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 マウント・アサバスカ登山(Mt Athabasca Climbing) *ガイド付き


アイスフィールド・センターからアスバスカ氷河を見たときに、左上に白い大きな山が見えるが、これがマウント・アサバスカです。標高は3443mで、ほとんどが氷河で覆われた山です。
ガイド役のレイ・コダマ氏が、せっかくカナダに来るなら氷河の山に登らない手はないとのことで、氷河の緩まない6月中旬にカナダに入りアサバスカに登ることになったものです。もちろん我々夫婦には充分な体力と技術が無いわけで、行ける所までということにした。靴は靴底の硬い重登山靴が必要とのことで、日本で購入し、何度も足慣らしの山歩きをしてからカナダに来た。
マウント・アサバスカ  
アイスフィールド・キャンプ場の裏山から  スケッチ
 


アイスフィールドキャンプ場に2泊するので食料を買い込み、登山の前日にバンフを出発し、午後キャンプ場に着き、さっそくテントを張った。林の中の綺麗なキャンプ場で、テントの張る位置と車を止める位置が決められていて、テントとテントの間もプライバシーを保つのに十分なスペースが確保されていた。
一休みの後、アイスフィールド・センターの中にあるビジター・センターに登山の届け出をしに行った。応対するのは女性で、名前、住所、年齢から始まり、登山の時の服の色、ザックの色、車の形式と車体の色を聞いてきた。捜索の助けにする為のようだ。スペルの説明でややこしくなり、書こうか聞いたら、いや他の人が書いたものは読めなかったら問題なので、自分で書くという。後日グレーシャー国立公園のキャンプ場で、管理人がキャンプ申込者に質問しながら申込書に自分で記入しているのを見た。受付者が自分で書くよう徹底されているようだ。朝6時登山開始とコダマ氏が言うとそれは遅すぎるという。頂上には行かない、中腹までで返って来るというと、不思議な顔をしながらも納得したようだ。
登山口はアサバスカ氷河の雪上車(スノー・コーチ)に乗る専用バス道路の途中にある。登山届は専用道路の通行と駐車の許可を兼ねている。


 歩いた日;2004年6月20日
 ルート(左の写真)
マウント・アサバスカのルート(ピンクの線)、実戦は歩いたルート、点線は頂上へのルート

次の日、ウィルコックス・リッジの取り付きから写したマウント・アサバスカ

アイスフィールド・キャンプ場を出て、バス専用道路に入り、道路の途中にある登山口に車を止める。既に一台が止まっていた。天候は曇り、若干頂上が雲で隠れているが、視界は悪くない。登る目標を岩が露出した辺りと決めた。
私も女房も風気味でコンディションはもう1つだが、気合を入れて歩き出す。左に小さな谷の川が流れ、右は細い雪渓の間の踏み跡がある傾斜を登る。次第に登りが急になり、ガレ場を登り、更に雪渓を登る。登りきると傾斜が緩くなり、右側にルートをとって進むと小さな池があり、氷河の端に着く。ここでトランポン(アイゼン)を付け、ハーネスを腰につけロープを固定する。

マウント・アサバスカの氷河の中腹(約2800m)から見るパノラマ             

氷河の上に雪が積っていて、時々膝上まで潜る。雪渓の上を歩くのと変わらないが、下には分厚い氷河が隠れていると思うと緊張する。ひたすら登る。視界に入るのは白一色になる。ようやく目標の岩の露出したポイントに着く。登り始めて約4時間が経過している。正面のウィルコックス・ピーク (2886m) とほぼ同じ高さに見えるので、2800m程度の標高まで来ていると思う。

足場を作り写真を撮り休憩する。この辺まで来ると氷河の氷が雪の直ぐ下にある。氷河を削り取って口にほおばる。何千年か何万年か前にできた氷が解けて口を潤す。喉に流れ込む冷たさを感じながら、いくつになっても歩けるようにと祈る。
下りは、大パノラマを正面に見ながら下るが、足元を見ながら慎重に足を運ぶ。後ろを振り向くとトラバースの辺りに2人が下りてくるのが小さく見える。氷河の終わる所でトラポン(アイゼン)を外し、ロープを外す。雪の上に何匹か七星てんとう虫がとまっている。ミネラルを取る為に上がってくるのだろうか。
休憩していると、さっき見えた2人がもう下りてきた。若い背の高いカップルで、頂上は雪が降っていてまだ冬だという。カルガリから昨日来て、キャンプ場に泊り、早朝登り出したそうだ。

予定では氷壁を登るルートを考えていたが、氷の状態が良くないので止めたそうだ。バアイーと言って走るように下りていった。我々はゆっくり下りる。
車に着き、氷河歩きを無事終えた。目の前をアサバスカ氷河へ行くバスが満員の乗客を乗せて、次々と通りすぎて行く。緊張感がようやく解けた。



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