セドリック・グロリア330年表


概要

セドリック(グロリア)330型車は昭和50年(1975)から昭和54年(1979)の4年間販売され、ほぼ1年ごとに改良や車種追加が行われました。グレードによりフロントグリルやホイールキャップのデザインが異なるので、外観の違いだけでも多くのバリエーションがありました。
 個人オーナー向けグレードとして、2ドアや4ドアハードトップFタイプなどが存在しましたが、購入層は公用、社用が多い時代で、現在のような販売促進のための期間限定車や特別仕様車などは販売されなかったようです。
なお、「DATSUN260C」「280C」「220C」「200C」(それぞれ数字は排気量を表す)の名で主に欧州、豪州、中近東向けとして輸出されていたようです。正式に販売されたのはセダン、エステートワゴン、2ドアハードトップの3種で、4ドアHTは個人輸入等の形でごく少数が海外に存在します。
台湾・裕隆汽車においてはセダンのノックダウン生産も行われました。



下記は主な仕様変更ですが、細かな変更は随時行われています。

昭和50年6月27日 330型車発売


4ドアハードトップ2800SGL 排気ガス規制の対応等によりその発表が数度延期され、230型発売より4年5ヶ月ぶりのフルモデル・チェンジとなった。日産ではプレジデントに次いで2番目の50年排ガス規制適合車であり、ガソリン車全車排ガス規制適合となったのも一つのポイントであった(当時クラウンの適合車は2600ロイヤルサルーンのみ)。
エンジンは従来からのL20型、および旧L26型をボアアップしたL28型に、酸化触媒、EGR(排気ガス再循環装置)、2次空気供給装置及びエンジン本体改良などにより構成されるNAPS(Nissan Anti-Pollution System)を装備している。
数値上では従来と同等の動力性能を確保していたが、車重の増加と中低速トルクの弱さから、特に2000cc車では体感上はるかに鈍重なものとなっていた。
排ガス規制対象外のバンには従来型L20が、廉価機種にはSD20型2000ccディーゼル、営業車用H20P型(2000ccLPガス仕様)も設定される。
(画像はグロリア4ドアハードトップ2800SGL)
 


ボディータイプは4ドアセダン、同ハードトップ、2ドアハードトップ及びバンで、従来のワゴンは廃止された。またSUツインキャブ搭載車(GX)の廃止により、全車シングルキャブレターと4速MTの組み合わせとなる。
4ドアはコラムシフト、フロアシフト共に選択可能、2ドアはフロアシフトのみ、ディーゼル及びバンは3速コラムシフトとなる。またデラックス以上には3速オートマチックが設定され、2800SGLにはニッサンEマチック(電子制御自動変速)及び後輪アンチスキッドがオプション設定される。
装備は充実しており、GL以上には車速感応式パワーステアリング、パワーウィンドウが、SGL以上にはカセットステレオと集中ドアロック、オーバーヘッドコンソール(フロアシフトハードトップ車のみ)が装備される(後に装備グレードの変更あり)。 内装では、シート地がSGLはアラベスクジャージ、GL、カスタムデラックスはジャージ、デラックスは発泡レザー、スタンダードはビニールレザーと区別されGL以上のドアにはグリップベルトと大型アームレストが装備される。

発表時の車種構成(セドリック、グロリア共に同じ)
車体\エンジン(排気量) L28
(2800)
L20
(2000)
SD20
(ディーゼル)
4ドアセダン SGL SGL GL カスタムデラックス デラックス スタンダード スタンダード
4ドアハードトップ SGL SGL GL カスタムデラックス  
2ドアハードトップ SGL SGL GL  
バン   デラックス スタンダード  
(上記以外に営業車としてLPG仕様カスタムデラックスとスタンダード、2800ccのパトロール仕様があった)

←グロリア2ドアハードトップ・2800SGL

セドリック2000スタンダード(グロリアも同意匠)
ダットサン260C(輸出仕様)

セドリック2000SGL


グロリア2000SGL(上)
グロリア2000GL(下)



昭和50年10月 L20E型エンジン搭載車発売など

フルモデルチェンジ時に間に合わなかったEGI(電子制御燃料噴射装置)付きL20E型を搭載した2000GL-E及び2000SGL-Eを追加発売。セダン、ハードトップともに設定される。
正確に燃料を混合できる電子制御化は排気ガス対策の切り札であり、動力性能も若干改善された。EGI車は5速MT(コラムシフトは4速)と3速ATの設定となる。キャブレター仕様も継続販売。SD20ディーゼル・デラックス及びバン・カスタムデラックスも追加された。

←セドリックバン・カスタムデラックス

セドリック2ドアハードトップ2000SGL-E 

昭和51年6月 51年排ガス規制適合(331系)及びFタイプ設定,一部仕様変更

EGRの改良等により、乗用タイプ全車51年規制適合となり、型式が331になる(別規制のディーゼル及びバンは330のまま)。
4ドアハードトップ2800SGL,2000SGL-E,GL-Eに2ドア用角形2灯ヘッドライト、カラードファッションホイール、4スピーカーステレオ(SGL系)を装着したオーナードライバー向け仕様であるFタイプを設定。同時にGL系車ホイールキャップをSGL系のものに統一、2ドアの2000キャブレター仕様廃止、2800車の5速MT設定、その他電動フェンダーミラーの採用など細かな仕様変更も行われた。
画像はセドリック4ドアハードトップ2800SGL・Fタイプ。

←セドリック2000GL-E


 昭和52年6月 マイナーチェンジ及びブロアム等設定
内外装の意匠変更及び機構面の改良が行われた。
EGI付きL28Eエンジンを搭載し、デュアルエアコン、後輪アンチスキッド、ルーズクッションシート、リヤパワーシート(セダンのみ)等を装備した2800ブロアムがセダン、ハードトップ共に設定され、新設計のSD22型2200ディーゼル搭載車がセダンに設定される。
またGL系車以上のシート生地および形状変更、外板色の追加変更、純正アルミホイールの設定、一部グレードの廃止、ハードトップ車コラムシフトの廃止などが行われた。

←グロリア4ドアハードトップ2800ブロアム
4ドアハードトップ2800ブロアム

いずれもセドリックの4ドアハードトップ、2ドアハードトップ、4ドアセダンのブロアムとスタンダード

セダン2800ブロアム(セミセパレートシート車)


セドリック2000LPG カスタムデラックス

  グロリア2200ディーゼルGL


ダットサン280C(輸出仕様)

車種構成
車体\エンジン(排気量) L28E
(2800EGI)
L28
(2800
キャブレター)
L20E
(2000EGI)
L20
(2000キャブレター)
SD22
(2200ディーゼル)
SD20
(2000ディーゼル)
4ドアセダン ブロアム SGL SGL-E GL-E GL カスタムデラックス デラックス スタンダード GL デラックス スタンダード スタンダード
4ドアハードトップ(Fタイプ) ブロアム SGL SGL-E GL-E      
4ドアハードトップ     SGL-E GL-E SGL GL カスタムデラックス    
2ドアハードトップ ブロアム   SGL-E GL-E      
バン       カスタムデラックス デラックス スタンダード デラックス スタンダード  
(上記以外に営業車としてLPG仕様カスタムデラックスとスタンダード、2800ccのパトロール仕様があった)
         

昭和53年2月 一部仕様変更

バン車のテールライト配置変更、2800車のフルトランジスタ・イグナイターをハイブリッドIC型に変更、等の仕様変更が行われた。

昭和53年9〜10月 53年排ガス規制適合(332系)及びSGL-Eエクストラ設定など

空燃費フィードバック制御(EGI車)及び電子制御キャブレター(EGI車以外のガソリン車)に加え、三元触媒の採用等により乗用タイプ全車53年規制適合となり、型式が332になる。あわせて吸排気系の改良やハイブリッドIC型イグナイターの全車採用等も行われた。
4ドア系セダン、ハードトップの2000SGL-Eに、ブロアムに準じた内外装(ルーズクッションシート、フロントぼかしガラス等)としたSGL-Eエクストラ(画像)を追加設定。エクストラ系を除き、331系車との外見上の違いはリアウインドウの53年規制ステッカーのみ。
また、2800キャブレター車の廃止に伴い2800SGLが2800SGL-Eとなり、4ドアハードトップはFタイプがEGI仕様のみ、Fタイプ以外はキャブレター仕様のみに整理された。

 
←↓セドリック4ドアハードトップFタイプ 2000SGL-E (53年規制適合車)

 

昭和54年6月 430型車発売

出典:日産サービス周報
CG誌75年9月号
モーターファン75年9月号


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