C オーバーロートホルンからシュテリゼー (Oberrothorn to Stellisee) |
5年前にオーバーロートホルン(Oberrothorn 3415m)に一度登っているが、直ぐ近くに見えるはずのミシャベル山群が雲の中で全く見えなかった。ずーと心残りだったので、今回、快晴の日にもう一度登ってみる事にした。 前回歩いた時より1週間ほど早いせいか残雪が多く、足元に気をつけて歩く必要があったが、これ以上は望めないほどの雲一つ無い天気。存分に展望を楽しむことができた。 前回はトゥフテルン(Tuftern)を回ってスネガ(Sunnegga)に下りたが、今回はシュテル湖(Stellisee)を経由してスネガに下りてみることにした。 |
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参考地図:2515 Zermatt Gornargrat 1/25000 |
歩いた日:2010年7月07日
コース:Unterrothornー(13min)Furggliー(1h15min)Oberrothorn(30min休み)ー(1h)Furggliー(50min)Fluhalphutteー(10min)Stellisee(25min
Lunch)ー(50min)Sunnegga
合計時間:4h18min(総時間5h55min) 標高差:登り合計497m 下り合計1,309m 最高標高:3,415m
ツェルマットから地下登山電車でスネガ(Sunnega)に着き、ゴンドラに乗り換えて標高3103mのウンターロートホルン(Unterrothorn)に着く。快晴で、ここからの展望でも充分なほど。北東方向はこれから登るオーバーロートホルンがデンと構え、それ以外の方角には4000mの山々が全部見渡せる。
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ウンターロートホルンから見る (左:南東方向、右:南西方向) 山は左からモンテローザ(4634m)、リスカム(4527m)、カストール(4226m)、ポリュックス(4091m)、ブライトホルン(4165m)、右端がマッターホルン(4478m)、 ゴルナーグラートはブライトホルンの左下辺り。 |
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登る途中から見るフィンデル氷河とモンテローザ |
ウンターロートホルンの駅から雪の残るスキー・ゲレンデを120mほど下り、フルックジー(Furggi 3981m)の鞍部に着く。ここから登りのトレイルに入り、真っ白なフィンデル氷河(Findelgletscher)とモンテローザ(Monte
Rosa 4634m)を右手に見ながら歩く。氷河がまぶしく輝く。
オーバーロートホルンの東側を巻くようにしながらジグザグに登る。
まだあちこちに残雪があり、慎重に登る。オーバーロートホルン頂上まで残り150mほどの標高差になる辺りで東に伸びる尾根にとりつきオーバーロートホルンの北側を覗くことができる。テッシュホルン(taschhorn 4490m)が聳えその下にテッシュ(Tasch)の村につながるテッシュアルプ(taschalp)の深い谷が横たわる。良く見ると、いつかは行ってみたいと思っているテッシュヒュッテ(Taschhutte)の山小屋が斜面に小さく見えた。
オーバーロートホルンの頂上を見上げると北面は切れ落ちていて南側から見る穏やかな姿とは全く山容が違う。
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テッシュホルンの遥か下に テッシュヒュッテ(〇印内)が見える |
オーバーロートホルンの北面 |
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オーバーロートホルン(Oberrothorn 3415m)の頂上 登山者がモニュメントに書かれた内容を写していた |
登る途中に「一つ目玉のモニュメント」が幾つか立っていて、4面に4ヶ国語で書かれて文が嵌め込んである。日本語もあるが通りすがりにさっと読んだ程度では理解できない難しい内容。何故この山に「一つ目玉」が建っているのだろうかと考えながら登る内に頂上直下の斜面に着いた。残雪が多いこともあってトレイルが不明瞭になるが、南側に回り込んで労せずに頂上に立った。
頂上にも「一つ目玉」が立っていて、先に登っていた登山者がモニュメントに書かれている内容を写し取っている。私はといえば頂上からの展望の素晴らしさばかりが気になって、モニュメントに書かれた内容などには目もくれず景色ばかりを眺めてきた。今思えば、写し取って後でゆっくり意味を考えることもできたなー、と心の余裕の無さを反省している。
下を見ても、周りを見ても、真上を見ても全く雲が無い。期待して以上のパーフェクトな360度の展望が広がる。素晴らしい。マッターホルンを見て右回りに身体をぐるりと回転しながら写真を撮った。
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オーバーロートホルンからの展望(左:南西方向、右:北西方向) 山は左からマッターホルン(4478m)、その右肩はダンデラン(4171m)、向き合った山の左はダンブラッシュ(実際は奥にある、4357m)、右はオーバーガーベルホルン(4063m)、中央がツェナールロートホルン(4221m)、右の大きな山がバイスホル(4506m)ン、その右肩はビスホルン(4253m)、右端がブルネックホルン(3833m)。 マッターホルンの手前のピークにウンターロートホルンの駅がある |
北方向にはミシャベル山群が間近に見え、一番左にテッシュホルン(Taschhorn
4490m)が大きく聳える。ドーム(Dom 4545m)はテッシュホルンの左肩にちょっと顔を出している。更に左下にホーベルクホルン(Hohbarghorn
4219m)だろうか白いピークが見える。
真北の遠くに幾つかのピークがはっきりと見える。右端はレッチェン谷に聳えるビーチホルン(Bietschhorn
3934m)に違いない。
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オーバーロートホルンからの展望(北方向) |
この付近を拡大してみたのが下の写真。地図で方向をみながら何処の山が見えているのか確認してみた。
一番左に見えるのは多分レッチェパス(Lotschepass)近くのバルムホルン(Balmhorn 3,699m)とアルテルス(Altels 3,629m)、その手前の三角の山はアウグストボードパス(Augstbordpass)横のシュワルツホルン(Schwarzhorn
3201m)、その右はエッシネン湖(Oeschinensee)近くのドルデンホルン(Doldenhorn 3638m)とブリュムリスアルプ山群(Bluemlisalp)、右のピークがレッチェン谷(Lotschental)のビーチホルン(Bietschhorn 3934m)でその直ぐ右の白い山はブライトホルン(Breithorn 3785m) ではないかと思う。
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オーバーロートホルンからの展望、真北方向 |
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オーバーロートホルンからの展望、東方向 |
東方向にはミシャベル山群が更に近づき目と鼻の先になる。写真の左端はアラリンホルン(Allalinhorn
4027m)、縦にギザギザの模様があるのはリムプフィッシュホルン(Rimpfischhorn
4199m)、その右にシュトラールホルン(Strahlhorn 4190m)で更にその右肩にアドラーホルン(Adlerhorn 3988m)の尖ったピークが見える。
南東から南の方向はウンターロートホルンの駅を出た展望台からの景色と大きくは変わらないが、オーバーロートホルンの頂上の残雪越しに見るのでグンと高度感が有る。
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オーバーロートホルンからの展望(左:南東方向、右:南方向) 山は左からモンテローザ(4634m)、リスカム(4527m)、真っ白なカストール(4226m)、こぶしのようなポリュックス(4091m)、右はブライトホルン(4165m) |
オーバーロートホルンの頂上で、30分ほどゆっくりと展望を楽しんだ後、下山した。ウンターロートホルンとの鞍部のフルックジーに戻り、前回とは逆方向のシュテル湖(Stellisee)側へ下りた。フルックジーからの下りは広い道だが周囲がガレ場であまり快適でない。途中細い脇道があったのでこれを下る。
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フルーアルプヒュッテ(Fluhalphutte 2618m) |
フルーアルプヒュッテ(Fluealphutte)の小屋が次第に近づき小屋の手前に出たが、小屋に行くには少し登らねばならなず、面倒になって小屋に寄らずに下に見え出したシュテル湖に下りた。
フルーアルプヒュッテ前から標高2537mのシュテル湖へはマッターホルンを正面にダラダラと下って直ぐに着く。シュテル湖は周囲をぐるっと回れるようになっていて、のんびりと景色を楽しめる。この辺に来ると、ウンターロートホルン駅や中間駅のブラウヘルト(Blauherd)から下ってきた人で賑やかになります。
周囲に花が咲く岩に腰掛けて昼食のパンをかじっていると、「エーデルワイスはこの白い花ではありませんよね」と日本人の若い3人組が訪ねてきた。「違いますね」と答えると「ずーっと探しているんですが見つからない」と残念がっていた。聞くと、男女のペアーは世界一周の旅の途中で、もう1人の女性はその友達でスイスに留学中とのこと。3人とも凄い! 若さとは素晴らしい!
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シュテル湖から見るマッターホルン(4478m) | シュテル湖から振り返って見る 左:リムプフィッシュホルン(4199m)、 中央:シュトラールホルン(4190m)、 右の尖った山:アドラーホルン(3988m) 中央の小屋:フルーアルプヒュッテ |
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シュテル湖から見る ヴェレンクッペ(中央右 3903m)、 オーバーガーベルホルン(中央 4063m)、 ダン・ブランシュ(左 4357m) |
シュテル湖から少し下りて見るマッターホルン(4478m) 左下の湖はは5年前に訪れたグリュンゼー(Gruensee) |
シュテル湖からは、グリンジゼー(Grindjisee)やモージェゼー(Mosjesee)の小さな池を通りスネガに行くのが良いらしいが、このコースは少し登り返えさねばならないので、スネガに直接下るトレイルを選んだ。
途中、マッターホルンの裾野が広々と開いてマッターホルンに吸い込まれるような気分、この景色は何?、とビックリするような雄大さ。この景色が左下の写真だが、感じた気分とはまるで違う平凡な作になってます。
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スネガへの下り道、マッターホルンの眺めが素晴らしい | スネガの近くで、 左端:ツェナールロートホルン、 右端:バイスホルン 中央左手前:プラットホルン、中央右手前:メッテルホルン |
更に下るとゴンドラが見え、スネガは直ぐ近くになる。目の前にツェナールロートホルン(Zinalrotohorn 4221m)やヴァイスホルン(Weisshorn 4505m)が鋭く聳え、その前にメッテルホルン(Mettelhorn 3406m)とプラットホルン(Platthorn 3345m)が近くに見える。今夏はこのどちらかの山に登ってみたいと思っている。
オーバーロートホルンへの登りが約500m、そこからの下りが1300m程のコースですが、ツェルマット周辺の山々を眺めながら歩くコースとしては最適な1つではないかと思う。