Hエッギスホルンから アレッチ氷河
 (Eggishorn-Aletschgletscher)


オーストリア・チロル州のセルデン(Soelden)を出てスイス・アニヴィエの谷(val d' Aniviers)のグリメンツ(Grimentz)に移動する途中、フィーシュ(Fiesch)に一泊してこのトレイルを歩く設定をしました。
時間の制約があり慌ただしいことになりましたが、快晴で素晴らしい景色を見ることができ、歩いて良かったと思います。
ユングフラウヨッホからアレッチ氷河を下に見るのも白一色で素晴らしいのですが、アレッチ氷河の美しさをずばり実感できるのはむしろこの地域の方が上のような気がしました。
エッギスホルンからアレッチ氷河の岸へ下るこのトレイルは、あまり紹介されておりませんが、絶えず変化のある景色を眺めることができ、楽しく歩けるコースです。
エッギスホルンからアッレチ氷河を見る


歩いた日:2006年7月18日
コース;
Stn. Eggishorn(ゴンドラ頂上駅) -(10min)Eggishorn -(50min)分岐 -(15min)Taellisee -(40min)Gletscherstube -(35min)Gletscherrand往復 -(20min)トンネルを出る -(45min)Fischeralp
[合計時間;3h35min]  
[標高差;登り合計100m 下り合計718m]
[最高標高;2926m]


フィーシュから2回ゴンドラに乗って一気に2900mのエッギスホルン頂上駅(Stn. Eggishorn)に着きます。目の前に流れるようなアレッチ氷河が巨大な帯となって広がります。エッギスホルンの頂上は直ぐ目の前、岩の上に綺麗なトレイルがついています。頂上に上ると高度感が一層増して、完全な360度の展望になります。

エッギスホルンから北方向 
左がユングフラウ、
中央の小さい岩がユングフラウヨッホ
  右の高いのがメンヒ、右の黒いのがアイガー


何と言っても先ず目に入るのはアレッチ氷河。そして、どれがそうかと捜すのがユングフラウ三山です。これも直ぐわかります。展望台が立つユングフラウヨッホの岩も良く見えますが展望台は私の肉眼では見えませんでした。ただ、昨年ユングフラウヨッホからメンヒの右肩の下にあるメンヒスヨッホヒュッテ(Monchsjoch Hutte)まで歩いた氷河の雪原が良く見えて、こんな位置関係だったのかと改めて認識できた。

左にはアレッチホルン(Aletschhorn 4195m)ももちろん良く見えますが、アレッチ氷河の美しさと迫力に圧倒されて、写真を撮るのも忘れてしまいました。

エッギスホルンから見下ろす
アレッチ氷河岸の
グレッチャーランド氷河湖


下に目をやると氷河が堰き止めているような青色の小さな湖が見えます。グレッチャーランド(Gletscherrand)と呼んでいるようですが、何故湖になるのか不思議です。このグレッチャーランドへ下りるのが今回のトレイルです。

目を南西に転じると、見えます、誰にでも分かるマッターホルン(Matterhorn 4478m)です。真っ黒い塔が立っているように見えます。その右の白い山はヴァイスホルン(Weisshorn 4505m)、左の白い山の連なりはサースフェーを取り囲むミシャベル連峰でその中でも高いのがドーム(Dom 4545m)だと思います。意外に近くに見えます。
西の方に霞んで白い山が幾つか見えます。目を凝らしても輪郭がはっきりしませんが、その内の大きな白い固まりが方向から見てモンブランのようです。
朝の9時半でしたが遠くの山が良く見える天気でした。

エッギスホルンから西方向
遠くに白くうっすらとモンブラン
エッギスホルンから南西方向 
中央やや右がマッターホルン、右がヴァイスホルン、左がミシャベル連峰


エッギスホルン下りてふり返る
 右の少し高いのがエッギスホルン、
右から左にトラバースして下りた


前日遅く着いたので、アレッチエリアの地図を買えず、朝ゴンドラ乗り場で聞いたが、パンフレットしか無いとの返事。仕方がないので日本でネットからコピーしてきた概略地図を頼りにし、次のアレッチ氷河へ向けて下り始めた。
頂上からゴンドラの頂上駅に戻る途中に左へ下りるトレイルがあると理解して、左を注意していると、岩にペイントで大きく矢印がありその下にラインが引いてある。標識が無いのが気になったが、少し左に入ってみると綺麗なトレイルが付いている。これだと思って下ると、トラバースの道になり、所々かなり荒れている。2箇所ほどロープが有ったが頼りにならないほど古い。
上記の地図の点線で示した所を何とか渡りきると正規のトレイルに出て分岐へ着いた。
正しくはゴンドラ駅に戻ってから下りるのが正規のトレイルだったらしい。ここで大分時間をロスした。
それにしても下にラインの入ったあの矢印はどんな意味だったのだろうかと思う。

テリ湖、奥の氷河はフィーシャー氷河   拡大→


分岐から左に入り、ほぼフラットなトレイルを気持ちよく進むと、小さなしかし綺麗な池に出た。テリ(Taellisee)湖と言うらしいですが、なだらかな尾根状の所に堰きとめて人為的に池を作ったのではないかと思うほど景色の良いところにあります。
この池から正面にもう1つの氷河・フィーシャー氷河(Fieschergletscher)が見えます。白い三角錐の山は多分フィンスターアールロートホルン(Finsteraarrothorn 3530m)。

その左に遮るようにヴァネンホルン(Gr. Wannenhorn 3906m)が高く聳え、その右肩にフィンスターアールホルン(Finsteraarhorn 4274m)が、その左下にはメンヒが望まれます。アレッチ氷河も見え、アレッチホルンも姿を見せています。
ゆっくりしたい所でしたが時間が気になり先を急ぎました。

テリ湖から中央ヴァネンホルン
左にフィンスターアールホルン、左メンヒを見る
テリ湖から 右アレッチ氷河と遠くユングフラウ
中央はアレッチホルン

ここからはヴォルダー湖(Voldersee)とグレッチャーシュトゥーべ(Gletscherstube)小屋を真下に見て下る。途中左にメィエレ湖(Maejelesee)の方向に下りる分岐があったが、何処に出るか自信が無かったのでトラバース気味に進んでヴォルダー湖の真上まで進んで折り返し、ヴォルダー湖の小さなダムの上を歩いてグレッチャーシュトゥーべ小屋に着いた。まだ時間に余裕がありそうなので、氷河の縁の湖・グレッチャーランドまで行ってみることにした。

下る途中からのアレッチ氷河と手前はメィエレ湖 右端はヴォルダー湖、小沼が点在、
その先にメィエレ湖とアレッチ氷河が見える


ワタスゲ


小さな沼のような池が幾つかあって、その中の1つの池にワタスゲがびっしり咲いていた。


グレッチャーランド氷河湖とアレッチ氷河


小さな池の中では一番大きなメィエレゼーまで下りてくると、氷河の縁が見え、氷河にくっついた氷河湖・グレッチャーランドが見え出す。インターネットのサイトで見ると、この氷河湖は砕けた大きな氷河がゴロゴロと転がっている写真があるかと思うと、氷山のように幾つもの氷が浮いている写真などがあり、変化が激しいようです。ちょうど氷河の曲がり角で氷河が押し出されて崩壊する場所になっているようですが、この夏は暑さのせいか、砕けた氷河などは何処にも無く、清んだ青色の水面が静かに輝いていました。

氷河湖が全部見える所まで下りてきて、良く見ると氷河の上をちょうど10人がアンザイレンして一列になって歩いていました。歩く人の大きさを見て氷河の巨大さが分かります。

氷河の上を歩くパーティー  拡大→
氷河の上に人影が見えるでしょうか
パーティーが歩いているのはこんな所
 

水際まで下りたかったのですが、帰りの列車の時間が心配になり、ここから戻りました。
グレッチャーシュトゥーべの小屋からヴォルダー湖のダムの右下にあるトンネルに入ります。約1kmの直線のトンネルでそんなに細いトンネルではありませんが、暗くて水溜りがあり、あまり気持ち良い歩きではありません。しかし短い距離で戻れるのが何といっても便利です。水のパイプラインが通っているトンネルのようです。

トンネルを抜けて見るフィーシャー氷河


トンネルを抜けると広い道に出ます。左にもう1つの氷河・フィーシャー氷河が良く見えます。この氷河を後に見て広い平らな道をどんどん行くと中間駅フィーシャーアルプ(Fiescheralp)に着きます。
ゴンドラで下りフィーシュの駅に着いて、宿に預けたスーツケースを駅まで届けてもらい無事予定の電車に乗り、次の目的地グリメンツに向かいました。


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