格差と貧困 広げた責任は誰?

働くルール破壊したのは…

 生活保護水準以下でしか暮らせない家庭が10軒に1軒、400万世帯ともいわれるなど、国民全体に広がる「貧困と格差」が大きな問題です。この「貧困と格差」を生み出す政治をおしすすめたのはどの党で、誰が反対したのでしょうか。

増え続ける非正規雇用のグラフ。1998年には非正規雇用は正規雇用の3分の1、2006年には正規雇用は3408万人、非正規雇用は1707万人、非正規雇用が正規雇用の2分の1にまで増加。 「貧困と格差」が広がった根源は何か。主要資本主義国でつくるOECD(経済協力開発機構)の「対日経済審査報告」(昨年7月)は、「非正規労働者の割合の増大が、日本における市場所得の格差拡大の主要な理由」と指摘しています。

 それを可能にしたのが、90年代後半から続く一連の労働法制の規制緩和―とりわけ派遣労働の拡大、裁量労働制の導入と拡大、有期雇用制の拡大の“3点セット”です。自民、公明両党も「(労働の規制緩和が)格差の拡大を招いたことは認める」(公明党・斉藤鉄夫政調会長)と言い、民主党の松本剛明政調会長も「非正規の著しい増加の主因は、度重なる派遣法制の変更にある」(1月29日、衆院本会議)と認めます。問題は、いったい誰が規制を緩和したかです。

民主も派遣推進

 もともと労働者派遣は、労働者からの「ピンハネ」を防ぐため、職業安定法で禁じられていました。その例外として、1985年に労働者派遣法がつくられ、26業種に限定されていた労働者派遣が、99年の改悪で原則自由化されたのです。今日の1700万人といわれる非正規雇用を生みだし、格差・貧困拡大の引き金となりました。

 これを「労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図る」(公明党議員の賛成討論)などと推進したのが自民、公明と民主、自由(現民主)の各党でした。社民党も賛成しました。

日本共産党だけが「大量の低賃金、無権利の派遣労働者をつくりださざるを得ない」と反対しました。

有期雇用を拡大

 労働法制の要である労働基準法は、98年、2003年に改悪されています。98年の改悪は、何時間働いても労使が決めた時間しか働いたとみなさない裁量労働制を、すべてのホワイトカラーに拡大。変形労働時間制の緩和や、3年たてば使用者が自由に解雇できる有期雇用制の新設も盛り込みました。

 共産党は、改悪案は「ただ働きを合法化し、雇用の保障のない無権利な労働者を大量につくりだす」と批判し、反対しました。これに対し、自民、民主、公明、自由、社民の各党は、改悪案を「おおむね時宜を得た内容」と賛成。民主党の笹野貞子参院議員は5党を代表し、「経済社会の変化に対応した主体的な働き方のルールをつくる」と賛成討論しました。

 03年の労基法改悪では、有期雇用を最大5年に伸ばし、裁量労働制の導入手続きを大幅に緩和しました。これにも自民、民主、公明、自由の各党が賛成しています。

 雇用の流動化を促進するため、企業のリストラを国が財政的に援助する雇用対策法等改悪(01年)は、自民・保守、公明、民主、自由の各党が賛成。労働者の派遣期間の上限延長、製造現場への派遣解禁などを盛り込んだ03年の派遣法改悪には自民、公明両党が賛成しています。

 このように働くルールの破壊は、自民、公明が推進し、民主もそのほとんどに賛成したのです。

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