コラム

社員の化学日記 −第24話 「すごいぞニッポン(サッカーではありません)」−

本当に帰ってきた。

今朝の話題はこのニュースから。

もう7年,打ち上げに成功したときは「日本のものが宇宙に行くなんて結構やるやん」と思っていたが,まさか戻ってこれるとは。 幾多の不具合を乗り越えてそこそこ仕事をやってくれました。 この話は今日のこと。そして20日ほど前には金星に出発したばかりのものがある。

日本のエース「はやぶさ」と「あかつき」。

あかつきが打ち上げられた時,飲み屋で若い娘達に両者の名前を持ち出したらクイズになって大いに盛り上がった。 まず新幹線と間違えられた。 50そこそこの人間には寝台車が思い浮かぶが,若者は新幹線がイメージに浮かぶらしい。 戦争中の飛行機という人もいた。[戦闘機と言わないところが‥‥]でも20歳そこそこでそれを知っているのはかなりのつわものと思ったがカラオケで年配者がたまに歌うらしい。 後,オートバイの名前[←これは知らなかった,脱帽]や鳥の名称[すっかり忘れてた]等など。 菓子の名前にもあるらしいが,こちらは全然分からない。

最初から脱線[鉄道には関係ありません]してしまったが,本来言いたいのは日本が打ち上げたロケットの話。

まず最初は2003年5月に打ち上げられその2年数ヵ月後に小惑星イトカワに着陸した《はやぶさ》。 ボクの興味はロケットの行程(航程?)ではなくそれが持ち帰ることを期待される惑星のほこり(実際は岩石を砕いて容器(カプセル)に入れる予定だったが失敗,砂のようなものが入っていることに期待している)。 この話をしたときに「そんなしょうもないことに興味あんのー」と思われたが,今朝の新聞を見て自信が持てた,この話題は少数ではなく大々的に一面トップ(朝日,毎日新聞[他のは見ていません])に取り上げられている。 「単に地球上にない物質を見たい」ということではなく,このほこり(砂)を分析した結果より推測されることを早く知りたい。それは‥‥‥‥

我々の太陽系は,太陽と9つの惑星[10個やったかな]そしてそれぞれに衛星があり多くの小惑星や彗星で成りたっている。 小惑星は軌道(進む道)がわかっているものだけでも1万個以上あり,ほとんどが火星と木星の軌道の間に存在しているらしい。 今回対象になっているイトカワは地球と火星の間を回っており,軌道の一部は地球を通り越して太陽側に行くこともあるらしい。

我々の地元で開かれた大阪万博[40年前やから知らない人も多いよなぁ]に月からの石が展示されていたが,月のような大きな天体は周りの影響を受けるので,生まれた当時の状態から変わってしまっている。 小惑星は太陽系が誕生した頃の姿を保ち続け化石のような天体だといわれていて,その頃の物質を分析すれば太陽系ができた時のことについて分かる,ということだ。

「それなら地球に落ちた隕石は小惑星と違うの」と言われたけど,はやぶさが地球に戻ってきたとき大気との摩擦で燃え尽きたことからも分かるように,隕石はいろんな影響を受けて変質してしまう。はやぶさ本体は燃え尽きてしまったけれど,カプセルは無事着陸,中身は宇宙空間にあった状態そのままで日本に持ち込まれ分析されることになっている。 分析結果はいつ頃発表されるのか待ち遠しい。

化学屋としては「新化学物質が入っていることに期待しろ!」と言われそうだが,どのようにして太陽系ができ生命が誕生したのかを知りたいもんね,科学も面白いなぁ。

持ち帰ったイトカワの埃にでも生命の源[我々は有機物という]が含まれていれば,画期的な出来事である。宇宙人の種みたいなものが含まれていてそれが成長し未知の生命体誕生という映画的,子供的な発想も心の片隅にある。

余談ですがこの小惑星イトカワ,将来には太陽や地球等の惑星に衝突して消滅するだろうと考えられている。もし地球に衝突した場合は人類が消滅させる危険性が心配されている。でもまだまだ先の話らしいしその時には映画のように爆破するか軌道を変える技術が確立されているかも。又公害その他の原因により地球文明はすっかり消えているかもしれないし,地球外生物が侵略しているかも。

地球外生物というと,キングギドラという怪獣はどうしようもなく強かった。 胴体ひとつに頭が三つもあって360度どこからでも攻撃できるし,体表面は金色の金属っぽいもので覆われ防御も完璧,おまけにテレパシー的な感じで空を飛ぶ。 日本が誇る三大怪獣「ゴジラ」「モスラ」「ラドン」が束になってかかっていっても最初はびくともしない,映画だから正義は勝つということで最後には戦いに敗れるけど,悪役にもかかわらず当時の子供達にとってはあこがれの怪獣やった。 その最強怪獣は,地球に来る前に金星を滅ぼした。

明けの明星,宵の明星,魅力ある名前を持つ星。 英語では「ビーナスVenus」中国では「太白」やっぱり日本語,金の星で金星。 理論的には我々の地球と似ていることになるらしいが,実際は灼熱の大地が広がって,暴風が吹き硫酸の雲が浮かんで大荒れの謎の多い星。

その金星に向かって5月21日に「あかつき」を乗せたH-IIAロケット17号機が無事に打ち上げられました。金星に到着と,前述のイトカワの砂の存在有の発表が同時に行われるといいなと期待している。

あの蓮舫さん[元クラリオンガールでっせ]ががんばっている事業仕分け,今のままの経済情勢では今後このような宇宙開発を続けるのは難しくなるかも。 この金星探査も何とか成功して,自然の謎を少しでも解明してほしいと思っている。

【今田 美貴男】

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