ポヴァティ・ポイント文化

 H O M E
世界の歴史:鳥瞰図
北アメリカの先住民族

                                                                                                              



これはアメリカ合衆国ルイジアナ州のウェスト・キャロル・パリッシュにある古期のマウンド遺跡でマイケル・コウ他著「古代のアメリカ」(朝倉書店刊)には以下のように解説してあります。


※前1500年から前700年にかけての遺跡、ポウアティ・ポイントの中心部は、同心八角形によって構成されている。現在は保存措置が講じられて、公開されている。西側の主マウンド(MoundA)の上からは、春分と秋分の日に、太陽が八角形の中心点の真上に昇⊃てくるのがはっきりと見える。しかし、このような主マウンドの位置が、本来意図されたものだったかどうかはわからない。

おそらくは北アメリカで最も壮大な古期の遺跡は、ルイジアナ州のポヴァティ・ポイントにある大土製建造物複合であろう。中心部、すなわち村落は、六つの同心八角形によって作られ、最外郭の直径は約1300 m におよぶ。一つ一つの八角形は、土を盛りあげた畝を組み合わせて作られている。この八角形の複合体は、もともと完全な形で作られていたかもしれない。しかしのちに、付近を流れる川によって、部分的に削り取られてしまった。村の西側、つまり川から離れた所にある大きなマウンド(MoundA)は、高さが20m以上あり、基底部の長さは200 m をこえる。これは、八角形複合へと下る長い斜面部もふくんだ長さである。北側にはいくぶん小さめのマウンドが立っている。古代メキシコ文化の影響が南方からおよんだのではないかとも考えられるが、ポヴァティ・ポイントは、北アメリカの古期の長い発達過程の産物であると見てよいだろう。

ポウアティ・ポイントで発見された遺物の中には、何千という土の球があった。これらは、焼石煮沸調理に使われたもののようである。ミシシッピ川流域の沖積土から石を見つけ出すのはむずかしいので、石のかわりに土が使われたのだろう。熱した土の球を入れて食物を煮炊きすれば、容器を直接火にかけなくてすむので、壊れやすい容器や燃えやすい容器も使用できる。数例だが、土で鳥や人間の形が作られていることもある。(参照:下の粘土の球や土偶の図)


また「世界考古学事典」(平凡社)には次のように解説してあります。

北米ミシシッピ川下流域のルイジアナ州北部の遺跡。1952~55年J.A.フォードらにより調査された。大小三つのマウンド、同心円状に6列並ぶ八角形の土塁、多数の住居址からなる。槍先、石製ナイフ、石錐、石斧、石製容器、パイプなどの遺物を特徴とする。後期アーケイック文化期から初期ウドランド文化期に比定され、両文化の特徴を合わせもち、特異な位置を占めている。文献:Ford,J.Aほか 1956


なお、さらに詳しい解説は日本語のものが現在見当たりません。英語のWikipedia「Poverty Point culture」および「Poverty Point」を参考にして下さい。

【追記】1997年9月ルイジアナ大の考古学者ジョー・W・ソーンダーズ他が「サイエンス誌」にワトソン・ブレークという複合マウンド遺跡について発表しました。これはさらに1900年古くB.C.3400年頃に遡ります。これが現在では西半球最古の遺跡とされています。詳しくはそのページをご覧下さい。

参考写真


俯瞰図(Wikipediaから)

GoogleMapによる(左端中央がMoundA)

想像断面図
出土した粘土の球
これを熱して鍋に入れ食べ物を煮炊きしたとされる
出土した女性像
ほかに顔なども見られる。
土偶
左の様に出土したものの一つ。高さは5cm弱。