第3章  ポンセットマウントの構造とその利便性


構造

ポンセットマウントの構造や原理はすでに多くの方のHPでのべられているので詳しくはそちらを御参照ねがいたい。一言でいえばかの有名なパロマ天文台の200インチ望遠鏡の架台(赤道儀)の上半をぶった切り、平らな板を張ったようなものと考えればいい。

弓形のレールを車輪で受けて、このレールの回転中心が赤径軸となった構造である。上半がなく平らな水平の台だから、台の上は自由に使用できる。これに自在に動くカメラ雲台や経緯台と望遠鏡を載せ、これで天体を導入すれば、即、赤道儀となって、天体の追尾をはじめることができるのである。つまりポンセットマウントは日周運動のキャンセルのみを担当し、上に載せた架台は天体導入を担当させるわけだ。

利点と欠点(以下の記述は特にことわららなければドイツ式赤道儀と比較してのことである)

ポンセットマウントは、軽量で、剛性を高くすることが容易だ。また重心が低く、安定がよいから重量級望遠鏡を搭載することも出来る。上に載せる架台は自由だから、 ドブソニアンにするもよし、コンパクトな経緯台にするもよし、カメラ雲台を直にのせるのもOKだ。そして載せたとたん、赤道儀となって天体の追尾をはじめるのだ。 経緯台やドブは天体導入や眼視のし易さなど、使い勝手の面で赤道儀より断然いいから、両者の利点を併せ持つまさに理想の望遠鏡架台である。 
しかしポンセットに欠点が無いわけではない。構造上、無限に連続して追尾はできない。が、1時間程度の追尾なら問題なくできるから実用上全く問題ない。 安定性さえ注意すれば2時間程度の追尾もできる(筆者は2hrで製作している)。  眼視にしても、デジタル写真撮影ではそんなに長時間連続して追尾を続けなければならないケースはまれだから、実用上問題はない。もし終点に達すれば巻きもどすか、クラッチやギヤの噛み合いをはずし、手動で追尾はじめの原点に戻せばよい。

追尾はじめと追尾おわりでは台は傾き、完全な経緯台とはならないが、+-8〜+-15度位であるから、経緯台の利点が失われることはない。  追尾精度は本格的な赤道儀にはかなわない、しかしこれはポンセットの本質的な欠点ではなく加工精度によるものだ、もし、一流メーカーが本格的に生産に乗り出せば遜色ないものとなるはずだ。

最大の欠陥は、一般に市販されておらず、自作しか選択肢がないことだけだといってもいいだろう。

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