コラム

社員の化学日記 −第40話 「常識は覆る?」−

衝撃的なニュースが入ってきました。 なんと「光より早い物質が存在した」というではないですか。 物質をこれ以上小さく分解できないという構成単位である素粒子の一部,ニュートリノといわれるものをスイスからイタリアまでのおおよそ730kmの距離を飛ばしたら光より早く動いたという話。

ニュートリノとは,以前このコラムでも触れましたが 小柴さんがノーベル賞を受賞した題材です。

これに対して,「時間の計り方がおかしいのと違うの」とか,「20数年前,地球のはるか遠くの天体が爆発したときにできた光とニュートリノは地球に着いた時間は同じやった,今回の実験結果に当てはめると1年以上の差がつくはず」とか,疑問視する声も多いらしいのですが。 もしこの結果が間違いなければ30年前に習って今まで普通に思っていた事柄はどうなるのか? 今後の成り行きがとても気になっています。 何事も時代の流れと共に変化していくとはいえ,大物理学者アインシュタインが考えた[特殊相対性理論]の基本である [光より早い物質はない] といった土台が崩れると,物理の教科書はどうなるんかいな?と心配せずにはいられません。

今までは空想の乗り物だったタイムマシンが現実にできるとか言われてますね。 この理論は,

光より早い物質はマイナスの重さを持つ。ということはゼロの重さよりも軽いということになって重量はマイナスで時間もマイナスに動く,即ち過去に進むということになる,らしいです。これがタイムマシン。

そんなバカなことがと思うのですが,同様の事柄は多々ありますね。一世代昔の人はテレビができたときは箱の中に人がいると思ってたらしいし,私達の世代は町を歩きながら電話ができるとか,フイルムのないカメラができるということは映画,空想の世界でしか体験できないものでした。レコードやカセットテープ全盛の時代に,将来CDというものができ針は要らなく光で情報を読み取って,巻き戻しや早送りしなくてもボタンひとつで好きな場所から音楽等を聴いたりできるようになる,と聞いたときは,そんな便利な時代はほんとに来るんかいな?と疑ったものでした。現代ではビデオテープも見かけないし。8ミリ映写機っていうのも出てきたときは画期的なものでした。 科学の発達はすごいというより恐ろしいものでこれからの100年先とはいわず10年先でも世の中がどのように変わっていくのか,どう便利になっているのか予測できません。

このアインシュタイン理論の危機?の報とほぼ同時に発表された今年のノーベル物理学賞は「宇宙は膨張しておりその速度は速くなっている」というもので,アインシュタインが考えた宇宙理論で一生涯の過ちと恥じた[宇宙項]という考え方が間違ってなかったよ,というものでした。同時期に話題になったのは何らかの力が働いたのでしょうか?

私の周りでもノーベル賞に匹敵する発見をした人がいないかと思いますが難しい。よく似た賞をあげたい人は大勢いるのに。 このコラムで酒のことについて度々書いている酒好きは間違いなく[ノーメル賞]ですね。 酒より飯という大食いは[ターベル賞]で,試薬ビンにレッテルを貼るのが上手い社員には[ラーベル賞]。イベントで得意先の人を誘うのがうまい社員は[ヨーベル賞]をあげましょう。 最後にこんなおやじギャグ?を書いてる私は[スーベル賞]でしょうか。

【今田 美貴男】

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