保育料なども自動的に負担増に
所得税・住民税の扶養控除廃止による連鎖的な負担増は、政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)が把握しているだけでも保育料など23項目にのぼることが明らかになりました。
政府税調は、すでに2010年度税制改正「大綱」に所得税・住民税の扶養控除廃止を盛り込む方針を固めています。民主党は総選挙時のマニフェスト(政権公約)で、「所得税の配偶者控除・扶養控除を廃止し、『子ども手当』を創設」としていました。
総務省の小川淳也政務官は4日の政府税調全体会合で、「住民税・所得税の扶養控除を見直した場合の他制度への影響」とする資料を提出しました。
この中では、扶養控除の廃止が、「課税総所得金額、税額(非課税か否かも含む)等を活用している制度に影響あり」と指摘。具体的な制度として、保育所の保育料をはじめ、私立幼稚園就園奨励費補助や国民健康保険制度、後期高齢者医療制度の自己負担など23項目を列挙しています(表参照)。
扶養控除の廃止によって、これまで所得額から差し引けた額(所得税は38万円、住民税は33万円)が差し引けなくなるため、課税される所得が増加、所得税額や住民税額が増税されます。
社会保障制度の多くは、その自己負担額などが、所得税や住民税額、課税所得額などを基準にしているほか、住民税が非課税かどうかを基準としている場合が多いため、扶養控除の廃止と連動して他の制度の負担が「雪だるま式」に増えることになります。
関連制度 | 住民税 | 所得税 |
---|---|---|
私立幼稚園就園奨励費補助 | ● | |
高等学校交通遺児授業料減免 | ● | |
国民健康保険制度(保険料等) | ● | |
後期高齢者医療制度(自己負担) | ● | |
障害者自立支援制度(自己負担) | ● | |
障害福祉サービス等の措置入所・利用(自己負担) | ● | ● |
精神障害者措置入院費(自己負担) | ● | |
保育所の保険料 | ● | |
児童入所施設への入所(自己負担) | ● | ● |
助産施設における助産の実施(自己負担) | ● | ● |
養護老人ホームへの入所措置等(入所措置要件等) | ● | ● |
軽費老人ホームの利用(自己負担) | ● | ● |
小児慢性特定疾患児への日常生活用具給付(自己負担) | ● | ● |
未熟児養育への医療費給付(自己負担) | ● | ● |
小児慢性特定疾患研究事業による治療研究に かかわる医療費の支給(自己負担) |
● | |
結核児童への療育費給付等(自己負担) | ● | ● |
肝炎治療費(自己負担) | ● | |
特定疾患治療研究にかかわる医療費の支給(自己負担) | ● | |
難病患者等居宅生活支援(自己負担) | ● | |
ハンセン病療養所非入所者給与金 | ● | |
原爆被爆者家庭奉仕員派遣 | ● | |
訪問介護利用被爆者助成 | ● | |
職業転換給付金 | ● | |
※各府省からの聞き取りによる。国民の負担に直接影響があるもの。 ※その他、児童扶養手当等扶養親族の数等を活用している制度もある。 ※さらに住民税額等を活用している地方自治体独自の制度もある。 注)12月4日の政府税調に提出された資料から作成 |