鳥取砂丘をあとにして、9号線を東へもどる。

  ハチ高原の近くを通りかかる頃、雪が大降りになってきて、
 路上にも白く積もり始めた。

  帰れるんだろうか?
 と思ったけれど、タイヤはちゃんとスタッドレスだし、雪道走行は
 何回か経験済みである。

  せっかくだから雪で遊んで帰ろう。
 ウィンカーを出して、「スキー場」と書かれた方へ曲がる。

  適当なところに車を止めて、雪に興奮しきった沙羅を連れて
 雪の中を歩く。
  ただ歩いているだけなのに、
 身体の前面に雪がどんどん積もってくる。


  ふと、なにやら神社へ続く階段らしきものが目にとまった。

  たぶん・・・ このあたりが階段なのだろう?
 木と木の間の雪の中に足を踏み入れる。
 どうやら当たっているようだが、足はずぼっと、膝の上まで埋まり、
 次の一歩が出ない。

  沙羅はずぼずぼと、ほとんど埋まりながらも雪の山を登って
 いく。
  仕方がないので、私も沙羅を見習って、四つんばいになって
 ズボズボと、登り始めた。
 膝を折り曲げてなるべく雪に乗る面積を広くして・・・
 まるでかっこわるい姿だが、本人はすごく真剣で、そして楽しんで
 いた。

  やっと雪の階段を上り詰め、神社の境内に着いた。

  雪の上に、なぜか犬の足跡があった。
  えっ? 他に登れるところがあったのか?

  まあいい。 しばらく境内を散歩して、元来た雪の階段を
 這いつくばって降りてきた。


  雪国体験はこれぐらいにしといたろ。

 身体に積もった雪を払って、車に乗り込み9号線へもどる。

          つづく     

   前ページへ         珍道中トップへ