古代の井戸
(The Oldest Water Wells in the World)
 人類歴史年表
文明の誕生へ
ナブタ・プラヤ


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 遺跡一覧表

 紀元前5,000年以前に、現在のような 「井戸」 は有ったのだろうか?そんなことを調べてみました。
注目すべき点を列挙してみると・・・
  (1)意外にも、文明の発達とは無関係に、アメリカ大陸からスタートしていること。
  (2)レヴァント地方では、本土ではなく、先ずキプロスから始まっていること。
  (3)木工作業の着手が意外に遅く、しかも全般に文明の開化が遅いヨーロッパから始まっていること。
の3点です。ただし、未だ今後発掘される可能性もあるので、あくまで今日現在のものです。


遺  跡  名(クリックで地図・写真など)    地      域  年    代 直径・深さ(約) 備         考  出          典  
クローヴィス遺跡
(Clovis Type Site)
U.S.A.
ニューメキシコ州 
B.C.11,500年頃  直径60cm・深さ1.4m 不思議なことにアメリカ大陸が、最古の記録を示しています。ベーリンジアを渡ったモンゴロイドである、パレオ・インディアンが最初に作り上げたクローヴィス文化(石期)に最初の井戸が見られます。  A Clovis Well at the Type Site 11,500 B.C.から
Blackwater Draw locality 1」から/Blackwater Draw, the Clovis Site.wmvから
サン・マルコス・ネコストラ遺跡
(San Marcos Necoxtla)
 メキシコ・プエブラ  B.C.9300年~4800年  直径10m・深さ5m クローヴィス文化の担い手が南へ向かう途中、ここで設営したものだと思われます。  A Late Paleo-Indian/Early Archaic Water Well in Mexico」から
キソネルガ・ミルトキア遺跡
(Kissonerga-Mylouthkia)
キプロス島(西部)    B.C.8563年頃~6836年頃  直径2m・深さ8m  下の 「アトリット・ヤム」 や 「シャール・ハゴラン」 などの、レヴァントの陸地より、キプロス島が約1000年、先行している理由は、解明されていません。直ぐ側にいくつもの 「泉」が有るので、飲み水の必要性からでなく、何か社会的・イデオロギー的な動機が想像されています。   渇きの考古学」p.56から/「Mediterranean Voyages」p.144から/Water, Life and Civilisationp.198から/「COPPER AGE CYPRUS」から 
 シロロカンボス遺跡
(Shillourokambos)
  
キプロス島(南部)   B.C.8550年頃~7000年頃  直径1m
・深さ4.5~5.4m
 
ミルトキア同様、下の 「アトリット・ヤム」 や 「シャール・ハゴラン」 などの、レヴァントの陸地より、キプロス島が約1000年、先行している理由は、解明されていません。  Mediterranean Voyages」p.144から/「The Oxford Handbook of the Archaeology of the Levant」から/「Europe Before Rome」p.129、p.130から/Water, Life and Civilisationp.198から
  テル・セクル・アルアヘイマル遺跡
(Tell Seker al-Aheimar)
シリア北東部
・ハブール平原
B.C.8500年頃~7000年頃  直径2m・深さ4.5m  ユーフラテス川の支流、カブール川(Khabur River)の直ぐそばにあります。河川の汚濁した水を使わず、浄化したものと推測されています。  Excavation of a 9,000-year-old Water Well in Mesopotamiaから
Tell Seker al-Aheimar」から
アトリット・ヤム遺跡
(Atlityam)
イスラエル B.C.7500年~6000年頃 直径1.5m・深さ5.7m 陸の沈下によって、現在では海底に有ります。沈下直前までは「ゴミ捨て場」だったことが、沈殿物から推測されています。なおこの遺跡からは最古の結核患者も出土しています。  渇きの考古学」p.57から/「Water, Life and Civilisation: Climate, Environment and Society in the Jordan Valley」p.199から/「Atlit Yam, zatopiona neolityczna osada 」から
ナブタ・プラヤ遺跡
(Nabta Playa)
 
南エジプト    B.C.7000年頃  直径1.25m・深さ1.8m 古代エジプトの「ナブタ・プラヤ」の当時の生活の様子は、こちらからごらんいただけます。  Holocene settlement of the Egyptian SaharaⅠ」p.120から 
 ナブタ・プラヤ遺跡
(Nabta Playa)
 
南エジプト  B.C.6300年頃  幅4.3m・深さ2.8m  数百年遅れで「ウォークイン方式」へと進歩しました。こちらの写真や図面も、有りません。 Holocene settlement of the Egyptian SaharaⅠ」p.143、p.324、p.660~3から 
  シャール・ハゴラン遺跡
(Sha'ar HaGolan)
 イスラエル B.C.6300年頃   直径65cm・深さ4.3m  この遺跡はリストの中ではもっとも大きなもので、ここでは高度な都市計画が進んでいたと推察されています。  渇きの考古学」p.58~から(「Thirst」から)/Water, Life and Civilisation: Climate, Environment and Society in the Jordan Valley」p.199他から
ライプチッヒ地方
(Greater Leipzig region)
ドイツ  B.C.5206年~5098年頃  一辺1.15m・深さ7.0m  世界最古の(木工)大工仕事と言われています。 World's Oldest Wooden Water Wells Discovered」から/「Early Neolithic Water Wells Reveal the World's Oldest Wood Architecture」から/「世界最古の大工仕事は石斧で ドイツ 」から
 河姆渡遺跡
(Hemudu culture)
 中国  B.C.5000年~3500年頃  計測例なし この文化の農業レベ ルは、稲作が占める割合はきわめて限られ、全体的にみれば、やはり採集経済でした。なおこの遺跡には、欄干式の木造長屋があり、千点以上の木製の部材が出土しており、「ホゾ」の技術も存在しました。 丘桓興著「長江文明を訪ねて」から
中村慎一「河姆渡文化研究の新展開」から
 


井戸の場所・写真・断面図

クローヴィス遺跡 (B.C.11,500年頃)   戻る
 所    在    地  写     真  断  面  図

     A Clovis Well at the Type Site 11,500 B.C.から

発掘中の状態です。
Blackwater Draw locality 1」から

上の案内板は左右10cmです。「A Clovis
Well at the Type Site 11,500 B.C.
から

「同左から改変。

サン・マルコス・ネコストラ遺跡 (B.C.9300年~4800年)    戻る
 所    在    地  写     真

A Late Paleo-Indian/Early Archaic Water Well in Mexico」から

下の地下水路が井戸底です。
A Late Paleo-Indian/Early Archaic
Water Well in Mexico
」から
  

キソネルガ・ミルトキア遺跡 (B.C.8563年頃~6836年頃)   戻る
 所    在    地   断  面  図

                          「COPPER AGE CYPRUS」から

THE COLONISATION AND SETTLEMENT OF CYPRUS」p.87から 

「同左」p.88から 

シロロカンボス遺跡  (B.C.8550年頃~7000年頃)   戻る
 所    在    地  写     真 

                          「COPPER AGE CYPRUS」から

井戸の底から見上げた写真。「足が
かり」が見えます。「同右」から
 

発掘現場。井戸らしき「坑」もうかがえます。
Europe Before Rome: A Site-by-Site Tour of the Stone, Bronze, and Iron Ages」から

テル・セクル・アルアヘイマル遺跡 (B.C.8500年頃~7000年頃)   戻る
 所    在    地  写     真 

          Tell Seker al-Aheimar」から

Tell Seker al-Aheimar」から

Excavation of a 9,000-year-old Water Well in Mesopotamia
から

 アトリット・ヤム遺跡 (B.C.7500年~6000年頃)   戻る
所    在    地  写     真   断  面  図

Wikipedia」から

The submerged Pre-Pottery Neolithic water well of Atlit
-Yam
」から 

右図からも明らかなように、現在は海底にあります。
Atlit Yam, zatopiona neolityczna osada 」から

The submerged Pre-Pottery Neolithic water well of Atlit-Yamから

ナブタ・プラヤ遺跡B.C.7000年頃~6300年頃)   戻る
 所    在    地  断  面  図

    「古代エジプト文明社会の形成から一部改変
 
きわめて原初的であるのは、「砂漠」という条件のせいでしょうか。
番号に対応する説明は下記出典にもありません。
Holocene settlement of the Egyptian SaharaⅠ」p.103、p.120から 

シャール・ハゴラン遺跡(B.C.6300年頃)   戻る
 所   在   地  写     真  断  面  図

The Megalithic Portal」から

発掘中の外観。「Thirst: Water and
Power in the Ancient World
」から。


断面写真。
The domestication of water から

断面図のイラスト。「同左」から。

ライプチッヒ地方(B.C.5469年~5098年頃)   戻る 
所  在  地 写     真  
Stein Zeit」から Eythraの遺跡 Altscherbitzの遺跡
初期新石器時代の木工細工(左のA図の井戸) 
Early Neolithic Water Wells Reveal the World's Oldest Wood Architecture」から  

河姆渡遺跡 (B.C.5000年~3500年頃)   戻る
 所    在    地  写     真  復 元 写 真

【河姆渡遺址】から 

復元を試みたもの。長江文明を訪ねて」から




キプロス島・レヴァントの古代年表

キプロス島・レヴァントの古代年表と遺跡の分布   戻る   キプロス島の代表的遺跡の年代

THE COLONISATION AND SETTLEMENT OF CYPRUS」p.87から


上の表の年代と照合確認してください
The Oxford Handbook of the Archaeology of the Levant: c. 8000-332 BCE」p.186から
  
 
THE COLONISATION AND SETTLEMENT OF CYPRUS」p.84から


Neolithic Dispersals from the Levantine Corridor」p.40から一部改変
 

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