125.理解できない「コンクール」その1、
レジ誤差最少コンクール
●レジ誤差コンクール
食品スーパーでレジのアルバイトをしている知り合いの子がブリブリして私に言った。「店の管理職の人が、『レジ誤差を出さないという気持ちが足りないから誤差が出るのだ』と言った。レジの仕事にどんな苦労があるかも知らないで、レジ誤差ばかりを攻めてくる」と。
これだけを聞いているとこの管理職の人はまるで精神論でレジ誤差がが防げるとでも言いたげだ。もっともこの人の言い分も聞かねばならないが。
そういえば、私のいた会社も当時全店で「レジ誤差コンクール」のような競争があり、毎年いくつかのグループに分けて表彰が行われていた。レジの現金過不足をプラスもマイナスも絶対値にして集計し、その率が一番少ない店を表彰するというものだ。おそらく他の会社でも似たようなことをやっているのだろうと思う。
しかしわたしはこのような「コンクール」制度にはいささか疑問を感じている。
●レジ誤差はゼロが当然か?
確かにレジ誤差葉は少ないに越したことはない。またレジでは不正、着服の起こりやすい部署でもあり、それなりに監視、牽制の体制も必要だ。しかし、
(1) まずレジ誤差を正直に報告してもらうという体質の維持。
(2) 絶対額が一定以上のレジ誤差を出さないことや、絶対的な許容レジ誤差率の範囲内であること。
の条件を満たしておれば、あえて全店で第何位というような表彰は無用と思う。
せいぜい一定の基準内の誤差で収まり、特異事象のない(極めて少ない)店舗を優秀店とするぐらいでランキングをつける必要はない。「レジ誤差はゼロが当然」という考え方で臨むと必ずといっていいほど現場は小細工をしてでも何とかゼロにしなければというプレッシュアーになり、しいてはそれが正直な報告体質にも悪影響を及ぼすようになる。
●レジ誤差よりも大事なこと
私は今の会社でレジは初めてという人が大半である入社教育時に、こんなことを言った。
- レジ誤差は100円未満であれば一応「良し」とします。
- もし500円以上の誤差が出た場合は少し責任を感じてください。
- レジ誤差で大きなプラス誤差(あるべき現金よりも実際の現金の方が多い)が発生した時は、お客様にお釣銭が少なくわたっている可能性が大きいです。それは一番まずいことです。これも責任を感じてください。
- 以上のような範囲内であればそれ以上責任追求は原則として致しません。
- それよりも皆さんのもっと大事な仕事は、お客様に感じのよい接客ができることや、商品知識を身につけること、お客様の正当な苦情に対してしっかりと対応できることです。
- そのうえで、レジ誤差は正直に報告してください。
レジ誤差ゼロが当然という考え方がどうかすると正直な報告を阻害し、肝心の接客第一ということがかすむ結果になっては何にもならない。
関連「よもやま話」 144.「え〜っ?レジ誤差発生で掃除の罰だって?」