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インドでは南西の貿易風の発生する6月から9月、風が山間部で冷却し 
雨季となる。季節風はインド洋の熱く湿った空気を肥沃なデカン高原へと運ぶ。 
私がインドを旅したのはその頃、1973年8月だった。 
  
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   アジャンタの石窟寺院は紀元前後から7世紀にかけて造営。 
  
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   祈ることを忘れ、祀ることを忘れてしまった21世紀の人々に、 
   あなたたちのからだのなかに霊的空間をつくってください、そして 
   仏の美しい響きをきいてください、そう訴えているような気がします。 
  
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この仏像をつくった仏師は、私たちが感じなくなった意識の底にある何かを 
通じて神々に至る道を辿ったのではないだろうか。そして、仏の慈悲にすがる 
ことで人を救おうする菩薩の姿をこの世に刻もうとしたのではないだろうか。 
  
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     この彩色豊かな菩薩壁画はグプタ朝末期の傑作のひとつ。 
     仏教とヒンドゥー教が混淆したかのごとき絵。豊満さと気品。 
  
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  仏教の説話に基づいてこれらの壁画は描かれている。 
  よくみると、輪郭の引き方、くま取りの仕方に特長のあることがわかる。 
  
  
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恵み深いインドの大地は、芳醇で美味な果実を人々に提供する。 
マンゴ、ナツメ椰子、ゴイアーブなどの果実、香料、胡椒、肉桂など。 
大航海時代、ポルトガル人やスペイン人が来る何千年も前からインドは 
この恩恵に浴してきたのである。なんという豊饒、なんという放逸。 
  
だがインドは、それらの実りを十分認識せずに生きてきたようにも思えるのだ。 
豊作も凶作も当たり前のごとく受け入れてきたのではないか。 
私たちが珍重し、崇敬するものについても同様の姿勢を通してきた。 
何事も、まるで何事もなかったかのように‥。 
  
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 エローラはオーランガバードの北西20`にある。インド石窟寺院中もっとも 
 大きく、アジャンタの優れた壁画に対して、ここには優れた彫刻が多数ある。 
  
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No.1〜12窟は仏教(7〜8世紀)、No.13〜29窟はヒンドゥー教(7〜9世紀)、 
No.30〜34窟はジャイナ教に属し、インド三大宗教の石窟が併存する。 
  
  
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   マンマドからエローラ窟院に行く途中、はげしい雨に見舞われた。 
   エローラに到着したときはやんでいたが、丘にたまった雨が勢いよく 
   落ちてきて、びしょ濡れになりながら歩いた。 
       
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  仏教窟の菩薩像であるが、列柱のある広間を前殿とする仏殿形式の 
  11〜12窟に鎮座ましましているのがこの彫像である。 
  
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  マヘーシャムールティとしてのシヴァ神像。いわゆる三位一体像。 
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 インドは世界三大美人国のひとつであるらしい。ほかの国がどこなのか、 
 私は知らない。知っていても教えない。 
 ベラルーシの若い女性の抜けるような白い肌、ツンとそそる鼻。 
 スペイン女性の潤んだ目、肉感的な唇、抱き寄せれば吸いつきそうな肌。 
 どれも私には実を結ばないあだ花であったが、カジュラホの寺院に所狭しと 
 刻まれたミトゥナ像を眺めていると、つくづく言葉は不要であると思う。 
  
 カジュラホのミトゥナ像はうごめいている。幾層ものひだが折り重なるように 
 うごめき、ひくひく息をしている。 
  
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これらの男女交歓の彫刻が全部で827体ある。11〜12世紀につくられた。 
  
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男女の様々な姿態を巧みに表現している。その数と表現力に圧倒された。 
  
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    この彫刻群もヒンドゥー美術の一様式とされるが、図像学的に 
    どの範疇にはいるか説明しにくいのではないか。 
  
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 インドは、ヒンドゥーは、Buddhaさえも狂宴の標的にするのか。 
 だが、これを彫った男は得意げに言うだろう、「これこそがヒンドゥー教と 
 仏教の混淆なのだ」と。 
  
 仏陀と、仏陀に馬乗りしている女のうしろに二人の男がいる。 
 ひとりは顔を手でおおい、もうひとりは見てられないと頭を掻いている。 
 男たちは仏陀の弟子だろうか。 
  
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