19.ゲロはき

 朝、麻阿りんが、ゲボゲボ言っていた。麻阿りんママは「あっ、麻阿りんがゲロはいてる〜」と叫んで布団を蹴って、跳び起きた。そして、「麻阿りん、だいじょうぶか〜、出したかったら、おもいっきり出しや〜」と言いながら、麻阿りんの背中をさすった。以前にも餌が喉につまって苦しそうにしたとき、麻阿りんママは、すぐに麻阿りんのそばに行き、背中をトントン叩いてあげたこともあった。今回もそのときもそうだったのだが、一段落ついて、麻阿りんをケージから出したとき、麻阿りんは、ス〜と麻阿りんママのそばに行き、お座りをしてもたれかかり、麻阿りんママの肩に片手をのせて、顔を下から見上げた。まるで、
「かあちゃん、ありがと〜な〜」と言ってるように。
20.ケージ

 
麻阿りんは、夜は、リビングのケージの中で寝ます。(画像や動画で写っているアレです。)
しっかり自分の居場所だとわかっているようで、麻阿りんママとパパが、おやすみ準備に入るとコタツからモソモソと出てきて、自分からケージに入ります。
また、人間大好きの麻阿りんにとってお客様は、たいへん嬉しいのですが、麻阿りんママとパパにとっては、困ります。玄関でピンポーンとなる度に「ハウス」と言って、麻阿りんをゲージに入れていました。ところが、最近では、たいてい「ハウス」と言わなくても「ピンポーン」となると麻阿りんは自分から、さっとケージの中に入るようになっていたのです。麻阿りんママ曰く
「いいことを覚えるのも早いけど、悪さも早いでな〜」
21.冷静に冷静に

5月のある日、麻阿りんママが、ガレージに麻阿りんを閉じこめて、家の中に入ろうとしたとき、足をブロックの間に突っ込んでしまい、転びそうになった。とっさにガレージの柱をつかんだところ、ナナナントそこにはガレージの扉を開けるボタンが〜! 
ガレージの扉が上がっていく。麻阿りんが外へ・・・!
麻阿りんママの頭の中では、(ぎゃ〜、足が痛い〜! ぎゃ〜、ガガガレージが〜! ぎゃ〜、麻阿りんが出て行った〜! ああ足がぬぬ抜けない〜! 麻麻麻阿り〜ん!)
しかし、ここで騒いでは、かえって麻阿りんが逃げ回り、自動車にひかれたりするかもしれないと考え、うずく足をこらえて、にこやかに「麻阿〜、ハウス〜!」
麻阿りんは、(何やってんの?)っていう感じで、門から入ろうとするが、門は閉まっていた。
麻阿りんママは、ガレージの扉を閉めるボタンをおし、痛む足を引き抜き、胃がキリキリと痛みながら、何とか門を開けた。麻阿りんは、そこからピョンと入ってきた。
麻阿りんママは、足がうずき、胃が出血し、脂汗を垂らしながら家の中に入っていった。

あれから7ヶ月、麻阿りんママは足がうずくたびに
(なんて、私は冷静な女性なんだ〜)と自分で自分を誉めている。