シューベルティアーデ
本文へジャンプ 3月16日 

シューベルト:交響曲第9番-比較試聴記Ⅱ

CD(16種)

1.Abbado / The Chamber Orchestra of Europe
★★
歌が身体に染み付いたイタリア人のシューベルトということで期待大だったが、思ったほどではなかった。
室内オーケストラの響きが薄く、ロマンを聴きたかった私にはしっくり来ない演奏。
①最初のホルンはゆったりといい感じだが序奏が進むにつれスタッカート気味に歯切れ良く進む。
主部の二つの主題も同じような演奏で、歌が流れてるとは言い難い。
展開部以降も、各パートの音がはっきり聞こえ見通しの良い音楽だけど、シューベルトの歌にはならない。
②スコアに手が加えられて、あれっと思う部分がある。
第2主題など弦楽器がきれいで、弱音が特に美しい。
いい部分が多々ある楽章である。
③ここでもスコアの変更がある。
リズムがはっきりしており、爽快なスケルツォ。
④ここでもオーケストラの薄さが気になる。
リズミカルで推進力のある音楽なのに今ひとつ乗れない。

 ※1・3・4楽章で繰り返しがある。
 ※2・3楽章でスコアが変更されており、アバドが解説している。
アバド指揮
ヨーロッパ室内管弦楽団

16:46-15:26-14:02-15:29

<1987.12>
DG423656-2
2.Immerseel / ANIMA ETERNA
★★★★★
古楽器(オリジナル楽器)による演奏。現代の大オーケストラと比べると規模の小さいオーケストラ、楽器そのものの機能は一昔前のもの。
そんな演奏でシューベルトの歌が奏でられるのだろうか・・・?聴く前は不安だった。
でも、いざふたを開けてみてびっくり!なのである。
テンポは速く、ノンビブラートの乾いた音がシューベルトのロマンを聴かせてくれる!
これはまさに驚きでした。先入観というのは恐ろしいものだと改めて感じました。
その音は、懐かしさと新鮮さをあわせもつ。
また、彼らも自筆譜の研究成果を実際の演奏にも生かしており、現代の代表的名演の一つと考えるが、いかがであろうか・・・
私はこの演奏が大好き!
①ホルンがアンダンテくらいの速さで始める。歯切れがいいのに不思議とロマンチックな流れ。
序奏から主部にかけて、なめらかな弦とホルン・木管の歯切れよさが独特の流れを感じさせる。
第2主題が非常に速いのに颯爽と歌う。乾いたティンパニーがいいアクセントになっている。
再現部では弦の弱音でのリズムが生き生きした音楽を奏でる。
②弦の乾いた小気味良いリズムに乗ってオーボエが主題を奏でる、この弦と木管の対比が素晴らしい。
第2主題の弱音の美しいこと。
静と動の対比が見事なこの楽章、8:28のティンパニーの強奏の後の静寂!
③あれっ?と思うくらいおとなしいスケルツォ。
トリオも静かな音楽だが、音楽の流れが心地好く、シューベルトの歌がある。
④躍動感あふれる楽しい音楽。
第2主題の伴奏をするチェロとコントラバスの音型がきちっと聞こえ、これが生き生きした感じを与えてくれる。
シューベルトの“歌”と“リズム”が一体化されている。
 ※1・3・4楽章で繰り返しがある。
  ここでも一部スコアが変更されている。
インマゼール指揮
アニマ・エテルナ

14:28-13:12-14:25-15:17

<1997/1/25-27>
SRCR1980
3.Knappertsbusch / Wiener Philharmoniker 
★★
往年の名指揮者、クナッパーツブッシュの実演の記録。
シューベルトらしくないかもしれないが、指揮者の個性を知ることが出来て興味深いもの。
とはいえ、演奏会の実況録音でモノーラル。観賞用には適さないかもしれない。
①指揮者が登場し、拍手が鳴り終わらないうちに演奏が始まってしまう。
ホルンはあっさりとしているが、序奏のオーボエがなんともチャーミング。ウィーンフィルのオーボエである。
主部はスケールの大きい演奏。コーダはものすごく遅くて、悠然とした響きで締めくくる。
②テンポが多少変わるが、ぜんたいにオーソドックス。
③スケールの大きな演奏。
スケルツォ主題の再現直前のゲネラルパウゼ(総休止)は、59年のLPと同じ。
④クナッパーツブッシュ特有のゆったりした大きな音楽で、楽器を目いっぱい鳴らしながら堂々と運んでゆく。
そしてコーダの低弦が4小節の単純なリズムを刻む箇所(1058-1061,1066-1069小節)では演奏が止まってしまうのでは?と思うくらいのスローテンポになる。
シューベルトじゃないと感じる人も多いと思うが、これがクナの音楽。
 ※59年のLPに比べ、録音状態はこちらの方が遥かに良い。(といってもステレオではなくモノーラル)
クナッパーツブッシュ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

13:41-13:42-10:38-13:20

<1962.5.31>
KICC2158
4.Karajan / Berliner Philharmoniker
★★
スケールの大きなシューベルトなのだが、カラヤン特有の癖が耳につき、好き嫌いの分かれる演奏。
ちなみに私には心地好い演奏ではない。フルトヴェングラーと対照的なアプローチで、フルトヴェングラー派には受け入れられないだろう。
①ホルンはあっさりとしてるが序奏部全体は抑揚の大きな演奏。
第一主題の弦の引きずるようなリズムがシューベルトの歌を阻害する。第二主題はきれい。
展開部・再現部とも、オーケストラの威力を遺憾なく発揮したスケールの大きな演奏で、これは悪くない。
②きびきびしたオーボエの第一主題はいいが、第二主題で弦のレガート(引きずるように聴こえる)が気になる。
それでもこの楽章でのピアニッシモは美しい。
③速いテンポでBPOの底力を感じるが、スケルツォ主題の再現部では速すぎて音楽の流れが自然でない。
④カラヤンらしいメリハリの利いたダイナミックな演奏。
 ※3楽章で繰り返しあり。
カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

12:53-13:06-14:11-11:52

<1978>
EMI CE25-5609
5.Tate / Staatskapelle Dresden
★★★★
インテンポ(テンポを動かさない)のゆったりした音楽で、シューベルトを満喫できる。
ドレスデンの歴史あるオーケストラのひなびた弦の響きが落ち着きを与えてくれる。
演奏時間も長いが、聴いていてその長さを感じない。
①淡々と吹くホルンにつづく序奏部が穏やかに流れてゆく。
主部のテーマもゆっくりしたテンポでありながらリズムがきちっと刻まれている。
第二主題も同じできれいな弦が印象的。
再現部の第一主題、小さく出てくるが、このゆったりしたテンポに合ってる。
②軽いリズムに乗って楽しげに、穏やかに進む。
第一主題再現前にテンポが落ちるがそれを遅いと感じない。
③慌てず、急がず、軽快なスケルツォ。
④シューベルトの愉悦感を味わうことが出来る。
 ※.1・3・4楽章で繰り返しがある。
ジェフリー・テイト指揮
ドレスデン国立管弦楽団

17:02-15:11-15:12-16:04

<1986.2>
EMI CC33-3660
6.Bernstein / Concertgebouworkest Amsterdam
★★★
まるでベートーヴェンのシンフォニーを演奏しているよう。
テンポの動きが大きく、強力なオーケストラを存分に駆使している。
聴いていて圧倒されるが、これが果たしてシューベルトかと問われると、?マークがつくかもしれない。
でも、第2楽章以降は素晴らしいシューベルト。
①深い森の奥から響くようなホルン、ゆっくりと一音一音噛み締めるようなオーボエ。
ゆったりした序奏だが、やや重い感じも残る。
低音弦がピチカートでアッチェレランド(だんだん速く)して行き、速いテンポの主部に入る。
第一主題は歯切れ良く出てくるが、まるでマーチのように進む。
展開部・再現部とも速めの演奏で、テンポの動きもある。
カラヤンの演奏を<カラヤン節>というなら、ここは<バーンスタイン節>である。
②リズミカルな第一主題、歌うような第二主題、シューベルトを感じさせてくれる。
最後にテンポを落とし、噛み締めるような味わい。
③生き生きしたスケルツォで、躍動感あふれる。
バーンスタインにぴったりの音楽なのかもしれない。
④歯切れの良いリズムで、オーケストラがよく鳴ってる。
第二主題で、オーボエのメロディーを支えるヴァイオリンの細かいリズムが心地好い。
バーンスタイン指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

13:25-14:37-10:39-11:29

<1987.10>
DG427646-2
7.8.Furtwängler / Berliner Philharmoniker (1951)
★★★★★ <LPの項参照>
  
  フルトヴェングラー指揮
  ベルリン・フィルハーモニー
       管弦楽団

   14:35-17:11-11:12-11:32

       <1951.12>
       F35G50284
フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

14:45-17:18-11:16-11:38

<1951.12>
DG447439-2
9.Levine / Chicago Symphony Orchestra
★★★★
一点の曇りもない明るい音楽。シューベルト音楽の一面でもある。
オーソドックスな演奏と言え、聴きやすい。オーケストラも優秀。
①ホルンは弱めで、序奏部はゆったりとオーケストラを鳴らしてゆく。
主部はなんの衒いもなく心地好く流れてゆく。
コーダも落ち着いたテンポに終始する。
②リズムの良い第一主題とメロディーラインのきれいな第二主題がうまく対比されている。
弱音の生かし方も良い。
③歯切れの良いスケルツォ。
弦とティンパニーがリズムを刻むスケルツォ主題に対し、木管主体のトリオ。いづれもオーケストラのうまさがそのまま出ていて心地好い響きを聞かせてくれる。
④弦に威力があり、力強いリズムが全体を支えている。
 ※3楽章で繰り返しがある。 
レヴァイン指揮
シカゴ交響楽団楽団

13:44-14:20-14:03-11:13

<1983>
DG413437-2
10.Brüggen / Orchestra of the 18th. Century
★★★
古楽器による演奏。古い楽器(模倣)を使い、当時の響きを再現するが、この団体の演奏は古楽器を使いながら現代に通用する演奏を目指す
ので、古式蒼然とした音楽ではない。
ハイドンやベートーヴェンまでかなと思っていた古楽器による演奏がロマン派の音楽にまで広がってきたことは驚きでもある。
この演奏も、独特の音色・響きがあり、ノン・ビブラートのガット弦の響きが新鮮。
ここでは心地好い音楽が響くが、時にテンポが速すぎてシューベルトらしいゆったりとした歌が聞こえない部分が少し残念。
①古いホルンの懐かしい音でゆっくりと始まる。
序奏はゆっくり進むが、主部に入ると一転して速いテンポになる。二つの主題の提示部、そして展開部と小気味良い速さで進む。
アクセントが効いていてメロディーよりもリズムが強調される。
そしてコーダは一段と速くなり、駆け抜けるようにこの楽章を終える。
②アクセントが強く、乾いた音が速いテンポで颯爽と行過ぎる。でもいやみがなく不思議と楽しくなる音楽。
③小気味良いスケルツォ。ただ、トリオも同じように颯爽とした響きとテンポなので、音楽の対比がやや希薄になってしまい、単調な音楽になってしまうことも事実。
④テンポが速すぎて、細かいパッセージで消化不良気味になってしまう。もう少しゆとりを持って楽器の音をきちんと聞かせて欲しい。
※.1・3・4楽章で繰り返しがある。
ブリュッヘン指揮
18世紀オーケストラ

15:25-13:39-13:11-13:39

<1990-1996>
PHILIPS-468 097-2
11.Wand / Kölner Rundfunk S.O.
★★★★
速めのテンポできびきびしたシューベルト演奏。金管楽器がしっかり鳴っておりいささかのあいまいさもない。
それでいてシューベルトの歌はしっかり聞こえてくる。名演だと思うが、オーケストラ(特に金管)がもう少しうまければ・・・・
①ゆったりしたホルンで始まり、ゆっくり目ながらはっきりした演奏の序奏部が終わるや、主部は一転してテンポアップ。
金管楽器が強めに吹き、音楽は一気呵成に進んでゆく。
再現部も同じように速く進むがコーダに来てぐっとテンポを落とす。そしてオーケストラは目いっぱいの力で同道とこの楽章を終わる。
小気味良い楽章である。
②①楽章と違い、程よいテンポで、曲にぴったり。
③ここでも音楽が自然に流れてゆく。指揮者は何もしてないように。
④ドイツ音楽の典型のような響き。低音にしっかり支えられた、ドッシリした音楽。
若々しい力さえ感じる推進力がある。トランペットがこれほどはっきり前に出てくる演奏も珍しい。
ギュンター・ヴァント指揮
ケルン放送交響楽団

13:44-15:12-10:38-11:18

<1977.3.19>
BMG-BVCC38184-5
12.Solti / Wiener Philharmoniker
★★★
力任せという印象のあるショルティだが、ウィーン・フィルと共に終始一貫イン・テンポで、楽譜に書いてある通りに演奏しましたという感じ。
やや機械的になったかなという感じもあるが、詩情が全くないというわけでもなく、これはこれで聴きやすいシューベルトとして納得できる。
①ホルン、ウィーン・フィルにしてはやや単調な出だし。
序奏部はメリハリの利いた演奏で、主部に入ってもそれは変わらない。
竹を割ったようなシューベルト演奏である。
②これといった特徴はないが、二つの主題の対比も良く、安心して聴ける。
③きびきびした歯切れのいいスケルツォ。
④これぞショルティらしい演奏で、力でぐいぐい押してゆく。
とは言ってもそれほど強引ではなく、聞き易い事も事実。ウィーン・フィルの素晴らしさであろう。
※.4楽章で繰り返しがある。
ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

13:59-:15:26-10:01-16:03

<1981.6>
DECCA UCCD5007
13.Konwitshny / Czech Philharmony
★★★★
一昔前の時代の、古きよき時代のオーケストラの音がする。現代の機能的な音ではなく、ひなびた音で聴くシューベルトの世界もいいもの。
ロマンチックという形容は当てはまらないかもしれないが、ヨーロッパの人々の身体に染み付いているのはこんなシューベルトなのかも知れない。
①あっさりというか朴訥な感じのホルン。そして序奏部は重厚な響き。
続く主部も一歩一歩足取りを確かめながら進んでゆく幹事で、コーダまでその歩みは変わらない。
②弦はしっかり歌い、木管も素朴にその音楽を進めてゆく。落ち着いたリズムが心地好い。
時に金管が強調されるが、嫌味にはならない。
③スケルツォの速いパッセージを、一音一音しっかりと音にしてゆく。頑丈な建物のように。
トリオもメロディーだけをクローズアップしないで伴奏楽器がしっかり支える。
④決して急がず、悠然とした大河の流れを思わせる。
展開部以降もその流れは一貫しており、コーダに至ると、この大きなシンフォニーが終わろうとしてるんだと実感する。
※マルチマイクで録音してるようで、各セクションごとの音が他の音と交じり合わずにクローズアップされ、やや疲れる。
コンヴィチュニー指揮
チェコ・フィルハーモニー
管弦楽団

14:07-14:44-11:10-13:02

<1962.4.24-26>
Supraphon COCO75409
14.Böhm / Wiener Philharmoniker(1975.3.19)
★★★★★
ベームがウィーン・フィルと来日し、その演奏がNHK・FMで生中継された。そのときの録音が20年以上経ってCD化されたのがこの盤。
これを録音するためにオーブンリールのテープデッキを買い、録ったテープは宝物の一つとなった---懐かしい演奏である。
63年のベルリン・フィルのLP以来、ウィーン・フィルとのコンビで一度は聴いてみたいという夢がかなったのである。
 両者の良さが出て素晴らしい演奏になった。欲を言えばもう少し若いときに聴いてみたかった。
この年ベームは81歳。20歳若かったら・・・・・
<大人のシューベルト>としたら最高の名演、<若きシューベルト>としては少し重い演奏。
①ホルン、本当にゆったりといい音。今まで聴いた中でこのホルンが一番素晴らしい。
序奏部のゆったりしたテンポ、オーボエの音色が素晴らしく、主部への移行部のテンポが自然。
第一主題は重くも軽くもなくいい感じだが、第二主題がやや遅くて、少し重さを感じてしまう。
展開部もゆっくりだが、木管の美しさが光る。ティンパニーの生かし方もいい。
再現部からコーダにかけてよりいっそうシンフォニックになってゆく。テンポを落として最後大きくという実演ならではの盛り上げ方も納得。
②心地好いテンポで、オーボエはもとよりフルート・クラリネットが美しい音楽を奏でてくれる。
どこを取っても素晴らしいシューベルトが聴ける。言葉は不要。
この楽章に限っていえば、この演奏がベスト!
③スケルツォにしては少しゆっくり過ぎるかな・・・
木管のうまさに加え、弦のうまさも光る。でも少しもたれる印象がぬぐいきれない。若いベームだったら・・・
④勢いのある立派なフィナーレ。
主要主題は生き生きしている。
大編成のオーケストラをしっかり鳴らすためにややゆっくりする部分もあるが、充実した響きのよさを生み出すことにも繋がる。
再現部での金管の存在感がすごい。
コーダも緊張感を維持し、圧倒的な感動のうちに終わる。
※最後の一音が鳴ると同時に、ウォーという歓声と拍手が湧き起こる。まだ最後の音が消えてないのに、である。
日本の聴衆の一番いけないところ。音楽の感動は、最後の音が消えた後の静けさにこそある!
ベーム指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

14:54-14:24-12:07-12:07

<1975.3.19>
DG-F35G20017
15.朝比奈/大阪フィルハーモニー交響楽団
★★★★★
“若さあふれる音楽をこの年で!”というのが正直な感想。朝比奈88歳である。
ベームでも80歳を超えると、年齢を感じさせる部分が出ていた。最後までそれを感じさせない音楽を聴かせてくれたのはこの朝比奈とギュンター・ヴァントの二人しか思い浮かばない。
テンポ・リズムともはつらつとしたシューベルトになっている。ブルックナーの演奏の時のように、楽譜に書いてあることを忠実に音にするとこういう音楽になるんだと言ってるよう。
ホルンなど、オーケストラにもう一段上を望みたいと思う部分もあるし、頑固なまでの朝比奈の音作りにシューベルトの歌が少し邪魔される気もするが、朝比奈/大阪フィルの力演はそれを補って余りある。
①淡々としたホルンで始まる。きびきびとした序奏が続く。低弦のリズムもいい。
主部に入り、二つのテーマも颯爽としたリズムで気持ちよく流れてゆく。全ての楽器がきちっと出てくるので、旋律線がややマスクされるケースもある。でもティンパニーが男らしい性格の音楽作りをしっかり果たしている。
展開部では、弦の刻む音型がしっかりしていて新鮮な響き。ティンパニーの連打もオーケストラをしっかり締める。
再現部もその勢いで進み曲を終える。
②スタッカート気味に小気味良い響きの第一主題、落ち着いたメロディーの第二主題の対比が見事。ゆったりした時の流れを感じさせてくれる。
こんなとろろでホルンが、トランペットがこんな音を吹いているんだなと新しい発見もある。
中間部の第二主題の前のリタルダンド(次第に速度を落として)、噛み締めるような音楽がいい。
③若々しい躍動感あふれるスケルツォ。そして、イン・テンポで緩むことなく進んでゆくトリオ。
④確固たる足取りで進んでゆく。ベームに見られた若干の緩みもなく、本当に年齢を感じさせない堂々たる音楽である。
ベートーヴェンの交響曲を聴いているようで、ややシンフォニックすぎるかもしれない。
※.1・3・4楽章で繰り返しがある。
朝比奈指揮
大阪フィルハーモニー    交響楽団

15:58-15:21-13:38-15:33

<1996.2.14>
CANYON PCCL549
16.Celibidache / Münchner Philharmoniker
★★★★
かつて“幻の指揮者”と呼ばれたチェリビダッケ、レコーディング嫌いで哲学家で・・・といろんな但し書きの着く孤高の音楽家。
レコードとして販売するために録音したことがないので、今聴けるのは演奏会のライブ録音。しかも彼がなくなってからやっと日の目を見たもの。
さてどんなシューベルトが聴けるのか?
言葉で説明するのは難しいが、徹底的に訓練されたオーケストラが透明な音で織りなす音楽とでも表現したらいいのか・・・
どこを強調するとか盛り上げていくという意図は全くなく、終始一貫落ち着いたテンポで演奏する。ピッチのそろった楽器による合奏は、普段聞けないような透明な音楽になる。
ただそれがシューベルトの音楽家となると?マークがつくかもしれない。
でも、フルトヴェングラー亡き後のベルリン・フィルの音楽監督をカラヤンと争っただけの人。アンチ・カラヤンはもちろん、カラヤン好きの人も聴いてみる価値は十分にあるし、一度彼の魔術に罹ってしまうともう抜け出せなくなる。
かつて“幻の指揮者”と呼ばれたチェリビダッケ、レコーディング嫌いで哲学家で・・・といろんな但し書きの着く孤高の音楽家。
レコードとして販売するために録音したことがないので、今聴けるのは演奏会のライブ録音。しかも彼がなくなってからやっと日の目を見たもの。
さてどんなシューベルトが聴けるのか?
言葉で説明するのは難しいが、徹底的に訓練されたオーケストラが透明な音で織りなす音楽とでも表現したらいいのか・・・
どこを強調するとか盛り上げていくという意図は全くなく、終始一貫落ち着いたテンポで演奏する。ピッチのそろった楽器による合奏は、普段聞けないような透明な音楽になる。
ただそれがシューベルトの音楽家となると?マークがつくかもしれない。
でも、フルトヴェングラー亡き後のベルリン・フィルの音楽監督をカラヤンと争っただけの人。アンチ・カラヤンはもちろん、カラヤン好きの人も聴いてみる価値は十分にあるし、一度彼の魔術に罹ってしまうともう抜け出せなくなる。
チェリビダッケ指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

15:34-16:32-10:19-13:06

<1994.2.28>
EMI 7243 5056527 2

<CDに輸入盤が多いのは、3000円以上の定価で売られてた国内盤に比べ、輸入盤が格段に安く、1800円前後と安かったから>