コラム

社員の化学日記 −第16話 「熱い春」−

温泉って,日本人なら嫌いな人はいないんじゃないでしょうか。日本は火山が多く,その山の麓には温泉地がよく見られます。 さて,一言に温泉といってもいろんな温泉がありますが,温泉の種類による効果はご存知でしょうか。温泉はいろいろな種類に分けることができます。 源泉の温度,温泉に溶け込んでいるイオンによる種類,浸透圧などさまざまな違いがあります。

温泉に入ってみて一番わかりやすいのは,やはり酸性や塩基性の違い〔水素イオン濃度(pH)〕のちがいだと思います。

酸性のお湯は殺菌力が強く,少しピリピリするようなお湯です。強酸性の温泉になるとpH1.2以下,なんと胃液と同じか強い酸性になります。 幼い頃,カムイワッカ湯の滝という北海道の奥地にある自然にできた滝の温泉にいったことがあるのですが,その温泉もpH1.5程の硫酸泉で,しばらくお湯に入ると肌が痛くなってきます。 頭まで浸かったら最後,目がしばらく開けれなくなりました。

アルカリ性の温泉はよく美人の湯と言われ,お湯に入ると肌がヌルヌルします。これは皮膚の角質層を溶かす作用があるためです。 弱アルカリのお湯は肌にやさしいといわれています。肌は弱酸性といわれていますから,中和作用が働くのでしょうか?不思議です。

私は温泉に行くと脱衣所や浴場の壁に掲げている温泉の成分や源泉温度などが書かれた看板,源泉成分分析表を必ず読むのですが,その中に書いてある,効能の欄が一番気になってしまいます。 自分に当てはまる効能が書いてあると,少し長く入ってやろうとうれしくなります。

しかし,この効能の欄,どの温泉に行っても一部同じ効能が書いてあるって思ったことはありませんか? 神経痛や筋肉痛,関節痛,うちみ,冷え性等をよく見かけるかと思いますが,これは一般的な効能であり,その温泉の泉質にかかわらず,どのお湯でも効果があるものとしてかかれています。

家庭用の入浴剤も,よく読むと効能が書かれていますが,大概上の効能と似た内容だと思います。が,あれはあれで少しでも温泉気分を味わってもらおうという入浴剤メーカーの配慮なのでしょう。

今年の冬は重曹入りの入浴剤に浸かって,ツルツルスベスベのお肌になってやろうと考えている栗林(男)でした!

【栗林】

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