@セアリー・ターンズ・トラック(Sealy Tarns Track)  
 Aミューラー・ハット・ルート(Mueller Hut Route)

ミューラー・ハットはマウント・クック・ビレッジの裏山にある。村からマウント・クックを見ると、左手に真っ白なマウント・セフトンが眼に入るが、取り付きはその手前の尾根から登りだす。
始めにセアリー・ターンズのトラックを歩き次いでミューラー・ハット・ルートを歩く。ミューラー・ハットルートには標識は無くポールとケルンを頼りに登る。
 雪のミューラ・ハット
ハットの標高は1800mに満たないが、感覚的には3000mを遥かに超えた感じで、登山前にはDOCなどで天候やコースコンデションを必ず確認しておく必要があります。小屋に泊まれば朝夕の変化に富んだ景色を味わえるのですが、今回は日程の都合で日帰りとしました。小屋泊まりの場合は、DOCに登山届け(Intention Card)を出す必要があります。
ストックは2本あった方が良いと思う。6本爪のアイゼンを持っていったが、使う必要は無かった。
 インターネット情報:
Mueller Hut (英)
 歩いた日:2008年12月02日
 コース:
Car Parkー(30min)Zig Zag開始ー(1h30min)Sealy Tarnsー(1h30min)Saddleー(30min)Mueller Hut(Lunch Time 45min)ー(30min)Saddleー(50min)Sealy Tarnsー(1h10min)Car Park
 行きの合計時間:4h
 帰りの合計時間:2h30min
 標高差:1008m
 最高標高:1768m




@セアリー・ターンズ・トラック(Sealy Tarns Track)


ホワイト・ホース・ヒル・キャンプ場の駐車場
正面がマウント・セフトン、左の尾根がトラックの取り付き


トワイズル(Twizel)の町に泊まっていたので早朝レンタカーで出発。1時間弱でホワイト・ホース・ヒル・キャンプ場(White Horse Hill Campground)の駐車場に着く。早朝トワイズルから遠く見えていたマウント・クック(Mt Cook)やマウント・セフトン(Mt Sefton)のピークは雲の中に入ってしまったが、ミューラー・ハット(Mueller Hut)の尾根は見えていて、先ず先ずの天気に思える。
日本からクライスト・チャーチに昨日の朝着いて、レンタカーを借りて昨夕トワイズルに移動、今日が山歩き初日。少し身体がだるいが元気に出発。



駐車場からキーア・ポイント・トラックに一度入り、直ぐに標識に従い左に別れセアリー・ターンズ・トラック(Sealy Tarns Track)に入る、小川に沿って暫く歩いた後、尾根に取り付き急なジグザグの道を進む。大方階段状に作られていて整備された道だが、樹林帯で見晴らしは利かない。


大岩の上で、ミューラー・レイクとフッカー・レイク

ジグザグの尾根に取り付いてから黙々と高度を上げて25分、平たい大岩に出る。ここでパーッと景色が開ける。眼下にミューラー・レイク(Mueller Lake)と黒く汚れた氷河の末端、その奥にモレーン(Moraine)が横たわり、更にその奥にはフッカー・バレー(Hooker Valley)のフッカー・レイク(Hooker Lake)が見える。
マウント・クックは流れの急な雲の中にあり見えない。

南に目をやると、マウント・クックビレッジが見えだし、フッカー川の先にタズマン川も見える。この岩場は絶好の休憩場所。






岩場からまた樹林帯の中の急なジグ・ザグ道を進む。次第に木の高さが低くなり、所々ガレ場も出てきて多少足場の悪いところもある。見晴らしは次第に良くなり景色を眺めながらの登りとなり、気分も良くなる。

セアリー・ターンズの池

完全に潅木と草地になった辺りでセアリー・ターン(Sealy Tarns)に着く。ターンとは小さい池(沼)のことだが2つある。池自体は大した綺麗なものでも無いが、窪地になっていて一息ついて景色をゆっくり眺めることができる。
マウント・クックの山並みはもちろん、フッカー・バレー、マウント・クック・ビレッジ、それにタズマン川が広がり、マウント・セフトンのハンギング氷河も直ぐそこに見える。
セアリー・ターンズ・トラックはここで終わる。




マウント・クックの山並みは黒い雲で覆われているが、スタートした駐車場やビレッジのハーミテージホテルの建物が良く見える。その右上の山の窪地は、6年前に雨の合間を縫って登ったレッド・ターンズ(Red Tarns)があるあたりに違いない。
マウント・セフトンのハンギング氷河 
マウント・クック・ビレッジ(下)とレッド・ターンズ(右上の山の窪地)
ミューラー・レイクと駐車場(右下)             




Aミューラー・ハット・ルート(Mueller Hut Route)


セアリー・ターンからはミューラー・ハット・ルートになる。標識は無くなりオレンジ色のポールとケルンを目印に登る。殆どのところにははっきりした踏跡があるが、砂礫や雪渓や岩石地帯はポールとケルンを頼りに歩く。

フッカー・バレーとマウントクックの山並み
一番良く見えたマウントクック


始めは草地と潅木の分かり易い急坂の道が続くが、次第に石混じりの不規則なルートになる。見晴らしは一段と良くなるが、足元には注意が必要。
少しマウントクックの山が明るくなり、何となく山の形が想像できるところまで晴れてきたが、これが今日のベストだった。






1つ目の雪渓を登る
上に見えるのが2つ目の雪渓



砂礫やガレの傾斜になり、次いで雪渓が姿を現した。右手の雪渓は傾斜が急で左手の雪渓を登る。6本爪のアイゼンを持ってきたが必要は無かった。1つ目の雪渓を登りガレ場を通って2つ目の雪渓の左手を登る。1月に入れば恐らく雪渓は小さくなるがガレ場が増えるので、これはこれでまた登りにくいかもしれない。











2つ目の雪渓を登りきった所が稜線の鞍部だった。標高は腕時計の高度計で1690mを示している。鞍部を越えた谷はミューラー氷河の筈だが深くて底が見えない。向かいのマウント・セフトンの頂上は雲の中だがハンギング氷河が荒々しく目の前にせまる。所が谷から猛烈な強い風が吹き上げてきて鞍部に立っていられない。登ってきた雪渓側に身を沈め、防寒具を着、手袋をはめて休憩する。

鞍部から見るマウント・セフトンの氷河、右端の突き出た岩迄踏み跡がある。ルートは左


雪渓側から見る景色も凄い。高度感が増しマウント・クックの前峰の裏に明日歩く予定のタズマン・バレー(Tasman Valley)の山並も見える。フッカー・レイクも随分と下に見える。

鞍部から見るフッカー・バレーとマウント・クックの前峰、マウント・クックは左端、ピークは雲の中
右奥はタズマン・バレーの山並み 


大きな岩が積み重なる間を歩く

鞍部からは左にほぼ直角に曲がり谷と平行に進むと、次第に大きな岩が積み重なった登りのルートに入る。先が見えないのでオレンジ色のポールを探しながら進む。

登りがほぼ終わった辺りでミューラー・ハットの姿が雪渓の先に見え出す。右手奥にも白い氷河(多分ミューラー氷河)が見え出したが、突然アラレ混じりの雪が横殴りに降り出し、視界が無くなってしまった。





顔にアラレが当たり痛い。登りは緩やかになったが石だらけで目印のポールを見失わないように進む。途中、左真下にマウント・クック・ビレッジが見えたが、左は崖なので右寄りに歩く。雪とアラレはますます激しくなったが直ぐ近くにミューラー・ハットが見え出し急いで小屋に飛び込む。

ガイドと共に歩いてきた10人程の団体が先に着いていて昼食中。小屋は賑やか。我々も昼食をとる。そこにマウント・オリヴィエ(Mt Ollivie 1933m)に登ってきた日本人夫婦が入ってきた。マウント・オリヴィエのルートにはポールは無く目印はケルンだけだったこと、どこがピークか分からないほど頂上が広いこと。登っ時には未だ視界が良く素晴らしい眺めだったことなど、色々と話を伺いながらゆっくりと休憩した。
我々も、もし天気が良ければマウント・オリヴィエに登りたいと思っていたが、この天気では無理と諦める。

雪の中のミューラー・ハット かすんで見えるマウント・オリヴィエの山

帰りは来たルートを戻る。アラレは無くなったが相変わらずの雪。鞍部の手前で踏み跡をたどって下りたが、途中で踏跡が無くなり目印のポールも見失う。どうも鞍部より谷側に少し下りてきてしまったようなので、登り返すと鞍部に出た。この辺りは要注意です。






帰りに出会った雪渓の上のキーア(Kea、 山岳オウム)




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