新しい、きれいなセドリック


セドリック4ドアハードトップ・2800SGL(1975.6〜1977.6)

 ・…というのは、昭和50年6月、セドリック330型車発売時の新聞広告コピーです。オイルショック、公害問題、安全対策など自動車に対する風当たりが強くなる中、高性能エンジンの生産を一時とりやめ排気ガス対策に全力を挙げて取り組んだ日産が、プレジデントに次いで2番目の昭和50年排出ガス規制適合車として発売したのがこの330型でした。冒頭のコピーでは、排気ガスが「きれい」と、デザインが「きれい」、をかけているわけですが、クラウンに販売台数で圧勝した先代230型、クリーンなスタイルと国産車初のターボエンジン搭載で好評価を受けた次代430型に挟まれた上に、排気ガス浄化の代償となる劣悪な動力性能と、好みの分かれる装飾過剰な内外装などから、特に自動車評論家からは良い評価を受けず、自動車受難時代のイメージとも相まって、「330は失敗作だ」と後々まで語られることになってしまいます。それでも一般ユーザーには結構好評だったのか(もともとこのクラスの車は選択肢が少なかったこともありますが)、セドリック、グロリアをあわせた330型の販売台数は意外にも当時のクラウンと良い勝負でした。

 車の出来栄えとしても、低公害車としての面目は勿論のこと、その基本設計は先代230のものを受け継ぎながら、多くの改良を受けています。操舵力を負荷に応じて変化させるインテグラル式パワーステアリングや、ラジオアンテナ埋め込み合わせガラス(バン除く)、集中ドアロック、ELRシートベルト等、現代に通じる多くの新装備が採用されています。但し、無駄としか思えない余計な装備も多く、動力性能で目立てない分、アクセサリーでごまかすしかなかった面はあったのかも知れません。

 重くて遅い330はつい数年前までほとんど注目されることはありませんでしたが、パトカー(あるいは逃走役)として登場する刑事ドラマの再放送のお陰もあってか、また各種イベントにも参加できる車齢となってきたことから、ようやく趣味の対象として認知されつつあるようです。

 

 ところで、当時のセドリックのカタログを見ると、歯の浮くような美辞麗句で飾り立てられていて、なんだかこの車を買えば偉くなったような気がする・・・と巧みな心理作戦(口車?)で購入意欲をあおっています。というわけで当時のカタログのコピー(太字)を交えながら、セドリックを紹介してみます。

外装編

内装編

330年表とグレード紹介


セドリック4ドアハードトップ・2800SGL・Fタイプ(1976.6〜1977.6)

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