アイスフィールドキャンプ場に2泊するので食料を買い込み、登山の前日にバンフを出発し、午後キャンプ場に着き、さっそくテントを張った。林の中の綺麗なキャンプ場で、テントの張る位置と車を止める位置が決められていて、テントとテントの間もプライバシーを保つのに十分なスペースが確保されていた。 一休みの後、アイスフィールド・センターの中にあるビジター・センターに登山の届け出をしに行った。応対するのは女性で、名前、住所、年齢から始まり、登山の時の服の色、ザックの色、車の形式と車体の色を聞いてきた。捜索の助けにする為のようだ。スペルの説明でややこしくなり、書こうか聞いたら、いや他の人が書いたものは読めなかったら問題なので、自分で書くという。後日グレーシャー国立公園のキャンプ場で、管理人がキャンプ申込者に質問しながら申込書に自分で記入しているのを見た。受付者が自分で書くよう徹底されているようだ。朝6時登山開始とコダマ氏が言うとそれは遅すぎるという。頂上には行かない、中腹までで返って来るというと、不思議な顔をしながらも納得したようだ。
登山口はアサバスカ氷河の雪上車(スノー・コーチ)に乗る専用バス道路の途中にある。登山届は専用道路の通行と駐車の許可を兼ねている。
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アイスフィールド・キャンプ場を出て、バス専用道路に入り、道路の途中にある登山口に車を止める。既に一台が止まっていた。天候は曇り、若干頂上が雲で隠れているが、視界は悪くない。登る目標を岩が露出した辺りと決めた。 私も女房も風気味でコンディションはもう1つだが、気合を入れて歩き出す。左に小さな谷の川が流れ、右は細い雪渓の間の踏み跡がある傾斜を登る。次第に登りが急になり、ガレ場を登り、更に雪渓を登る。登りきると傾斜が緩くなり、右側にルートをとって進むと小さな池があり、氷河の端に着く。ここでトランポン(アイゼン)を付け、ハーネスを腰につけロープを固定する。
氷河の上に雪が積っていて、時々膝上まで潜る。雪渓の上を歩くのと変わらないが、下には分厚い氷河が隠れていると思うと緊張する。ひたすら登る。視界に入るのは白一色になる。ようやく目標の岩の露出したポイントに着く。登り始めて約4時間が経過している。正面のウィルコックス・ピーク
(2886m) とほぼ同じ高さに見えるので、2800m程度の標高まで来ていると思う。
予定では氷壁を登るルートを考えていたが、氷の状態が良くないので止めたそうだ。バアイーと言って走るように下りていった。我々はゆっくり下りる。 車に着き、氷河歩きを無事終えた。目の前をアサバスカ氷河へ行くバスが満員の乗客を乗せて、次々と通りすぎて行く。緊張感がようやく解けた。
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