドラマ化のほうが後なので、ドラマのほうがこの作品の暖かい雰囲気を再現しているといったほうが正しい)。 テレビドラマの出演者を頭に思い浮かべながら読みすすめることで、よりストーリーがイメージしやすかった。 さまざまな事件に対して、素人が独自に推理するというのはありふれた設定であるが、本作品ではごく自然な流れとして受け止められた。 |
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(書評作成:2013年4月21日) | ||
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ある閉ざされた雪の山荘でおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:533円+税 発行所 :講談社文庫 発行日 :1996年1月15日 形態 :文庫・306ページ ジャンル:ミステリー小説 目次 第一日目 第二日目 第三日目 第四日目 |
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![]() 乗鞍高原のペンションに舞台のオーディションに合格した男女7人が集められた。 舞台稽古の目的で召集されたが、そこには舞台演出の姿はなく、7人で4日間の共同生活を営むことの指示だけが残されていた。 戸惑いながらも共同生活を始める7人であったが、殺人の設定を記したメモとともにやがて一人ずつ姿を消していく。 果たしてこれは演出なのか、はたまた本当の殺人事件なのか? ![]() 本格的な謎解き系のミステリー小説であるが、独特の設定がなされている点はさすがであると思った。 登場人物と同様に読者も演出なのか、本当の殺人事件なのかを推理しながらも読み進めていかなければならない。 警察の介入を許さない独特の設定、ノックスの十戒の範疇にありながらも、それをたくみに逆手に取る巧妙なトリックなど、ミステリー小説としても秀逸である。 ただし、他の策人のように登場人物の人間的魅力などが多少希薄に感じたのが残念であった。 |
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(書評作成:2013年5月1日) | ||
トップ > 書名別検索(あ行) トップ > 作者別検索 トップ > ジャンル別検索(ミステリー小説) |
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秘密おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:667円+税 発行所 :文春文庫 発行日 :2001年5月10日 形態 :文庫・452ページ ジャンル:日本文学(文芸)、映画化された小説 |
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![]() 杉田家は夫婦と娘一人の三人家族である。 妻・直子と娘・藻奈美が帰省中にバスの事故にあってしまい、妻が死亡し、娘は意識不明の重体となってしまう。 直子の葬儀の夜にやっと藻奈美は意識を取り戻すが、そこに現れたのは直子の意識であった。 その後、杉田家では父・平介と娘の体を持った妻・直子の奇妙で”秘密”の生活を送ることとなる。 ![]() 東野圭吾さんのミステリー以外の小説を始めて読んだが、本当に衝撃的な内容で驚かされた。 実に感動的ですがすがしい小説であった。 父の、そして娘の気持ちや葛藤が痛いくらいよく分かってしまい、すごく感情移入することができた。 自分にこの状況が起こってしまったらどうするであろうか、ということを絶えず考えながら読みすすめた。 400ページを超える長編であるが、一気に読みきってしまった。 特に最後の数ページで語られる究極の”秘密”には度肝を抜かれてしまった。 悲しすぎるストーリーではあるが、ぜひ一度は読んで欲しい名著であるといえるであろう。 |
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(書評作成:2013年5月1日) | ||
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分身おススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:695円+税 発行所 :集英社文庫 発行日 :1996年9月25日 形態 :文庫・463ページ ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、ドラマ化された小説 |
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![]() 函館市生まれの18歳の氏家鞠子。 彼女は、母から愛されていないと感じることに悩んでいた。 そんなある日、彼女の実家が火事になり、母が焼死するという事故が発生する。 警察の調査で、母が無理心中を図ったのだということを知り、彼女はなぜ母が死を選ばなければならなかったのか、独自に調査を始める。 その調査の中で、彼女は自分に瓜二つの人物が存在することを知る。 一方、東京に住む20歳の小林双葉は海女チェアバンドの歌手であるが、母からはテレビ出演することを厳しく止められていた。 そんなある日、彼女はテレビに出演してしまうのであるが、その日を境に彼女の生活は一変してしまう。 ![]() ネタばれになるのであまり詳細には書けないが、SFチックな医療サスペンスの内容で面白かった。 「分身」という題名から読む前から大体の話のあらすじは分かったつもりであったが、徐々に明らかとなっていく秘密、さらにその秘密が明らかになるたびに全く違った展開を見せるストーリー展開は、さすが東野圭吾であると思った。 このストーリーの背景にあるのは、人間のあくなき探究心と、エゴ、悪意。 非常に悲しいストーリーであった。 エンディングは実にあっさりと書かれており、多少の物足りなさを感じるのかもしれない。 ただし、これもこれから二人の女性はどのようになっていくのかをあえて書かずに、読者にそれをゆだねるという著者の計算なのであろう。 |
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(書評作成:2013年5月18日) | ||
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プラチナデータおススメ度:(5点満点)![]() ![]() ![]() ![]() 本体価格:724円+税 発行所 :幻冬舎文庫 発行日 :2012年7月5日 形態 :文庫・493ページ ジャンル:サスペンス・ハードボイルド、ドラマ化された小説 |
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![]() 舞台は近未来の日本。日本では国民のDNA情報を捜査に活用できる法案が国会で可決され、犯罪者の検挙率が飛躍的に向上した。 そんな最中、DNA捜査システムの開発者が殺される事件が発生した。 また完璧であるはずのDNA捜査システムでは検出されない犯人が引き起こす事件が連続して発生する。 警察庁特殊解析研究所・神楽龍平はDNA捜査システムを操り、上記の事件の捜査に当たるが、現場に残された遺留品から示された犯人像は神楽龍平自身であった。 神楽は自らの身の潔白を示すため、一人で捜査に乗り出す。 ![]() 500ページ弱と読み応えがあるボリュームであったが、一気に読み切ってしまった。話の展開はスピーディーで息をつかせぬ、という言葉がぴったりとくるという感じであった。 近未来の日本が舞台であり、やや荒唐無稽な設定であると思いながらも、なんとなくありそうな設定であると思わせるところが著者の筆力によるところであろう。 本の最後で、タイトルになっている「プラチナデータ」のさす意味が明らかとなるが、痛快なストーリーが一気に社会的なものになり、読後のすっきり感を減少させるものとなっている。決して悪い意味ではなく、ストーリー展開の妙に感心させられた。 ちょっと残念だったのが、主人公である神楽龍平の設定である。超人的な能力を持っているか、凡庸な人であるか、どちらか極端にふったほうが面白いのではないかと感じた(あくまでも個人的な感想ですが)。 |
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(書評作成:2016年1月31日) | ||
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