保育を財界の儲けのために市場化拡大

自治体の役割を後退させる 厚労省の保育制度改変案

 厚生労働省は、16日社会保障審議会少子化対策特別部会で「新たな保育の仕組み」を決めようとしています。

「新たな保育の仕組み」

 「新たな仕組み」案では保護者と保育所との間に「公的契約」を結ぶ考えを打ち出しています。

 いまの制度では、保護者は市町村に保育所入所を申し込みます。市町村が保育の必要度を判断し、入所先を決定します。市町村は、公立保育所で保育を実施するとともに私立の保育所にも保育の実施を委託し運営費を保育所に払います。そして、利用者は所得に応じた保育料を市町村に納めています。それが「新たな仕組み」では、保護者は、どの程度の保育時間が必要かなど、市町村に認定を求めます。認定された保護者は自分で保育所を探し、入所を申し込んで契約を結びます。保育料も保育所に支払います。市町村の役割は、これまでのような保育を受ける権利の保障に責任を負う立場ではなく、契約に基づく保育サービスの「売買」が円滑に行われるよう条件を整える立場へと、大きく後退します。

保育所探しから契約まで保護者の自己責任に

 障がいを持っている子どもや経済的基盤が弱い世帯の子どもは、経営に響くために入所を敬遠されがちになることが懸念されています。厚労省は「保育所に応諾義務や優先受入義務を課す」としていますが、具体的手だては示していません。 保護者は、保育所探しから契約まで自己責任でやらなければなりません。小さな子どもを抱えながら、入所先が決まるまで駆け回るのは大きな負担です。

 厚労省は「公定価格」を定めるとしていますが、「公定」は基本的なサービス部分だけ。利用者ごとに保育時間の上限量が決められるので、超えた分は自己負担で、さまざまなサービスごとに料金が加算され、負担が増える恐れがあります。

悪質事業者の参入許すことにつながる

 「新たな仕組み」では「指定制」を取り入れて事業者に広く参入を認めるとしています。東京都では、ハッピースマイルという保育所が開園からわずか2ヶ月で突然閉鎖したことが大問題になっています。このように突然撤退となれば、子どもを安心して預けることができなくなります。

 財界が求める方向で、株主配当や事業拡大に保育所運営費を使ってもよいと規制緩和されれば、人件費や保育経費を切り詰めることになり、保育の低下、子どもへの影響が懸念されています。

 子どもを育てるための保育制度が、財界の儲けのためにこわされてしまうのは許せません。

バナースペース

上原けんさく事務所

〒577-0816
東大阪市友井2-9-21

TEL 06-6730-5840
FAX 06-6730-5850