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シューベルト:交響曲第9番-比較試聴記

LPレコード(16種)


1. Rögner / Radio Symphonie Orchester Berlin
★★★★★
派手な効果を狙うことなくゆったりしたイン・テンポの音楽が流れる。
これぞシューベルト!というすばらしさ。
これは見つけ物!
レーグナー指揮
ベルリン放送交響楽団

14:35-16:10-12:50-12:00

<1978.6>
DENON-OS7350~1
①出だしのホルン、柔らかく森の奥から聴こえてくるような響き-ここでもう引きつけられる。
ゆっくり、ゆっくり静かに抑えた序奏から、決してアッチェレランド(速度を速める)せず自然に主部に入ってゆく。
主部のリズムは重くなく、必要以上にffにしない。
インテンポを崩さない、本当にゆったりした音楽。
②音楽が細切れにならず、悠然と流れる。ゆっくりと刻むリズムが軽快。
(もう少し速くても良いかも)
③スケルツォ‐リズムが柔らかで決して仰々しくならない。
トリオ-のどかな田舎の風景
トリオからスケルツォへの移行部分‐スピードアップすることなく、ホルンの刻むリズムがさり気なく繋いでくれる。
④急ぎすぎず、心地よいテンポ
金管が突出することなくバランスよく響く。
弦のリズムを強調しないところがよい。特にコーダの低弦のリズム(1058-1061小節)も特に強調せず、どぎつさ皆無。
2. Haitink / Concertgebouw Orchester Amsterdam
★★
平凡な演奏。
コンセルトヘボウのくすんだ音色が生かされてないのが残念。
ハイティンク指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団


13:31-14:37-10:01-11:40

<1975.12.21>
PHILIPS-X7682
①ホルンのくすんだ音が生きてこない。
リズムがやや硬く不鮮明。
展開部‐低弦のリズムが軽く、コクがない。
第二主題もあっさり流れるだけで、歌がない。
②平凡
③ティンパニーのリズムも弱く、トリオに優雅さがない。
④ヴァイオリンの細かく刻むリズムがもっと推進力を生むはず。生き生きしてこない。
3. Walter / The Columbia Symphony Orchestra
★★★★★
素晴らしいシューベルトである!
シューベルトの歌心を何の作意もなく自然に感じさせてくれる。
以前から定評のあるレコードで、今でもこの曲のベスト・ワンにあげる人も多い。
40年経った今でもこれは外せない。
欲を言えばオケがBPOかVPOだったら最高だったろう・・・・
ワルター指揮
コロンビア交響楽団

14:40-15:02-09:55-12:33

<1959.1.31>
CBSSONY-SOCL176~7
①ホルンは陰影の濃い丁寧な音。
序奏はゆったりした音楽。ホルンのアクセントが心地よい。
序奏から第一主題への移行がやや重いが第二主題と共によく歌ってる。
提示部のコーダも決まってる。
コーダで少しテンポが上がるが極自然に響く。
最後、序奏のテーマを大きく回想して終わるがここもつぼを押さえた響きがビシッと決まる。
②はやくなく、遅くなく、気持ち良い音楽。
③スケルツォのリズムが良い。テンポもまさにぴったり。
トリオの流れも良い。
コントラバスの音型がはっきり聞き取れ、リズムが生き生きしてる。
スケルツォ主題でさえ、歌がある。
④出だしの決然たるリズムがこの楽章の素晴らしい流れを象徴している。
一部、リズムが乱れそうになるところがあるが、すぐに持ち直してOK.
全ての楽器がきっちりと音を出してるがうるささ皆無、素晴らしい音楽。
4. Böhm / Berliner Philharmoniker
★★★★★
このレコードでこの曲を知ったという思い出深いもの。
一番多く聴いてきた演奏で、今でもこれが私の基準となるもの、物差しである。
まさにレコード盤が擦り切れるくらい聴いて、盤面の傷音まで蘇る。
重厚な音楽を得意とするベームが、シューベルトを振るとなんともいえない柔らかな音楽になるのである。
(ちょっと恥ずかしいけど、青春の思い出がいっぱい詰まってます)
ベーム指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

14:13-13:44-11:12-11:20

<1963.6.15-19>
DGG-SMG2006
①ホルン、ゆったりしていて本当に落ち着く。つづくオーボエも同じ流れ。
ティンパニー・低弦のバランスが良く、シューベルトを感じさせてくれる。。
序奏から第一主題に移行するときほんの少しアップテンポになるが、そのあと少しテンポを落とした第二主題とのバランスが良い。
展開部もゆったりしていて楽器のバランスもよい。金管が突出しないのが良い。
コーダ、少しづつAccelerando(速度を速く)して最高の盛り上がりとなる。オケのうまさが光る。
(今聴きなおしてみてこの楽章、少しテンポが遅い印象がした)
②テンポの良さ、歌の歌い方、オケの素晴らしさ、どれをとっても素晴らしい。
ただ個人的な好みからいえば、オーボエの音色が明るすぎるのが昔から唯一引っかかる・・・
③メリハリがきいてて、力強いスケルツォ。
弦が美しく、刻むリズムが歌そのもの!
トリオも優雅な音楽を奏でる・・・弦だけじゃなくクラリネット・フルートも歌う。
最後の和音もびしっと決まってる。
④インテンポで急ぎすぎず、内に大きな力を秘めながら大きな推進力を感じさせる。ベームのコントロールの強さを感じさせる。
展開部でややテンポが乱れそうになるがすぐに建て直し、コーダの息の長いクレッシェンドで締めくくる。素晴らしい!
5. Böhm/Dresdner Staatsorchester
★★★
ドレスデンのオケはBPOより洗練度では落ちるが開放的でいい響き。
ティンパニーが全体を引き締めてる。
全体の流れはBPOとよく似てるが、オケが違うとこうも印象が違ってるのが面白い。
ベーム指揮
ドレスデン国立管弦楽団

13:53-13:30-10:59-11:34

<1979.1.12>
DGG-28MG0210
①Hornあっさりとしてる。ティンパニーはBPOより強め。
一部緩みも感じられるがおおむね元気な演奏。
コーダ、ゆっくりとしたティンパニーがいい。
②やや速めのテンポだが、ゆったりするところでは思い切ってテンポを落とし、また元に戻すなど、メリハリの聴いた演奏。
ホルンなど金管のひなびた音をうまく生かしており、この楽章は素晴らしい。
③安定した演奏。
特に何かを強調するということもなく安心して音楽に浸れる。
個人的にはもう少し生き生きとした感じがあってもいいかな・・・
④テンポがよくメリハリもしっかりしてる。
6. Schuricht / Süddeutschen Rdf.
★★★★
第二Vnを右に配置したオケ。
旋律線だけを目立たせるのではなく、対旋律やリズムの部分もきっちり演奏することで全体のバランスを取ってるので、響きが新鮮。
ユニークな演奏として別格である。
シューリヒト指揮
南ドイツ放送交響楽団

12:57-14:55-10:08-12:36

<1960.9>
Columbia-OW7883
①いかにもぶっきらぼうのホルン、そしてゆったりしたテンポの序奏。懐かしい素朴さである。
主部に入って一転速くなる。全ての楽器の音をきちんと出させるから、隠れてた部分が表に出てくるような意外性がある。
展開部も速いが細かく変化する。
再現部はもっと速くなり、一気呵成に前に進む。
男性的で、天衣無縫のシューベルト!‐‐‐こんなやり方もあるんだ・・・
②弦の刻むリズムに乗ってオーボエが物悲しい旋律を奏でる。シューベルトの世界だ。
終盤、テンポをぐっと落とすやり方が絶妙。
③低弦の切れ味良いリズムが全体を引き締める。
スケルツォからトリオに移行する部分でのホルンと木管がひなびた田舎の雰囲気を作る。
全体に、リズムを刻む弦とメロディーを奏でる木管が対等に渡り合う面白さがある。
④アレグロ・ヴィヴァーチェにしてはゆっくりしたテンポ。でも楽器をしっかり鳴らしながらきっちりリズムを刻むから決して弛緩することはない。
7. Jochum / S.O. des Bayerischen Rundfunks
★★★
これといって目立たないが、自然な流れの心地よい演奏
ヨッフム指揮
バイエルン放送交響楽団

13:35-14:56-10:10-11:27

<1958.>
Heliodor-MH5031
①素朴そのもののホルン
ゆったりとした強固な響きの序奏で、速い主部への移行が自然。安定感があり落ち着いて聴ける。
②ゆったりした流れ
③極自然
④少し速めでトランペットが目立つ
8. Kempe / Münchner Philharmoniker
★★★★
テンポの揺れ幅の大きな演奏。洒落たテンポの落とし方がシューベルトの歌を引き立たせる。
素朴な響きのオケが力演。
ケンペ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団


13:20-13:42-10:00-10:52

<1968.5.22>
CBSSony-13AC956
①まろやかな響きのホルンに続くオケの響きは男性的で力感あふれる音楽を作る。
主部に入っても一気呵成に進んでいくが時折ほっと一息つくような部分(提示部第二主題直前のフレーズや展開部の最後の部分)があって、心憎いやり方。
再現部も力強い。
コーダでも一瞬テンポを落とすが、なんとも洒落た名人芸。
②メインのテーマ(オーボエ)は優雅、伴奏リズムは強固
第二主題、最初の提示は速めで切れが良いが、後半再現する時はゆったりとした感じ。ケンペのうまさか。
アンダンテ・コン・モトにしては全体に少しはやめかな?
③スケルツォははつらつとした響きだが、トリオの後に再現する直前、一瞬テンポを落としたかと思うと一気にこのスケルツォ主題に流れ込むこの間がなんとも心憎い。
④Vnの刻むリズムが全体の推進力になってる。これがきっちり決まって素晴らしいリズムで長さを全く感じさせない。
9. Davis / Boston Symphony Orchestra
★★
①・④楽章の提示部、③楽章のスケルツォ・トリオとも、全て反復しており、1時間を越える。
録音が良くないのか音がこもり気味。ティンパニーのふやけたような音は大きなマイナス。
これといった特徴のない演奏。
発売時好評だったレコードだが、私には凡庸な演奏に聴こえる。
C.デービス指揮
ボストン交響楽団

16:52-14:19-15:24-14:33

<1980.3.15>
Philips-27PC12
①ゆったりしたホルンで始まり、序奏は終始遅め。
主部は一転してアレグロになり、その落差が大きい。
②オーソドックスで、なんら特徴がない。
③響きが鈍く冗長感すら感じる。ティンパニーが鈍いのは録音のせいかもしれない。
④生き生きしたテンポで躍動感があるが、弦のリズムが弱いのが惜しい。
10. Szell / The Cleveland Orchestra
★★★★★
セルが長年鍛えたクリーブランド管の高度なアンサンブルが遺憾なく発揮された名演。
アンサンブルのよさが快適なリズムを生み、無駄な音が皆無でシューベルトの美しさが堪能できる。
セル指揮
クリーブランド管弦楽団

14:12-14:27-09:40-11:38

<1970.4.27>
Angel-AA8729
①ホルンの静かな音で始まり、ゆったりしたそれでいて強固なアンサンブルの序奏は、名演の予感。
木管が突出することもなく、弦のアンサンブルにうまく乗ってゆく。
コーダの弦と管のバランスが絶妙!
②弦の歯切れ良いリズムに乗って木管が歌う。うまい。ティンパニーと弦のバランスも最高。
③歯切れ良いスケルツォ、弦のうまさが光る。うるささ皆無。
④冒頭2小節のffの動機を聴いただけで弦の持つ美しさと力強さを感じさせてくれる。
コーダでほんのわずかテンポを上げるがこれが効果的。
11. Knappertsbusch / Münchner Philharmoniker
★★★
昔の指揮者はこんな風に自分の解釈で演奏していたのかと感心させられる。
巨匠時代の、スケールが大きな演奏。
放送録音なのか、音が悪く細かい部分が分からない。観賞用にはちょっと無理。
ハンス・クナッパーツブッシュ協会のレコード。
クナッパーツブッシュ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

13:41-13:22-10:39:14:01

<1959.1.6>
Knappertsbusch-Gesellshaft
①ぶっきらぼうに始まるホルン
序奏(アンダンテ)と主部(アレグロ)がほぼ同じテンポ! こんな演奏聴いたことがない。やり過ぎととらえるか、はたまた巨人の遊び心ととらえるか・・・
再現部はスケールが大きい。
②速めのテンポでリズミカル。
第二主題はしっかり歌う。
2度目の第一主題は遅く、250小節から第二主題にかけて極端なまでにテンポを落とす。(フルトヴェングラーもそうだ)
③極普通に始まるスケルツォ。トリオに入る直前に休止!そしてトリオが終りスケルツォの直前でまた休止!今まで誰もこんなやり方をしたことがない。
④これもびっくり。アレグロ・ヴィヴァーチェではなくアンダンテ!まるでブルックナーの歩みだ!
そしてコーダの低弦が4小節の単純なリズムを刻む箇所(1058-1061,1066-1069小節)で、テンポを落とす。(レヴァインと同じ)
12. Furtwängler / Berliner Philharmoniker <1951>
★★★★★
実演で見せる、鬼気あふれる音楽という面は影を潜めてるが、スタジオ録音ならではの落ち着きがシューベルトの歌心には良かった。
同じシューベルトの≪未完成交響曲≫のリハーサル風景がフィルムに残されてるが、そこでのフルトヴェングラーのこだわりは一通りではない。出だしのコントラバスのテーマを何度もやり直すその音楽作りのすごさを知ってこの曲を聴くと感動もひとしお。
何度聴いても飽きることのない音楽である。
フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
14:35-17:11-11:12-11:32

<1951.12>
Heliodor-88006
①森の奥から響くようなゆったりしたホルン。
序奏はゆっくりした足取りでありながら力強い。
主部に入ると彼らしい力のあるのある音楽になるが、テンポはあまり動かさずじっくり力を溜めているような感じ。
展開部に入る時に少しテンポを落とす(250-255小節)
コーダはフルトヴェングラーの独壇場。558小節(12:45)からのアッチェレランドは聴く者の心をわしづかみにして最後まで一気に持ってゆく。
②やや遅めのテンポで、第一主題は流れるような歌が聴けるが、第二主題になると様相が変わり始める。89小節からテンポがぐっと遅くなる。
でもまだこれはドラマの始まり。
146小節から(6:07)の音楽はほとんどアダージョ!
つづく第一主題の再現もそのイメージをひきづってゆく。その後いくぶんもとの速さに戻りかけるが、第二主題が再現する時またもアダージョに。(251小節-)(10:43)
最後も消え入るように終わる。
 この楽章は、フルトヴェングラーの人間性がそのまま出たような音楽。
③スケルツォ、特に入れ込むことなくオーソドックスな音楽で、オーボエなどの木管の美しさもシューベルトの歌を聴かせてくれる。
トリオ、遅めのテンポでじっくり歌い上げる。
再現するスケルツォ、ある部分では弦がうねるような動きがあり、つい引き込まれる。
④シューベルトというよりもベートーヴェン的な大きな音楽になってる。
重なるような音の厚み、畳み掛けるようなオケの煽り方など、フルトヴェングラーの面目躍如。
13. Furtwängler / Berliner Philharmoniker <1953>
★★★★
録音の状態が必ずしも良くはないが、フルトヴェングラーの特徴は良く捕らえられてる。
全体に彼としてはおとなしい演奏で、シューベルトの音楽に適してる。
51年盤とほとんど同じような演奏である。
フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

14:26-17:18-10:03-11:21

<1953.9.13>
RVC-RCL3306
①ゆったりしたホルン、続く序奏もゆっくりロマンティックに歌う。
主部は力のこもった演奏で、展開部ではティンパニーの力強い音が聴かれる。
コーダに向かってときに激しくアッチェレランドし、最後は力強く終わる。
低音が強めだがこれは録音のせいかもしれない。
②リズミカルな主部で、オーボエの郷愁をさそうような響きが良い。
第2主題はゆっくりで、濃厚な浪漫の息吹。
146-160小節でテンポを極端に遅くするのは、51年盤と同じ。
アンダンテではなくアダージョの音楽になってゆくのもほぼ51年盤と同じ。
終結部は本当に遅い。
③弦の刻むリズム、木管の優しさ、ティンパニーの強打、どれをとっても素晴らしい。
トリオ、弛緩することのないシューベルトの音楽。
④音が悪く残念。
この楽章の一番の魅力であるリズムは損なわれてないし、決して重々しいものでもない。第二主題は少しゆっくりだが停滞感はない。
全体に力強くベートーヴェンを髣髴させる音楽。
14. Furtwängler / Berliner Philharmoniker <1942>
★★★★★
第二楽章の異様な遅さで、問題になった演奏。
実演で異様なまでにデモーニッシュな音楽を展開するフルトヴェングラーだが、これほどまでの演奏は他にない。
何があったかは分からないが、平静でいられなかったフルトヴェングラーの貴重な録音。
何か落ち着かない演奏であり、シューベルトらしさという点では常に聴くレコードではないが、一度耳にしたら虜になってしまうことは間違いない。
このレコード、発売されたのは1970年代に入ってからである。ソヴィエト軍がベルリンの放送局の録音テープを接収していたものが、戦後20数年たって西側に変換されてレコード化され、世界中の注目を集めたといういわくつきの物。
フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

13:17-16:07-09:17-10:26

<1942.5.1>
Columbia-DXM109UC
①緊張感あふれるホルン
序奏は力の入った演奏。チャーミングなオーボエに比べ、金管・ティンパニーはやや強め。
序奏から主部へアッチェレランドして突入、そのままの勢いで進む。
そして第2主題になってようやく落ち着きを取り戻す。
展開部へはやはりアッチェレランド。この展開部は静と動の対比が大きく、音楽が揺れ動く。
コーダはやはり大きなアッチェレランド(11:40)で、興奮のうちにこの楽章を終わる。
②問題の楽章である。
第二主題が終わって第①主題が再現するところ(145小節-)(5:56-)で、音楽はそのテンポを極端に落としてしまう。
51年盤などでもその傾向ははっきりしてるが、ここではまるで音楽が止まってしまうような異様な状況になる。
その後体勢を立て直すが、このテンポの急落はこの楽章の最後まで引きずってしまい、コーダも異常な遅さで締めくくる。
なぜか?戦争の影がフルトヴェングラーを異常な精神状態に追い込んだなど、さまざまな議論がなされたが真相は分からない。
③速めのテンポに戻ってる。
生き生きしたスケルツォ、ゆったりしたトリオである。
④一気呵成のアレグロ・ヴィヴァーチェ
金管もティンパニーも生き生きしており躍動感あふれる。やや力任せの感あり。
15. Toscanini / Philadelphia Orchestra
★★★
録音のせいもあるようだが、低音の分離がよくて、音型がはっきりする。音楽の流れが大きく捕らえられる。
時々、畳み掛けるように速くなることがあり、落ち着かない演奏。
音と音が溶け合って流れるという音楽ではなく、一音一音をはっきり鳴らすという感じで、シューベルトの歌にはどうかな・・・?
①②楽章はもう一つだが、後半の③④は素晴らしい。
トスカニーニ指揮
フィラデルフィア管弦楽団

13:02-12:47-08:42-11:22

<1941.11.16>
VICTOR-SRA8052
①インテンポで淡々と吹かれたホルン、続くオーボエもあっさりしてる。
提示部・展開部ともにリズミカルに流れる。
再現部は速めのテンポでppが綺麗。
コーダは、ちぎっては投げちぎっては投げという感じで、シューベルトのイメージではない。
②テンポが速い。
スタッカート気味に切るので流れがスムーズに感じられない。シューベルトらしくない。
トリオはまるでマーチのようだ。
③速いスケルツォ
リズムの切れの良さが幸いしてる。弦と木管が絡み合わないというもどかしさはあるが、これはこれでいいかも。
トリオは、レントラー風の田舎の踊りという感じが良く出ている。
④前半の2つの楽章とは違い、急ぎすぎず各パートがきっちり演奏されており、見通しの良い音楽になってる。
展開部も、ややもするともたれるような演奏になりがちだが、トスカニーニは整然と流れる。
16. Karajan / Wiener Philharmoniker
★★★
VPOの良さが出た一枚。特にホルンとオーボエは、一度聴いたら他の演奏は聴けないような気になってしまう。
①楽章に不満が残るが、全体としてはVPOのシューベルトの素晴らしさを満喫できる。
カラヤン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

13:12-14:48-08:27-11:37

<1946.9>
Angel-EAC30104
①ゆったりしたいい響きのホルン-つづくオーボエの音色の素晴らしいこと!
序奏は強弱のはっきりしたしまった演奏。主部への経過部のVnのリズムがはっきりしてる。
第一主題のリズムが重く引きずる感じ。弦をレガートに弾かせるためで、<カラヤン節>になって残念。
②オーボエ・クラリネットが綺麗。素朴な感じがよく出てる。
全体に速めで軽快、そして最後はゆっくりと余韻を楽しむように終わる。
③切れ味良いリズムのスケルツォ。
④急ぎすぎず、いいテンポ。
展開部、弱音を緊張感を持ってうまく使い、再現部につなげるのはさすがである。
最後まで決して急がず引き締まった演奏。
★<楽章別演奏時間>★
<録音年月>
<レコード番号