
東洋医学的には、女性の身体も、男性の身体も、妊娠するためには「
腎気」が大切であると考えます。
上古天真論にはさらに記述が続いています。
そこには「
年老いて子供を作ることができるのはなぜか」と書かれています。ではその部分を訳してみましょう。
「黄帝が言う。それ年すでに老いても子供を作ることができる人がいるが、それはどういう道理によるものか。
岐伯先生が答えて言う。これは天から授かった精力が一般の人を越えており、気血の通り道である
経脈が常に(滞りなく)
通じていて腎気が有り余っているからです。しかし、このように子供を作ることができるといっても、普通では男性は64歳、女性は49歳を過ぎることなく精気は枯渇してしまします。
黄帝が言う。それ(自然の法則をわきまえ)
養生の道を実践している人は年齢が100歳を越えても子供を作ることができるか。
岐伯先生が答えて言う。養生の道をわきまえている人は、老いを退け、肉体は健全であり、高年齢になっても、それまで通りに子供を作ることができます。」
なんと心強い文章でしょうか。
この場合の、100歳を超えても子供を作ることができるという記述は、男性をさして述べられていると思われますが、やはりここでも 腎気 の大切さが書かれています。
気血の元になるものは食べ物です。
人は飲食物と呼吸によって生きています。

「養生の道をわきまえる」とは、衣・食・住、適度な運動や、身の回りを清潔に保つなど、生活全般にわたって度を過ぎないように、身体を締め付け過ぎないように、食べ過ぎないように、身体を冷やし過ぎないように、怠惰に生きないようにということです。
鍼灸治療に限らず、東洋医学は「
養生医学」とも呼ばれています。不妊治療とは直接は関係がなさそうですが大切なことです。
そして、わたくしたち鍼灸師が目指すべきことは、皆さまのお身体を流れる
「気血の流れ」を滞りなく通すことです。
養生と治療が一体になってお身体を正常な状態に導きたいと思います。