政府の金融強化法案 また銀行に税金つぎ込み

中小企業には貸し渋り・貸しはがし…

 アメリカ発の金融危機は、世界経済に大混乱をもたらし、日本経済に深刻な影響を広げています。

 そんななか、金融強化法案の審議が始まりました。問題点をみてみます。

また国民の税金で銀行救済

 法案では、金融機関への資本注入する資金は、預金保険機構が政府保証によって調達し、最終的な損失が出たときは国民が税金で負担するしくみになっています。しかし、金融機関の経営安定のために公的資金が必要というなら、それは最終的に、銀行業界全体の負担で返済すべきです。

 メガバンクはもちろん、農林中金・信金中金までもサブプライムや不動産関連など投機的な資金運用に傾斜し、多額の損失を出しています。

 これでは、公的資金による資本注入は、損失の穴埋めに使われるだけです。

貸し渋り対策の保証なし

 今回の資本注入が貸し渋り対策だと言っていますが、その保証があるのかという問題です。

 従来の法律では、資本注入を申請するさいに提出する「経営強化計画」に「中小企業への貸出目標」を盛り込むことが義務づけられ、それが「未達成」の場合、経営責任・株主責任を明確にすることが要件となってきました。

 ところが今回の改正案は、これらの要件は「必要ない」と、外しています。目標も掲げず、責任も問われないなら、中小企業への貸し出しを、ますます“ないがしろ”にすることにつながります。

銀行の貸し出し姿勢をただすべき

 この12年間、公的資金による銀行への資本注入は、12兆4千億円も行われてきたにもかかわらず、中小企業への貸し出しは、1996年3月から今年8月までの間に、実に84兆円も減らされてきました。

 全銀協会長は、それを反省するどころか、「貸し渋りをしている意識はない。貸せないところには貸していない」と開き直っているのです。中川財務・金融大臣は、これを正す姿勢を示していません。

 金融機関は、信用保証協会の保証つきでなければ貸しません。これを放置したまま、政府が信用保証制度に「部分保証」を導入したため、中小業者にとって「命綱」というべき「保証つき融資」すら受けられない事態を招いています。ただちに「全額保証」に戻すべきです。

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