コラム

社員の化学日記 −第69話 「電気を溜める?」−

子供頃,なぜ雷の電気を溜めることが出来なのだろうと疑問思う事があった。

それからしばらくたち,電気というのは,基本的には(静電気として貯まる)そのままの状態では貯めることのできないエネルギーであるという事を知ることとなり, では電池はどのようになっているのだろうと疑問が浮かぶのである。

電池にはプラス極とマイナス極があり,そこに電球などをつなぐと電流が流れ電球であれば点灯する。 まるで,電池の中には電気が詰まっているように思えた。

しかし,実際は電気を電池に溜めている訳ではなくこのプラス極やマイナス極,そして電流は化学反応によって作り出されているのである。

例えは,希硫酸に亜鉛板と銅板浸し,電球を亜鉛板と銅版につなぐと電球が点灯する。 これは希硫酸に浸けたイオン化傾向の大きい亜鉛の板が溶け出していくときの酸化反応によりマイナスに帯電し,銅の板が還元反応によりプラスに帯電し, プラスとマイナスに帯電した間に電線などを伝って電子が移動し,電流が流れ電球が点灯する。 このとき,亜鉛板がマイナス極,銅板がプラス極の電池が出来ているのである。 そして,酸化反応と還元反応の2つの化学反応によって電気を作り出しているのである。

では,充電はどうであろうか? 基本的には,電気を作り出した逆を行うことで放電前の状態に戻すことで,電気そのものを溜めている訳ではない。 外からマイナス極側に電子を送る事によって,発電(放電)時と逆の酸化反応と還元反応が起こり放電前に状態に戻すことが充電なのである。

電気そのものは溜められなくても,その代わり他の形に変化させる事で,電気エネルギーを保存できる。 電気が他のエネルギーに化けた形が電池やバッテリーになっていると思うと,面白い。

【白色林檎(ペンネーム)】

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