コラム

社員の化学日記 −第194話「座布団カバーの形 ???」−

今年(2024年)5月に面白い研究が発表されました。

以前このコラムで触れた空間についての研究に似ているのですが少し違います。

今我々が生存しているのは3次元の空間として知られているが、実はその中に知られてない空間があってその形は二次元のpillowcase shapeだという研究報告です

私たちが知っている世界とは別に同じ世界が別の次元に存在しているという話題は10話で軽くふれましたが今回の話は三次元の世界のなかに知らない二次元があってその形が….という話です。

ピローケース?枕カバーの形?面白いので調べてみたところ日本語の紹介文に座布団カバーという表現を見つけました。日本での研究発表は座布団の形で説明されているのですが海外では座布団なるものはないのでpillowと英訳したようです

概要を知りたい人は最後に紹介する文献を見ていただくとして。

形はどうであれ現在生活している空間の中に我々が考えつかない空間が存在しているということに興味を持たざるを得ません。

この空間の考え方は、種類や質量に関する素粒子の謎(これも以前コラムで取り上げました)を明らかにするためにされた研究結果です

いずれにしてもこの研究によって素粒子の謎が解明されれば……と期待せずにはいられません

たまに会う友人のKさんは同じ分野に興味を持っているので、知らず知らず宇宙に関することや素粒子についての話になり夜の席では「酒を飲みながらそんな話をして楽しいの」と隣に座っている接待の女性に呆れられることも度々。

今回も未知の空間―座布団の話をしていたら突然Kさんが「日本の高校生が素粒子の研究をするために海外の研究所に行く」という話を教えてくれました

僕が素粒子という存在を知ったのは大学に入って2,3年目の量子力学の授業でした。

アインシュタインの相対性理論に興味を持ったきっかけでしたが、高校時代は電子、陽子、中性子という知識しかありませんでした。 しかも現代の高校教育では化学は選択科目なので化学に触れる機会のある人が少ないと思っていたので高校生が素粒子の研究と聞いてうれしく感じました。 しかもその高校生は全員女子だとのこと。 理工系に興味のある女性は数少なく変わり者とみられていた50年前と様変わりした現代といいたいところですが、残念なことに僕の周りの女性は化学や宇宙理論と聞いただけで敬遠する人ばかりなので素粒子研究にのめりこむ女性がいる、しかも高校生ということに心わくわくといった感じで将来の見通しに期待してしまいます。

以前のコラムでも同じことを言いましたが、今回の素粒子の研究にかかわらず今後の研究で我々が住んでいる地球、宇宙の謎、起源などが明らかになる日を楽しみにしている毎日です。

参考論文:Progress of Theoretical and Experimental Physics.
     Volume 2024,Issue 5, May 2024,053B06

令和6年8月
【今田 美貴男】

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