第39章 かびビデオテープとデッキの復活作戦

我が家には数十本のベータ、VHS、8mmビデオ(カセット)が残っている、それらはビデオ撮影した貴重な我が子の成長ビデオだ。捨てるわけにはいかない。   ところがビデオデッキはベータ;故障廃棄。VHsはビクターがVX-7,VX-8と2台あるが、使わないで放っていただけで、なぜか2台共自然に故障してしまった。もちろん再生もできない。以前、ベータがなくなるときき、これらをVHSへダビングしたものもある。
ところが、である。しばらくぶりでこれらテープをだしてみてぶったまげた。なんと殆どのテープが真っ白。かびだ。ベータも、VHSも、8mmテープも。 あまり知られていないが、かびはビデオテープを駄目にする最大の原因だ。いわば天敵だ。テープの磁性体がはがれ、データが読み出せなくなるばかりか、悪くすると、テープ切れ、デッキの故障まで引き起こす。 かびービデオテープと調べると、冷暗所、低湿に保った専門の保管庫に入れておけ?だ。ー専門家に見せろ。だと、なんだそれはそれが参考になるかーー。かびが生えたものをどうすれば救えるかーが知りたいのに。

以前8mmビデオをかびさせ、あわててPCへダビングしたことがある。そのときの経験では何度か巻き戻し、早送りなどを繰り返し、ティシュなどで乾拭き、さらに何度か巻き戻し、早送りなどを繰り返すと何とか再生できるようになった。カビがひどいとなぜか断テープ。セロテープなどで繋ぎながら、もしカビがテープに残っていると即ヘッドが目つまり、ノイズだらけになる。でクリーナテープや、アルコールティシュなどでヘッドをこすったり、巻き戻し、再生、を繰り返し、やっとの思いでDVDにダビングしたのだ。そのときの苦労といったら(失うデータも相当量)。

一旦カビが生えたテープはクリーニングしても再発しやすいから一刻も早くDVDなどテープ以外のメディアにバックアップしなければならない。

ところがどっこいこれが簡単ではない、なぜか、ビデオデッキにかぎらず殆どのAV機器は、バックアップやダビングがやりにくいようになっているからだ。違法コピーを妨害するためわざとそうしていると言われているが。あながち うそでもないようだ?  もしそうだとしたら、違法コピーなどとは無縁の善良なユーザー、つまり、ビデオカメラ使いに大大迷惑をかける仕組みだ。  すなわち、ビデオを編集するにはデッキ同士をつないでダビングしなければならないが、その度に画質低下、安定性低下に見舞われることを意味するからだ。編集作業は少なくとも3回以上のダビングをしなくてはならない。が、できあがったころには見るに耐えないほど画質低下が起こっている(ピントの悪化、色ずれ、など画質低下はまあ我慢できないほどではないとしてもどうしても我慢できないのは画像の安定度の低下だ。ユラユラするのはとても耐えられるものではない。頭がいたくなる。 当時すでにパソコンでの編集(デジタル)が出はじめており、これら問題点は解決されつつあった、しかし操作がとても重く、とても実用になる代物ではなかった。 将来良いダビング方法が出来るまで待つしかないとあきらめ、原版テープを大切にのこしているのだ。

その後、ビデオデッキは次々と新製品が投入され新機能が搭載され、より便利に、なってきた。しかし、ことダビングに関して、改善されることはついになく画質の劣化も使い勝手も悪いままだ。たとえば再生側の映像出力がなくなっているのに受け側デッキはいつまでも周りっぱなし、逆に受け側に容量がなくなっても再生がいつまでも止まらない。高速ダビングもない。などなど、ほんのわずかの投資で解決するとおもわれるものさえ、放置したのだ。
貴重なのはテープではなくテープに残った映像データだ。しかしこのデータがいつ壊れるかわからない風前の灯火であることに愕然とせざるをえない。火災、地震、はまれだが、問題はかびだ。次に再生手段(デッキ)がなくなりつつあるということだ。再生手段がなくなればデータが失われたのとなんら変わらない。だから大切なデーターは最小限ダビングをして複数保有しておかなければならない。それも単なる同一メディアにダビングするだけでは不十分で例えばDVD、HDD、等に分散保存することが望ましい。こんなに大切なダビングを、ないがしろにするようなシステムはどうかんがえてもおかしいと思っていたら。案の定、ビデオは衰退、世の中から消滅しつつある。 メーカーはもうからなければ撤退すればよいだけだろうが。ユーザーはそうはいかない。データがなくなって困るのは我々善良なユーザーなのだ。
現在主流はDVDだが、これだって将来どうなるかわからぬ、しかし、ともかく黴には勝てない。カビテープデーターを急いでDVDへ移動(ダビング)させなければならない。

有料でテープからDVDにダビングしてくれる業者もあるが、正常なテープなら2時間で500円~2000円、と安価だが心配なのはかびの生えたやつだ。かびがはえたのはーーカセット分解+1000円かびの掃除で+2000円、と、キレた箇所の修復が1箇所+1000円ー2箇所位か?ーーとなると安くみても¥4~5000えんくらいになるだろう。となると20本で10万円。そのうえ3倍モードが多いからこの3倍=30万円。となるとやはり自分でやるしかない。

必要機材の調達

1)ビデオデッキ

8mm(シャープ)は(電源をONすると勝手に”録画”になることがある。気がつかないでいてかなりのデータが消えて青くなった)。がデッキ部がなんとか再生できる。 VHS、ベータデッキはすでにまともに動くものは我が家にはない。これの調達をどうするか。1台?万円では高すぎる。となればヤフオクしかあるまい。これとて完動品はとても高価で手がでないから動作品で、できるだけ安いものをさがすこととする。がなかなか落札できない。ならと、即決のあるものを探す。シャープの”DVーRW200”が即決¥7000とある。いいか。ポチ。

入手後正常動作するのを確かめ。早速ダビングしたいのだが。その前にしなければならないことがある。かび落しだ。ーーーテープサイドの窓からみて、白いものがあれば無条件で巻き戻し、早送りをせねばならない、、、ところが最近の機体は再生ドラムにまきつけたまま(再生ヘッドが回転しながら常時テープを擦る)と早送り巻き戻しをする方式なので、録画再生ヘッドが即つまる、その掃除が大変だ。下手すればヘッドをパーにするかもしれない。

2)リワインダー、クリーナーデッキ

そこで巻き上げ、戻し専用機がないか探してみる。あるにはあったが、これがビデオデッキに比べ、中古でもめっぽう高価(¥20000)なのだ。結局、安価な”KINYO-M-67V”にしたがパワーがなく失敗だった。結局自作する羽目になった。回転させる動力はドリルドライバー。 カセットの蓋やストッパ(緩み止め)が邪魔になり、やりにくい。初めから、カセットをばらし、テープをリールごと取り出してテープワインダ&リワインダーにかけるのが結局よかったりする。
かびがひどいものは大抵テープ切れがつきもの、セロテープなどで修復しながら巻きとっていかねばならない、 ティシュで空拭きしながら 1ー2度 早送り、巻き戻しすれば、何とかなる。即、DVDにダビングすべし。

しかし、このシャープの”DVーRW200”デッキは標準モードでは問題ないが3倍モードでは安定が悪い。やむをえずのちTBC付きのデッキ”ビクターHRーVX8”も手に入れた。これで3倍モードでも非常に安定した絵が採れるようになった。しかしベータや8mmもある。やはり安定装置(ビデオスタビライザー)も必要と考え、入手した。があまり役に立たない。

次にベータだがこれはすでにデッキが消滅してから久しい。中古もソニーしかみあたらない。やはり完動品は予想以上に高価だ。やむなく再生だけができるモノに絞ってさがす。再生可能だが霜ふりノイズが多いという”SL-HF77”(¥3700)ーーーー♥♥ ヘッドの掃除をすればなんとかなるかもしれない。とポチ。
その後やはりこの機体は再生ヘッドが消耗がひどいようなのでさらに”SLーHF66”を追加手配(¥3000)(これは再生できるがjunkとしたい。というしろもの)した。

DVDデッキ、
パソコンのドライブを使ってもいいが、すでにVHSとDVDのコンビネーネーションデッキ”シャープDVーRW200”が手に入っているのでこれを使うこととする。

ビデオデッキの品質

中古で、しかもたかが数千円になったデッキを評価されるのはメーカとしては片腹痛かろうが、機器固有の耐久性は中古になってはじめてわかるものだ。中古からメーカーの実力や姿勢が証明されるから興味深いものだ。保証は全くないが、大抵はかえって新品より長く使えたりする。これまでに幾多の故障を経験し、対策済部品に替えられているものがあるからだ。しかし不具合をそのままにしているということもあるので、それが実用に耐えられなければ、あきらめるか、もがかねばならない。ここに運良く筆者が解決できた実例がある。23報告しておこう。参考になるかもしれない。

シャープVHS,DVDデッキ

;”DVーRW200”;VHS標準モードでの再生は申し分ないが3倍モードは若干互換性に問題がある。のべつちらちらしてやや不安定。またDVDデッキにバグがあるのか、ディスクが認識できなくなることがある(これは生まれつきだろう)。オイオイ!新品高級DVDが10枚もパーだ。

ソニー ベータデッキSLーHF77;

メカの故障はないが、再生ヘッドが相当へたっているのか、すぐノイズだらけになる。当分使わないことに。

ソニー ベータデッキSLーHF66;

再生画像の品質が良いから、当面これをつかうこととしたがーー入手当初からカセットがすこし引っかるのは知っていたが、ついにウーンウーンと全く出なくなった。分解してしらべるとカセコンの左右連結ギアのボスにクラックが生じ、緩み軸から抜け落ちたためということが判明(ここがソニータイマらしい。)。もちろん接着では保つはずもない、さて、どうしたものか?ボスの上から針金を巻きつけ、ペンチで締め上げた。ところ、その後快調。ベータの再生機本命としてこれを使うこととした。再生はさすが、安定している。

ビクター VHSデッキ;HRーVX8;

3倍モードでの像の安定度はさすがTBC、申し分ない。ところがよくみると、横引きノイズが非常に多い。この機種特有の欠陥(メダカノイズというらしい)。壊すかもしれないという恐怖心とたたかいながら、必死のパッチで、ヘッドドラムを分解、半信半疑ブラシの相手側をペーパで磨いてみたところ。大成功、あのノイズは完全に消えていた。分解したが壊れなかった。

今回の例でカセコン(デッキのカセットを挿入する箱)が故障して使えなくなる(カセットが詰まる)ビデオデッキはかなり多いことが分かった、ベータはカセこんが壊れてもカセコンを取っ払い、カセット単体でも、手で押さえれば、再生できる。親切!!、一方 VHSは、カセコンなしでは、再生できない。 だから部品が壊れたら、はい、おしまい  不親切。

それにしてもどのデッキも、デリケートなテープメディアを扱う割には、テープトラブル(噛み込み等が起こったとき)のユーザーでの対処方法が全く考えられていない。テープトラブルが起こりにくくすることに努力していることはわかる。しかし、これだけでは不十分だ。たとえば、テープは当初トラブらないように潤滑剤が塗られている。が潤滑剤がなくなると、キャプスタンなどに巻き付きやすくなるし、ゴムローラがつるつるになるだけでも巻き付きやすくなる。しかもテープ厚みは薄くなる一方だからますます巻き付きやすくなっている。しかも結露やかびの発生などは大敵だが、避けることはできない。だからテープの巻き込みは避けられないことだ。

巻き込んだら最後カセットテープを無傷で救出することなどとうてい無理だ。(デッキのネジを外してデッキ外装を外しテープを少しずつ引きずり出せば殆ど無傷で救出できる。が、これは分解になる。やると、保証が受けられなくなる。からだれもやりたがらない。)でこれが問題をさらにこじらすもとになっている。

どうしてもテープが出ないと、大抵癇癪を起こして無理にひっぱる、なんとかカセットの取り出しに成功しても、テープはくしゃくしゃ、ワカメ、伸びて細く変形、磁性体はぼろぼろ。これでは2度とデッキにはかけられない。また引っ張った拍子にデッキのガイド棒がひんまがると、次から正常なテープも正常に走行しなくなるーーこれはなにを意味するかというと、このデッキは正常なテープを次々噛み込んで傷物にし、大量のデーターを食い尽くすモンスターになるのだ。。。。あなおそろしや。

ビデオに限らず完全な機器などある訳がない。不具合があるのは仕方のないことだ。だからメーカーも隠さないで、分かっている対策をユーザーにオープンにすべきだ。分解させたくないのなら、ダイレクトに絡んだテープにアクセスできる”メンテ点検窓”を付けるなどすればいい。たったこれだけで、ヘッドやガイドの掃除やテープの噛み込み処理が断然容易になるから、損害は最小限で食い止められる。

 メーカーとしては都合の悪い情報はユーザーに知られたくないのだろうが。そのミエやツッパリがユーザに貴重なデーターを喪失させるという大迷惑をかけているという自覚をもってもらいたいのだ。  メーカーは、絶対的な自信がもてるまでは、メンテホールを付けておくべきだ。これがユーザーに対する本当のサービスだ。 そうか、ビデオテープはなくなるのか。 点検窓をつけた が。


TOP ページへ