コラム

社員の化学日記 −第67話 「プロフェッショナルへの道」−

新年初ということもあり,以前から気になっていた年賀状のインクジェット紙について調べてみました。

その前に。

年賀状を整理していたところだったので,会社に届いた郵便局発行年賀状のうちインクジェット紙の割合を調べてみると32%, 予想に反して普通紙のほうが多くこれは相手が会社関係だからでしょうか。 普通紙を使われている方がこんなに多いとは意外でした,皆さんはどう思われましたか?

本題に入って,

インクジェット紙の説明には専用のプリンターだけでなくスタンプ,版画(インクにより適さない場合あり), ボールペン,毛筆,筆ペン,サインペン,シールの貼り付けまでが適していると記載されていました。 (これらの方法で普通紙に適さないかどうかは不明)

そして新たな発見が!!!

説明文中の[ご注意]項に

「この葉書は,裏面のみ特別なコートを施しています。」と書いてあるではありませんか。

ということは表面は普通紙と同じ ⇒ 即ち宛名を印刷する表側はプリンター設定を普通紙用にしなければならない (したほうがいい程度だと思いますが)ということですね。 手書きしているときに表裏で感触が違うなとは思っていましたが,大発見です。 (そんなことも知らんかったんか,と怒らないでください)

ここで疑問が。

インクジェット紙に適さないこととして書いてある事柄は,

熱転写・レーザープリンター,オフセット印刷,複写(コピー)機。とここまでは納得。

その後に「万年筆,シャープペン」と(適している項目に鉛筆(Bより軟質)とあります。)

え〜〜,万年筆はインクやん???と独り突っ込むも何にもならず,ネットで調べるもすぐには分からず。

電話で聞こうかと思いましたが,落ち着いてじっくり調べることに。

まず,紙のコーティング成分はスポンジ状(穴がたくさんある)の二酸化けい素SiO2の粒が主だということで, 印刷したときインクがそのSiO2の穴に吸われ紙のほうまでしみ込まないためはっきりくっきり印刷できるということらしいです。 この説明には納得ですが万年筆などの不適理由は?これもすぐには分かりませんでしたが,物理的な理由がありました。

コーティングの厚みはミクロン単位で非常に薄いため,万年筆のペン先でコーティング部分を削り取ってしまうということらしいです。 硬い鉛筆の芯でも同様の現象が起こる心配が。

そしてプリンターでは適切な量のインクが放出されるが,万年筆から出されるインクは多すぎるので余分のインクがにじむ原因になるみたいです。

そんな深いとこまで考えているのですね。

毎回のことですが「餅は餅屋」という言葉が改めて浮かんできます。

たかが葉書とはいえパソコン,プリンター技術の発展と共にそれに適合した製品を作り出していく姿勢に感心。 疑問が解き明かされるにつれてその製品に関わる人々の努力に敬意をはらい,自分の世界においても同様の姿勢を持ち続けるべきだと,心新たに考え直す年初になりました。

《参考:郵便局ホームページ》

【今田美貴男】

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