マイスコーゲルバーンからアレクサンダー・エンツィンガー・パス
  (Maiskogelbahn to Alexander Enzinger Path)


なぜアレクサンダーという名前がついているのか分かりませんが、アルプスでは珍しく尾根歩きがメインのトレイルで、まるで空中回廊を歩く感じです。しかもトレイルは草付きの緑ですっぽり覆われていて、高山植物が咲き乱れ、360度の展望を楽しみながら気持良く歩くことができます。緑の中を歩いていると、何処となく北アルプスの雰囲気を感じさせるコースでした。
トレイル近くに咲くアルペン・ローゼの花と
ホーエ・タウエルンの峰(奥)
通常はグレッチャーバーン(Gletscherbahn)ゴンドラの中間駅・アルピンセンター(Alpincenter)からスタートし、マイスコーゲルバーン(Maiskogelbahn)の頂上駅まで下るのが一般的のようですが、キッツシュタインホルン(Kitzsteinhorn)やホーエ・タウエルン(Hohe Tauern)の峰々を正面に見ながら登ったほうが良いのではと思い、逆のマイスコーゲルバーン頂上駅からアルピンセンターへと歩きました。
 インターネット情報;
     Kitzsteinhorn, Kaprun (英)
 歩いた日; 2006年7月9日
 コース;
Maiskogelbahn頂上駅-(20min)Glocknerbrick Hutte-(40min)Dreiwallnerhoehe-(50min)Schoppachhoehe-
(1h10min)Stangerhoehe-(15min)分岐(50min)KrefelderHutte-(35min)Alpincenter

[合計時間; 4h40min  標高差;906m  最高標高;2446m]



マイスコーゲルバーンのゴンドラ乗り場はカプルンからバスで直ぐの所にある。始発のゴンドラは9時、意外に遅い。

グロックナーブリックヒュッテ

前日からの雨は上がったが、山は一面のガスで、ゴンドラ頂上駅は視界ゼロ。
道標に従い歩き出して暫く登るとグロックナーブリックヒュッテ(Glocknerblickhutte)に着く。ブリックとは展望の意味で、ここからグロースグロックナーが見えるらしいが、相変わらずのガスで何も見えない。


ドライヴァルナールヘーエ

ヒュッテから次第に尾根筋に入ると、少しづつガスが晴れてきた。小屋から標高差200mほど登るとドライヴァルナールヘーエ(Dreiwallnerhoehe)の標識が立つ小さなピークに出る。ここでようやくガスが晴れ始め明るくなり氷河の峰が見えだした。

ここからアップダウンを繰り返しながら尾根を登る。、樹木が無くなり、辺り一面が緑の草や潅木で覆われだす。アルペンローゼの赤い花で埋まっているかと思えば、黄色や白やピンクの高山植物の花が次々と現れる。

ドライヴァルナールヘーエを下にして登る 拡大→ 振り返る

ちょっとしたピークのショパッハヘーエ(Schoppachhoehe 2069m)に着く。前の展望がバーンと開けた。

正面に雲の合間からチラッとキッツシュタインホルンのピーックが見えた。左手はダム湖を挟んで3300m前後のピークが並ぶ。雲が多くすっきり見えないのが残念。
ショーバッハヘーエからのキッツシュタインホルン ショーバッハヘーエから谷を挟んだ峰


拡大→


尾根はどんどん狭まり、沢山咲いている花をゆっくり観賞できない。

スタンガーヘーエ 拡大→

更に尾根がぐっと狭まりロープが設けられている。左右の谷を覗き、正面の険しい山を仰ぎ見ながら、爽快な尾根歩きを楽しんだ。

細い尾根が終わったところにスタンガーヘーエ(Stangerhoehe 2212m)の表示がある。マイスコーゲルバーンの頂上駅からここまで、アップダウンを繰り返しながら約700mの標高差を登ってきましたが、疲れを感じさせないトレイルでした。

スタンガヘーエの表示場所からキッツシュタインホルンの氷河を望む

スタンガーヘーエ付近から、目指すアルピンセンター(左)と氷河が良く見えるようになります。

スタンガーヘーエから少し歩くとザルツブルガーヒュッテ(Salzburgerhutte)やへウスアルム(Haeusalm)の中間駅に下りる分岐にでます。これを真っ直ぐ行き、小さな流れを幾つか渡りながらトラバースの道を進む。

アルピンセンターを上に見る辺りで突然ブルトーザーで削り取ったような砂利道になり、道が分かりにくくなる。クレフェルダーヒュッテ(Krefelderhutte)が見えるがその前にやたら広い砂利道がアルピンセンターのあるゴンドラ駅に向かっているのでこれを歩き始めた。けっこう急な上に、砂利で靴の踏ん張りが利かない。頭の上はゴンドラが走る。曇り空なのになぜかこの砂利道だけを太陽が照りつける。疲れがどっと出て前に進まない。たまらず左側のガレ石を横切り、草地に小さな踏跡を見つけてこれを登った。クレフェルダーヒュッテ近くからアルピンセンターまでの3〜40分の登りはつらかった。

アルピンセンターに着いたら上に行くゴンドラに乗りキッツシュタインホルンに行くつもりをしていたが、ピークは完全に雲に隠れていて、いつ雨になってもおかしくない空模様。諦めてゴンドラで麓に下りた。



(注1)
アルピンセンター下側の荒れた地域を登っても少しも面白くありません。今回のようにマイスコーゲルバーンから登る場合は、分岐から左に折れてへウスアルムの中間駅に下りるのが得策だと思います。キッツシュタインホルンに行くとしても、ゴンドラを1つ乗り換えれば良いことです。

(注2)

インターネット情報のキッツシュタインホルン(Kitzsteinhorn)のサイトで、アレクサンダー・エンツィンガー・トレイルのハイキング時間が、アルピンセンターからマイスコーゲル迄 2時間半となっています。下りのコースとはいえ、これはかなり早足の人の場合と思います。通常は3時間半程度は見ておく必要があるように思います。

(注3)
小口和利著 山と渓谷社「オーストリア・アルプス・ハイキング案内 初版」 にある「No.44、キッツシュタインホルンからグロックナーブリックヒュッテ」の項で、「グレッチャーバーンのケーブルカーがトンネルをくぐり一気にアルピンセンター駅まで行く」、となっていますが、このケーブルカーは廃線になっています。現在は、ゴンドラになっていて、もう1つの中間駅・へウスアルム(Haeusalm)の駅で乗り継ぐようになっています。


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