第11章 追尾性能自作グッズなど


経過
筆者は当初フォーク式の赤道儀を製作したが、導入や観望のやりにくさに我慢できず、ポンセットマウント+フォーク式経緯台を製作することとした。これらを製作するうちに、意外な発見も少なくなかった。参考までに紹介したい。


最終駆動装置

当初は模型用のDCモータ-+ずん切りボルト、であったが、モータ速度の不正確さに限界を感じ、シンクロナスモータ+タンジェントスクリュー、そして現在はシンクロナスモータ+ウォーム、セクタギア式としているが、これにしてから不満を感じなくなった。またシンクロナスモータ+駆動ローラの組み合わせもトライしたことがあるが鉄レールと鉄ローラではすべりが発生不安定となったのですぐ中止した。

極軸望遠鏡(極望)の効用

予想外であったのは極軸望遠鏡(極望)の効用である。ポンセットではどこに取り付たらいいのかわからず、躊躇していたが意を決して、別の望遠鏡からファインダを外し可動台にとりつけ極望とし、軸合わせの最中に極軸のふらつきがあることを発見した、原因は荷重によるレールの変形と車輪の偏心であった。その後本物の極望を購入し取り替えることとした(ビクセンSX極軸望遠鏡)

追尾精度

一応の完成をみたあとも、実際の天体をみて、不具合な点の手直しをおこなっている。おもなものは剛性のアップと精度向上に関するものだ。

2007 9 15現在の状況、
ピリオディックモーション-----木星の視直径の約半分=+-10〜15秒
追尾速度----------------木星の視直径だけ動く時間;10分間 10分間に動く角度は 15*10/60=2.5度だから
誤差は=40/(2.5*60*60)=0.00444、すなわち0.4パーセント
極軸のふらつきによる赤緯方向のずれ、---5分間では認められない。
振動による星像の解像度の低下-----認められない。

2008 4 29現在の状況
ピリオディックモーション-----眼視では殆ど感じられない
追尾速度差-------------殆ど感じられない。
極軸のふらつきによる赤緯方向のずれ、---殆ど感じられない。
振動による星像の解像度の低下-----認められない。


上記は100倍で実際の木星像を観察しながら判断したものだ。素人のローテク加工でここまでになったのだから、ポンセットマウントの潜在能力は相当なものといえるだろう。現在では眼視に関してはほとんど不満はないが、強いてあげるとすれば剛性である。ピント合わせや微動ノブを触るとどんなにソッとやっても像がゆれる。できれば少々乱暴にやってもびくともしない剛性が欲しいのだが、無理かナー。

予想以上に便利だったグッズ、工具、

ポンセットの自作は電動工具を揃えるための出費も結構なもので、高級赤道儀が買えてしまう、と笑われてしまいそうだ。まあそれはそれ、趣味には必需品だから良しとしておこう。そのなかで思った以上(価格以上)に便利だったものや予想に反して使わなかったり、使えなかったりしたものがある

予想以上に便利でよく活躍したもの(必需品)
工具、電動工具


* ボール盤-------------------------------¥2〜3万円(必需品)
* 高速カッタ(砥石)------------------------¥?千円(必需品)
* サンダ----------------------------------¥?千円(必需品)
* 測定具--デジノギス、ダイヤルゲージ---------各¥?千円
* タップダイスセット--------------------------¥5〜?千円
* 金剛砂(80,220、500、1000)---------------¥1〜2千円
* コップレッサ(2馬力、100V)-----------------¥1〜2万円
* 万力(プロ用)大きい方がよい。DIY用は小さすぎて鉄鋼細工では使えない
* 金床、トンカチ、ポンチ、ドリル、バイス、ドライバ-レンチ、計?万円
* 電気ドリル(100V、充電式)----------------¥1〜2万円


高価なもの
* ミニ旋盤-------------------------------¥5〜8万円(使用頻度高い。小さなノブやカプラなど作るのに重宝する)
* 溶接機(直流、200V単相)-----------------¥2〜3万円(溶接棒3.2φまで使用可能、10mmまでの鋼材が完璧に接合可能。使用頻度高い万能選手)

* エアープラズマ(直流、200V単相)-----------¥7〜10万円(必需品)

自作したグッズ

予想以上に役立ったのが、無段座面高さ調節式観望椅子だ。高さ調整は座面を軽く持ち上げるだけで自動的にロックがはずれ、離せばロックがかかるから楽にきめ細かな高さ調節ができる。観望が楽で疲れが少ないのは当然だが、体の揺れを防ぐ効果が大きくクリアな視界がえられるのだ、不具合を詳しく調べるたり、眼視で惑星などの細かい模様を観察するのに役に立つ。これは必需品だ。

簡単グッズだが、発光ダイオードを利用した視野照明も非常に有効で、十字での照準合わせが格段に楽になった。

観望椅子

  

望遠鏡関連グッズ(必需品)  

* 極軸望遠鏡の取り付け-----理由は既述-----¥?千円---------------購入すれば2〜3万円        (必需品)
* レーザファインダ-------------------------¥8千円(一部自作)------購入すれば2〜3万円      (非常に便利)
* レーザーコリメータ-----------------------¥1千円(一部自作)-------購入すれば1〜2万円      (必需品)
*  観望椅子(高さ(30〜120センチ)無段階ワンタッチ調節式)¥1千円(自作)---購入すれば1〜2万円   (必需品)
* 視野照明(極軸望遠鏡用、アイピース照明)----¥0円----ありあわせのLEDと抵抗で製作       (必需品)
*  カメラアタッチメント(自作)---------¥1千円、市販デジタルノギスの取り付け(1/100mm)--微動装置を購入すれば?万円
                                    写真撮影でのピント再現性向上-(必需品)

殆ど出番がなかった割りに高価だったもの(涙)
*ターンテーブル100φ----------------------¥2〜3万円--(小さ過ぎる)
*ミニフライス盤----------------------------¥5〜8万円--(使い方がむつかしい。小さ過ぎ、長穴加工くらいにしか使えない。)
*ミニバンドソー-------------------------------¥3万円--(遅い、替ノコが高いうえすぐ切れなくなる。折れやすい)

安くあげるため殆どがチャイナ製だ。

これから

補強を繰り返したため、思ったより重くなってしまった。中抜きや不要部分のそぎ落としをして軽量化を図ってみようかと思っているが、剛性が落ちないか不安もありそのままにしている。 また製作や改造、調整がやりやすいことを最優先したため、外見があまりスマートでない。塗装もちゃんとしたいものだ。まだ写真撮影には充分な精度が出ていない。星像の写真撮影はいずれ天候が回復すれば実施。順次公開することとしたい。

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