本文へジャンプ 4月23日 

エア・チェック(放送音源)

FM-15組 BS(映像)-3組

1.Böhm / Berliner Philharmoniker (ベーム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
ベルリン芸術週間での演奏。
ベームのシューベルトの素晴らしさを再認識、安心して聴ける。
ベームの演奏の中では一番シンフォニック。
一楽章、ホルンがのびのびとした若々しい音で開始。コーダでは、実演ならではの盛り上がりを見せ、力強い終わり方。
四楽章でアインザッツが少し乱れるがそれもすぐ建直し、のびのびとした音楽になる。
<1978.9.9-Berlin-> <14:32-14:38-11:46-11:53>

2.Böhm / Wiener Philharmoniker (ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
録音がやや古く、ヴァイオリンの音がこもり気味だが、VPOの柔らかな音はシューベルトにとてもよく合う。
一楽章、コーダがやや速くなり落ち着かないが、出だしのホルン、続くオーボエの素晴らしさはVPOならでは。
二楽章のテンポがやや速すぎる印象。
<1978.5.28-Wien-> <14:14-13:52-11:33-11:38>

3.Giulini / Berliner Philharmoniker (ジュリーニ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
重量級のシューベルト>とでも表現すればいいのかな? ゆっくりと豪快に進む音楽はブルックナーを思わせる。
そんな演奏は一楽章にはっきり出ており、速めのホルンで始まる序奏に続く主部に入ると、第一主題をレガートでゆっくり弾き進む。
こんな主題は聴いたことがない。
コーダもゆっくりと音が重なってゆく。
二楽章・三楽章の中間部ではヴァイオリンとチェロの対比が鮮やか。
四楽章もゆっくり、それでいて豪快な音楽。

こんな演奏、シューベルトらしくないかもしれないが、個人的には好きである。
<1977.1.13-Berlin-> <14:23-16:04-11:03-:11:31>

4.Levine / Berliner Philharmoniker (レヴァイン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
一箇所を除いて、ほとんど何の作為もなくまた過不足もない演奏で、安心してシューベルトを楽しめる。
特に最初のホルンの音は、ドイツらしいゆったりした堂々たる音で、素晴らしい音楽を期待させる。
録音状態が良いこともプラス。
問題は四楽章のコーダ。テンポを大きく動かすのでオーケストラも戸惑って演奏している。これさえなければ・・・・・
<三楽章:繰り返しあり>
<1978.5.9-Berlin-> <13:45-14:14-13:51-11:02>

5.Levine / Wiener Philharmoniker (レヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
BPOとVPOの違いがはっきり現れている。
出だしのホルン、続くオーボエの音色の暖かさ、懐かしさ。そして四楽章のティンパニーの柔らかく豊かな音が心地好くシューベルトの世界にいざなってくれる。
唯一のマイナス点は、終楽章コーダでテンポを落とすところ。何度聴いても不自然に感じる。
ボーイングの問題だが、ここだけは生理的に受け付けない。
<1980.8.20-Salzburg-> <13:57-14:19-13:52-11:15>

6.Rodzestvensky / BBC (ロジェストヴェンスキー指揮BBC交響楽団)
今まで一番無視してた演奏で、今聴きなおしてみてその良さを再発見した。
終始一貫テンポが一貫してる。
一楽章、ゆったりしたホルンの開始、低弦・ティンパニーが強めでゆったりした序奏。そして軽やかなテンポの主題。展開部の最後もヘンにテンポを遅くして盛り上げたりせずに、さりげなくインテンポ。そして最後だけは大きく粘る。これはこれで面白い。
後の楽章も素直に楽しめる。
<1980.9.6-London-> <13:46-14:39-9:38-12:34>

7.Mehta / Wiener Philharmoniker (メータ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
残念ながら楽しめる演奏ではない。
運動前のウォーミングアップのようなあっけないホルンを聴いただけでも、楽しめる音楽が始まる気がしない。
(保存テープに難があり、音揺れがする)
<1983.11.13-Wien-> <12:57-13:30-10:23-11:25>

8.Abbado / Wiener Philharmoniker (アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
オーソドックスなシューベルト。大交響曲を大オーケストラで演奏したらこういう響きになるという見本。
テンポもよく、出だしのゆったりしたホルン、スケールの大きな二楽章。そしてVPOの弦の良さが堪能できる。
後のレコーディングでは、スコアに変更があったが、ここでは従来のものを使っている。
会場のせいか音が響きすぎる。
<1984.9.5-Luzern-> <14:07-15:08-10:34-11:31>

9.Tennstedt / Berliner Philharmoniker (テンシュテット指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
トスカニーニを思わせるようなストレートで男性的な音楽。
きびきびした音楽が爽快感をもたらすが、シューベルトの歌心は希薄で、時に落ち着きのなさを感じてしまう。
まづ一楽章。あっさりとストレートに通り過ぎるようなホルン、直線的に演奏される主部。今まで耳にした演奏の中で最も速い!
二楽章ではメリハリの利いた第一主題とピアノで静かに歌う第二主題が対照的で、結構イイ。
問題はこのシンフォニーの最後の音、ここではディミニュエンド(だんだん小さく)で終わる。シューベルトが書いたのは<ディミニュエンド>なのか<アクセント>かが問題。
前者なら、最後消えるように終わるし、後者なら大きく強調して終わる。この違いは大きいのである。
音楽の流れからして大きく盛り上がって終わるのが今までの常。でも最近これをディミニュエンドして終わる演奏がいくつか出てきており、大きな問題提起である。
<1983.4.19-Berlin-> <12:38-13:13-10:15-11:06>

10.C.Davis / S.O. des Bayerischen Rundfunks (C.デービス指揮バイエルン放送交響楽団)
スケールの大きな演奏。全体にゆっくりとした響きで、ワーグナー風の音楽になっている。
前半やや重い感じがあり、オーケスとが今ひとつ乗り切っていないが、後半には徐々に乗ってくる様子がよくわかる。
遅めのテンポで始まるホルンのテーマ、でもコーダではしっかり締った音楽になる第一楽章。
スケルツォも遅めで、トリオとの対比が明確ではない。
全体を通して、風格のあるシューベルトが楽しめる。
<1984.5.22-東京-> <14:45-14:57-11:06-11:48>

11.Muti / Wiener Philharmoniker (ムーティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
ムーティのよさとVPOのよさがうまくマッチした素敵なシューベルト。ときにムーティの若さが出てやや強引なところが顔を出すのが少し残念。
一楽章、ホルンの落ち着いた響きとオーボエの懐かしい響きが聴く者を酔わせる。序奏の素晴らしさに比べ主部ではムーティが少し急ぎすぎて落ち着きのない音楽になるのが惜しい。
二楽章ではVPOの木管の素晴らしさをあらためて感じる。オーボエとクラリネットのスムーズな受け渡し、フルートの柔らかさ。そしてそこに弦がうまく絡みつくからたまらない。
中間部に入るところでのホルンも素晴らしい。
四楽章ではやや急ぎすぎるところも目立つが、前に前にと進む推進力は聴き応えがある。
<一楽章:繰り返しあり>
<1986.2.9-Wien-> <16:29-15:18-10:16-11:06>

12.Bernstein / Concertgebouworkest Amsterdam (バーンスタイン指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)
CD録音と同時期の演奏だからよく似ているが、演奏の出来はこちらの方がより自然にシューベルトを楽しめる。
出だしのホルンはゆっくりとしているが、主部に入ると速いテンポで進み、シンフォニックな四楽章が終わるまでその姿勢は変わらない。
<1987.10.24-Berlin-> <13:40-14:43-10:44-11:51>

13.Wand / NDR S.O. (ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団)
一言で言うなら、聴き応えのある重量級の演奏。そしてこれほど金管を強調した勇壮なシューベルトも珍しい。
一楽章:非常にゆったりしたホルンで始まる序奏、ドッシリとした演奏でメゾフォルテくらいのたくましい音楽。
そして主部に入ると一転速く、金管を強めに押し出した第1テーマが奏される。第2テーマでは大きくテンポが動く。
展開部でもテンポの変化が大きく、嵐のような表現。それでも再現部の第2テーマではシューベルトらしい歌はしっかりある。
コーダでのアッチェレランド(だんだん速く)も強烈な印象。
二楽章:スタッカートぎみに音を短く切ったり、ゆったりと第2テーマを歌ったり、変化の大きい楽章。
三・四楽章:男性的な大きな音楽。
※残念ながら一楽章の再現部で一部音が飛んでいる!
<1985.9.11-Berlin-> <13:38-15:21-10:26-11:14>

14.Wand / Berliner Philharmoniker (ヴァント指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)
10年の月日は音楽に大きな円熟味をもたらしている。
NDRとの演奏と違い、テンポの大きな変化もなく、オーソドックスで穏やかな音楽になっている。
かといっておとなしくなったのではなく、より音楽がなめらかにそして深くなったのである。
一楽章:BPOの素晴らしいホルンがゆったりと奏で、ゆとりを持って主部へ移行する。
弦の充実した響きが素晴らしい。そしてコーダではオーケストラが一体となって音の塊となる。
最後、テンポを落としながら盛り上がるのはNDRと同じだが、オーケストラが充実してるとその威力は倍増する。
二楽章のオーボエの音色が気になる・・・・・
三楽章のトリオの穏やかさ、終楽章の落ち着いたテンポと充実した響きは、シューベルトを味わうに余りある。
<1995.3.29-Berlin-> <13:57-15:40-10:47-11:51>

15.Toscanini / NBC Symphony Orchestra (トスカニーニ指揮NBC交響楽団
かつてNBC放送提供のテープをNHKがFMでシリーズとして放送したもの。(レコード化されてるものと同じ音源かもしれません)
出だしのホルンがゆっくりしており、トスカニーニとしては意外な音楽。序奏のオーボエもシューベルトらしい音で、主部への移行もスムーズ。
トスカニーニのレコードとしては、フィラデルフィア管弦楽団を指揮したほうが有名だが、こちらも彼の特徴のよく表れた演奏だと思う。速めのテンポで、特に3楽章のスケルツォはあまりにも速過ぎるが、オーケストラが名人揃いのため崩れないのはさすが。
<1953.2.9-N.Y.-> <13:26-12:26-8:43-10:35>

16.Ozawa / Saito Kinen O. (小澤征爾指揮サイトウキネン・オーケストラ)
オーケストラとしての機能はすごいだろうなという予想は裏切られなかったが、それ以上のものも残念ながら得られなかった。
出だしのホルン、あっさりしていてほとんど無表情に淡々と流れる。速めのテンポで序奏が終わり、主部に入ると歯切れのよいリズムで進むのはいいが、音楽が躍動感を表現していない。
展開部での金管も鳴ってはいるが、訴えかけてこない。
二楽章で、宮本のオーボエがシューベルトの歌を聴かせてくれるが、全体としてはやや単調。
三楽章は弦と管のバランスも良く、ここに来て始めて違和感なく聴ける。
終楽章はオーケストラも乗ってきていいリズム、いいアンサンブルで流れはスムーズだが、変化に乏しい。
聴き終わっていちばんの感想は、シューベルトの音楽はどこに行ったの?
<1996.8.31-松本-> <12:52-12:58-10:13-11:44>

17.Gardiner / Wiener Philharmoniker (ガーディナー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
古楽器の団体を指揮するガーディナーがVPOを指揮してどんなシューベルトを演奏するのか、注目の組み合わせである。
結果から言えば、VPOの柔らかな音色を鋭いリズムで新鮮な音に変えて、一味違うシューベルトを聴かせてくれた。
最初のホルンはやはりVPOならではの音、深い森から響いてくるような素敵な音。序奏は速めだがフレーズに意味深いものがある。
主部はリズムが鋭くアクセントがきついが、シューベルトの音楽らしい流れはしっかりとある。また乾いた音のティンパニーの音がいいアクセントになっている。
この一楽章が終わったところで思わず拍手をする聴衆が印象的。
二楽章以降も同じように速めのテンポ、鋭いリズムで演奏、最後まで起伏の大きいシューベルトを聴かせてくれる。
同じ古楽器演奏のブリュッヘンの演奏と比べ、ガーディナーの方が遥かにシューベルトを楽しませてくれる。
<1997.8.24-Salzburg-> <12:54-13:33-11:26-11:02>

18.Levine / Wiener Philharmoniker (レヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
レヴァインはこの曲が得意なのか、よく演奏会で取上げている。この演奏はVPOの来日演奏会のもので、場所は京都コンサートホール
過去の両者の演奏とほとんど同じで、VPOが弦の柔らかさとホルン・木管の美しさを前面に出し、レヴァインの自然な指揮がそれを生かしている。
ホルン・オーボエの響きは相変わらず素晴らしい。そしてレヴァインはフォルテよりピアノを重視した、いわば静の音楽を展開する。
小さな音が一糸乱れず流れる音楽は、ピンと張り詰めた雰囲気を作り出し、その後に来るフォルテは効果満点。
聴いていてその音楽の長さを感じさせず、シューベルトの歌を自然に楽しめる演奏、とでも言えようか。
<1995.11.3-京都-> <13:52-13:51-13:31-11:15>