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平島 勉 オフィシャルウェブサイト
Hirashima Tsutomu Wroks

授業力UP講座

学校現場において、指導者に問われている永遠のテーマともいえる「授業力」。
子どもたち一人ひとりが、つねに「分かる」こと…この確かな積み重ねが、基礎・基本学力の定着と自尊感情を高めることにつながるのです。
そのためには、指導者が「授業力Up」を心がけることが大切なのです。

2020年、学習指導要領が新しくなります。
着目すべき点は、児童に寄り添った授業の在り方でしょう。
児童の視点に立った教育を見直すことにしませんか。
※着目すべき点については【講座No.115】をみてください。

講座番号(1桁目が0)をクリックすると、移動します。
  講座01  人間関係を築こう
  講座02  豊かな子ども理解
  講座03  「学力差」を感じさせない工夫を
  講座0  「学力差」を感じさせない工夫を②
  講座05  すばらしい教材との出会い
  講座06  授業の一コマから
  講座07   題材の「ねらい」を見極めて
  講座08   本時の「目標」「ねらい」が決め手
  講座09  「音楽する楽しさ」①
  講座10  「目標」をもって授業に臨もう
  講座11  「音楽する楽しさ」②
  講座12  指導者のスキルUPを!
  講座13  「教科書教材」が難しい?!
  講座14  UD)一斉指導に惑わされないで!
  講座15  UD)子どもから学ぶ
  講座16   「なんでやねん!」考
  講座17  あなたのキャラクターは?
  講座18  子どもの姿に学ぶ
  講座19  夏の課題、がんばったね!
  講座20 目的と効果                 
  講座21  見せ方、魅せ方に一工夫を
  講座22  音楽的技能の必要性
  講座23  合奏の指導「ラデツキー行進曲」他
  講座24  合奏の指導「情熱大陸」
  講座25  見せ方、魅せ方に一工夫を②
  講座26  中四国音研 松山大会の報告①
 
「自分の環境を利用した活動を」
  講座27  中四国音研 松山大会の報告②
 
「さぐろう せんりつのひみつ」
  講座28  見せ方、魅せ方に一工夫を③
  講座29  あやふやな言葉や説明、厳禁!
  講座30  飛び入り授業報告(3年生)
  講座31  「曲の山」とは…(2年生)
  講座32  歌い方を工夫しよう(2年生)
  講座33  おはやしリズム(2年生)
  講座34  指導者のやる気みなぎる指導案
  講座35  歌い方の工夫について
  講座36  「キラリと光る言葉」の紹介
  講座37  共通事項から表現の工夫を
  講座38  子どものワークシートを活かした授業
  講座39  授業の本質に迫った研究会
  講座40  すばらしい授業から学ぼう!
  講座41  「ねらい」をどこに定めるか!
  講座42  「本時の目標」と「題材名」
  講座43  教えることの大切さ!
  講座44  少しの配慮で…
  講座45  予測に反した子ども達!
  講座46  題材と教材の「めあて」をしっかり把握
  講座47  歌は自分の気持ちだよ!
  講座48  才能と魅力を発揮することに努めよう
  講座49  「授業展開」について
  講座50  「授業の構造」について
 講座番号(1桁目が0)をクリックすると、移動します。
  講座51  子どもの声から学ぶ
  講座52  「プレゼン」に学ぶ
  講座53  求める歌声や音色が描けていますか?
  講座54  子どもの発表が「Keyword」
  講座55  授業「リハーサル」の大切さ
  講座56  「旋律」とは…
  講座57  新年度の授業開始までにできること
  講座58  リコーダー指導①まとまりある音で!
  講座59  リコーダー指導②派生音、要注意!
  講座60  「日本のうたを楽しもう」
 講座61 授業での「活動」には必ず「評価」を  
 講座62 6年生鑑賞「木星」授業紹介
 講座63  ユニバーサルデザイン授業①
◆コミュニケーション
 講座64  ユニバーサルデザイン授業②
◆地域と生きる活動を
 講座65  ユニバーサルデザイン授業③
◆何もないところからは何も生まれない
講座66  ユニバーサルデザイン授業④
◆「指導案」についての提言Ⅰ
講座67  ユニバーサルデザイン授業⑤
◆「指導案」についての提言Ⅱ
講座68  ユニバーサルデザイン授業⑥
◆「指導案」についての提言Ⅲ
講座69  ユニバーサルデザイン授業⑦
◆「指導案」についての提言Ⅳ
講座70  ユニバーサルデザイン授業⑧
◆「指導案」についての提言Ⅴ
 講座71 「授業」から学ぼう
 講座72  「リコーダー楽曲」教材研究のPOINT
 講座73  「授業」の山場
 講座74  「パートナーソング」教材の扱い
 講座75  「リコーダー」の構え方
 講座76  「鍵盤ハーモニカ」について
 講座77  「歌詞」と「リズム」
 講座78  「板書計画」もきっちりと!
講座79  ごっこPLAYにも「ねらい」を
 講座80  「研究演奏」
 講座81  「ひびく」ということ
講座82  歌は「かしこい」?¡
講座83  鍵盤ハーモニカと指の動き
講座84  「あいまいさも一つの正確さ」
講座85  「何のために」と「何となく」
講座86  「イメージ」on Parade
講座87  「イメージ」on Parade❷
講座88 教材の学習目標と系統性
講座89  友だちから学ぶ
講座90   大阪府音楽教育研究大会 記念講演
「授業デザインの提案」
~つながる楽しさ 広げよう~
講座91   大阪府音楽教育研究大会 記念講演
「授業デザインの提案」❷
~授業の楽しさ・「わかる」~
講座92   大阪府音楽教育研究大会 記念講演
「授業デザインの提案」❸
~授業の楽しさ・「できる」~
講座93   大阪府音楽教育研究大会 記念講演
「授業デザインの提案」❹
~授業の楽しさ・「共有する」~
講座94   大阪府音楽教育研究大会 記念講演
「授業デザインの提案」❺
~授業の楽しさ・「表現する」~
講座95 子どもの感想から学ぶこと
講座96  「音楽物語」の面白さ
講座97  教科書後半教材の扱いについて
講座98  音楽づくり①「何を学ばせるのか」
講座99  音楽づくり②「全学年を俯瞰して」
講座100  音楽づくり③「『音階』について」
 講座番号(1桁目が0)をクリックすると、移動します。
講座101  「合奏」研究①
講座102  「合奏」研究②
講座103  「合奏」研究③
講座104  リコーダー導入指導ポイント
 講座105  授業での「練習」の扱いは… 
 講座106  目標は学習者の「目線」で 
 講座107  歌詞内容を大切にして 
講座108  フレーズに気をつけて
 講座109  リコーダー指導「長休符」の扱い
 講座110  リコーダー指導「音高」
講座111  リコーダー指導「主な旋律」「飾りの旋律」 
講座112  リコーダー指導「指とタンギング」 
講座113   「問いと答え」の音楽を楽しもう
講座114 「音楽づくり」のGPS
講座115
👈
 学習指導要領
2020年からの授業の在り方
講座116  「音楽づくり」:標題音楽か絶対音楽か
講座117  「協働して音楽活動をする楽しさ」
講座118  障害のある児童への指導
講座119  『鑑賞』におけるワークシートの活用は…
講座120  
 授業力 UP 講座


講座0   講座を始める前に

まずは、私自身の今を、お話ししましょう。


◆授業は制限時間45分の真剣勝負

2014年3月(2013年度)を以て、退職をしたのですが、「どうしても短期の音楽専科がいなくて困っている…」という依頼があり、4月から、その学校の音楽専科を引き受けることにしました。

全く予備知識のない子どもたち(当然、子どもたちも、私についての予備知識を持っていません)との授業に臨むことで、あらためて教育、授業の原点を考えるいい機会になりました。

◇子どものつまづきをつかめ!
教育、授業は指導者と児童とのコミュニケーションがうまくとれていなければ始まりません。
だからといって、お互いに時間をかけ自己紹介し合っても、特に高学年になると授業が気に入られなければ、ついてはきてくれないものです。

そこで、まずは、授業を受ける子どもたち全員が参加できる授業内容を準備することにしました。
子どもたちが参加しなければ、授業は始まりません。
全員が参加できる授業を展開していく中で、お互いの人となりが見えてくるものです。

また、お互いのコミュニケーションは、授業を展開していく中で「つまづいている子」「困り感を抱いている子」を素早く見つけ、それを個人的に、また授業の流れの中で取り除けるように工夫していく中から生まれてきます。
爪が伸びすぎていてサミングがうまくできない子どもには、サミングをするのに欠かせない左手親指の爪を適当な長さまで切りそろえました。高学年にもなると、親も子どもの爪を切ることはないのでしょうか、私が切っているときに「なんか気持ちいいわ」とつぶやいていました。
また音符を読むのに時間がかかり、スムーズにリコーダーが吹けない子どもには、傍にいき、教科書にマーカーで印を書き込みました。
youkinasentyou

このような触れ合いを通じ、お互いの信頼関係が築けるのです。
45分という制限時間内に、どれだけ多くの子どもたちと接することができるのか…授業の指導内容を絞り、子どもの立場に立ち、的確な対応をすることが豊かな人間関係を築くことになるのです。

さあ、これから、どんな授業と出会えるのか…ワクワクしながら待っているところです。
いろんな先生方の、キラキラ輝く授業実践もその都度お知らせしましょう。






講座1   人間関係を築こう

「授業力」とは、子どもたちに確かな学力を保障する授業のことです。

では、学力とは…。

「学習指導要領」の内容全てであることは言うまでもありませんが、もう一方、子ども達の生きる力を支える上での知識を育んでいくことも、大切な学力の保障です。

そのためには、どの子にとっても「わかる授業」をすることが欠かせません。

なあんだ…やっぱり、教材研究をしっかりやることじゃないのって?
ちょっと、待ってください。
授業をする指導者が、教材研究をして授業に臨むのは当たり前のこと!
その前に、授業について考えてみましょう。

授業は、指導者の教えたい内容が、子どもが学びたい事柄となること…。
このことは、よく言われていますが、もう一歩踏み込んで考えてみると、授業は、指導者と子どもとの人間関係、コミュニケーションの上に成り立つということです。

指導者、子どもの両者がいい関係にないのにいい授業ができるはずはありません。
そのためには、学校生活の中で起こる、様々な出来事にしっかり向き合い人間関係を築いていきましょう。

講座2   豊かな子ども理解

◆「わかる授業」をするためには

「授業力Up」するためには、「わかる授業」をすることでした。
そのためには、何よりも『豊かな子ども理解』です。
理解する項目ですか。
少し考えただけでも…
①学力差
②子ども一人ひとりの困り感やつまづき
③子どもの背景にある家庭環境
④子どもの多岐にわたる個性
⑤仲間同士のつながり…
などが、挙げられます。

これらの中で、授業に直接係ってくるのが「学力差」。

授業を行うときには、その差が少しでも解消できるよう、「指導上の留意点」「支援項目」「ヒント」等を設けているのです。
また、机間巡視を行い、子どもの困り感やつまづいている箇所をチェックし、個々に対応したり、授業の流れの中で説明を加えたりしています。

例えば、遠足で山登りをするとしましょう。
事前に下見を行うことでしょう。
遠足に連れていく子どもたちをイメージしながら下見をするはずです。
トイレが近い子、怖がりで丸木の橋が渡れそうにない子がいる場合には、その対処法を考えることでしょう。

「学力差」とは、直接関係ありませんが、遠足当日持っていくお弁当を用意できない家庭を最近見かけるようになってきました。
このような、遠足一つをとってみても、様々な場合を想定し対処するように、授業に於いても一コマの流れを想定し、様々な場合を思い浮かべるようにしたいものです。
教材研究を行う場合、授業の中で想定される「差」をどうすれば解消することができるのかしっかりとプランを立てておかないといけません。

このことは音楽科の授業においても同じことが言えます。

講座3   「学力差」を感じさせない工夫を
授業において、学力差を子どもたちに感じさせないためには、だれもが
わかる授業の展開が必要です。

◆一コマの授業で、教える内容を絞る工夫を

音楽の教科書には、「題材」が載っています。
その題材に迫る学習活動が、各教材に載せられています。
その目標に向かい、毎時間の授業を展開していくようにします。
といっても、一つの教材から多面的な活動を行う場合もあるでしょう。
その場合にも、授業での活動を一度に持ち込まないで、一つずつ絞るように
気を配りましょう。

◆スモールステップで

「スモールステップ」とは、学習内容を学んでいく段階でのハードルを低くする、
歩幅を小さくする、といった意味があります。
私のリコーダー指導での「スモールステップ」とは、…
『子ども自身の指と、息と、やわらかな心で、自分だけにしか出せない音を出す』
ことができる指導法なのです。
たとえ、どんなに不器用な子どもであっても、支援を必要とする子どもでも。

新しい音(運指)が増えてくると、音の数が増えた教材を演奏することになり、
新しい音に行き着く前に演奏するのをあきらめてしまう子どもが出てくることでしょう。
新しく出てきた音を、自分のリコーダーで出したいのは、どの子も同じです。
そこで、新しい音が必ず吹ける教材の開発が必要になってきます。

新しいウィルスに対して、新しい治療薬の開発が望まれるように、子どもの
思いがけないつまづきに対しても、新しい教材や指導法が必要なのです。

新しい音を出せる喜びをバネに子どもの意欲が増し、演奏できる音の数を
増やしていくようにすると、苦手な子どもも、最初からあきらめることなく、
活動に参加できます。
授業を受ける、全ての子どもの願いに応える姿勢が子どもたちにも伝わり、
みんなが同じ目標に向かい、授業が活性化されるのです。
このような指導者自身の姿勢は、支援を必要とする子どもに限らず、だれにも
やさしく分かりやすい指導へとつながるのです。

◆指導は、スパイラル

音楽科の学習指導要領をみると、低・中・高…というように、2学年単位になっています。
また、音楽科での指導内容は、深さこそ違え、目標となる項目は、どの学年にも共通です。
ですから、音楽の授業は、指導者の配慮次第で以前に学んだ学習内容に触れながら
進めることができる教科だと言えます。
そうすることで内容が確実に定着させることができるようになります。

まず、なによりも、全ての子どもを授業に参加させること!
そこから、授業が始まるのですね。


講座4   「学力差」を感じさせない工夫を②

「学力差」というより、その場ですぐに出来る子どもと、不器用さも手伝い、すぐに出来ない
子どもがいるのが普通です。
その、子どもたちの違いをしっかり把握しているかどうかでも、授業の仕方を工夫する
ことができるのです。
例えば、「ミ→ファ♯→ソ」という流れの運指を習得させるとしましょう。

◆触れて…

「ファ♯」の運指は順に指孔をふさぐのではなく指番号では、<0123・567>となります。
子どもたちには「全部の孔をふさいで、右手の人差し指を離すんですよ」と説明をします。
「ファ♯」だけでは、できるのですが「ミ」から「ファ♯」そして「ソ」となると、なかなか
思い通りに指が動かない子どもがいるのです。

そんな時、「ファ♯」の運指をさせておいて、「今からファ♯ができる魔法をかけてあげよう!」と
言いながら、右手の中・薬・小指(指番号:567)を少し強めに押さえてあげるのです。
押さえるのが強すぎると痛さだけが残るので気をつけましょう。
こうしておいて、ミ→ファ♯→ソ…とやらせてみてください。
不思議なほど、うまくできるようになります。

先生に触れてもらった感触が残っている間だけの魔法ですが、押さえてもらった感触が
なくなり、魔法が解けても、もう大丈夫。

教育は文字通り「触れ合い」ですね。


LIVE 2014.6/16
講座5   すばらしい教材との出会い


教材:第3学年「帰り道」(若松歓/詞・曲)

bansho1 
「歌詞内容は身近な生活の一コマを歌っている。
普段何気なく一緒に過ごしている友達との出会い
は実はものすごい奇跡にも値するような
出来事…」(指導案より)









学校の帰り道、友達と二人で眺めた夕日[前半]

①この星、②この国に生まれ③この町で育ち
④そして出会えた(友達)[後半]

この後半部分の①②③④のフレーズの「歌い方」を強弱をもとに
工夫させる授業であった。


歌い方を工夫する手立てとして、大きさの異なる円形のカードを用い視覚的にとらえやすく
していたのは、子ども達にとってとてもわかりやすい配慮だった。《強弱の見える化》
4パターンの組み合わせが、子ども達から発表された後、順に歌い、どれが自分の気持ちに
合うか、考えさせた。

結果、①⇒④に向かって、順に大きくしていくパターンになり、全員で歌った。

この授業の中で感心させられたのは、①②③④で「④を一番大きく歌いたい」と答えた
女子の理由が、「①②③と並んでいて『そして』があるから・・・」との答えだった。
3年生で、このように言葉(歌詞)を読み込め、自分の考えとして発表できるというのは
素晴らしいことであろう。
この女子の答えを、その時点で全員が共有することで、『そして』の言葉の歌い方を
変化させることができるのです。

4パターンの組み合わせを発表させる場合、3年生であれば、最初の考えが発表された
時に円形のカードの大きさに合わせて歌うことで、活動のねらいがよりよく理解され、
次の発表でより深い考えを得られるのです。
授業というのは、「流れ」を変えると、違った結果になる、というのを忘れないことです。

今回の「題材のねらい」が「旋律の特徴を感じ取りながら…」「旋律の特徴を生かして…」と
設定したのであれば、歌い方を工夫する場合にも、この点を中心に据えて活動を進める
ことが大切です。

授業は「題材」「題材のねらい」~「本時」まで徹底した整合性がなければならないことを、
しっかり心にとめておきましょう。

今回の授業は、キラキラした瞳で表現する子ども達の表情に心温まる45分間であった。

後半部分についての歌い方の工夫であったが、前半部分について、同様に工夫させるので
あれば、二人組になり、歌詞に照らし、帰り道の様子を劇化させて歌わせることで、
表現に深みが生まれます。《UDの視点》
このように、いくつもの活動が生まれる楽曲(教材)は、指導者と子ども達とで共有できる
宝物ですね。

著作権の関係上、歌詞全文を載せることは控えました。


LIVE
2014.6/20 兵庫県音淡路大会
講座6   授業の一コマから

曲想や和音の移り変わりから、表現の工夫を考える…というねらいの授業で、子ども達が
工夫し終え、全体を通して演奏をした時に指導者が「今の演奏、すごくよかった!」
「工夫する前と全然違ってたよ!」と感極まったように子ども達に感想を述べられました。
子ども達の頑張りで、大きな大会をやり遂げたという思い…本当にうれしそうな指導者の
表情に、子どもたちは、満足感、達成感を抱いたことでしょう。
子ども達の成長の伸びを、指導者自身の喜びとして味わい、両者の間に一体感が
生まれたことと思います。

でも…
指導者は、何がよくて、工夫する前とどう違っていたのか、本時の授業を振り返り、次時に
どうつなげていくのかを確認する場面だったのですが…私自身の、若かりし頃をふと
思い出させてくれた、ほほえましい一コマでした。


LIVE 2014.6/25
講座7
 題材の「ねらい」を見極めて

6年生の教科書(教育芸術社)に「ラバース コンチェルト」という教材があります。
①~④声部のアンサンブルなので、子どもたちの希望の楽器を選ばせて合奏する…
という授業を見かけます。

この教材に限らず、題材・ねらい・活動をしっかり見極め、この教材で何を学ぶのか、
ということにこだわりを持って授業に臨んでほしいですね。
単に、好きな楽器を選ばせて小アンサンブルをするだけで終わるのは、教材のねらい
から外れているのです。

楽器を選ぶ前に、教科書に書かれているねらいと活動を吟味しなければ、何を
学ばせるのかが不明瞭になってしまいます。

確かに、この教材の題材は…
「楽器の重なり合うひびきを味わいながら合奏しましょう」とありますが、合奏する
ことのみが目的ではないのです。
活動には「それぞれのパートにふさわしい楽器を選び、全体のひびきを確かめながら
合奏しましょう」と書かれています。
「それぞれのパートにふさわしい楽器」とは何でしょうか。それは、4つのパートに大切な
役割があり、それを踏まえた上での楽器選択が行われなければならないのです。

すなわち、この教材で「各パートの役割」を学ぶのです。
これまでの学年では、同じく4パートの合奏教材(4年:「茶色の小びん」、
5年:「キリマンジャロ」等)をよく見てください。
各パートの役割についての説明はありませんが、やはり「ラバース コンチェルト」と同じ
編成になっているのがわかりますね。
4・5年では楽器が指定されていますが、その学年で、合奏の豊かなひびきを味わっていれば
6年生で楽器を選択する場合の大いなる参考になるのです。
ここでの活動が、後に掲出されている合奏教材(「風を切って」「愛のテーマ」「コンドルは飛んで
行く」等)の合奏にも生かされてくるのです。

「ねらい」を見極め、合奏をすれば、グループ間での発表の場でも、聴き合うポイントが
ぶれないで、話し合いが深まることでしょう。
逆に、「ねらい」があいまいであれば、合奏をした時の子どもたちの評価が単に「バランス」に
終始してしまい、せっかくの「題材」が生かされないまま終わってしまうことになります。

授業をする前には、選んだ教材で何を学ばせるのか…ということにこだわりを持つように
したいものです。

LIVE
講座8
 本時の「目標」「ねらい」が決め手

前回の「講座6」に引き続き、今回も、本時の「目標」「ねらい(めあて)」についてです。

ここ数日の間に、五本の授業を見せていただく機会を得ました。
それらの授業で共通する本時の「ねらい」からお話しします。

①本時の「目標」「ねらい」が長文…
本時の「目標」は、どのような学力を身につけるのか…という内容になりますが、
やたら長い文章だと、黒板に掲示すれば非常に見にくくなってしまいます。
本時の目標を達成するための学習課題である「めあて」も、同様に簡潔にすることが
大切です。

bansho2
(文章が長いため、児童席からでは見にくく、また
「めあて」が一つに絞られていないために、活動に
混乱を招くおそれがある)

②本時の「ねらい」と活動内容不一致
4年生「日本の音楽に親しもう」の授業での「ねらい」は『「こと」の音色を味わおう』
というものでした。
すてきなゲストティーチャーを招いて、生の演奏を聴かせていただいたのですが、
まずは「さくらさくら」の旋律のみを弾いていただきました。

koto
                 (画像処理をしています)

次に、前奏・後奏のついた本格的な「さくらさくら」を聴かせていただき、
子ども達に2つの演奏を比べて気付いたことや、感じたことをワークシートに
書き込むという活動です。
子ども達は、どちらの演奏にも真剣に興味を持って聴き入っていましたが、
感想は「後の方が迫力があった」「前奏などが付いていた」などでした。
授業本時の「ねらい」では、「こと」の音色を味わうことになっていたのが、
最終的には「楽曲の構造」を問うような内容に変わってしまっていたのです。
「ねらい」を達成するためには、何を鑑賞させるのが効果的なのか…
私自身、2種類の「さくらさくら」を生で聴かせていただけたことは、貴重な
体験になりましたが。


③本時の「ねらい」の設定と活動

6年生「和音の美しさを味わいながら3部合唱を楽しもう」という題材があり、
本時の「ねらい」は旋律を正しい音程で歌うことができ…溶け合うような
発声を工夫できる」という授業でした。
デジタル録音機器や音楽ソフトを用意したり、歌声がよく響く場所での
合唱など、細かい配慮がなされた授業でした。

jugyou1
(個人が特定できないよう画像処理をしています。)

ところが、結論から述べると、授業での子ども達の活動は不活発なものでした。
なぜ、そうなったのでしょうか。
それは、本時の目標「ねらい」が、授業前にすでに達成されていたのです。
ですから、本時で何をすればいいのか…子ども達は、この授業まで十分に
発声について工夫を重ね正しい音程で歌えていたのです。
あきらかに、「ねらい」が甘かったといえるでしょう。
ここは、子ども達だけでは考えつかない事柄を指導者が教えなければ
ならないところです。
音楽は教えるものではなく、子ども達から引き出すものだというのは、
音楽科における誤解でしょう。
しっかり教えるべきことは教える姿勢が大切です。
この6年生の子ども達…授業の始まりから、とても素敵な合唱を聴かせて
くれてありがとう!


講座9   「音楽する楽しさ」①

よく、「音楽は音を楽しむ教科」だと言われています。
字面(じづら)から引用しているのでしょうが、この言葉、なかなか真理を
表しているとも言えます。

生き物の中には、「生餌(いきえ)」しか食べないものも多くいます。
また、我々人間でも、○○の踊り食いなど、珍味として味わうことも
あります。

子どもたちと音楽の関係もこれと同じなのです。
授業で、合唱をしたり、リコーダーを吹いたりすることがありますが、
ただ歌って終わる、リコーダーの技術を習得するため…といった
「学習」は、餌に例えると「生餌」ではないのです。
ですから、時には音楽をすることが負担になったり、面白くない、といった
感想につながるのです。

歌を歌っていて、歌詞や旋律の動きを読み解き、表情や音に動きを
つけて演奏させることで、その度に生まれる演奏が変化する、
また上手く自分の感情をのせることができる…と実感した時、無意識の
うちに音楽する喜びを味わっているのです。
ですから音楽の「共通事項」(音色・リズム速度・旋律・強弱・拍の流れ・
フレーズ…等)にも着目し、自分たちの気持ちに沿うような表現の工夫を
していくことが欠かせません。
音楽は生き物なのです。
子ども達に与える「音楽」は「生餌」じゃないと本当に楽しんではくれない
ものなのです。

講座10  「目標」をもって授業に臨もう

授業をする場合、「教材」を決めるのは当たり前のことでしょうが、
その「教材」で何を教えようとしているのかを、しっかり確認することが
大切です。
教科書の「もくじ」を開くと、一目で年間の題材を確かめることができます。
また、「題材」に合わせて教材が配列され、それぞれの教材には「題材」に
呼応した「学習目標」が掲げられているでしょう。
その「学習目標」を達成するために、どう授業を展開していくのか…
配当時間に合わせ毎時間ごとの「目標」を、子どもたちの様子を
思い浮かべながら、しっかり立てて授業に臨みましょう。

前時までを振り返り、全員が参加できるように「目標」への過程を組むのが
楽しいのですね。

jugyou2
(時間割に合わせて学年ごとに色分けした枠に
本時の目標や教材のメモを書き込んで授業に
臨み、実際の授業での修正を加えて記録)



講座11  「音楽する楽しさ」②

「講座5」で、「音楽は生き物」であると話しました。

音楽する楽しさを子ども達と指導者が味わってこそ音楽する喜びを共有
することができます。
例えば、歌声づくりの指導でよく見かけるのが子どもたちの前面に
○で的を描き、「ここにみんなの声を集めようね」という場面。
集合体としての歌声づくり、また歌声を届かせるという二つの目的を
持ち行っているのです。

それだったら…

jugyou3○の的の代わりに、指導者が写真左のように、
手を頭の上に掲げて「ここにみんなの声を
届けてね」という方が子どもたちとのコミュニ
ケーションをはかる上でも効果的です。

実際にやってみてください。本当に子ども達の
声が手のひらに届くのがわかるんです!
「おっ!来てる来てる…」なんて言うと、ます
ます張り切って、手のひらの的に向けて歌って
くれますから。

合唱の場合に、例えば「ソプラノ」より「アルト」が弱いとしましょう。
その場合…
jugyou4「アルトパート」側の手のひらを子ども達に
近づけ、「まだまだ、ここまでしか届いて
こないよ」と励ますことで、張りのある歌声を
届けてくれることでしょう。
歌声をつくる活動でも、それぞれの指導者の
工夫によって、音楽する楽しさが大きく変わります。
生きている音楽、新鮮な活動をつくるよう心掛けたいものです。


講座12  指導者のスキルUPを!
45分の授業で子どもたちに学力をつけることは何としても欠かせません。
そこで、どう「授業力UP」を図るのか…。
いくつかの要素がありますが、その一つは指導者のスキルUPが重要だ
ということです。

合唱で「美しい響きで…」という「ねらい」に迫るとき、2声・3声の重なり
から生まれる響きだけに着目してしまいがちですが、合唱にふさわしい
響き(歌声)をつくることができなければ、ねらいは十分に達成できません。

表現の工夫をする場合でも、旋律と歌詞との関わりに着目させることが
多いのですが、その場合でも、まずは、合唱にふさわしい歌声の出させ方、
またその歌声の生かし方のスキルを会得していなければうまくいかない
ものです。

リコーダーでも同じです。
「表現の工夫」をねらいにしても、指導者自身がリコーダーという楽器の
特長を把握できていなかったり、技術に対する知識量が少なく、曖昧で
あったりすれば、子ども達に表現の工夫に取り組ませたところで、一向に
効果が上がらず、途中であきらめてしまうことになりかねません。

最近、教育現場では若手の指導者が多くみられるようになってきましたが、
指導者のスキルが不足したまま、子どもの前に立ち、授業を進めても、
一つの活動だけに終始してしまったり、工夫した成果が上がらず十分な
満足感達成感を得られないまま授業を終えることになることでしょう。

一人ひとりの研修が「授業力UP」に直結していることを忘れないでください。      


講座13  「教科書教材」が難しい?!

音楽科の授業で、教科書「教材」が目の前の子どもにとって難しい…と
感じたことはありませんか。
「こんな合唱できるわけないよね」だとか、「○年生では、リコーダーで
吹けそうな曲じゃないよ」なんて、憤りさえ覚えた経験がおありな先生。
教材が難しいと嘆いたり、あきらめてスルーする前に、子ども達の1年生
からの音楽授業が、きちんと行われてきたのかを振り返ってみてください。

嫌われるのを覚悟で申し上げますと、教材が難しいのではなく、
ほとんどの場合、子どもの経験や技術不足だと断言できます。
ですから、これまでの自分の授業がどうだったのかをしっかり振り返り、
子どもたちの不足している部分を学年にこだわらず、もう一度
学習しなおすことをお勧めします。
また「題材のねらい」に迫るために、スモールステップの課題を設けて
学習するようにしてください。

      
講座14
 UD)一斉指導に惑わされないで!
 ※UD:ユニバーサルデザイン授業の視点から
「授業は個に成立する」(大木光夫)という言葉に出会えました。
私たちは、一斉授業を行う中で、どの子も活動できる機会を…と考え一人タイム、
二人タイム、グループタイムなど、少数で活動する学習を随時取り入れています。
授業が終わり、子どもたちは「面白かったよ」「よく分かったよ」…と充足感に
高揚しながら感想を伝えにきてくれることがありますね。
一方、私たちは、もちろん全員の子どもたちが理解してくれることを前提に
授業を進めるのですが、授業後に「●●君は、どうだっただろうか…」と心に
引っ掛かることもあります。
授業内容がうまく理解されなかったのでは、落ち着いて活動できなかった…
といった場面が思い起こされます。
このような場合、全ての子ども達に授業が成立したとは言えません。
授業が全員の子どもたちに成立させるためには、どうすればいいのでしょうか。
2014年夏前半…西日本各地から沖縄…まで10数か所の先生方と研修する
機会を与えられ、「ユニバーサルデザイン授業」という言葉について尋ねてみました。
学校や市町村でUD(ユニバーサルデザイン)授業について研究を進めているところ、
また、学習環境を整える上での参考にしているなどの状況がある一方で、
言葉では知っていても授業実践にまでは至っていないというところが多くありました。
「UDは、いろんな要件やきまりがあるのでしょう?」など、UD授業を進める上で、
ハードルを設けてしまい、それが研究を邪魔しているように感じました。

長くなりましたが、UD授業というのは、なにも特別なものではありません。
確かに授業に「しかけ」を設けて全員を授業に惹きつける…といったことはありますが、
それも、指導者の授業初めの巧みな「誘い」の発問によって置き換えることが
できるでしょう。
先ほどの●●君がうまく活動できなかった理由は何だったのか。
あの場面で、どんな「支援」をすればよかったのか…授業内の机間指導での
個別「支援」で間に合ったのか、授業前にしておかなければならない「支援」があった
のか…。●●君と同じような「つまずき」「困り感」をもった子どもも多くいたのであれば、
全体に対する「支援」は…などが考えられます。
全員の子どもたちが授業に参加し、活動ができ、授業後に充足感をもてる授業を
目指そうとする姿勢、「支援」の方法を考えること、それがUD授業だといえるのです。


      
講座15
 UD)子どもから学ぶ
 ※UD:ユニバーサルデザイン授業の視点から
「子どもから学ぶ」…とは、よく言われる言葉ですね。
「講座14」で3つの「支援」について話しました。
すなわち、授業以前の「支援」、例えば拡大教科書の準備や、文章の行が分かりやすい
ようなマーカーでの色分けなどがあることでしょう。
第2の「支援」は、授業中の机間指導での「支援」です。子どものつまづきや困り感を
見つけ、それを取り除くための声掛け「支援」です。第3の「支援」は、授業内容で、
多くの子どもが陥りやすい間違いを想定した「支援」です。授業を行う前に、授業の
流れを追いながら、必要な「支援」、例えば「ヒントカード」や陥りやすいところでの
指導の工夫をすること。
どの「支援」も、子どもの姿に即して編み出す指導法になりますね。
ですから、授業中には子どもの活動の様子をしっかりと把握し、それを指導に生かすことで
新しい指導法が生まれます。
特に音楽教科の場合には、関心の薄さやつまづきが表面上に現れてこないことも
多いものです。
「高学年になると、歌わない子が増えてくるのですが…」というご質問には、「歌わない
のですか?それとも歌えないのですか?」と尋ねるようにしています。
「歌わない子ども」といえば、聞こえとしては子どもに責任があるように聞こえませんか。
「歌えない子ども…高学年になると歌えない子どもがいるのですが?」というのとでは
責任の所在が「子ども」から「指導者」に移ったように感じることでしょう。
まず、指導者は「歌わない子」などと決めつけないで、実は「歌えない子」だから歌わない
のかもしれない、と考えてみてください。
そうでないと、子どもに沿った指導が思い浮かばないものですよ。


講座16  「なんでやねん!」考
講座のタイトルをご覧になって、「これは、ブログにアップする内容なのかな?」と思われ
るかもしれません。この「なんでやねん」という言葉…関西地方以外では妙にインパクトが
あるようですね。
私の学校に遠くから参観に来られた先生が、授業の合間に、子ども同士のおしゃべりの
中で、「なんでやねん!」を偶然、生でご覧になられて非常に感激しておられたことがあり
ました。
この、「なんでやねん」という言葉…話し相手に言わせるように仕掛け、相手がその
仕掛けを理解した上で「なんでやねん!」と言う構造(?)になっているのです。

授業で大切なのは、というより話す上で大切なのは『間』ですが、『間』をうまく使える
指導者は、授業の中で子どもたちを緊張させることができたり、ホッとさせることができ、
常に子ども達を活動に引き込むことができるのです。

「なんでやねん!」という言葉には、これで一話完結…となり、その後に心地よい「間」が
生じているのです。
大阪の大人も子どもも、「なんでやねん」を含めた「オチ」を考えながら会話を楽しむ
習性(?)があるようです。
この習性により、叱るときや発問をする直前に、相手の立場を読み、相手が答え易い
ような言葉を選んで発問をしたり、指導に当たっているといってもいいでしょう。
私たちは、授業中の発問の後、「この発問は全員に伝わっただろうか」「もう一つ分かり
易い解説を加える方がいいだろう」などと瞬時に判断し、次の言葉を組み立てるように
意識をすることで、授業から離れさせない子どもたちにすることができることでしょう。
授業や指導には、必ず「話す」ことにより行っているのですから…。


講座17  あなたのキャラクターは?
団塊の世代が教職を去り、毎年、多くの新任教師が採用されています。
それに合わせて、書店には教職関係の本が所狭しと並ぶようになりました。
「プロ教師に学ぶ○○○」「明日からの授業に生かせる指導法」「子どもを惹きつける
魔法の言葉」などなど…。
飛びつくようにそれらの書籍を求め、さっそく真似をする経験少ない指導者。
でも、早々うまくいくものではないどころか、日頃、苦心しながら自ら考えた発問の方が
まだ子ども達が聞いてくれる…なんてことに。
「プロ教師」の言葉を、経験のない初任者が遣っても説得力のないことは明らかです。
それは、なぜでしょう。
子どもの前で失敗をしても、前にもまして親近感を抱いてくれる子どもたちもいれば、
模範を示しても、「シラ~」としている子どもたちもいます。
これは、指導者の「キャラクター」を子どもたちがしっかりつかんでいるからなのですね。
ですから、いくら魔法の言葉だからといって、自分の「キャラ」に合わないのではかえって
逆効果でしょう。
自分が真剣に組み立てた言葉でもって、子どもたちの指導に当たり、反応を見極めて
ちょっぴり自信をもったり、反省していくことの繰り返しが大切なのです。
もちろん、指導する単元(音楽科では題材)目標を達成するんだという強い信念が必要
ですが。


講座18
 子どもの姿に学ぶ
新学期の授業。
「音楽セット(教科書・楽譜ファイル・リコーダー)」を忘れてくる子はいませんか?
お恥ずかしい話ですが、6年生にもなっても、最初の授業に“音楽セット”を忘れて来た
子どもが10名ほどいました。
「どうして忘れてきたの?!」…なんて叱りとばすこともできるでしょう。
「こんな状態では、授業をすることなんてできません。今日のところは帰りなさい。」と
いって、反省を促す対処法もあるかもしれません。

私は、まず音楽室に入れる前に、教室の外で全員をしゃがませました。
子どもの中には、叱られていると勘違いしたのか、正座をする姿もちらほら見えます。
「忘れたことは今さらしかたないとして、やる気のある人は立ちましょう。」と声をかけ
ました。
全員がスッと立ちました。
「よっしゃ!みんなの気持ちはよくわかった。
忘れ物をしなくても、やる気のない人と、
忘れ物をしても、やる気のある人と、どちらがいいかな?」
子どもたちは、「忘れ物をしても、やる気のある人!」と答えます。
「みんなに、やる気があるのなら、次の授業では忘れ物しないよね。」というと、
子どもたちは笑顔でうなずいています。
10年も前の子どもたちなら、叱りとばして強く反省を求めたかもしれませんが、
今を生きる子どもたちにとっては、どうでしょうか。

こんなところにも、私たち指導者が、子どもの姿から学んでいかなければ、いい関係、
いい授業は生まれないのです。


講座19
 夏の課題、がんばったね!
春の新学期や夏休みが明けると、必ず新しいシールを購入される先生がいます。
「子どもたちの夏休みの頑張りに対する励みになるんですよ」と言われると確かに
そうかもしれません。でも、同じシールが続いたり、忙しくなってシールを貼ることを
怠ったりする期間が長くなると、本来の活動も下火になってしまったり…。
シールがなくなるととたんに興味が失せることはよくあることです。
あれだけ輝いて見えたシールなのに時が経つと色褪せて見えることさえあるものです。
シールが好きな子どもたちは、もしかしてシール自体よりも、それを貼ってくれる時の
先生の満足そうな表情や「よく頑張ったね」などのほめ言葉が好きなんだと思います。
たとえシールは色褪せても、自分のがんばりに対する先生のコメントや表情は
子ども達にとって色褪せることはありません。
そうですね、新学期にはシールを買うことよりも、鏡の前ですてきな笑顔の再点検!

ここで問題です!先生方は自分の仕事上の書類を作成し、誰かに渡しました。
返されるとき、『検印』や『見ました!』のハンコがいいですか?
それとも今流行のシールですか?それとも受け取ってくれた人からの優し
い笑顔と
コメントでしょうか。どれがなが~く心の中に残るのでしょうね。


講座20
 目的と効果
授業を行うにあたり、「本時の目標」を掲げることでしょう。
そして、その目標を達成するために、幾つかの活動を組み合わせ、それぞれに目的
を持って臨むことでしょう。
その際の「指示の仕方」「児童の状態」によって、効果を発揮するかどうかが決まり
ます。予想以上にいい効果を生む場合もありますが、予定通りの効果が得られない
場合も多いものです。
以前と同じような指示をしたのでは、「またか」と子どもたちに思わせ、かえって逆効
果になりかねません。
また課題が難しすぎるとやる気を引き出せませんし、易しすぎると、これもまたやる
気が起こらないものです。
指導者が繰り出す「指示」が「いい効果」を生んでいるかどうか、授業をしながらも、
常に客観的な目で判断することが大切です。


LIVE
講座21
 見せ方、魅せ方に一工夫を
音楽会や学習発表会で合唱や、合奏、音楽物語等を取り上げる学校も多いことで
しょうか。
連合音楽会を間近に控えた学校に寄せていただく機会がありました。
本番まであと一週間…体育館で練習をする子どもたちに迎えていただきました。
小規模校なので、各学年1学級の3年、4年、5年生の子どもたちです。

10数曲もの歌とトーンチャイムの演奏、それに物語を進行する「台詞」を子ども達
はしっかり覚えています。3年生も4、5年生に負けずに一緒に頑張っています。
その子ども達の頑張りを、どう見せるといいのでしょうか。

聴衆が居る場合、我々指導者が観てほしいところは何か…まず、第1は子ども達
の輝く姿でしょう。
それには、子どもの長所を前に出す工夫、弱点があれば、それをカバーすること
でしょう。
すなわち、子どもの姿をどう見せるのか、子どもたちをどう魅せるのかが発表会
でのキーワードでしょう。

先ほどの、寄せていただいた学校の指導者へ、次のようなアドバイスをしました。

①物語「じろはったん」(森はな作/坂牛八州曲)第1曲目では、主人公を紹介す
る歌になっているのですが、聴衆(私も含め)に「じろはったんってどんな人」って
子ども達全員で声をそろえて歌うより、ソロにして語り掛けるように歌うことで、
聴く者が自然と耳を傾け、スッと物語に溶け込んでいくことができるでしょう。

②歌声がそろっていて、自然な歌声なのですが、単に大きな声で歌うより、
「やさしさ教えてくれた人」の部分では、微笑みをもって歌い、「かなしさ…」では
控えめに歌うようにすると陰翳が生じて聴く者に伝わりやすくなるでしょう。

③「問いと答え」のような歌の場合には、ほんの少し歌うときに問いかける相手
に体の向きをかえましょう。

④「れんげ畑は花盛り」では歌い終わった後に満開の花があたかも目に映る
ように言葉一つずつを盛り上げていきましょう。

⑤ワラ人形を竹ヤリでついて遊ぶ場面(物語の時代が戦時中)で、歌の最後の
フレーズが「かわいそうに」なのですが、ここは全員で歌うよりも、一人の子ども
が歌う方が、より言葉の説得力を増すことができますよ。

⑥「ラララ」から始まる歌では、言葉に移ったときにインパクトが弱いので、「ラ」
を「ル」に替えるとどうでしょう。
また、曲の終わりも「ラ」のフレーズが続き、盛り上がって終わるのですが、
ここでは、盛り上がりのラスト以外を「ル」にすることで、より、フィナーレの盛り
上がりを印象付けることになりますね。

以上のようなアドバイスをさせていただいたのですが、ソロを設けることで、
子ども達は、一人で歌える歌唱力をもっていることを知っていただくことにも
なります。
上記のアドバイス以外にも、歌の中でのちょっとした間を入れることで、さらに
心情や情景に深みを持たせることができます。

長々と書きましたが、要は、いかに子どもたちを主人公にし、その輝く姿を観て
もらえるか…本番を数日後に控えたときだからこそ、できることがあるのです。

音楽物語に限ったことではありません。合唱や合奏でも、いくらでも工夫できる
ところがあります。そこが指導者の腕の見せどころ、いや魅せどころです!


LIVE
講座22
 音楽的技能の必要性
最近の音楽教育研究大会では、「思考力」「判断力」「表現力」、それに「子ども
の思いや意図」、「つながり」、「グループによる活動」「言語活動の充実」など
の語句が並んだ研究テーマが多く見受けられるように感じます。
確かに、これらの要素は重要ではありますが、その支えには「音楽的技能」が
欠かせません。
例えば、子ども達に素晴らしい合唱を鑑賞をさせたとしましょう。
子どもたちは、「あんな声で歌いたい」「ハーモニーの素晴らしさを表現したい」
などと感じる(知覚・感受)ことでしょう。
子どもたちが感受したことを活動に生かすためには、音楽的技能が必要なの
です。
合奏でも同じです。
子ども達がよく耳にする合奏を鑑賞させると、「私たちもあんなふうに演奏した
い」「かっこいい!」「できるかも」など、技能面に惹かれ、心を動かされるはず
です。
感受したことを表現するためには、どうしても「音楽的技能」をSKIPすることは
できないのです。
「音楽は楽しむものである」とも言われていますが、楽しむためにも、やはり
「音楽的技能」を避けて通ることはできません。
また、「つながり」を活動に取り入れようと「グループ活動」を行っている授業を
よく見かけます。
「つながり」を子ども同士と限らずに、日頃の授業では指導者と子どもとの
「つながり」も欠かせないと思うのですが、「グループ活動」を取り入れた活動
を観ていると、子どもの思いや意図を大切にするあまり、指導者と子どもとの
つながりが見受けられない場合が多いように思います。
すなわち、グループ活動において、授業の「目標」を達成するためには、指導
者の「ねらい」に沿った指導が必要なのです。

ある授業研究会で、グループ活動を行う中で、子ども同士のアドバイスを伝え
合うことで、さらに演奏をより高いものにする…という場面がありました。
その中で、指導者が「せっかくの機会なので、ここに参観に来られた先生方
にも意見を聞いてみましょうね。どなたか感想や意見をお願いします…」と。
授業研究を十分に練った上での「本時の目標」に向かう大切な45分授業
のはずです。
グループ活動では、指導者が進行役のような立場の授業に出会うことが
多いのですが、子ども同士の「つながり」、さらに、指導者の適切な指導に
よる、指導者と子どもとの「つながり」も大切にしてほしいところです。

余談になりますが、先日��映画「THE TENOR 真実の物語」を観ました。
オペラ歌手、ベー・チェチョルと日本人の音楽プロデューサーの実話を
もとにした感動的なストーリーの�映画です。
           tenor
その中で、次のような会話がありました。

「音楽の深い心を伝えるためには、
音楽的な技能は欠かせない」











子どもの思いや意図を伝えるために、「音楽的技能」の育成を常に念頭
に置いて授業を組み立てたいものです。


LIVE
講座23
 合奏の指導「ラデツキー行進曲」
学習発表会を数日後に控えた、5年生の合奏指導をする機会があり
ました。
指導を始める前に、まずは、
楽器の状態チェックです。
各楽器の配置に始まり、木琴や鉄琴の音棒(鍵盤)を支える紐が緩ん
でいないか。
楽器とマレットは合っているか。演奏する曲にふさわしい音色が出せる
か。
小太鼓や大太鼓の皮の緩みは大丈夫か。
トライアングルは曲が求める大きさ、太さ、またビーター(打つ棒)との
相性はいいか。
台数があるなら、シンバルも音の響きや音色によって選びたいところ
です。
ティンパニイのチューニングは正しくなされているか。

やがて、子ども達の登場です。
見るからに素直で純朴そうな子どもたちに思わず笑顔がこぼれます。
まずは、日頃指導をしておられる先生が指揮をされ聴かせていただき
ました。二日後に本番を控えた5年生150名近くの子どもたちの演奏
は、よくまとまったものでした。
ここで指導をバトンタッチされ、キラキラ輝く瞳の子ども達の前に…。

sakuraidanihigasi

演奏中、気になったことは下を向いている子が多かったこともあり、
まずは、指揮をする前に、子ども達に私の指揮を読んでもらう訓練を
行います。腕を下したところで手拍子をしてもらいました。
次に、私がイメージした手拍子の振り方に合わせて、子ども達に音を
出してもらうことに。数回繰り返すことで、息はピッタリ!

私「みんな、カレーは好きですか?」
子「大好き!」

「でも毎日だと飽きてくるでしょ。今、聴かせてもらったみなさんの
演奏は、カレーでいうととっても美味しかったんだけど、最後まで同じ
味付けなんですよ。この曲(「ラデツキー行進曲」)は途中で色んな味
付けをするようになってるんです。さあ、やってみましょう。」

特に強弱の指示は確実に守り、中間部に入る直前から、ガラッと
味付けを変えるように振ると、子ども達の演奏も見事なまでに変化
したのです。

「曲の出だしの部分や、最初に戻った出だしはピシッと合わせること
でアイロンを当てた洗濯物みたいになるよね!」
「空を飛んでる気分で…」と言って鳥が羽ばたくように振ると、これ
また演奏に変化が!

まとまってきたところで…
「実はこの曲はよくアンコールに使われて、演奏に合わせてお客さん
に手拍子をしてもらうんですよ。後ろで聴いてくれている先生方に
手拍子をしてもらうことにしましょう。じゃあ、もう一度」

素直な子どもたちの演奏は回を重ねるごとにノリノリになってくる
のがこちらにビンビン伝わってくるのです。

授業の終わりは、私のピアノに合わせて、子どもたちが「走れシベ
リア鉄道」を熱演してくれました。
sakuraidanipiano

指導者と子どもたちの思いを重ね合わせて表現した45分授業は
本当に幸せな時間でした。子ども達、ありがとう!
本番、頑張ろうね!



LIVE
講座24
 合奏の指導「情熱大陸」
前回の「ラデツキー行進曲」に続き、大阪南部にある小学校にお邪魔しました。
連合音楽会の発表を数日後に控えた5年生の子どもが待っていてくれました。
前回同様、真面目な性格の専科教諭に似て、整然とした演奏だったのですが、言い換えれば面白さに欠けるともいえるものでした。
アウフタクト(弱起:小節の一拍目から始まるのではなく、「情熱大陸」の場合は4拍目から始まる)の出だしを、指揮をされる先生が、
1拍目から予備拍としてきっちりと振り出し、4拍目からソロの子どもが演奏を始めたのです。
安定感をもった出だしになりましたが、動きを感じにくい演奏になりました。
gakuhu

(ミュージックエイト「情熱大陸」楽譜より)

この上昇音階の場合、出だしの4拍目の直前から指示を出して振り出すようにすることで、勢いを持った動きが生み出されるのです。
アコーディオンや鍵盤ハーモニカでの演奏なら、蛇腹をいっぱいに広げて圧力をかけて待つのではなく、演奏を始めると同時に蛇腹を
開いていくようにする方が、この場合にはふさわしいでしょう。鍵盤ハーモニカなら、管に息圧をかけておいて音を出すのではなく、
始める前に鍵盤を押さえておいて、息を入れながら演奏を始めたいところです。
どちらにしても、指導者と子どもでイメージした音をつくっていくことが、合奏の楽しみ方の一つでしょう。

mokkin
(プライバシー保護のため画像処理をしています)

「情熱大陸」は打楽器をたくさん使用しますが、リズムを正確にとらえること、動きや深みを出すためにリズムのもつアクセントを
しっかり強調することが大切です。
また曲想をピシッとその都度変化させること、そのためには、まず、全員で休符をしっかり守ることです。
強弱、クレシェンド、デクレシェンド等の抑揚を意識することも忘れてはいけません。
この曲の出だしのソロを支えているのが木琴です。
全体を通して、木琴は大活躍するのですが、表現するためには、クレッシェンド、デクレッシェンド、強弱をつけなければいけない
のですが、マレットを短く持ちすぎると、強弱等の変化を付けにくいものです。
上の写真の手前児童に、もう少し長めに持つように指示しました。
また、フレーズの終わりのトレモロが短くなり、滑らかな演奏にならないので、しっかり音符の長さを保つように意識を向けるように
することで解消されました。
きれいにトレモロができない原因としては①左右のマレットが同じ高さまで上がっていないこと②手首を使わないで、ひじから
動かしているので細かく打てない等が挙げられます。

zentai

前回に引き続き、今回も「合奏」を取り上げましたが合奏の楽しさは、曲想を練り上げ表現する
過程の楽しさなのです。

そのためには、指導者は楽譜の隅々までしっかり読み取り、細かく解釈をしなければいけません。
その上で、「魅せる演奏」とは…工夫をこらすのも楽しい時間になることでしょう。

日頃の授業から、音楽的技能を身に付け、表現力を育んでおくことが合奏への第一歩ですね。



LIVE
講座25
 見せ方、魅せ方に一工夫を②
「音楽会」や「発表の場」が間近に迫ってくると、焦りが出てくることでしょう。
でも、公開までの数回の練習でできることはあるものです。
その一つが「見せ方・魅せ方」なのです。
「見せ方」に限っては…
jazz1
(プライバシー保護のため画像処理をしています)
真面目に(?)演奏していてよくまとまった演奏なのですが、折角のJAZZなのに
動きが伴っていません。
そこで、前列の鍵盤楽器を演奏途中のソロの箇所では立奏にしました。
jazz2
(プライバシー保護のため画像処理をしています)

そうするだけで、JAZZを楽しみながら演奏しているのが伝わってきますね。でもまだ、子どもらしさは影を潜めています。

そこで…
jazz3
(プライバシー保護のため画像処理をしています)

同じやるなら、音楽に乗って楽器を左右に振りながら…それも、ひな壇に居るリコーダーを吹く子どもたちも一緒になって!
子どもたちの生き生きと輝く様子が少しの工夫で見え、演奏までが違って聴こえることでしょう。

一方、「魅せ方」には『聴かせる演奏』をする…これも含まれるはずです。

例えば、「ハンガリア舞曲第5番」を例にとると、何度か曲想が変化するのに合わせて、「間をはさむ」「速度変化」「強弱」「クレシェンド」等
《共通事項》にヒントを得ながら表情をつけると、全体に深みのある演奏に聴こえます。

『聴かせる合唱』では、歌詞を子ども達自身の「メッセージ」として、聴く人達に伝えるように歌うことが大切です。
歌詞内容を隅々まで理解した上で歌うことです。「帰り道」(教芸3年教科書)を例にとると…
「まっかなゆうひ」を子どもたちは「まっかなゆう・ひ~」と「ひ」を強調して歌ってしまうでしょう。
「真っ赤な/夕日」と言葉をとらえて歌うようにしないと意味があやふやになってしまいます。
「きみとみていた」でも、「きみ」より「みていた」が強くなってしまうものです。誰と夕日を見たのかが大切なことに気付かせるために、
「きみとみていた」のフレーズの直前に『誰と?』と声をかけてやると、「きみ」にフレーズの重心が移動させることができます。
著作権の関係上、ほんの一例を挙げるのに止めますが、まだまだ「聴かせる合唱」にしていくための支援はたくさんあります。

「見せ方」によって、子どもたちの輝く面を出すことができ、「魅せ方」へとつながります。
うまく「魅せる」ことにより、「聴かせる演奏」に近づいていきます。
本番を控えたときだからこそできる活動…貴重な時間を最大限有効に使う工夫をしましょうね。




LIVE
講座26
 中四国音研 松山大会の報告①
 「自分の環境を利用した活動を」
大会の流れは、午前中《小学校部会》で、午後から場所を「松山市民会館」に移動しての《全体会》でした。

小学校会場校で、公開授業の前の「朝の音楽活動」から参観しました。
学校の校舎は複雑な構造で、その学校の方にうかがっても赴任からしばらくは、どこがどこだか分かるまで苦労しましたと言われていました。
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ところが、この学校の取り組みは、複雑な構造を逆手に取り複雑極まりない構造だからこそできる活動をされていました。

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(正面玄関近くで)
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(子どもの広場で)
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(オープンスペースを利用して)

複雑な構造なので、縦割り学年で集まった場所での活動がお互いに邪魔されることなくスムーズに流れていきます。

最終的には、どの縦割りグループも、体育館に集まるのですが、途中、校内放送で…「では、今月の歌」を歌いながら体育館に移動しましょう」と
いうアナウンスが流れ、子ども達は全校合唱曲を歌いながら整然と移動を始めます。
複雑な構造なので、階段も多いのですが、子どもたちが通った階段をふと見ると…
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階名が付けられた階段です。

各グループの歌声が校舎内に反響して、気持ちのいい響きを感じながら、子どもたちは体育館へ。

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学校それぞれが抱える環境…校舎の構造、児童の家庭環境、校風、職員構成などおありでしょうが、欠点と思われることを
嘆くのではなく、逆手に取った活動を工夫し、目標に向かった活動を展開することを考えようではありませんか。
この機会に、もう一度、ご自分の周囲を建設的な視点で見直してみませんか。


LIVE
講座27
 中四国音研 松山大会の報告②
 「さぐろう せんりつのひみつ」
公開授業を行った小学校は2校だったのですが、私が作曲した音楽物語『麦畑』を使って、「せんりつのひみつをさぐろう」という
授業だったので、応援したい気持ちも込めて、この学校を選んだというわけです。
4年生の子どもたちは、第1次、2次までに、曲の特徴や曲想の違いを感じ取る学習を教科書等で行っていました。
そこで第3次として、『麦畑』の5曲それぞれにイメージを広げ、歌詞、リズム、旋律の流れとの関係性、調の変化…などから
曲想の違いをとらえ、日本語の語感を活かした表現に近づけるといった学習でした。
イメージを持たせ、広げるために、授業会場(ランチルーム)では様々な工夫がなされていて、参観者の目を惹きつけていました。
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(物語に登場する動物たち)
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(麦の穂で飾った建物の柱)
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(主人公のはりねずみの大型ペープサート)
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(用意された「拡大」を通り越した「特大」楽譜)

「曲の山」を見つけたり、「あいあいタイム」の小グループ毎で工夫するのが本時の主な授業での活動でした。
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(子ども一人ひとりが描いた絵が背中に…)

歌『生きる』に出会った子どもたちは、旋律について様々な感想や思いを述べるのですが、私が感心したのは
言葉の後の「休符」に着目した子どもがいたことです。
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その「発見」によって、言葉の語感がより一層際立ち、より感情を込めて歌えるようになるのです。

音符の動きに気をとられ、なかなか休符には目が届かないのが普通だと思っていたのですが、さすがに、この時点までに
相当、旋律の特徴を会得してきた証なのでしょう。

周到な準備、授業のねらい・目標を明確に把握して臨む指導者、授業ごとに力をつけてきた子どもたちを前に、
今回の松山大会は意義深いものとなりました。
入念に読み込まれた作品解釈から生み出される子どもたちの歌声はすばらしいものでした。



講座28
見せ方、魅せ方に一工夫を③
当たり前のことなので、話すのを控えていたのですが、数多くの発表の機会を観ていると、
まだ気づかれておられない指導者が目につくので、話すことにしました。
本番で合唱(歌)する場合、たいていの場合は普段の指導者が指揮をされることでしょう。
その時に、ほんの少し早くに子どもたちが歌う歌詞を声に出さずに口形で示してあげるように
気を付けておられるでしょうか。
緊張気味の子どもたちは、息継ぎも浅くなり、口の開け方もいつもよりちいさくなっている場合が
多いものです。
また、フレーズの出だしの言葉がはっきりしないことがあります。覚えているはずなのに、聴衆を前にすると
不安な気持ちにかられ、歌いづらくなってしまうからでしょう。
そんなとき、ほんの少し早くに子どもたちが歌う歌詞を声に出さずに口形で示してあげるようにすることで、
自信をもって声を出すことができるものです。

また、歌詞の中には「ワクワク」だとか「えがお」「かがやく」「小さな…」などの言葉が登場しますね。
きっと授業中には、それらの言葉をこんな風に歌いましょう…と指示されているはずです。
そんな「取り決め」を謳っているときに思い出せるよう、キーワードのゼスチャーを交えて指揮することで
子どもたちは安心して、普段通り歌ってくれることでしょう。
高く離れた音程への跳躍のときも、指揮の身振りで示してあげれば、下がることなく、気持ちよく
子どもたちは歌うことでしょう。

前に立つ指揮者の口形で歌詞を確認でき、また、歌う時のヒントを示してくれるなら、
子どもたちは指揮者の口や手ををしっかり見つめるに違いありません。
この瞬間、指揮者と子どもたちは、お互いに一体感を味わいながら幸せな気持ちで発表できるでしょう。
子ども達全員の目が指導者に集中している様子は、想像以上に聴衆の心に響くものなのです。



講座29
あやふやな言葉や説明、厳禁!
最近、ビザを取ることが必要になり、ある旅行会社に行きました。
申請に必要な書類と写真を応対してくださった方に出して、万事うまく運んだと思われたのですが…。


「○○国のビザ申請時の写真の背景は白色じゃないといけないのです」と言われました。
こちらが用意して持参した写真はパスポートに使用した残りのもので、もちろん期限内のものだったのですが、
背景が青色だったのです。
「パスポート写真がOKなのに、どうしていけないのでしょうか」
「要項の提出書類に、写真はカラー・背景は白色厳守となっていますので…」
その後、どこかに電話で問い合わせられ、「やはり白色厳守です」としか言われないのです。
あまりにも腑に落ちない答えだったので、自分で調べてみると、大使館からの指定だったのです。
それであれば、「大使館からの通達なので、お守りください」と答えてもらっていたら、気分の悪い思いを
しないで済んだのです。

ふと、授業をしているときのことを思い出し、「ちゃんとしなさい!」「頑張ればできるよ」などの
曖昧な指示を、子ども達にしていなかっただろうか。
「ちゃんとしなさい」といっても、何をすればいいのか戸惑う子どもがいるものです。
「頑張れば…」って、何をどう頑張ればいいのか見当がつかない子どももいるはずです。
また、クレッシェンドやデクレッシェンドなどは言葉での説明では理解しがたいものですが、
表現の工夫をする中で、実際に音を出して行ってみることで、わかってくれるでしょう。
子どもが「ストン」と分かるような明瞭な指示を出すことを常に心がけたいものですね。
どんなときでも、子どもの様子をうかがいながら、子どもの目線に立って授業に臨みましょう。


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講座30
飛び入り授業報告(3年生)

兵庫県音楽教育研究大会を来年度に控えた小学校に寄せていただき、飛び入りで3年生の授業を行いました。

yamaguchi1

 既習曲の「春の小川」を歌いましょうか…と言うと、あまりにも時期外れだったのか、きょとんとする子どもも居ましたが、
とりあえず歌ってもらいました。

徐々に思い出してくれた時、「先生(私)の弾いたピアノ伴奏で何か気付いた人はいませんでしたか?」と尋ねると、
「『♪春の小川はさらさら行くよ』の初めのところは小さくて、真ん中のところは大きくなっていました。」
「『♪すがたやさしく色美しく』の『♪色美しく』が少しゆっくりになっていました。」など、よく聴いていたのに感心しました。
「ゆっくりすると、どんな気持ちで歌えたかな」という問いかけには「気持ちをのせて歌うことができる」というような
発表をしてくれました。

「A君は、そんなに得意じゃないんだけど、先生が弾かれるピアノをしっかり聴いていたので驚きました」と担当の先生が
教えてくれたのですが、手先の器用さと音楽を聴く耳とは、相関関係にないのです。
授業では「先入観」をもたないことが大切なのですね。

歌うたびに、音程を上げていったのですが(C→D→E♭)歌い込んでいくことで、張りのある声に変わっていきます。

本時の目標は、リコーダー指導だったので、次に「茶つみ」を歌い、「シ」と「ラ」のみのリコーダーで合わせることに
しました。
ホワイトボードに楽譜を書き、「『ラ』の音に印をつけられる人はいませんか?」の問いかけに、たくさんの子どもが
応えてくれました。
yamaguchi2

もちろん、「シ」「ラ」は読めるだろうと考えて、印をつける活動をスキップしてもいいのですが、全員の子どもが
確実に読めるかどうかわからないので、どの子も諦めないで参加できることを考えてこの活動を加えたのです。
全員でリコーダーを吹いた後、「歌」「リコーダー」二つのグループに分かれて、合わせました。
的確にリズムがつかめない箇所(写真中央の赤マグネットの小節)があるので、「この小節のリズムと同じ
小節を他に見つけられるかな?」という問いかけで、そのリズムに着目させることで理解を深めたようでした。

「今から『ソ』を吹くんだけど、音を出さないで指を準備してください。それで、きれいな『ソ』の音が出ると思う人は
立ってみましょう」
音楽科の授業では、指導者のペースで進めることも多いのですが、学習をしているのは子ども自身です。
今何が課題で、自分(子ども)は、その課題が解決できたかどうかを常に判断させることが必要なのです。

立つ子どもが徐々に増えてきたので、順に吹いてもらうことにしました。
yamaguchi3
(個人を特定できないよう画像処理をしています)
中には「あっ、指あながあるのわかったよ!」という声が聞こえてきたり…。
「しっかり押さえないと出ないんですよ!」なんて指示するのは子どもの視点に立った指導とは言えません。
なにしろ音を出すのは子ども自身なのですから、子ども一人ひとりの感覚を目覚めさせ、
生かすことが大切なのです。

『ソ』を吹く準備をしたところで、『シ』『ソ』の二音のみを使って、ジャズの『Sing Sing Sing』に合わせて
演奏しました。ジャズに合わせることで、同時に鑑賞活動が組み込まれるので、
それがリコーダーの演奏表現に現れてくるのです。
ジャズに合わせると、歯切れのいい演奏になるから不思議です。
楽しい気分で演奏し終えたときに、終礼のチャイムが鳴りました。
別れ際に子どもたち一人ひとりと握手を交わすと、一人ひとりの授業に対する思いが
こちらに伝わってきます。
いつもそうなのですが、子どもに感心させられる場面に出会えた幸せを味わうことができました。

どの子も参加でき、充実した活動をすることができる授業を目指していこうではありませんか。


LIVE

講座31
「曲の山」とは…(2年生)

2年生の授業を参観させていただいたときのことです。
本時の教材は「夕やけこやけ」で、目標は「情景を想像して、歌い方を工夫することができる」と
いうものでした。
yuuyakekoyake
展開の流れで、まずは「歌って、曲の山を意識させる」という活動でした。
前時の授業で学習したのでしょうか、
子どもたちは、9~12小節目(おててつないで みなかえろ)ですと答えました。

「曲の山」の説明はG教科書では3年生の「一人の手」で取り上げられています。
授業をされる先生方の多くは、「曲の山」は旋律が一番高いところで、強く歌う箇所…
と解釈されているように感じるのです。
確かに、教科書には「・・・旋律の音が高くなっていくと、ふつう気持ちが高まって、
だんだん強く歌いたくなりますね(後略)」、「曲の中で気持ちが一番もり上がるところを
曲の山といいます。音の高さに注目しながら…」と書かれていると、どうしても「山」は
旋律線の頂上を指し、そこは強く歌うところ、と解釈してしまいがちです。

「夕やけこやけ」の授業で、「曲の山」を9~12小節目だと説明した先生は、
2番の歌詞(ことりがゆめをみるころは)で、強く歌わさないといけないのでは…
でも、この部分は歌詞から考えると、ていねいに、ささやくように歌う方がいいのでは…
と迷われてしまい、結局、導入時での「曲の山」については、この授業の中で
いっさい触れられずに終わりました。

教科書では、「曲の山」という切り口で旋律をとらえさせることがあるのですが、
「曲の山」という言葉に迷わされないで、「一番強く歌いたいところは?」
「一番気持ちを込めて歌いたいところは?」などととらえさせる方が
誤解が生じにくいのかもしれませんね。
「夕やけこやけ」の2番での「曲の山」では、想像の翼をひろげ、より情感豊かに
歌うようにすることで、大きく歌わなくても、気持ちのもり上がりを
十分に満たすことができると思うのですが。

この授業では、曲中に聞こえてくる音を取り上げ、夕方5時には音楽室でも聞こえてくる
お寺の鐘の音や、指導者の自宅裏山で聞こえるカラスの鳴き声を機器を使い聞かせる
といったていねいな扱いをされているのには感心するとともに、「夕やけこやけ」の歌の
世界を共有できる指導者と子どもたちは幸せだろうな…と思いました。


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講座32
歌い方を工夫しよう(2年生)

【講座31】の授業の続きになるのですが、
本時の目標「情景を想像して、歌い方を工夫する」場面では、
「どんな気持ちで歌いたいですか?」という指導者の発問に
子どもたちから、「明日、やりたいことを話しながら…」「さっきの遊びの話を
しながら」「今夜の晩ご飯は何かな」「楽しい」「にっこり」「夕やけきれいだな」
「あたたかい気持ちで」…など書ききれないくらい発表していました。

授業の結末から言えば、授業開始時の歌い方と、歌い方を工夫したあとの
授業終了直前の歌い方に、さほど変化が見られなかったのです。
それは、どうしてでしょうか。
先ほどの、子どもたちが発表した気持ちで歌いましょう、というだけでは
歌い方に変化が表れないのです。
「♪おててつないでみなかえろ」では、隣りの子とてをつないで歌わせたのですが、
子どもたちは楽しそうに歌っているのですが、同じく、歌い方が変わらないのです。
2nen

では、どうすれば、子どもの発表が表現に表れるのでしょうか。
手をつないで歌う楽しさを、音楽と結び付ける必要があるのです。
そこで活用できるのが、『共通事項』ですね。
なにも『共通事項』を教えるための授業では、もちろんありませんが、
十分に活用することは大切です。
旋律をよく見ると、ただ一か所(9小節目)だけ「付点音符」になっています。
このリズムをしっかりつかませることで、子どもたちの心の中の思いを
外に出す(表現)ことができるでしょう。
同様に、「♪まるい大きなお月さま」では、大きく円を描くように両腕を
動かしていたのですが、円の描き方と歌詞とをうまく組み合わせるように
指示することで、クレッシェンド、デクレッシェンドのついたフレーズを
生み出すことができるのです。
他にも、「きらきら」「星は空高くで…」などを、音色等に注目させることで
歌声をかえることができるでしょう。

授業における目標を達成するためには、毎時間後、「この45分で、
どんなことを学ばせることができたのか」「どんな力がついたのか」、
また、活動や支援、指導が適切であったのか等反省しながら、じっくり
練り上げて次時の授業に臨みたいところです。


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講座33
おはやしリズム(2年生)

◆指導の緻密さが子どもの感激度合を低くする!

12月中旬、兵庫県での研究会に寄せていただきました。
題材名「はくにのってリズムをうとう」でした。
題材に沿って、「いるかは ざんぶらこ」「山のポルカ」など
ていねいに指導を進めてこられ、さらに2拍子のリズムを
組み合わせて「おはやし」をつくり、拍の流れにのって、お互いの
おはやしのリズムを合わせる…というのが、この日の授業までに
おこなってきたそうです。

今回の授業のねらいは「グループでつくったおはやしリズムを
みんなでつなげよう」というものでした。
ところで、事前に他のクラスで行ったところ、「子どもたちが、
できた喜びをあまり表情に出さないのですが…」と指導者の方が
言われていました。
A4用紙6ページにわたる指導案からは、細かい指導計画がびっしり。
ふと感じたのは、緻密な指導は、ステップが低くなるので、もちろん
いいことではあるのですが、前時からのステップが低いために、
高みに上っているはずの子どもたちが、そのことを実感できていない
のではないか…ということです。
ステップを高くすると、活動についてこられない子どもがいるという
話はよく耳にしますが、低いステップの中にも、一つくらいは、子ども
たちが、戸惑い躊躇しながら考える内容を盛り込むことも大切なのでは
ないかと考えさせられた授業でした。

◆「たいこの音」(拍打ち)と「村祭り」(楽曲)の相違点

3人グループで活動させるために、特製の手作り太鼓を用意されて
いました。
taiko

漬物樽にガムテープを張ったものですが、手作りとはいえ
なかなかいい音色の太鼓です。
子ども達がつくったリズムを、指導者があらかじめ録音した
太鼓の拍に合わせて、グループごとに順に打つのです。
各グループの最後には、終わりのリズムとして
「♩ ♩ ♩ ヤ~!」を挿入していきます。

ここで、話題になったのは、太鼓の拍に合わせるのと、
「村祭り」(文部省唱歌)の音楽に合わせるのとどちらの方が
いいのだろうか…ということでした。

この二つの活動には、あきらかな違いがあります。
太鼓の拍に合わせて打つのであれば、子どもたちは
拍を感じることなく、合わせることができるでしょう。
しかし、音楽に合わせるとなると、その音楽(例えば「村祭り」)
から拍を感じて打つ必要があるのです。

視点をかえれば、低学年の鑑賞活動について、指導要領では
(1)(イ)音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取ってきくこと。
(2)教材(ア)身体反応の快さを感じ取りやすい音楽…
      (イ)音楽を形づくっている要素の働きを感じ取りやすく
        親しみやすい楽曲
      (ウ)楽器の音色や(人の声の)特徴を感じ取りやすく親しみやすい…

となっています。

低学年で、「太鼓」使う活動の意義の大きさを味わうことができた
授業でした。
taiko2
(個人を特定できないよう画像処理をしています)


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講座34
指導者のやる気みなぎる指導案

授業に欠かせないのが「学習指導案」でしょう。

やる気みなぎる指導者のA先生が授業をされる指導案を
みて驚きました。

「指導にあたって」の項目なのですが、
まずは、これまでにおこなってきたことの成果と課題。

次に、題材の中の教材について、「○○ができる教材である」
「リズムを楽しむことができる」「合奏をすることができる」
「リズムの創作を楽しむことができる」「楽しくリズム学習を進めることが
できる」「○○を経験することができる」「表現の工夫をすることができる」…
など読んでいて息をもつかせないような内容なのです。

また、指導に当たっては、「○○する」というのが、20近く書かれているのです。
そして、これらの学習を通して、「○○する力を身に付けるようにしたい」
「身につけさせたい」…と締めくくっておられるのです。

もちろん、指導計画も、第1次、2次のねらいに沿って「指導に当たって」に掲げた
内容がびっしり。

学習指導案を作るときに、「どのような力を身に付けてきたのか」
「どのような力を身に付けさせようとしているのか」
「本題材でのねらいを身に付けさせるために、どのような学習活動を
どのような流れで行うのか」「次へどう発展させていくのかという指導の見通し」などを
もたなければ…とあらためて肝に銘じる指導案でした。


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講座35
歌い方の工夫について

最近、授業研究会でよく見かけるのが、「旋律の特徴を感じ取って
表現の工夫をしよう」というねらいの授業でしょうか。

4年生の授業で、「ゆかいに歩けば」を教材にした活動の授業が
ありました。
授業までの準備はていねいで、ワークシートを用意しておられました。

歌詞の1番から3番までが2段ごとのフレーズに分けて書かれてあり
●歌詞の内容を思い浮かべて考えよう
 どんな景色が思い浮かぶかな
 どんな気持ちかな             
と補足が書かれているものです。

これまでにも、話してきましたが、気持ちやイメージだけで表現を変えることは
非常にあいまいであるということです。

このワークシートを利用するなら、もう一言…
「どんな『調味料』をふりかければいいかな」「どの魔法を使うかな」など
「共通事項」をヒントにできるようにすることが必要だと思います。

「共通事項」を使うことによって、それが文字通り、子どもたちの共通の
ものになり、次回からの授業でも生きて働くはずでしょう。

また、中学年の段階では、楽譜から読み取る活動に重点を置いた指導が
まだまだ必要だと思います。
「前半の部分で、スタッカートがついたのと、ついていないのではどう違うかな?」
「どうして、スタッカートがついているんだろうね」
など、グループで考えながら楽譜をしっかり読み込めることが大切だと考えます。

「共通事項」を教えることが授業の目的ではありませんが、それを活用して
音楽の組み立てや表現を工夫することです。

授業が終わった時点で、「何がわかったのか」ということを指導者が自ら
問い直す心がけが大切ですね。

講座36
「キラリと光る言葉」の紹介

今年の6月に、兵庫県音楽教育研究大会「但馬大会」があります。
今現在、但馬の先生方は大会に向けて研究を進めておられるのですが
実践資料の中に、いくつもの「キラリと光る言葉」を見つけました。
座右の銘になりそうな、凝縮されたキラリと光る言葉を紹介します。

◆『音が高くなると気持ちの温度も高くなる』
 「旋律の特徴を感じ取ろう」の題材には必ず登場する「曲の山」を
 指し示していると思われますが、「曲の山」は大きな声で歌ったり
 演奏したりする…と子どもたちに勘違いさせないためにも、この
 ような言い回しが必要かと思います。
 教科書では、気持ちのもり上がりと説明しているでしょう。
 それを「気持ちの温度」ということで、より子どもに合った表現に
 近いように思うのですが。

◆『歌声でも友だちと仲良し』
 合唱をするときに、2つのパートの歌声が響き合うように…という
 指導者の願いから生まれた言葉なのでしょう。
 お互いの声をよく聴くことの大切さを、さりげない言葉に置き換えた
 のでしょうね。

◆『意欲を育てられるような学習指導』
 授業は何も技能を身に付けさせるだけではなく、活動を行う
 子どもたち自身が意欲をもって臨むところから学習が始まることを
 あらためて再認識しましょう。
 
◆『子どもたち自身が言いたいことを伝える言葉の元になるのは
 体験活動である』
◆『子どもの活動を「待つ」という姿勢は大切だ』

 音楽の授業では、子どもの感覚・感性を大切にしようと、子どもたち
 から言葉を引き出すことにこだわりすぎる場面をよく見かけます。
 でも、音楽を学ぶ過程にいる子どもたちには、知ってほしい事柄も
 たくさんあるのです。
 また、時間をかけてじっくりと取り組むことも欠かせません。
 出来る限り、豊かな体験をさせながら、子どもたち自身の言葉を引き
 出したいものです。

◆『子どもたちは「学習していることの中身がよく分かるとき、やる気が
 出る。もっと分かりたいことや身に付けたいことがあるとき、やる気に
 なる』

 解説の必要のない文章ですね。
 少々難しい課題であっても、子ども自身のやる気、上述の「意欲」があれば
 取り組もうとするものなんです。
 

いかがですか。
但馬地区の先生方が研究を深めるなかで、見出したこれらの言葉…清流の
中から砂金を探し当てるように、大会当日の研究誌の文章の中から見つけ
出してみてください!


LIVE

講座37
共通事項から表現の工夫を

藤原一秀先生(関西外国語大学教授)を講師に招き、4年生の子どもたちに
「花は咲く」(岩井俊二作詞/菅野よう子作編曲)合唱指導をしていただく
研修会がありました。

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「なぜ、この曲の題名を『花は咲く』にしたのでしょうね」
開口一番、藤原先生の投げかけです。
4年生の子どもたちから反応はありません。
「授業が終わったら、またきくことにします」

「みんなの楽譜の中から、強弱記号を探してみよう」
子どもたちは強弱記号のないことに気づきます。
「だったら、強弱はみんなで考えないといけませんね」

「この歌の出だしは『p』ですか?『mp』かな?それとも『mf』『f』…?」
子どもたちのほとんどは、『p』と確信をもって答えます。
「ほっ、そうですね!」喜びの表情を身体いっぱいに表す先生。

「『♪まっしろな (雪道に)』…どう歌ったら、言葉にピッタリくるかな。
私が歌ってみますよ。」といって、3通りの歌い方の中から、子ども
たちは自分の気持ちに沿ったものを選んで挙手をします。
「じゃあ、歌うのに合わせて手振りをつけてみるよ」

hujiwara2

写真からもわかる通り、子どもたちに熱く語り授業を進める指導者に
子どもたちは、どんどん引き込まれていくのが伝わってきます。
「雪道ってどんな様子かな。みんなが歌っているのはベチャベチャに
雪が融けたような道になってるよ。サラサラの雪道にするためのヒントは
『まっしろな』の「な」にあるんです。」
語尾の大切さをさりげなく伝えることで、子どもたちの歌が変わって
きます。

      *     *     *
「旋律の特徴から表現を工夫しよう」という場合、授業の前に
どれだけの情報を楽譜から読み取っているでしょうか。
歌が成立した経緯、歌詞、旋律や音の動き、和音、歌の前の前奏、
フレーズの中での緊張と緩和…出来うる限りの多くの情報を読み取り
それを子どもたちに合った目の高さでの発問や投げかけ、歌の表情を
身振りや手振りでより一層拡大して理解させるなど、指導者自身が
まず表現の工夫に向き合う姿勢の大切さを教えていただく機会に
なりました。

一方的に子どもたちに表現の工夫を求める指導者をよく見かけるの
ですが、藤原先生は子どもから引き出すと同時に、子どもたちに
表現する力をつけていくのです。
ですから、教材が変わっても、子ども達は、この授業で付けた力を
発揮できるのです。

「なぜ、この曲の題名を『花は咲く』にしたのでしょうね」という
授業前の投げかけに、多くの子どもたちの手が上がりました。

「共通事項」をうまく取り入れながら、それを今後に生かしていく力を
子どもたちに付けようとする授業。
指導者とともにつくる授業で、自分たちの工夫で表現が変わる面白さ
を味わった子どもたち。

45分という授業時間の重みも合わせて感じる研修会でした。
藤原先生、ありがとうございました。


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講座38
子どものワークシートを活かした授業

「リズムやふしをつくって表現しよう」という授業研究会がありました。
本時のねらいは「自分の旋律を生かし、友だちとつなぎ方の工夫を
しながら、グループのおはやしをつくる」というものでした。
tesima1

4人一組のグループ内で、それぞれがつくった旋律をつないで
グループのおはやしをつくるという内容です。

そこで、指導者は、最後の音が「ラ」か「レ」になると終わった感じが
すること、また終わりの音符は「四分音符」がふさわしいことに気付か
せたいという思いをもって授業に臨みました。

「まず、みんなに吹いてもらおうかな。先生が指名するね。
では、「ソ」で終わっていた●●君、お願いします。」
次には、「ラ」の音で終わっている別の児童を指名し、二人の旋律で
どちらが、より終わる感じがしたかを全員に尋ねるのです。

「次は、●●さん、お願いします」…指導者は、その児童が「ド」の音で
終わっていることを授業前に調べていたのです。

「もう一人…●●君、どうぞ」
その児童は「レ」で終わっているのです。
「どちらが、終わりの感じがしたかな?」

指導者は、旋律づくりをさせている間に、それぞれの児童の旋律の動き、
終わる音など、指導すべきポイントをきちんと確認し把握されていたのです。

もう一つ、授業後半でのグループ発表の時です。
授業時間内で発表できるグループは限られています。
指導者が指名したグループが旋律をつなげて演奏しました。
「何か、この班の演奏で気付いたことはありませんでしたか?」と指導者が
みんなに尋ねました。
tesima2
(児童が演奏した楽譜:音符は小さく音符の横に書かれています)

(児童)「1段目と3段目のリズムが同じでした」
指導者は、そうですね…と言いながら、黒板横に並べてあったカードの
中から「くり返し」「反復」を選び、その説明を加えました。

そのグループの児童が、「お話ししているように並べました」と発表を
つけ加えます。
1段目の旋律と2段目、3段目と4段目がそれぞれ対になっていて、
お話しをしているようにしたというのです。
その発表を聞き、指導者が「問いと答え」のカードを添えました。
「くり返し」「反復」「問いと答え」…そのどれもが「共通事項」です。

「旋律づくり」は、その過程で、即興性や音楽を構成する力を身に付ける
ことが目的なのです。
一方、指導者は子どもたちがつくった旋律だけを注視しないで、今どの
ような旋律をつくっているのかというのをしっかり把握しておかなければ
なりません。
また、その活動を通じて、どんな力を育てたいか、授業の組み立てを
考えて授業に臨んでほしいものです。

今日の指導者は、「旋律づくり」のねらいをもち、一人ひとりの子どもの
活動の様子やつくったワークシートに目を通していたのですね。


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講座39
授業の本質に迫った研究会

[講座37]に続き、再度、藤原一秀先生(関西外国語大学教授)の
合唱指導を参観させていただきました。
4年生児童に「友だちだから」(桑原永江/詞・若松歓/曲:教育芸術社)
指導です。

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(教育芸術社:新しい教材集「すてきな一歩」)

このような指導から、参観者は多くのものを学ばせて
いただきました。

「わかる・できる・たのしむ」をテーマにした授業研究を
進める上で、欠かせないのがユニバーサルデザイン授業
でしょうか。

藤原先生の指導に、授業の本質を見せていただくことが
できました。

「音や歌声、フレーズを見せる」:リズムやフレーズを
腕の振りや指導者の顔、表情から読み取らせておられるのです。
hujiwara0124

「私の顔や指揮を見ながら一緒に歌ってね!」

「学ぶことを絞り込む」
この曲は、どのフレーズも1拍目から歌いだす箇所がないところに
着目させました。
全体の楽譜を俯瞰させた上で、出だしの部分の四分音符の歌い方
を工夫させました。音が出る前に休符がある、なしの違いを感じさせる
ためにベートーベン「運命」の出だしを使うことで、休符の重さを
実感させます。
また、その休符を手拍子させることで、歌い出しを変えて
いくのです。
手首を回しながら歌わせたり、両手に力をこめて振らせたり。
また鼻濁音「が」を濁音で歌うことで、歌がどう変化するかと
いうことを具体的に説明します。この指導は、見えないものを
具体化させてくれるのです。

「みんなが同じ思いで理解できる」
藤原先生の一言一言が、子どもたちの心にストンと落ちるのと同様、
参観者全員、すんなりと納得できるのです。
このことは言い換えれば、「共有化」といえるでしょう。

「何を教えたのか」ということよりも「(子どもたちは)何を学んだのか」、
また、授業を進めていく中で、常にそのことを念頭におきながら、指導
を工夫し、言葉をかけていく姿勢こそ大切なのだということを、授業を
参観するなかで実感しました。

「音楽を見せる!」

hujiwara0125

指揮の仕方により、子どもたちと共に作品を味わうことができる…という
ことを教えていただいた授業研究になりました。
藤原先生、ありがとうございました!


LIVE

講座40
すばらしい授業から学ぼう!

合唱指導で著名な、大西裕子先生の飛び込み授業を参観させていただく
機会に恵まれました。
そこで、学んだことを紹介しましょう。

「ありのままの姿からの出発!」
授業の始まりに子どもたちの歌声を聴いた後…
「みんな、とってもいい歌声をしているんだけれど、
いつもどうしているの?」と子ども達に尋ねました。
「息を吸って、大きな口を開けて歌っているよ」
「きれいな声で歌う!」
「うら声を使う!」…ポンポンと子どもたちから返ってきます。

「笑顔で歌うと?」
「きれいな声になるよ」
「ほっぺに、たこやき作って歌う!」といって
みんなで、ほっぺにたこやきを作ってみせてくれました。

授業の始まりに、子どもたちの普段様子を尋ねた指導者…
今のありのままの子どもを受け入れて、授業を始めようという
姿勢こそ「だれもが参加できる授業」のスタートです。

「みんなを引き込みながら」

「あっ!また一人、すてきなお友達を見つけました!」と言って
一人の子どもを指名した大西先生。
このようにして、子どものつぶやきや、しぐさを取り上げ、全員に
紹介しながら授業を進めていくのです。
この姿勢は、何もできる子だけを取り上げて紹介するものでは
ありません。
手を挙げて発表できない子、どうしていいか困っている子などを
すばやく見つけることにもつながっているのですね。
活動を進める中で、タイミングよくほめる言葉もポンポン飛び
出すので。子ども達は笑顔を絶やさず、自信にあふれた表情で
活動していました。
すべての子どもが取り組める活動を積み上げていく授業に
時間の経つのも忘れます。

「常に、ねらいから逸れない、そらさない」

飛び込み授業開始から30分が経過した頃、
先生が、「一度ここで今やっていることを確かめるよ。
今は、歌い方の工夫をしているんだよね」
授業は、開始から終了まで、一貫して本時のねらいから逸れる
ことなく、ねらいに向かっていくつかの課題を解決していくのです。
この姿勢が大切なのです。
また、一つの課題が解決できそうなとき、「これができたら次のこと
言うね」という言葉をかけられました。
指導者は、「ねらい」までの道のりをしっかり見通して授業をデザイン
することも欠かせません。

「子どもを惹きつける有効な言葉がけ」
授業が始まった時…
「お話を聞くときはリラックスしてていいよ。でも、それが弛んでくると
ダラックスになるんだよ。それで、歌う姿勢は背筋を伸ばして、
いい姿勢…デラックスにするんです」
2年生の子どもたちにも、この言葉がけがストンと入ったのです。
この時間中、途中で「はい、デラックス!」という一声で、子ども
たちはそろって歌う姿勢に。
このような、子どもの目の高さで共有できる言葉を持っていると、
切り替えもはやくなるんですね。

授業を終えた子どもたちは、大西先生とハイタッチをして音楽室を
後にしました。


LIVE

講座41
「ねらい」をどこに定めるか!

先日、6年生の研究授業を参観させていただきました。
来年度の大会に向けた授業研究だったので、教材は
「ラバースコンチェルト」(「小学生の音楽6」教育芸術社)でした。
きっと6年生をお持ちの先生方は、もう昨年のうちに済まされているか
と思います。
題材名は「いろいろな音のひびきを味わおう」…というものです。
そこで、指導者はまず、4パートの旋律のもつ役割を再確認されました。

kokuban

とてもわかりやすい説明です。

本時のねらいは、「自分たちのイメージに合う演奏の仕方やひびきを
みつけよう」で、それぞれ3グループが練習した後に、より自分たちの
イメージに近づけるための話し合いを持たせました。
子どもたちのイメージというのは、演奏のどんなところを聴いて
ほしいのかというものでした。
card1
(あるグループのイメージカード)
指導者の最初の説明では、パートの役割、楽器のもつ特徴を生かして
合奏することだったのですが、子どもたちは自分たちのもつイメージを
優先させて話し合いを進めているのです。

この教材の場合、最初にパートの役割を理解し、それにふさわしい
楽器を選ぶときに、パートの役割を果たせる楽器をいくつか見つけ出し、
その中から、自分たちが話し合って決めたイメージにふさわしいものを
組み合わせるという、二つの「ねらい」を指導者がきちんと把握して
おかなければなりません。
そうすることで、「それぞれの旋律の役割に合う楽器の中から、全体の
ひびきがやわらかい音色になるように工夫して楽器を組み合わせました。
聴いてください」というように指導者のねらいに沿った授業になるのです。
ensou1

電子オルガンを使用する場合には、どんな音色を選択するのか、また
強弱を足のペダルで表情をつけることにも気を配る必要がありますし、
木琴、鉄琴などを使用する場合には、数種類の硬さの違うマレットを
準備することも忘れないようにしたいものですね。
この題材で、子どもたちが何をどう学ぶのか…しっかりと計画を立てて
授業に臨まないといけません。


LIVE

講座42
「本時の目標」と「題材名」

土曜日に公開授業があるというので、寄せていただきました。
この市では、どの学校も年に一度は保護者・地域等に呼びかけた
公開授業研究会をすることになっているとか。
なかなかユニークな取り組みです。
出向いた小学校の研究主題は『「仲間と共にいきいきと学び続ける子」を
育む教育の創造』でした。
参観させていただいたのは、4年生の音楽の授業で、題材名は
「音の重なりを感じ取ろう」、そして本時の目標が「バランスに気をつけて、
演奏の仕方を工夫することができる」というものです。
合奏教材「茶色の小びん」でバランスを考えさせるのに、指導者は
「音量」「音色」の視点を確認させ、2グループに分かれて聴き合い、
お互いに発表しました。
isibasiminami

子どもたちからは、音量や音色を工夫するのに、「木琴や鉄琴のバチ
(マレット)を変えるといい」という発言がいくつも続きます。
それぞれのグループが2度ずつ発表したのですが、授業の終わりまで
「演奏のバランス」から逸れることなく集中して取り組んでいました。
静かな中で、じっくりと考え、活動をする子どもたちの様子に感心しました。

合唱も4年生とは思えないくらいの歌唱力だったのですが、既習曲の
「パレードホッホー」(教育芸術社4年)での音の重なりを感じ取らせる
ためには、指導者の指示速度が速く、子どもたちが歌いながら味わう
ことができにくい状態でした。
このことは、合奏「茶色の小びん」でも同じことでしょう。
本時の目標が「バランス」であっても、題材の目標を見定めて、合奏
でのゆたかなひびきを味わわせるために、ある程度余裕をもった
速度をも視野に入れながら授業を行わなければなりません。
授業後、残っていた子ども(鉄琴を受け持っていた)の一人が、自分の
パートをゆったりと演奏しているのです。
もしも、授業内にその速度で演奏させていれば、その子は十分に自分が
受け持った楽器の旋律を合奏の中で楽しめたのだろう…と思いました。

本時の目標は、題材の目標に沿って進めることを、あらためて感じた
授業でした。


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講座43
教えることの大切さ!

【講座42】での授業中、すきな楽器を組み合わせてリズム伴奏をつくる
活動もおこなっていました。
その中で、「クラベス」を打っていた子どもは、拍子木を打つようにして
いるので、いい音が出せないのです。
他の子どもからも「あの楽器(クラベス)、いい音が出てないから、聴こえ
にくいです」と言われていました。

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あまりにも困っている様子だったので、グループ練習の時間に、そっと
打ち方を教えてあげました。「左手で持った方は少し浮かせるように
しないと響かないよ。右手の方は軽く持って…」
その子は言われたとおりに打ち始めました。
とたんに、その子の表情が明るくなるのがわかりました。
きっと、今までと違う音色が出せたことによる表情の変化でしょう。

演奏が終わり、感想を述べ合うときに、その子が「軽く持って打つと、
響きやすくなりました」とみんなの前で発表しているではありませんか。
自分が悩んでいた時間があり、その後で身につけたことを全員に
知ってほしかったのでしょうね。
知ったこと、できたことをみんなで共有しようとする姿に感激しました。

子どもたちが選ぶ楽器についても、教えなければわからないことは
しっかりと指導したいところですね。


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講座44
少しの配慮で…

兵庫県内の小学校での校内研修会で、3年生音楽の授業が
ありました。
活動を進める中で、歌うときに指導者が子ども達に「言葉を
ていねいに大切にして歌おうね」と言いながら、手に持った小ぶりの
ホワイトボードに「ことばを大切に ていねいに」と書いたのを
見せました。
何気ないことかもしれませんが、そのホワイトボードがあることで、
より一層指示が明快に子どもたちに伝わります。

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こうした少しの配慮の積み重ねが、よりわかりやすい授業へと
つながっていくのを実感させていただいた一コマでした。


LIVE

講座45
予測に反した子ども達!

授業を行う場合、事前に見通しを立て、子ども達の活動や意見、
感想、つまづき等を予測して授業に臨むことでしょう。
子ども達の活動を予測する場合、どちらかというと、展望が開ける
ような反応を考えがちなのですが…。

以前、歌とリコーダーを組み合わせた教材を経験していたことも
あり、初めて歌声を重ね合わせる活動を行ったのです。

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(教育芸術社3年「歌おう声高く」部分)
指導者の予測は、CDによる範唱を聴かせれば、子ども達は
「(斉唱よりも)ますます楽しい感じ」「元気にはずむような感じ」
「響いているような感じ」「にぎやかでもり上がる感じ」…などの
感想を発表してくれるだろうと考えたのです。
ところが、実際に範唱を聴いた子どもたちの反応は…
「きれいな感じ」というのもありましたが、「主な旋律がぐちゃぐちゃ
になって気持ち悪い」「どっちを聴けばいいのかわからない」…と
言うものでした。
私たち指導者は、授業を組み立てるときの子ども達の反応を、
プラス指向で考えがちなのかもしれません。
しかし、2つの旋律が重なり合う響き、それもそれぞれの旋律の
言葉が違うのを聴いたのは初めてなのです。

子ども達がこれまでに学んできたことを振り返りながら授業の
組み立てを考えないといけないことにあらためて気づかされました。
子どもたちの本音をしっかりと受け止め、次回の授業に生かすように
したいところですね。
予想に反した授業の流れになった時、どう対応されますか?
子どもたちの反応予測のむつかしさをひしひしと感じました。
あわせて、【講座46】をご覧ください。

講座46
題材と教材の「めあて」をしっかり把握

題材名「音の重なりをかんじとろう」(教育芸術社3年)の教材群には
それぞれ「めあて」が示されています。
「歌おう声高く」(花岡恵 作詞/長谷部匡俊 作曲)では「せんりつが
重なり合うおもしろさをかんじとりましょう」ですし、「あの雲のように」
(芙龍明子 作詞/作曲者不明)では「重なり合う音のひびきを楽しみ
ましょう」です。また、「パフ」(芙龍明子 日本語詞/ピーターヤーロウ・
レナードリプトン 作曲)では「合奏のゆたかなひびきを味わいましょう」
になっています。
これらの教材群を学習する中で、題材の目標を達成するのです。
もう少しポイントをしぼると、「重なり合うおもしろさ」「音のひびき」
「ゆたかなひびき」…と段階を追った指導によって「音の重なりを
感じ取る」活動を営んでいくのです。

ですから、「歌おう声高く」で、2つの旋律の重なりを、ひびき合うように
歌おうという「めあて」にすると、子ども達にはむつかしくなるのです。
教材の「めあて」は、常に題材と照らし合わせながら捉えていくように
したいものです。


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講座47
歌は自分の気持ちだよ!

1年生が「6年生を送る会」で歌を披露するというので、学年合同授業に
お邪魔しました。
プレゼントする曲は「Believe」(杉本竜一/詞・曲)と「いつまでもともだち」
(ふるやともこ/詞・平島勉/曲)です。

何度か歌っているのでしょう、みんなプリントを見ないで熱唱していました。
「歌っていうのはね、作った人が他に居ても、歌う人は自分の本当の気持ち
として歌うんですよ。」と言ったあとで、もう一度歌ってもらいました。
♪「たとえばきみが傷ついて…支えてあげるよ その肩を」まで歌った時に
「ホントかなぁ。大丈夫?」と問いかけると、1年生の子ども達はニコニコ
しながら、うなずいています。

「よし。だったら1番は男子が立って、そばに居る女子に自分の気持ちを
こめて歌おうよ。それで、間奏の間に入れ替わって、2番は女子が男子に
話しかけるように歌いましょう」

するとどうでしょう…これまで誰にともなく歌っていたのが、本当に話しかける
ように気持ちのこもった歌声になっているではありませんか!

次は、「いつまでもともだち」です。
♪「きみといれば…」
「きみっていうのは、誰のことかな?」
なんとなく、分からないような顔つきです。
「みんなは、この歌をだれにプレゼントするの?」
「6年生のお兄ちゃん、お姉ちゃんに!」
「そうだよね。だから、きみっていうのは6年生!」
6年生の上級生に「きみ」というのがピンとこなかったのでしょうね。

この日の授業は、歌うことは自分の気持ちを表現すること…というのを
学んだ1年生でした。

雪の舞う寒い日でしたが、子どもたちはホカホカの気持ちをいっぱい
心につめて、教室を後にしました。

    toyominamiyuki


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講座48
才能と魅力を発揮することに努めよう

【講座40】で登場していただいた、大西先生の指導を今回も
参観する機会がありました。

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ご挨拶がわりに、「校歌」を歌ってくれた5年生の子ども達。
なかなかいい歌声です。
それを聴き、大西先生は今日の「教材のねらい」を定め、
導入に「きらきら星」を歌うことに決められました。
歌声を聴き、納得できるもの、欠けているものを瞬時に
判断し、「強弱」「息」「言葉」「発音」…と、どんどん課題を
提示し、子ども達は知らず知らずのうちに歌声が変わって
いくのを実感しました。
「先生の顔見て…」
顔を見つめて歌う子ども達の表情が指導者に同化して
いくのがはっきりとわかります。

「理想的な歌声とは…」、「音楽の深さ」を知り尽くした
指導者の的確な言葉がけが子どもをかえていくのです。

授業の終わりに、大西先生のハイトーンな挨拶に
続いて、子どもたちもハイトーンの声で応えているのには
周囲から、「大西マジックやね」という声が。

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次の時間には、2年生の子ども達の指導です。
「あの青い空のように」(丹羽謙治 詞・曲)で輪唱をする
ことが目標です。
「音楽を前に進めようね」「追っかけて歌う人も、全音符を
しっかり守るとね、もう少し大きくなったときにHappyなことが
起こるんだよ」「のばした後の音は食べるように」など、
子どもに沿った課題が次々に飛び出します。

授業中、少し落ち着きなく動く子どもには「すてきな動き!
音楽的だわ」とニッコリする場面も。

「みんなが、しっかり歌を歌うと、曇り空も晴れるよ」という
投げかけに、子どもたちはますますやる気に。
すると…授業が終わった時には、晴れ間が見えているでは
ありませんか。
まるで、お天気までが、大西マジックにかかった?!

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子どもたちを惹きつけ、それに応える才能をもった指導者
になること…当たり前のようですが、自分の教育力を磨き、
少しずつでも研さんを積むことで余裕をもって子ども達の
前に立てる…とても大切なことに気付かせていただきました。


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講座49
「授業展開」について

卒業を間近に控え、6年生を送る会の練習などが行われて
いることでしょう。
一方、学年末最後の保護者向け授業参観では、4年生が
「2分の1成人式」を行う学校も多いかもしれませんね。
先日、大阪府内の小学校での授業研究に呼ばれました。
題材名は「心をこめて表現しよう」で、やはり4年生が保護者
参観で「2分の1成人式」を行うというものでした。
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教室前面には、このような掲示があったのですが、「前奏を
大切に」と書かれている例をあまり目にしないので、思わず
パチリ。

本授業の導入として、歌詞以外何も書かれていないものを
用意しておられました。(「ここにいる幸せ」嶽里永子/詞
松井孝夫/曲)
seike2

前時に学習した時に子ども達から出た意見や想いを記入した
ものを用意する場面を多く見かけるのですが、ここでは、白紙
から、前時までの様子を思い出させながら始められました。
このような方法も、子ども達を授業に惹きつける「しかけ」になる
のですね。
「心をこめて表現しよう」というねらいに沿って、曲想を生かした
歌い方の工夫ができるよう、意図をもって歌わせるきっかけとして
授業最後に歌う前に、指導者が用意したDVDを子ども達に
見せました。

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「おめでとう 大切なあなたへ」という自主制作のものです。
子ども達が生まれ出るまでの両親の思いや、生まれて
くれたことによる幸せを描いたものを、指導者の朗読を
交えながら読み進めます。
それにじっと目を凝らし、耳を傾ける子ども達…。

鑑賞後、もう一度全員で歌います。
授業では、作曲者の言葉や強弱記号から読み取らせて
表現の工夫にあたっておられたのですが、
もし…
最後に鑑賞させたDVDを授業の初めに見せていれば
どうだっただろうか、「心をこめて表現しよう」などと言わ
なくても、子どもたちは、表現する相手の思いに応えようと
表現の工夫に取り組めたのではないでしょうか…。
真剣に画面を見つめる子ども達の瞳の輝きが、今も
残っています。


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講座50
「授業の構造」について

1時間の授業の流れを構造化して考えてみると…

「参加」→「わかる(理解)」→「できる(身に付ける)→「楽しむ」と
いう大まかな流れがあります。
【参加】
授業の始まりは、全員が参加すること!
ここで大切なのが「初発の発問です」
この発問によって、子ども全員の興味を惹きつけるのです。
また、「本時のねらい」に迫るための「しかけ」が必要な場合も
あるでしょう。
このときに、指導者は「なぜ○○を学ぶのか」という明確な答えを
持っていなければなりません。
言い換えれば、「1時間の授業で何を学ばせるのか」を絞り込む
ことで、授業の内容をよりシンプルにすることができます。
最初の発問やしかけによって、子ども達が、「やってみたい!」と
心を動かしてくれれば、授業がとてもやりやすくなるのです。

【わかる】
子ども達を取り巻く環境は一人ひとり違いがあります。
家庭環境や、友人関係など、細かく挙げるときりがないくらい
でしょう。
中でも、授業をする時に大きくかかわってくるのが「学力差」です。
この「差」を見えなくする工夫が必要です。
学習内容のスモールステップ化、内容の「質・量」が適切であるか、
特に音楽の場合、目では見えない音を扱う教科なので、板書や
掲示物、身体・五感の活用、鑑賞等を適宜取り入れながら、全体
でのイメージの共有をはかりたいところです。
一方、事前に「つまづき」の予測を立て、授業中での発問等の
工夫も必要です。
今、何が行われているのか、何をわかろうとしているのか…常に
確認することも大切です。
何よりも、本時の「ねらい」がわかっているか…まずはその確認を!

【できる】
活動を行うためには、「既習事項の使用」「スパイラル化」「ワーク
シート」の活用、「教材・教具の効果的選択、有効な活用」「ねらいに
応じた学習形態の工夫」などに気を配ります。
活動に対する支援として、授業を見通した子ども全体に関わる
つまづきに対する事前支援、机間指導による個別支援、また授業
時間外等に配慮します。
子ども達ができるまでの活動を支えるためには、的確で簡潔な指示
掲示、順序立てた課題配列、タイムリーな言葉がけやヒントの提示…
何よりも、指導者の豊かな専門知識や指導技術も欠かせません。

【楽しむ】
楽しむことは、言い換えれば「わかったこと、できるようになったこと」
を全員が「共有」し「使える」ことです。
こうした楽しさや達成感のの共有、本時に学習した内容が、次時
以降にも生きて働くものでなければなりません。

【まとめ】
本時の授業で何を学んだのか…子ども達全員で振り返り、「共有化」
させましょう。

  *        *       *        *

授業力UP講座では、実際の授業の中から、ともに考えたい内容を
取り上げて具体的にお話ししてきました。
今後も、お互いの授業力をUPできることを目指して、共に考えること
ができる内容について紹介させていただきます。



講座51 子どもの声から学ぶ

以前、合奏の指導に寄せていただいた学校の5年生の子ども達から、
お礼状が届きました。
oreijou

その時の授業で学んだことが、たくさん書かれてありましたので、
紹介しましょう。今後の指導のヒントが見つかることでしょう。

感想①
「強弱の付け方がわかりました。先生の指揮での演奏は、ノリノリに
なってしまうほど、なめらかな時やはっきりした時があり、一つの合奏
とは思えないほどでした。」

感想②
「指揮を見たとき、先生は自分たちに口で言わずに体で表現していて
自分も同じ気持ちになっていました。」

感想③
「指揮をしている先生の言いたいこと(意味)やリズムがよくわかりま
した。
たとえば、手を下に向けているとき、教えてもらう前は、ただカッコ
つけてるだけかな…と思っていたけど、先生が意味を教えてくれたの
で、よくわかりました。」

感想④
「指揮をしてくださってありがとう。おかげで、なんで指揮を見るのか
意味がわかりました。」

感想⑤
「指揮の仕方を少し変えるだけで、演奏が変わったのがすごかった
です。ピアノを弾きながら指揮を見ていると、弾くタイミングや、楽しく
なったり…すごく分かりやすかったです。」

感想⑥
「動き一つで、こんなにも音色や響きが変わるのかと、ただただ
驚きでした。」(担任)

感想⑦
「指揮はただ振るだけじゃないことが分かりました。速いところ、
ゆっくりなところ、やさしいところ、強いところが分かりやすくて
演奏しやすかったです。」

感想⑧
「ずっと同じテンポだったら聴いている人達は飽きるでしょ…と
言っていた言葉が一番印象に残りました。テンポを変えて合奏
すると、すごく気持ちよくなりました。その時、すごく楽しかったです。

感想⑨
「合奏しているとき、ちがう世界にいるようで、とっても楽しかった
です。」

感想⑩
「先生の指揮を見ながら音の強さを考えて演奏していると、今まで
あまり聞こえていなかったピアノや鉄琴の音がよく聞こえて、全ての
楽器のよい所が音になった…とものすごく感じました。」

感想⑪
「鉄琴をしていて、あまり前が見えていなかったけど、先生の、前を
向いて演奏しようという言葉で前を向いて演奏したら、大小の音が
よく分かりました。

感想⑫
「10日間連続でカレーは飽きるでしょ…という一言がなかったら
上手くいきませんでした。」
※合奏に取り掛かる前に子どもたちにかけた言葉です。
 授業の始まりでは、「初発の発問」にあたるかと思います。
 また、全員がこの「投げかけ」に食いついてきてくれたことで、
 全員が合奏に参加しようという気持ちが生まれたのでしょう。
                           (戎コメント)

感想⑬
「先生にアドバイスや合奏の指揮をしてもらって、とてもよい機会
だったなぁ…と先生が帰ってから感じました。」
※そんなものかもしれませんね、子どもらしい感想です。

感想⑭
「先生のおかげで、音楽をすることがもっと好きになりました。」
※以前、お話ししましたが、演奏の工夫を心掛けることで、その
瞬間、音楽が変化する体験こそが音楽の醍醐味なんでしょうね。


感想⑮
「最後に弾いてもらった『走れ、シベリア鉄道』は今でも、あの音は
忘れられません…。」

※たくさんの感想、全部じっくりと読ませていただきました。
 うれしかったのは、楽器に関係なく、どのパートの子ども達にも
 音楽する楽しさを感じてもらえたことです。
 6年生になっても、いえ、大人になっても、音楽する楽しさ、
 仲間と共につくりあげた体験を大切にしてもらいたいですね。


講座52 「プレゼン」に学ぶ

授業の構造を考えるときのヒントになる一つに「プレゼン」の提示
があります。
企画の提案や、お勧め商品の紹介などを行うための「プレゼン」
について考えてみましょう。

①自分の考えた言葉で話すこと。
 授業でもそうですが、誰か著名な先生の指導案を真似をしても、
 うまくいかないものです。それより、目の前の子どもが理解でき
 るように自分自身で工夫を凝らして臨むことですね。

②相手が理解できないような言葉や内容を用いない。
 いつも対象の子どもたちに分かりやすい言葉、内容で授業を
 進めたいものです。
 音楽科の場合、音楽的な用語や記号などたくさんありますが、
 子どもが理解できないような言葉は、きちんと理解をさせてから
 使うようにしたいものです。

③聞き手に分かりやすいイメージを用いること。
 授業の場合には、本時のねらいに沿ったイメージを用いること。
 例えば、授業の導入に写真などの映像を流すなら、その画面から
 「ねらい」が読み取れるものにしたいところです。
 「キリマンジャロ」の合奏をするので、「キリマンジャロ山」の遠景
 写真を見せたり、地図で位置を確認しても、楽曲にはつながり
 ません。楽曲を演奏するのにふさわしいような写真やエピソード
 等を準備したいものです。

④イントロには、聞き手を惹きつけるものを用意する。
 プレゼンは、最初の導入のところで決まる!

 まさに、授業開始で、全ての子どもの心をつかまえ、活動に参加
 したくなる言葉がけや、しかけが必要です。
 「面白そう」「やってみたい」「ボクにもできそう」などと思わせる
 ことで、授業がスムーズに進みます。

⑤プレゼン全体の概要を最初にはっきりさせること。
 授業では、本時の活動の流れ、ねらい、などを授業開始あたりに
 知らせることになります。

⑥聞き手からの質問や意見は、プレゼンで有効に活用できる。
 授業でもそうですが、子どもから質問が出るのは、その活動に
 参加しているからです。また、言葉でなくても、困った顔をした
 子どもやつまづいている、と見受けられる子どもが居る場合には
 自分の進め方のまずさや説明の悪さを振り返る機会になります。
 もちろん、子どもからの質問によっては、より深い説明を加える
 ことができるかもしれません。

⑦聞き手にとって「わからない」かもしれないと思い当たることは、
 解決しておくように事前に準備をすること。

 授業での「支援」の仕方ですが、(1)大半の子どもがつまづき
 そうな点については、授業前に、より分かりやすい方法で活動
 できる方法を考える、(2)授業内での机間指導などによる個人
 支援、(3)授業外支援があります。
 この中での(1)に当たる事柄ですね。

⑧プレゼン全体の筋が通っていること。
 授業に置き換えると、授業終わりのまとめまで、「ねらい」がブレ
 ないことになるでしょう。
 
⑨相手の感情を動かすこと。
 授業でも、これができるように初発の発問から工夫を重ねたい
 ですね。
⑩要望を把握できれば、プレゼンの方向性が見えてくる。
 ねらいを子どもが望む活動とどう結びつけるか…指導者の腕の
 見せ所です。

プレゼンでは企業や個人のビジネスチャンスを大きく左右します。
授業では、子どもたちの将来を大きく左右します。

講座53 求める歌声や音色が描けていますか?

活動を進めるとき、各学年の目標となる「歌声」や楽器の「音色」、
リズム、ハーモニーなど、自分が求めるものが、しっかり頭(心)の
中に描けていますか?

この時期(3月)には、「6年生を送る会」や来年度の新一年生を
迎えるための準備を進めている頃でしょうか。
新しい1年生を迎えるのに、学校行事の紹介や歌で新2年生が
迎えることも多いでしょう。
「ドキドキドン!一年生」もレパートリーの一つですが、この歌に
限らず、歌や合奏を指導するときには、指導者が「目標」となる
ものをしっかり持っていなければなりません。
弟、妹となる新しい一年生を迎えるというので、張り切って歌って
くれるのはいいのですが、その声を爽やかな歌声にしていかなけ
ればなりません。
「♪サクラさいたら一年生~」
「あら、もう桜が満開を過ぎて散りそうですよ。
両手で桜のつぼみを作ってみようか。それで、『咲いたら』の
ところで花びらが開くようにしながら歌ってみよう」
こう指示することで、一年生の子どもたちの歌声はガラッと
変わります。
「♪チョウチョ」のように軽く、「♪ヒバリ」っていい声で歌うんだよ、
「♪しんぞうおさえて」…「そんなに強く押さえたら息がつまって
苦しくなるよ」などなど、歌声を変えるヒントが歌詞の中に詰まっ
ています。
また中間部では「短調」になり、伴奏も変化しているのに気付か
せることで、少しゆっくりトーンを抑えて歌いたくなることでしょうし
「♪ドキドキするけど ドンと行け」では、クレッシェンドが自然に
ついてくるでしょう。

このような指示は、指導者がどんな歌声や演奏を求めているか、
それをしっかり持っていなければうまくいきません。
普段から、自分が求める「歌声」「音色」を描いておくようにしたい
ところですね。


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講座54
子どもの発表が「Keyword」

学年末を控えた時期に授業研究会がありました。
あと10日もすれば、4年生になる子どもたちは
題材名「せんりつのとくちょうを感じ取ろう」で、本時(第2時)の
ねらいは「リズムのとくちょうを感じて歌う」…
教材は「こころパレット」(春畑セロリ 詞・曲)です。
前時では、CDを聴いて気付いたことを発表したり、音程やリズムを
確かめながら通して歌っていたとか。
そこで、本時は「付点」に着目させるために、付点を外したものとの
比較をしました。
wb1

二つのリズムで前半を歌い比べ、子どもたちは感じたことを発表して
いきます。

(子どもたちの感想は、二つのリズム[上下]について発表…)

wb2 「元気」    「はねている」 「波のよう」 「歌になる」
wb3 「ぼう読み」 「ふつう」     「地面」    「歌にならない」

【子ども①】付点で歌った方は「波のよう」といいながら腕を上下に
ゆらゆら。もう一方は、「地面みたいに動かない感じ」

【子ども②】「付点の方は、歌になっていて、もう一方は歌になって
いないです」

この二人の子どもの発表を指導者は、「動きがある・ない」「飽きない・
飽きる」
…と発表の言葉を変えてホワイトボードに書き込んだのです。
より一般的な言葉に変える方が全員に伝わりやすいと思ったので
しょうか。
しかし…「こころパレット」の前半もそうですが、歌声が重くなりやすい
のです。
そこで、子どもの発表「波のよう…」という言葉を借りることで、気持ち
も浮かせることができますでしょうし、また「付点」といっても、この曲の
指示は「スィング」なのです。「スィング」の意味は、「揺れる」なので、
意味から考えても、動きがあるというよりは、「波」という方がはるかに
子どもたちはイメージしやすいことでしょう。

また、「歌にならない…」なんて、とっても子どもらしくてステキな表現
じゃありませんか!
授業で、子どもたちが導き出した発表は大切な授業のキーワードを
含んでいるのです。


LIVE

講座55
授業「リハーサル」の大切さ

日頃は、自分一人で指導案を組み立て授業に臨むことが普通でしょう。
でも、時間に余裕があれば、子ども達の顔や様子を思い浮かべながら
授業の「リハーサル」を行うことをお勧めします。
もちろん、学年で、また地区での授業研究などでは、参加されている
先生方を子どもに見立てて授業のリハーサルができるのがいいので
しょうが…。

実際に授業を行うことで、グループ毎の練習時間が長すぎたり、また
反対に短すぎたりということに気付くはずです。
合奏の場合、楽器配置の不味さが見えてきたり、子ども達の動線の
確保が甘かったり…。思ったよりもお互いのグループの距離が近くて
活動しにくかったりというあたりもすっきり解決できることでしょう。
また、紙面の上では「ねらい」通りに進んでいても、実際の流れの途中
や、授業終了後には「ねらい」が曖昧だったことにも気づくかもしれません。
掲示物も、座席によっては見え辛かったり、掲示するのに手間取ったり
ということもわかるでしょうね。

最近、授業リハーサルに立ち会う機会がありました。
指導案では、本時の「ねらい」も明確で、最初から順を追って45分の
授業がしっかり組み立てられています。
ところが、いざリハーサルをおこなっていくと、予定の流れでは浅く、
面白みに欠けていて、これでは子どもたちの緊張感が続かないどころ
か、音楽教科に対して失望さえしかねないのです。
紙面で見ると完全な授業のように思える指導案であっても、実際に
行ってみると、様々な点に気付かされることが多いものです。


講座56
「旋律」とは…

教科書の題材に「せんりつのとくちょうをかんじとろう」というのがあります。
では「旋律」とは具体的に何を指しているのでしょうか。
教科書では、「せんりつの音の上がり下がりに気をつけて…」だとか、
「音の上がり下がりを感じ取って…」「せんりつの音の上がり下がりから
曲の山を感じ取って…」などと書かれているところをみると、「せんりつ」
には「歌詞」の要素が含まれていないように思ってしまいませんか。
確かに、器楽曲などには「歌詞」がないので、リズムを含めた音の動きに
着目するのですが、歌の場合はどうでしょう。

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(小学生の音楽3年/教育芸術社)

「海風きって」(高木あきこ作詞/石桁冬樹作曲)の出だし部分です。
歌の場合、「詩」をもとに作曲をするのが普通でしょう。
とすれば、「波を分けいるか 高くとぶよ」の詩がより生きるようにと
「高くとぶよ」では旋律が上向するはずです。
この旋律は2番の歌詞「しぶきあげて」ともうまく呼応できています。
また、詩を旋律に当てはめる場合、言葉のイントネーションを無視する
ことはできません。出だしの「あさ」(1番)、「そら」(2番)は[高]→[低]に
なるはずです。
ですから、旋律の動きのみから、「曲の山」を簡単に決めてしまうこと
は、時には無理が生じる場合が出てくるのです。
「曲の山」といえば、旋律の上下と歌詞と、おまけに歌う対象の山の
形がぴったりと収まる…ということで「ふじ山」を例に説明されることが
多いのですが、全ての楽曲に当てはまるかどうかは、熟考する必要が
あるといえるでしょう。
「せんりつ」は「歌詞」や「背景」から生まれてきているということを考慮
に入れることを忘れないでください。

講座57
新年度の授業開始までにできること

4月、学年や教科が決まったこの時期、児童名簿の作成や校務分掌
の引継ぎなど多忙を極めていることでしょう。
なかなか教材研究する時間まで確保できないかもしれませんが、短
時間でできることから始めませんか。
授業開始までの間、お互いの教科書の貸し借りができる余裕がある
ことでしょう。そこで…
どの教科でも言えることですが、まずは全学年の教科書の目次を
コピーしておくと、あとあと役に立ちます。
kyokasho

(教育芸術社「小学生の音楽」1~6年目次)

目次には、年間を見通した「題材」が載せられていますね。
1年と2年、3年と4年、そして5年と6年同士で比べてみてください。
というのは、「学習指導要領」では「各学年の目標及び内容」として
低・中・高でくくっているからです。
そこで、中学年を例に挙げて説明すると…
「せんりつのとくちょうを感じ取ろう」という共通の「題材」ですが、
よく読むと、3年「せんりつの音の上がり下がりをかんじとって…」、
4年「せんりつのとくちょうを感じ取って…」、さらに「せんりつの
重なりを感じ取ろう」(4年)、と内容が深化しているのがわかります。
また、「明るい歌声をひびかせよう」では、3年「楽譜の読み方を
おぼえて…」、4年「歌声に気をつけて、楽譜を見ながら…」と
内容が変化しています。
ちなみに、高学年まで広げてみると、「ゆたかな歌声をひびかせ
よう」に変化し、5年「曲の感じや、歌詞にこめられた気持ちを感じ
取って…」、6年「曲想や、歌詞にこめられた気持ちを感じ取って」
となっているのがわかります。

ですから、3年生で学習することが、次の学年にどうつながるのか、
また逆に、昨年の3年生では、どんな学習をしてきたのかが分かる
ことで、より「ねらい」をしぼった指導の工夫をすることができる
でしょうね。



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講座58
リコーダー指導①まとまりある音で!

6年生「つばさをください」のリコーダー指導を飛び込み授業で
行いました。
教材は「つばさをください」(山上路夫/作詞・村井邦彦/作曲)。
合唱では、【♭♭】なのですが、リコーダー合奏では、この授業でも
そうですが、「ハ長調」に移調された楽譜を使用することが多い
ことでしょう。
飛び込み授業の内容をポイントをしぼってお話しします。

tsubasa

■指導のポイント
①「まとまりのある音にすること」
学級全員が同じ旋律を演奏する場合、まず気になるのが、一人
ひとりの音がまとまっているかどうか。
全員の出す音が「一本の音の束」にならないと、旋律が明確には
なりません。
かといって、「みんなの音が、一人で吹いているように聞こえないと
いけませんよ!」とおっしゃる指導者を見かけるのですが、「それ
だったら一人で吹けばいいじゃないですか」と子どもから反論が出
るでしょう。
一人で吹く音ではなく、それぞれの子どもの個性を失うことなく、
音を束にまとめることが大切なのです。
口ではうまく言えませんが、とりあえず「一人で吹く音」とは全く
別物であることを心に留めておいてください。
もうひとつ…
fusen図のようにリコーダーの吹き口に
膨らませた風船をかぶせると、音が
出ますね。
子どもの中にも、指導をしないと、
無造作に風船のように息を吹き込むこと
があるものです。
そうなると、音が明瞭にならない上、
意思をもった音色にはなりません。」







そこで…
windway「息をリコーダーの吹き口の真ん中
(オレンジ)めがけて吹き込むようにして
みよう」とアドバイスすることで、
風船とは違ったしまりのある音になるでしょう。

音は目に見えませんが、エッジの部分
から、まっすぐ前にスピードをもって出て
いるというイメージをもたせるといいかも
しれません。


②「タンギング」を合わせよう
日頃は、[tu](トゥ)を使っている方が多いようですが、タンギング
には、他にも[du][lu][ru]などがあります。

例えば、♪わたしの~[3連符]の箇所を、よく耳を澄ませて聴くと、
[tu]や[ru](なかには[fu]も)が混じっていました。
そこで、みんなのタンギングを合わせよう…と、全員が[tu]では
連符のまとまりを欠くので、みんなで聴き合い[ru]に決定。
細かい音符のフレーズを滑らかにつなげる場合には、有効だと
確認しました。

演奏する子ども達自身が、身をもって選択し決定する、
この過程を大切にしたリコーダー指導が望まれます。


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講座59
リコーダー指導②派生音、要注意!

6年生「つばさをください」のリコーダー指導についてです。
まとまりのある音づくり同様、大切なことは音程、音色です。

③「派生音、要注意」
「派生音」というのは、半音階すなわち「♯」や「♭」の付いた
音で、鍵盤での黒鍵にあたる音です。
この、派生音…リコーダーの指導ではなかなか厄介なのです。
その一つが「運指」。
上から順にふさいで…とはいかないからです。
運指のややこしさもあるのですが、例えば「シ♭」や「ファ♯」の
運指をしてみてください。
他の運指と大きく違うのは、ふさいだ孔(あな)どうしの間に、
ふさがない孔がありますね。
「シ♭」であれば、左手人差し指と薬指をふさぎますが、中指
が受け持つ孔はふさぎませんね。(派生音ではなくても、
バロック/イギリス式の運指では間に空いた孔が生じる音が
あります)

こういう、指が交差するふさぎ方を「クロスフィンガリング
cross-fingering」といいます。
指遣いもやっかいなのですが、クロスフィンガリングで出す
音は、他の音に比べて音程が不安定な上に、微妙な息の
強さ加減が求められるのです。
「シ」と「シ♭」、「ファ」と「ファ♯」の音質を聴き比べてみると
歴然でしょう。

ここで、「つばさをください」に話を戻しましょう。
♪わたしの~[3連符]の「わた」が「ファ♯」、すなわち
派生音です。
まずは、運指を確認します。
この場合、その前後の音、「ソ」➡「ファ♯」➡「ソ」という
一連の動きで確認することです。
この「ファ♯」は、その前後の「ソ」と同じ息の強さで吹くと
かすれたような音色になるので、「ファ♯」の音色を聴きながら
息の強さを微妙に変えなければなりません。
「ソ」と「ソ」の間にそっと「ファ♯」をはさみこむように…と
言えばわかっていただけるでしょうか。

④「音に合った息の強さで」
もう一つ厄介なことは、音程です。
tyouyaku5小節目の「ファ♯」から高い「レ」
への跳躍です。
先ほどの3連符は音が短いので、
あまり気を遣わなくても済みそう
ですがここでは、十分一拍分
のばさなければなりません。
また跳躍先の「レ」も息遣いで
音程が変化しやすいために、
「ファ♯」➡「レ」は運指の動きと共に
音程にも気を付けることが要求され
るのです。
このような、要注意な箇所があるからこそ、
ステキな演奏が完成した時には喜びもさらに大きく
なるのです。


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講座60
「日本のうたを楽しもう」

2年生で「わらべうた」を教材に歌唱の授業がありました。
題材は「日本のうたを楽しもう」、扱う教材は「わらべうた」
以外にも「まりととのさま」などいくつかありました。
ところで、教科書に出てくる「日本うた」の共通点について
考えてみましょう。
marituki
(個人を特定できないよう画像処理をしています)
(まりをつくしぐさで「まりつきうた」を歌い楽しむ子ども
達)

共通点のキーワードは「日本音階」でしょう。
このことは「日本の旋律」の特徴と置き換えることが
できます。
「音階」というのは、それぞれの民族固有の旋律に
決まって現れる音を高さの順に並べたものであると
いわれています。
この視点から眺めてみると、民謡やわらべうた、
子もりうた、雅楽をはじめ、沖縄の音楽、アジア、
世界の音楽の違いや共通点が見えてきます。
子どもたちには、日本のうたを歌ったり遊んだり
しながら、感覚的に日本の旋律の特徴を感じさせ、
その良さに浸らせたいですね。
ところで、音階ですが…
自然発生に近い形の「物売りの声」を組み合わ
せると「民謡音階」が生まれます。
「民謡」や「わらべうた」のほとんどがこの音階です。
他にも、「雅楽」や「子もりうた」の音階「律音階」
があります。
この「律音階」が17世紀末、江戸元禄期に都会の
雰囲気の中で変化したものが「都節音階」です。
4年生の共通教材「さくら」はこの音階の特徴を
もっています。
その他にも、ドから数えて4番目の「ファ」、7番目
の「シ」が抜けた音階「ヨナ抜き音階」、また
同様に「レ」と「ラ」が使われないのが「琉球音階」
です。
最近でこそ、「琉球音階」に違和感を感じる人は
いなくなったでしょうが、「民謡音階」の一つの音に
♯をつけると「琉球音階」になることを思えば、
案外身近な音階だともいえなくもないですね。
「音楽づくり」で指定されている音は、それぞれの
音階から抜き出されたものなのです。
子どもたちに、詳細を教える必要はもちろん必要
ありませんが、指導者は「音階」を頭の片隅に
置きながら指導に当たるようにしたいものです。
学年が上がるにしたがって、様々な音階に親しま
せるカリキュラムをおろそかにはできないですね。


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講座61
授業での「活動」には必ず「評価」を

2年生授業での本時の「ねらい」は「わらべうたを
たのしくうたったり、聞きあったりしよう」です。

kagome
(個人を特定できないよう画像処理をしています)

指導案での最終目標は2つのグループに分かれて
「輪唱」や「パートナーソング」をさせることになって
いるのです。
そのために、授業前半では「ほたるこい」や「かごめ
かごめ」、「まりととのさま」を斉唱で歌わせていました。
子どもたちは、先生の指示通りに一生懸命している
のですが、「いいじゃない」「よくなりましたね」とひと声
かけるものの、子どもたちにとって一体何がいいのか、
どうよくなったのかがわかっていません。
グループがそれぞれ輪になって歌う場面があったの
ですが、子ども達同士感想を発表する場面もありま
せんでした。
授業での活動は、子ども達同士で思いや感想を共有
しあい、またきちんと評価を出し合うことが欠かせま
せん。
授業で指導者が「何を教えたのか」ということよりも
子どもたちが「何を学んだのか」という視点でもって
授業を振り返るようにしたいものですね。


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講座6
6年生鑑賞「木星」授業紹介


6年生「鑑賞」の授業実践から学び合うことにしましょう。

この学校では3年にわたり、ユニバーサルデザイン(UD)
の視点に立った授業実践をおこなっているそうです。


題材名「いろいろな音のひびきを味わおう」。

前時までの3時間では「ラバーズコンチェルト」を学習し、
重なり合う響きの違いを楽しんだあとの授業でした。

当日の授業についてコメントをはさみながら紹介しましょう。
(➡は、私自身のコメントです)


本時の目標「曲想の移り変わりを感じ取ろう」

(導入)「学習のめあてを知る」

指導者は、最初に手作りの「木星」を提示すると、
子ども達から歓声と共に「木星!」と返ってきた。

➡この時点で、「つかみ」…すなわち子ども達の興味・
関心を惹きつけることができたようです。UDの観点から
まず、子どもたち全員を授業に参加させることが重要な
カギになります。指導案に、子どもの興味を引くための
初発の発問(本時での課題について)を書き加えること
をお勧めします。



(展開)「曲全体の曲想の変化を感じながら聴く」①

曲想が変化したところで挙手をしましょうと指示。
鑑賞用CDをかけ、指導者が☆を貼っていく。

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(楽曲の流れにしたがい、子どもたちの挙手の様子から
指導者が☆を貼っていく)


有名な部分(②場面)では子どもたちの反応も大きく、
指導者は☆に代えて、「木星」を貼った。

jupiter2

(聴き終わった状態の黒板掲示)

おおよその挙手の数にあわせて指導者が☆を貼り、
「みんなの気持ちが一つになったのがわかったから
『木星』を貼りました!」と鑑賞後、さらりと伝えると、
子どもたちは笑顔でうなずいている。

➡いわゆる「教師主導型」の授業展開なのですが、
子どもたちも同感…という様子なのは、指導者と
子どもたちのコミュニケーションがうまく取れている
からだというのがよくわかります。
教育の原点は、お互いのコミュニケーションですね。

曲の変化が分かりにくい子どもが居る場合には、
隣り同士、ここだと思うところで「ハイタッチ」をする
という活動を取り入れてもいいですね。
一人だけが手を挙げたとき、「どうして?」とたずねる
ことで、それぞれの思いを伝え合うことができるから
です。


こうして、指導者が意図した3つの部分に楽曲を分け
大まかな特徴をたずねると、①③場面「はずんだ」、
②場面「なめらか」という感想でまとまった。

jupiter3

(1,3の場面「はずんだ」、2の場面「なめらか」と
子どもの発表に合わせて黒板に書き込んでいく)


➡このところで、「どんなところを聴きとって、そう感じた
のかな?」という発問がほしいところでした。
音楽的感受というのは、「音や音楽を特徴づけている
要素を聴きとり、聴きとった要素の働きが生み出す
曲想を感じ取る」ということなのです。
さらに付け加えれば、その感じたことを言葉で伝え合う
ことで、共有できるのです。


「曲全体の曲想の変化を感じながら聴く」②

次に、もう一度「木星」全曲を聴きながら、配った付箋
に個人で感じたことを記入させ、机上に貼らせました。

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(場面に分けて付箋を貼っていく)

聴き終えた後、グループになり、全員の付箋を
模造紙に貼る。同じような感想はまとめる。

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➡ここでも、付箋を貼り合わせるだけの活動に止まり
ましたが、共通する付箋を前に、音楽のどんなところ
から、そう感じたのかを話し合ってほしかったところ
です。


次に、付箋の中で曲想と思う言葉にをつけるよう
指示。
子どもたちが◯を付けた言葉の中には、
「ハモっている」「きれい」「ひびいている」「感動する」
など、子ども自身が迷うものが入っていた。
また、中には…


jupiter5

といったものが含まれていた。
(「はもっている」は曲想と考えを付けていた)

指導者は、どの言葉が曲想を表す言葉なのか
よりわかるようにとの配慮から「一覧表」を提示。

jupiter6

➡この表は、各自個人で聴くときの「ヒントカード」
として何人かの子どもの机上にそっと置かれた
ことで、より自分の感じに合う言葉を見つけやすく
する助けになったと感じましたが、はたして、この
場面で必要であったかどうか疑問の残るところ
です。
6年生の鑑賞として、「音楽を形作っている要素、
すなわち「共通事項」を聴きとる活動、またそれら
の要素の働きが生み出す曲想を感じ取ることは
「一覧表」がなくても、これまでの体験から各自が
自分の言葉で考えられるのでは…と思いました。

指導案には、本時の流れだけではなく、全学年の
「鑑賞題材系統図」というのを学校独自にまとめ
た資料も添えられていたことからも、子ども達は、
6年生までに系統的に鑑賞活動をおこなってきた
ことがうかがえました。

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(全学年の鑑賞題材系統図)


班ごとに曲想の移り変わりについて発表する。

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(各班の感想発表を通して全員で共有する)


「振り返りカード」に感じたことを書こう。

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(「振り返りカード」から)


➡授業全体では、まず6時間目の授業で、それも
自分たちの教室、そこに小さなCDプレーヤー…
(黒板の下に小さく写っています)

このような必ずしもいいと思えない環境の中で、
子どもたちは7分以上の楽曲を集中して2度聴いた
のです。
推測ですが、プレーヤーと対角線上の子どもに
とっては、非常に聴き取りにくかったのでは、と
心配したのですが。

また、最後の「振り返りカード」には、授業でポイントを
絞らなかった楽曲の構成についても書いている子ども
がいましたし、この授業での活動に興味を抱いた
子どもも多くいたことがわかります。

授業では「木星」の成り立ちには一切触れなかった
のですが、それが曲想をとらえさせるのに、余分な
感情を抱かないで済んだと考えます。

新任2年目の指導者の爽やかな対応が、心に残る
授業でした。


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講座6
ユニバーサルデザイン授業①

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~

【講座70】まで当日の「総括指導助言」を交え話します。


「授業は、子ども一人ひとりに成立する」…言い換えれば
支援を必要とするしないに関わらず、誰もが同じように
活動し、学び楽しめる授業の工夫をしなければなりま
せん。そこで「ユニバーサル(UD)授業を!」…いえいえ
そう肩を張らなくてもいいんです。
みんなが、楽しく参加でき活動できる授業を工夫する
ことが「UD授業」につながるのです。

◆「コミュニケーション」
先生と子ども、それに子どもと子ども…どちらも
積極的な「熱いコミュニケーション」が大切です。
「♪歌を歌えば、今日からみんな友達だ!」なんて
本当にそうなるのなら、日々、生活指導の先生達が
苦労しませんよね。
「つながり」を感じる活動を通してこそ、自分がこの
教室に居てもいいんだ…という安心感があってこそ
コミュニケーションがうまれるのですから。

どの子どもたちも、まず先生にコミュニケーションを
求めています。
甘えてくる子どもや、わざとからかうようなことを
言ってきたり、中には友だちと摩擦を起こす子ども
もいるかもしれません。コミュニケーションの
取り方が上手な子ばかりではありません。取り方が
わからない子どもの方が多いかもしれません。
それでも、みんなつながりを求めているのです。

いつも講習会の最初に参加者の方々と歌うのが、
「あしたははれる」(作詞・作曲/坂田修)です。
実は、最近、ある学校の2年生から要請があり、
音楽の授業に出かけました。
最初に、この歌を歌いながら「♪ひとりぼっちじゃ
ないよ 手をつなごうよ」のところで握手を求める
ように手を出すと、驚いたような顔をしながらも、
そおっと手を出してくれました。
そういえば、先生が握手を求めることって、あまり
ないようですね。
こうして、順々に「よろしく」の握手をしました。
待っている子は、ニコニコしながら自分の順番を
手をふきながら待ってくれています。

また、「♪好きだから きみが好きだから…」の
ところでは、握手ができなかった子どもたちの
一人ひとりにアイコンタクトを送ったり、頬を指で
つついたり…。

歌い終わると、子どもたちは「この先生と今から
どんな楽しいことが始まるんだろう!」とワクワク。

こうなると、後の授業はスムーズに進んでいくのです。
まずは、子ども全員を授業に参加させること!
それも、興味を抱かせるような「ねらい」をさりげなく
掲げながら。

良好な師弟関係を築くことで、子ども同士のコミュニ
ケーションが芽生え、育ちやすくなります。
もちろん、それだけでは十分ではありません。
活動の過程で、グループ活動を行ったり、隣り同士で
教え合う場面を積極的に取り入れたいものですね。

日本コロンビア☆年齢別☆どうよう「もりのくまさん」
 など、たくさん発売されています。


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講座6
ユニバーサルデザイン授業②

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆地域と生きる活動を
初めて但馬地区を訪れたときの感想は、「山しかない
なぁ」だったのを覚えています。
当時から、「天空の城/竹田城」は訪れる観光客が
増えつつありましたが…。

しかし、何度も通ううちに最初は見えなかった素晴ら
しいものが見えてきました。
それは、この地区にも、子ども達の学ぶ手本となる
「先人」がおられ、また各地に伝わる「伝統行事」を
大切に受け継いでいることです。
子どもたちの生活環境の中で、いつも目に触れ、
肌で感じることのできるものがたくさんありました。
また、子どもたちは行事に参加し、行事の一役を
担い、自らが伝統芸能の継承者になっているのです。
先生や友達とのコミュニケーション以外にも、地域の
方々とのコミュニケーションが大切に育まれていま
した。

例えば、当日の研究演奏で披露した「歌物語」です。
作者の森はなさんは、まさにこの地、それも演奏を
披露した小学校が母校であり、また教師になってから
赴任した学校でもあるのです。
市民の方々にとって、とても身近な存在であるのを
感じました。

jirozou
(朝来市和田山図書館前の「じろはったん」像)

jirozou2
(朝来市和田山ジュピターホール内での掲示)

また、但馬地区内では、四季折々の行事等にも
子ども達が積極的に参加し、「三番叟」「盆踊り」
などを受け継いでいるのです。

研究演奏では、これらの地区で大切にされている
ものの一端を披露していただきました。

一度、ご自分の地域をゆっくり散策されて、地元の
方々と交流を深めていくと「何もないなぁ!」という
思いが安易だったことに気付かされるかもしれま
せんよ。


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講座6
ユニバーサルデザイン授業③

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆何もないところからは何も生まれない!
普段、深く物事を考えないで、日々の授業に明け
暮れているだけでは、何も生まれません。
何も生まれないということは、何も感じないことに
つながるのです。
もちろん、豊かなコミュニケーションも生まれません。
今回、但馬地区での研究を進めていく中から、
ハッとさせられる言葉が指導者と子ども達から
いくつも生まれました。一端を紹介しましょう。

taikaisi

大会誌「研究実践」領域毎の表紙に
載せられていました…

(歌唱)
「音が高くなると気持ちの温度も高くなる」
「自分の声ってステキ、自分ってステキ」
「歌声でも友だちとなかよし」

(器楽)
「表現を工夫することに喜びを感じ」
「仲間とともに音楽をつくりあげる」
「楽器の音を重ねよう、子どもたちの思いを
重ねよう」

(鑑賞)
「見えないものを見えるようにする」
「音符がおしゃべりしているみたいだね」
「よくわかった時に やる気が出る」
「もっと分かりたいことがあるときに
やる気になる」

(音楽づくり)
「思考が音につながる、仲間とつながる」
「音のぼうけんを想像して創造しよう」
「友だちと息を合わせることの心地よさ」

どの言葉も、じっくりと研究を進める中で
熟成されてきたものばかりです。
言葉の中には、頭で理解しているものも
ありますが、活動をすることから、自分の
中で生き生きととらえることができたのです。

そうです、何もないところから何も生まれ
ないのですね。


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講座6
ユニバーサルデザイン授業④

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆「指導案」についての提言Ⅰ
「指導案」は授業を進めていくための指針となるものです。
今回の大会の研究テーマにも掲げている、誰にも
「わかる」「できる」授業づくり…。
そこで、指導案全体の流れを「導入」「わかる」「できる」
「楽しむ」「まとめ」の5段階に分けることにしました。

●「導入」:初発の発問の重要性
授業を始めるに当たって、何よりも大切なことは、子ども
を授業に惹きこむことです。
授業への参加意欲をかきたてなければ、始まりません。
そこで、子どもの興味をひき、関心をよせることのできる
「初発の発問」をどうするか…この発問を指導案に書き
込むことにしました。
本時の授業の「ねらい」に沿って、子どもに受けたいと
思わせる発問です。参加意欲を高める手立てとして、
誰もが手を挙げて答えられる発問を考えてみるのも
一案でしょう。
「興味・関心・意欲」…ひとまとまりの言葉として考える
ことが多いかもしれませんが、むしろ一連のものとして
とらえます。
活動に対して、まず子どもの「興味」をかきたてることで、
身を乗り出すような「関心」につながり、積極的な活動を
支える「意欲」がわいてくるのですから。

ところが、これまで授業をした回数だけ「初発の発問」を
投げかけてきたはずなのですが、いざ考えるとなると、
結構難しいものです。

この「初発の発問」を指導案に載せることによって、
後から指導案を見たときでも、具体的な「ねらい」や
「活動」が見えてくるようになります。
どんな授業にも「始まり」があります。
ぜひ、この難しい課題に取り組まれることをお勧め
します。

●「わかる」
授業では、基礎・基本の学力を定着させることが
絶対的に必要です。
「指導案」を5段階に分けることにより、「わかる」
ところでは、その後の「できる」活動に向かって
より一層、指導内容の充実、焦点化が図れること
でしょう。

(大会の授業を例に挙げて説明します)

(例1:「パートの役割を生かした演奏にしよう」6年)
kenkyuu6

グループに分かれ「ねらい」を達成するために、
それぞれが正確に演奏できる力をつけること、また
「目標とする演奏」とはどんな演奏なのかを判断できる
視点をもたせることを「わかる」活動としておこなって
いました。
その後、「できる」活動では、グループで演奏しながら
気付いたことや改善点を出し合い、演奏を仕上げて
いきました。

(例2:「気持ちを込めて歌おう」3年)
kenkyuu3

「わかる」活動として、「歌詞を読んで、一番言いたい
部分はどこか」を探したり、旋律の動きから「曲の山」を
確認したり、気持ちを込めた「歌声」について考えさせる
などを取り上げていました。
こうして、「わかる」活動で学んだあと、ペアで歌い合い
「気持ちのこもった演奏ができたかどうかをお互いに
判断しあう…すなわち「できる」活動へと進みました。

●「できる」
授業の醍醐味を味わえるところです。
本時の目標を達成する活動になりますが、そのため
には、「わかる」ところで、目標に沿った力を十分に
つけておかなければ一人ひとりが目標に向かう活動が
できません。
また、「わかる」「できる」活動には、身に付けた力を
「共有」するというねらいが含まれています。
《鑑賞》の領域においても、楽曲を分析したり、聴く
ポイントを身に付けておく「わかる」活動が「できる」に
つながります。

(例3:「日本の音楽の雰囲気を味わって聴く」4年)
「こと」の音楽に親しむことを「ねらい」にした《鑑賞》
授業では、「わかる」活動で、①主旋律のみの演奏、
②かざりの入った演奏をゲストティーチャーによる生
演奏により聴き比べました。
kenkyuu4

どんなかざりが入っていたのか、子どもたちが
書き込んだワークシートを発表し、検証するために
ゲストティーチャーの方が演奏する…という活動
です。
次に、「できる」活動に移り、かざりの入った楽曲
「さくらさくら」を聴き、演奏の仕方、音色の変化から
どんな情景が目に浮かんだのかを発表しあい
共有しました。


●「楽しむ」
授業の後半では、本時で行った活動を振り返る意味
でも、また子どもたちの充足感を満たすためにも
全員でできるようになった喜びを味わうようにしたい
ですね。
上記の《鑑賞》授業では、「わかる」「できる」活動を
振り返り、情景を思い浮かべながら「こと」に合わせ
て歌いました。
「感想」を発表する場面では、「こと」に合わせて歌った
ことで、中には感激した様子で「言葉」にならない
子どもがいたのが印象的でした。

こうした一連の活動をするためには、「ねらい」をしぼり、
シンプルな形で子どもたちに提示しなければなりま
せんし、授業全体の流れの中で常に「ねらい」を確認し
ブレないようにする必要があります。

音楽の授業では、「今の課題は何か」「自分はどこまで
できているのか」を常に考えさせるような言葉がけを
忘れないようにしたいものです。

授業の流れをこのような5段階に分けて説明しましたが
意図をお分かりいただけましたでしょうか。


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講座6
ユニバーサルデザイン授業⑤

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆「指導案」についての提言Ⅱ

「指導案」の中に、次の項目を書き入れるようにしました。

(a)「学力差」を見えなくする工夫
(b)「見える化」の手立て
(c)「つまづき」の支援
(d)「活動継続」の手がかり
(e)学習「共有化」の手立て
(f)全員の活動の場の設定…です。

どの子も参加できるインクルーシブ(inclusive)教育を
目指した授業を行うための工夫です。
インクルーシブ(包み込む)教育とは支援を必要とする
子どももその他の子どもも共に学べる教育です。
「ユニバーサルデザイン授業」を目指すため?
いえいえ、目指す授業は、あくまでも「いい授業」、どの
子にとっても「優しい授業」なのです。

では、ここでは(a)について説明しましょう。

(a)「学力差」を見えなくする工夫
子ども達には、それぞれ多種多様な違いがあります。
「母子家庭」「父子家庭」「両親は居るが母親が朝早く
から、また夜遅くまで帰ってこない」など家庭環境の「差」
です。
また、友達関係をうまく築けない子…コミュニケーション
の「差」もあるでしょう。
授業をするにあたって取り除きたい「差」は「学力差」です。
そこで、できる限り、「学力差」を感じさせない工夫、
「学力差」を見えなくする工夫をおこなわなければ「いい
授業」は生まれません。そのための手立てとして…

・「課題」をしぼり明確にする。いわゆる「シンプル化」です。
授業の中で「課題」が多すぎたり、明確でないと、子ども
達は何を学んだのか、よくわからなくなるでしょう。
「課題」がすっきりしていることで、何を学んだかが分かり
やすくなるのです。
指導者は「何を教えたか」と考えがちですが、子ども達が
「何を学んだのか」と考えると「課題」をシンプルにする、
授業の流れや構成をシンプル化する意図がお分かり
いただけるでしょう。

・「スモールステップ」での学習
文字通り、「小さな歩み」とでも言いましょうか…
「小さなことからコツコツと!」って有名な方がギャグに
してましたが、課題を乗り越えるために、細かなステップ
の課題を用意することです。
一気に高い課題を乗り越えられる子どもも居るでしょうが、
そうでない子どもにとって「スモールステップ」での学びは
自尊感情を養い、集中を切らさずに学習を継続させていく
上でも有効です。

リコーダー導入時期での「スモールステップ」学習
新しい運指が「シ」「ラ」「ソ」…と進んでくると、カリキュラム
上では、「シ」「ラ」を習得したものとして、新出音の「ソ」を
これまでの3音で演奏する練習曲が登場します。

renshukyoku

(練習曲の1例)

ところで、理解の遅い子や、楽器の演奏を苦手とする
子どもは、「ソ」が出てくる前に立ち止まったり諦めたり
することが多いものです。
新しく出てくる音は子ども達、誰もが自分の指で、自分の
楽器で、自分の息で自分の音を出したいのです。
そこで、新出音「ソ」と「シ」、または「ソ」と「ラ」の2音で
演奏できる曲を準備…課題を「スモールステップ化」する
ことで、全員が吹けるようになり、やればできるという
自信につながります。

・以前「学んだこと」を応用する学習
音楽科では低中高2学年毎に目標が決められています。
また、『共通事項』からも分かる通り、学年が上がっても、
「拍」や「リズム」などの学習が徐々に深まりながら取り
上げられています。
このように、以前学習し培った学力を応用しながら新しい
課題に挑むことが大切です。そのためには、子ども達が
これまでにどのような学習をしてきたのか、今回の学習
につなげられる既習の知識は…などを知っておく必要が
あります。
例えば、「拍」について教科書(教育芸術社版)をみて
みると…
1年生では「拍を感じて遊ぼう」、2年生では「拍のまとまり
を感じ取ろう」、3・4年生「拍の流れにのってリズムを感じ
とろう」…と目標が変化していますが、基本となる「拍」は
変わっていません。
但馬大会での6年生の授業でも、これまでに学習した
「拍」に着目する子どもがいました。
3年生では、やはり以前「ふじ山」で学習した「曲の山」
を想起させて、課題に取り組む場面が見られました。

また、歌声では、1年生「歌でなかよしになろう」、2年生
「歌で友達の輪を広げよう」、3.4年生「明るい歌声を
ひびかせよう」、5・6年生「豊かな歌声をひびかせよう」。
このように、2学年をひとまとまりにしながら、低から中、
中から高学年へと、目標が繰り返されながら高まって
いくのです。すなわち、易しいことから高度なことへ渦巻
のように進んでいくので「スパイラル化」とも言います。


LIVE

講座6
ユニバーサルデザイン授業⑥

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆「指導案」についての提言Ⅲ

「指導案」の中に設けた「工夫」2番目、(b)「見える化」の
手立てです。

(b)「見える化」の手立て
音楽科の場合、課題の対象が「音」「歌声」など、目に
見えない場合がほとんどです。また、演奏した「音」は
すぐに消えてしまいます。その点を考慮する上での工夫が
「見えないものを見える化」することなのです。
例えば、歌を歌っている時、音程の上がり下がりをとらえ
にくい子どもには、腕を使って上下を示すことで、自信を
もって歌いやすくなります。

また地声で歌う子どもには、音を出す身体のスピーカーは
「額(ひたい)」についているんですよ」だとか、「空に向かっ
て声を届けよう」など、と声を出す場所や出す方向、声を
届ける先を目に見える形でイメージさせることで自然で
無理のない歌声に変わります。

また、大会3年生の授業では、気持ちを込めて歌う
フレーズのところにハートマークを貼って全員が共有できる
ように工夫していました。

4年生の《鑑賞》授業での「生の筝(こと)」を使うのも「見える
化」の工夫の一端ですね。

3年生では「ふじ山」が出てきます。
この曲を通して「曲の山」をつかむのですが、教科書の
楽譜は1段4小節で載せられていて、3段目から曲の
山に向かい、4段目の最初の二分音符が、いわゆる
頂上(曲の山)になり、富士山のすそ野の形に合わせた
ように下降するのです。
ところが、楽譜が4段に分かれていることで、富士山の
形をイメージしにくく、また曲の山も分かりづらいのです。
そこで、楽譜を前半後半それぞれ1段ずつに書き換える
ことで、富士山の形がはっきりと見て取れるようになり、
「曲の山」がよくわかります。

kyokunoyama

「見える化」は、板書や掲示物以外にも、
「完成形が見える(見せる)」ということもできます。

例えば「Believe」(杉本竜一作詞・作曲:5年)で合唱を
する場合、主旋律を歌った後「『♪いま~みらいの~』
からアルトパートを覚えよう」といって何度かアルトの
旋律を歌うと、主旋律の「3度」下なので、すぐに覚えて
歌える子どもが出てきます。
何人かアルトパートを歌えるようになったころ合いを
見計らって、「じゃあ、今からお試し合唱をしよう!
アルトが歌える人は、こちらに集まって歌うよ。まだ
しっかり覚えていない人はソプラノ(主旋律)を歌って
合唱してみるよ」
こうして合唱をしてみることで、完成形が見え、ハモる
実感を味わうことができます。

「見えないものを見せる工夫」が必要なことをお分かり
いただけましたでしょうか。


LIVE

講座6
ユニバーサルデザイン授業⑦

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆「指導案」についての提言Ⅳ

「指導案」の中に設けた「工夫」3番目、(C)「つまづき」の
支援です。

「つまづき」の支援は、何よりも授業中での観察・把握が
大切です。
「困り感」を持っている子はいないか、「集中力が切れた
が要因は」など、リアルタイムで見つけだすことに尽きます。

授業をおこなう場合、具体的な活動を思い描いてみま
しょう。
子どもたちの座席配置は妥当か。集中力に欠ける子どもや
常に声かけが必要な子どもはどこに座らせるかなどです。

全体の子どもが「つまづきそうな箇所」はないか。
あるとすれば、それをどのような支援を施すのがいいか、
あらかじめ支援の方法を準備しておきます。
例えば、リコーダーで「シ♭」を指導するとしましょう。
「指番号」で伝えるのがいいのか、「見える化」で、掲示
するのがいいのか。しかし、単独で「シ♭」の運指が
わかっても、いざ曲の中に出てきたときには対応できる
か…。そう考えると、やはり曲を通して覚える方が、より
スムーズに定着するのではないか。
そこで、「シ♭」と指の形が似ている音「ファ」との2音を
使って演奏させることにしよう、ということで、(教育芸術社
:小学生の音楽4)に載っている「みかんの花さくおか」
(加藤省吾作詞/海沼実作曲)に合わせて「シ♭」と「ファ」
の2音で演奏できるように工夫した楽譜を用意しました。
(実際に楽譜をお見せできないのが残念です。)

リコーダー導入期での「ソ」を指導する場合、どうしても
うまく指孔がふさげない子がいます。
指導者が「しっかり押さえなさい!」といってもなかなか
効果が上がりません。
そんな時、「指孔をふさぐ指でさぐりながら探してごらん」
というと、案外うまくいくものです。
教える側の指導者の立場から、学ぶ側の子どもの立場
に立ち返ることで、子どもにすんなりと理解できるのは
当たり前のことかもしれません。

長くなりましたが、「つまづき」を想定する場合、上記の
ように「学級全員」に対する支援があります。
次に、「個人に対する支援」です。
よく見かけるのが「ヒントカード」を用意しておき、活動中に
支援を必要とする子どもに配る方法です。
大会の6年生授業ではリコーダーの図に運指を載せた
カードを支援が必要な子に持たせていました。
個人に対する支援は、子どもが「どこで」「何に」つまづいて
いるのかを見極める力が指導者には必要になります。

「支援」には「全体」「個人」に対する授業内での「支援」が
ありますが、もう一つ、「授業外支援」があります。
皆さんもすでに行っておられるかと思いますが、例えば
「居残り勉強」です。「放課後、先生と一緒に勉強しよう」
という支援です。
また、「拡大楽譜」が必要な子、楽譜に書かれた歌詞では
目で追えない子がいます。
その場合には、授業が始まるまでに準備を必要とします。

「授業は、一人ひとりの子どもに成立する」ということを
いつも心に留めて授業に臨みたいものですね。


LIVE

講座70 ユニバーサルデザイン授業⑧

~2015(平成27)年6月19日(金)兵庫県小学校音楽
教育研究大会「但馬大会」での公開授業~


◆「指導案」についての提言Ⅴ

「指導案」には【講座69】の続きとして
(d)活動継続の手がかりの提示があります。
子どもたちが自主的自発的に活動を継続して行うため
には、やはり留意したいことがあります。
一つ目は「課題への道筋」をしっかり確認しておくことです。
二つ目は、活動の進行具合を見計らい、適切な説明や
声かけを適宜入れることです。
また「メモを取らせる」「ワークシートの活用」なども効果的
でしょう。子ども達の活動を「目標」に導く効果的な
「ワークシート」は宝物になります。

(e)学習の「共有化」の手立て
学習したことを子どもどうしで「共有」することは大切なこと
です。
「板書」の活用、相互のアドヴァイス、拡大楽譜による交流
などを利用するといいでしょう。

リコーダー導入期での学習の「共有」について
導入期のリコーダー指導で、よく目にする光景は、全員が
前を向き、指導者の伴奏や合図に合わせて一斉に
リコーダーを吹いている場面です。
これでは、ついていけない子が頼る友だちもなく、焦り、
不安になり、やがてリコーダーを放り出しかねません。

子どもたちがよく間違えるのが、「シ」から「ラ」に1音増えた
ときです。
「ラ」の運指を【指番号02】「ド」と吹いてしまう子どもが結構
いるのです。
「どうして、あなたは『ラ』を教えているのに、先に『ド』を吹く
んですか!何度説明しても、呑み込みが悪いね」などと
だんだんイライラしてきて、挙句の果てには「人指し指を
離してしまわないように、セロテープを貼ってあげようか!」

そこまでひどい指導者はいないでしょうが、つい声を大きく
してしまいかねません。
【講座67】でお話ししましたが、以前「学んだこと」を応用
する学習
子どもは、3年生になるまでに学んだことを
生かそうと一生懸命なのです。
えっ?どういうことでしょうかって?
リコーダーを水平にして、左手で「シ」➡「ラ」と指を動かして
みてください。リコーダーじゃなくて、これまでに学習してきた
鍵盤ハーモニカだとしたら・・・中指をふさぐ瞬間、人差し指
を離したはずです。
鍵盤ハーモニカの指導では、「次の音に移るときは、前に
ふさいでいた指を離さないと音が濁るでしょ」と学習して
きたのです。
つまり、リコーダーの学習において、子どもはこれまでに
学んだことを生かしながら吹いていたのです。
そう思いなおすと、どうですか。
「シ」から「ラ」に移るのに「ド」を吹いてしまう子どもに
「あなたは、鍵盤ハーモニカの吹き方をよく覚えていたね」
と可愛く思えてしまうことでしょう。
指導者は、子どもが学んできたことを理解していないと
いけないのは、こういうことなのです。

本題に戻りましょう。
リコーダー導入学習で「共有」するにはどうすればいい
のでしょうか。

kyouyuuka
(「指の歌」平島 勉/曲)

リコーダーを演奏する子どもと、それを見守りながら歌う
子どもに分かれて演奏するようにしました。
こうすることで、歌う子どもも、しっかりと運指の動きを
理解することができますし、耳元で「♪シの指したまま…」
と歌われるので、暗示にかかった様に安心して吹ける
ようになります。
子ども同士のコミュニケーションを図ることにもつながり
学んだことを「共有」できます。

「指導案」の流れの中の「できる」「楽しむ」活動の
中で「共有化」が図れるようにしたいところですね。

(f)「全員活躍の場」の設定
少人数に分かれて活動することで、より多くの
子どもが活躍できる場面が増えることでしょう。
その際、気をつけておきたいことは、「できる」
「楽しむ」以前の「わかる」活動のところで、しっかり
「ねらい」に到達できるまで「わかる」力をつけたい
ものです。
「指導案」を授業の流れの中で5段階に分けるメリット
はここにあるのです。
指導者が、子ども達が授業の中で「できる」「楽しむ」
活動が行えるようにしなければ…という思いに立ち
「わかる」活動をどう進めていくかに力点を置くように
心掛けてほしいところです。
それが、基礎基本の定着、学力保障になるのです。

(a)~(f)以外にも授業を行う上で留意したいポイントが
いくつもあります。
・教材教具の効果的な使用
・学習ルールの徹底
・授業開始と終了が明確に守られている
・常に、本時のねらいを示しているか
・話す速度、トーンや言葉の抑揚を意識する
・授業の「鮮度」と「スピード(テンポのいい流れ)」

一人ひとりの子どもの立場に立った授業が
どの子にも優しく、誰もが参加できる「いい授業」に
なるのです。

(この項 おわり)


LIVE

講座71
「授業」から学ぼう

もともと、『LIVE』の講座は全て最近の授業研究会で
学んだことなので、今さら「授業から学ぼう」というのも
当たり前のことなのですが…という前置きで紹介しま
しょう。

◆「共有」できない授業
kyousitu

(授業後の教室前面)

6年生《器楽》、題材名「パートの役割を大切に
アンサンブルをしよう」という授業でした。
一通り、グループでの工夫をこなした後、それぞれ
が発表し、「縦のラインがそろっているか」「それぞ
れのパートが役割を果たせているか」をメモを取り
ながら聴き、メモを演奏したグループに渡す…という
活動でした。

グループ毎の演奏では、子どもたちは自分の楽譜
を見ながら演奏していました。
kyousitu2

(個人を特定できないよう画像処理をしています)

これでは、細かな部分で、グループでの工夫を
「共有」することは難しいのです。
それに、聴く側が指摘をしたことを記入するもの
がないために聴きっぱなしになってしまいかねま
せん。

せめて、教室前面にはみんなが演奏している
楽譜を拡大したものを掲示しておくようにしたい
ものです。

また、各グループで工夫をするに当たって、どの
ような点に気をつければいいのか、どのような
点に気をつけて聴かなければいけないか、子ども
同士のアドバイスも必要ですが、こういった点に
関する指導者からの指導…すなわち「できる」に
至る「わかる」活動を十分にしておきたいところです。

楽譜がない音楽の「授業」…こういう点からも、
全員の学びを共有できる「楽譜」を用意しておき
たいですね。


◆指導の整合性…「ねらい」をシンプルに!
2年生「音楽づくり」の授業です。
nerai

(黒板に掲示された、本時の「ねらい」)

中抜き・影付きの立体文字にするよりは…
nerai2

(文字に元と同色、また黒色を付けてみました)

同色、または背景色を考えて黒色にすることで
より一層、文字が分かりやすくなるのは明らか
ですね。

そこで、「指導案」の「めあて」には…
「◯◯◯(楽曲名)」の鍵盤ハーモニカで演奏する
部分
で、いろいろなリズムを組み合わせて、楽し
みながらリズムフレーズづくりをする」と書かれて
いました。
よく読み直すと、①鍵盤ハーモニカで演奏する
②リズムの組み合わせを考える ③リズム
フレーズづくりをする
…の3つの活動が入って
います。
これでは、指導者自身が本時で子どもたちに
「何を学ばせるのか」を把握しにくいでしょう。

◆「リズム」は「リズム」で感じ取る
「リズム」を言葉に置き換えることは、導入として
必要なことだと思います。
ただ、慣れてくれば、言葉から離れてリズムを
打てる方向で進めたいところです。
この授業では、リズムを組み合わせるのに、
リズムに言葉(チョコレート、サクランボ、シュー
アイス)を当てはめ、リズム本来の組み合わせと
いうより、言葉を優先させた組み合わせ活動を
おこなっていました。

昨年度までの教育芸術社の教科書(2年用)では
「みこしだ」「ワッショイ」となっていた表記が
rizum1

(前年度までの教科書)

本年度の教科書では…具体的な言葉から
リズムとしての言葉に代わっています。

rizum2

(今年度からの教科書)


同様に、1年生用(教育芸術社)の教科書でも、
前回では「なまえあそびを しながら ●(はく) を
かんじましょう」
という学習目標が、今回は
「●(はく)を かんじながら なまえあそびを しま
しょう」
と変わりました。

これらのことからも、教科書編集のねらいや意図
はわかりませんが、リズムに言葉をあてはめる
というよりは、リズム自体をとらえ、言葉を「拍」
でとらえさせようというように推測できそうです。


LIVE

講座72
「リコーダー」教材研究のPOINT

子どもたちの様子や楽曲によって、指導する
ポイントの順序など変わる場合がありますが、
二声のアンサンブルについて、リコーダー指導
のポイントを考えます。

◆「楽曲のタイトル」
合唱曲の場合も同じですが、リコーダー曲の場合
歌詞がない分、余計に「タイトル」が表現の重要な
要素になります。
自前の作品ですが『風の譜』という楽曲(S&A)が
あります。リコーダー曲のタイトルに「風」が多いの
は、楽器の特性からでしょうね。
それで、「風」の様々な様子をあらわしたくて、また
演奏してくださる対象が小学校高学年から中学・
高校生ということで、「譜」という言葉を用いました。
「風」を感じながら演奏してくださるように…。

そんなわけで、まずは「タイトル」からどのような
曲なのかを考えるようにします。
もちろん、演奏を始めてからでも構いません。
スケールの大きさ、旋律の軽重、フレーズの
表現、またピアノパートを理解する一助にも
なるといいですね。

◆「息の強さ」「サミング」
リコーダーでは、どの音も同じ呼気の強さで
吹いてはいけません。
例えば…
yakusoku

(小学生の音楽5「小さな約束」教育芸術社)

という旋律があります。
演奏の始まりに出す高い「ミ」の音は、結構
緊張して強くなりがちでしょうか。
そこで、
「今から高いミを一人ずつ吹いてもらいますよ。
音を出さないで、指の準備をして、息の強さ、タン
ギングを考えて、確実に出せると思う人は立ちま
しょう。」と指示するのです。
子どもたちは、自分の「裏あな」をふさぐ親指の
位置を確かめて、立ち始めます。

この指示は、全員が立てると予想しての発問です。
授業を行う場合、まずは全員を参加させることが
欠かせません。
一人ずつ吹いていくと、息の強い子や弱い子など
いることでしょう。
でも、ここでの指導のポイントは左手親指の裏あな
のふさぎ方です。
親指をあなからずらして隙間を空ける子、爪をあな
の中に入れてふさぐ子、あなから指を離してしまう
子などいることでしょう。
教科書には、①親指を少し曲げる、②親指を下へ
ずらす…と2つの説明がありますが、それを子ども
たちが選択するのではなく、指導者がどちらかの
方法を選んで指導したいところです。
私は、①の方法…すなわち、親指で裏あなの上に
付いたセロテープをはがすように爪をあなに入れ
るように指示しています。②の方法では、あなに
どれくらいのすき間を開けているのかが実感しに
くいからです。

こうしておいて、最初の2小節の演奏を始めます。
すると、高いミからの下降の場合、同じ呼気で吹く
と、「レ」の音程、音色が悪くなり、求める演奏には
なりません。
ですから、「高いミ」と「レ」では呼気を変えなけれ
ばならないのです。
ということは、リコーダー導入の時期、左手5音の
指導時において、特に「レ」の音程、呼気に気を
つけておく必要があります。
「レ」の音は少しの息の強さで音程や音色が変わっ
てしまうことを日頃から体得させておくといいですね。

◆「運指」のつまづき
リコーダーの運指の動きで、特につまづくところは
上述の「高いミ」から「レ」に移る場合です。
指示をしなければ、サミングをしたまま、「レ」を
吹く子どもがいるものです(サミング+123456)。
この場合、子どもたちの背後から、正しい「レ」と
サミングしたまま右手の薬指であなをふさいだ「レ」
を吹いて聴かせるようにします。
この違いが分かれば、正しい「レ」の習得が確実に
できるようになります。

また、「シ」➡「ド」➡「レ」➡「ド」➡「シ」の動きが
なかなかスムーズにいかない子どもがいます。
このつまづきを解消するためにも、導入時期に
しっかりと習熟させておきたいですね。

◆「指」と「タンギング」
何となく、演奏がバラバラしている…という感想を
もたれることがあるでしょう。
原因の一つは、子どもたちの「タンギング」の速さ
と「指運び」の速さにズレが生じている場合です。
自分が思っているより、「タンギング」の速度が
速く、「指運び」が遅れている場合が多いのです。
ですから、「指の動きを気持ち速めに動かそう」
と指示することで、演奏がスッキリします。
特に、上述の「運指」が思うように進まないフレーズ
で起こりやすい現象ですね。

また、旋律が上行するフレーズの場合にも、気持ち
指運びを速めにする方が表現に幅が生まれます。

◆「クロスフィンガリング」の注意点
リコーダーで厄介なのが、「クロスフィンガリング」。
普段は、指あなを上から順にもらさずふさいでいく
のですが、「シ♭」「ソ♯」「ファ♯」などの運指は、途中
のあなをふさぎません。
「シ♭」:0134(はふさがない)
「ソ♯」:01245はふさがない・は半分ふさぐ)
「ファ♯」:0123567(はふさがない)
[ジャーマン式(G)リコーダーの場合]

というような運指を「クロスフィンガリング」といいます。
これらの音は、他と音と同様に吹くと、音色がくすん
だり、詰まったようになってしまいます。
ですから、十分に気をつけて「そっと」吹くように…
といっても、単に「弱くしましょう」ではなく、吹き込み
方を意識させるようにします。
(なかなか文字での説明は難しいですね。気持ちを
上向きに…音を出す方向を上方に意識を向ける、
とでも言えばいいでしょうか)

yakusoku2
(小学生の音楽5「小さな約束」教育芸術社)

下降する旋律に合わせて「ラ」と「ラ」の間の「ソ♯」を
そっとはさむように演奏するようにしたいですね。
(他にも、子どもたちに合った指示がおありでしょう)

◆「ピアノパート」の動きをつかむ
合唱でもリコーダー演奏でも、ピアノパートのついて
いる曲では、ピアノの演奏に耳を傾けさせたいもの
です。
八分音符で細かく動いたり、二分音符でゆったりと
旋律を支えたりしているのを感じ取って、自分の
演奏に生かすように心がけます。

特に、下の楽譜は主旋律の「曲の山」のフレーズ
です。
yakusoku3
(小学生の音楽5「小さな約束」教育芸術社)

「曲の山」については3年生の「ふじ山」で学習済み
ですね。
このフレーズを支えているピアノパートは、曲の
中でも八分音符で、しかも高い音が用いられて
いることから、やはり、ここが「曲の山」であることが
分かります。
また、上述の「ソ♯」が出てくる最後のところでは
二分音符を用いたピアノパートになっていて、
旋律の速度にピアノが合わせることができるような
楽譜になっています。

この曲「小さな約束」の前奏部分ですが、ピアノの
左手は「ミ」の音が連続して続いているのです。
私の個人的な解釈ですが、「本当に小さな約束
なんですよ」というメッセージが込められている
ように感じます。

自分の話で恐縮ですが、音楽物語「くじらぐも」
の最終曲「いつまでもともだち」でも、左手の
音の動きを止めて、同じ音を連続して使って
いるのですが、これは「時間が流れても、環境
が変化しても、いつまでもともだちという思いは
変わらないんだよ…」というメッセージを込めた
からなのです。

合唱曲では歌詞に作詞者のメッセージが込め
られ、作曲者がその思いをさらに発展させる
ように、リコーダーの曲の場合も同じなのです。

時には、演奏の手を止めて、旋律を思い浮か
べながらピアノパートを聴く活動を取り入れま
しょう。

◆「全体」を聴く
「小さな約束」の学習のねらいには「リコーダー
の音が重なり合うひびきを感じながら演奏しま
しょう」と書かれています。
ですから、単に「演奏できるようになりました!」
で終わってしまわないようにしたいものです。
前半はユニゾンなのですが、後半部分を演奏
させるときに、「気持ちよく2つの音が響きあって
いるな…と感じたところを覚えておいてね」と
指示して、演奏全体に耳を傾けるようにします。
また、逆に、後半部分で2つのパートが同じ音
を吹いているところはどこかな、印をつけて
みよう」というのもいいですね。

リコーダーの演奏技術を上げることも大切です
が、活動を通して、音楽の構造を理解し、
楽曲を味わい、作品のもつメッセージを表現
できるようにしたいところです。
まだまだ、書きつくせませんが、指導者の
感性にゆだねたいところです。
(この項:淡路市での授業内容です)


LIVE

講座73
授業の「山場」

授業には「山場」があるのをご存知でしょうか。
また、「山場」を作り出せる指導案が必要です。

「山場」=クライマックス?
外来語一言で片付けてしまうと、話し手も聞き手も
分かったようになるだけで、正しく真意が伝わらない
かもしれませんね。
授業における「山場」とは、子ども達が目を輝かせて
取り組もうとする場面、活気が漲り、子どもたちが
エネルギーを注ぎ込み、子どもたちはもちろん、
指導者も参観している側も「さあ、どうなるかな」
「どうするんだろう」とワクワクさせられる場面の
ことです。

授業の「ねらい」に迫るために、授業の流れとして
「わかる」力を備え、子ども達自身での「できる」活動
に挑むところであるとか、全体やグループで工夫した
ことを、楽しもうとする場面がこの「山場」に当たると
考えます。

教科書には、「ア」と「イ」の特徴の異なる二つの
旋律を歌い、最後に2つの旋律を重ねて歌うように
仕組まれた教材がいくつか載せられています。
例:「子どもの世界」「パレード ホッホー」(作詞/高木
あきこ・作曲/平吉毅州)教育芸術社4年…など。


「わかる」活動で、二つの旋律の特徴を感じ取り、
歌い方を工夫した後、「できる」活動に移り、二つの
旋律を重ねて歌わせるとしましょう。
この時点で、①全曲を通して歌い、最後の部分で
合わせる ②旋律が重なる部分のみ歌って合わせる

①、②の方法のどちらかを選ぶとすると…

①の場合…
「さあ、Aグループは「ア」➡「イ」➡「ア」、Bグループは
「ア」➡「イ」➡「イ」と歌って最初から合わせてみよう」

②の場合…
「まずは、合わせるところから…Aグループは「ア」を
歌い、Bグループは「イ」を歌って合わせてみるよ」
(①②とも、それぞれ逆のパターンでも歌います)

皆さんなら、①②どちらのパターンを選びますか?
①を選んだ場合、この時点で「ねらい」が完結して
しまいかねません。これでは、最後の「楽しむ」
までの時間が長くなり、おまけに、「楽しむ」ところ
でも、同じ活動に陥るために「山場」が際立ちません。

一方②の場合、2つの旋律を合わせる活動に絞っ
ているので、合わせる箇所が「できる」ようになった
あと、「楽しむ」活動で、最初から通して演奏し、
完成させる喜びがより味わえます。

授業の流れのどの部分に「山場」をつくるのか、
指導案を創る中で、見極めておきたいものです。


LIVE

講座74
「パートナーソング」教材の扱い

前述の【講座73】で紹介しました「パレード ホッホー」
は「ア」「イ」のそれぞれ違った旋律を組み合わせて歌う
ように作られている「パートナーソング」というものです。

「合唱曲」と「パートナーソング」。
どちらも、二つの異なる旋律を重ねて歌うのですが、
その「ねらい」は大きく異なります。
結論から言えば、「合唱曲」は「ハーモニー」を感じ取っ
て歌い、一方の「パートナーソング」は二つの旋律が
重なる面白さを感じ取る…と言えるでしょう。

合唱曲「もみじ」(文部省唱歌)では「声が重なり合う
美しさを感じて歌いましょう」(教育芸術社4年)という
「学習内容」が掲げられています。
この場合、前半の「輪唱風」、後半は「3度の重なり」
なので、相手パートの旋律を聴きながら合わせる
ことが欠かせません。

一方、「パートナーソング」といわれている「パレード
ホッホー」の学習内容は「旋律が重なり合う面白さを
感じ取りましょう」となっています。
「パートナーソング」で気を付けたいのは、それぞれが
個性的な旋律なので、どうしても主張するように歌って
しまいかねません。また、「聴き合いながら歌う」ことが
難しいのが実態でしょうか。

ですから「パレード ホッホー」の場合、「ア」「イ」
それぞれの特徴を十分に生かした歌い方をすること
はもちろんですが、「ア」は目の前で繰り広げられる
イベント、「イ」はイベントが行われている周囲の風景…
と考えることで、それぞれの旋律を歌いながら、
聴こえてくる相手の旋律から、さらなる広がりを感じ取る
ことができるのですね。
「パートナーソング」を扱う場合、「異なる旋律どうし
なのに合うところが面白いね!」という子ども達の驚きを
大切にしたいものです。
この経験が、積極的に二つの旋律を聴き合いながら
歌う、合唱への興味・関心・意欲へとつながって
いくのです。


LIVE

講座75
「リコーダー」の構え方

教室など、椅子に座り机に置いた楽譜を見ながら
リコーダーを吹いている場面を目にするのですが、
その場合、リコーダーを構える「角度」に気をつけて
いますか。
sisei1

写真のような姿勢でリコーダーを吹いている姿を
目にすることがあるのです。
どうですか…吹き手と楽器との間の角度が狭く
これでは、いい音色が生まれにくいのです。

そういえば、この教室には…
sisei2

こんな姿勢でリコーダーを吹く掲示が貼られて
いました。

椅子に座り、机が前にある場合には、まず
立たせましょう。すると、椅子が後ろに下がり
机と椅子の間の距離が広がるでしょう。
その状態を保ち、椅子に座らせるようにすると、
リコーダーと吹き手の角度が大きくなります。

3年生の教科書(教育芸術社)の写真でも…
sisei3

どうですか!
この角度を常に意識することをお忘れなく!


LIVE

講座76
「鍵盤ハーモニカ」について

皆さんは「鍵盤ハーモニカ」の指導で迷って
いませんか。

◆「鍵盤楽器」?「管楽器」?
鍵盤ハーモニカって、名前の通り、鍵盤がついて
いるのでオルガンのように思いますが、一方で
音の出る構造や音色、タンギングなど…どちらかと
言えば管楽器に近いところもありますよね。

つい最近、小学校2年生の子どもたちに、音楽の
楽しさを教えてください…と頼まれ、鍵盤ハーモニカ
を使って授業をしました。

kenha1

(格好良く立って吹きたいという子どもも…)

教材にはジャズで有名な『シング・シング・シング』
(作曲/ルイ・プリマ)に、鍵盤ハーモニカの「シ」「ソ」
2音だけでコラボレーションできる楽譜を用意しま
した。
この曲で有名なプレーヤーといえば「ベニー・
グッドマン」です。そこで彼の演奏するCDをかけて
「シ」「シ」「シ」「シ」「シ」…と吹かせたのです。
2年生の子どもたちは大喜びです。
その時、「シ」の鍵盤を押さえたまま「息遣い(タン
ギング)だけで吹く本来の(?)面白さを味わい
ました。
やっぱり、鍵盤ハーモニカは「管楽器」のように
吹きたくなるのでしょうね。

ところで、「かっこう」(ドイツ民謡)や、「かえるの
がっしょう」(ドイツ民謡)では、同じ音が続くところ
で、鍵盤を使い、押さえなおして演奏する方が
自然なのです。この場合には、鍵盤ハーモニカは
「鍵盤楽器」なのかな…と感じます。

ここで、「鍵盤ハーモニカ」の歴史をたどって
みることにしましょう。
楽器メーカー各社から発売され、製品名も様々
なのですが、大まかには昭和36(1961)年に
第1号が発売されました。
「鍵盤ハーモニカ」という呼称は、昭和44(1969)
年の文部省指導要領改訂をきっかけに教科書に
掲載されたということです。
詳しいことは省きますが、「足踏みオルガン」、
「アコーディオン」等から「ハーモニカ」が生まれ、
それが「鍵盤ハーモニカ」になったということで
あれば、「指」で音を切るのか、「指で押さえた
まま、息遣い」で音を切るのか…楽器の誕生から
考えれば、どちらもありうるとするのが妥当かも
しれませんね。

◆「鍵盤ハーモニカ」の指遣い
教科書(教育芸術社「しょうがくせいのおんがく1」
「小学生の音楽2」での鍵盤ハーモニカの扱いは
ていねいなのですが、前述の「指」と「息」のどちら
で切るのかという確固たる説明はないようです。
ところで、「鍵盤ハーモニカ」の演奏で大切にしたい
のは「指遣い」、すなわち「指の番号」です。

「スモールステップ」で学ばせる場合には、2つの
音を使って楽器に親しませたいものです。
「ボクにもできたよ!」という達成感を持たせる
ためにも、ぜひとも少ない音を使い演奏する
機会を増やし、楽器とともだちになってほしい
ところです。
前述の『シング・シング・シング』(作曲/ルイ・プリマ)
では、「シ」「ソ」の2つの音を、「中指と親指」で演奏
した後、「薬指」と「人差し指」、「小指」と「中指」など、
特に「4(薬指)」「5(小指)」の動きを取り入れました
が、普段からどの指も使えるようにしておくように
しましょう。

子ども達が大好きな『ザ・エンターテイナー』(スコット・
ジョプリン作曲)に、「ド」と「シ」の2音でコラボレーション
した時には、「中指」と「人差し指」に慣れた時点で、
次は「小指」と「薬指」で吹いてみようと指示すると、
歓声と不安の叫びが上がりましたが、子どもたちは
楽しくラグタイムの流れに乗って演奏していました。

kenha2

楽器に親しみ、楽器の奏法、指遣いに慣れる、
自信をもって演奏にあたる…日頃から意識を
働かせておきたいですね。


LIVE

講座77
「歌詞」と「リズム」

3年生の授業です。
教科書(「小学生の音楽3」教育芸術社)には
『新しくおぼえること』として「付点4分音符」が
出てきます。

kasirizumu

(教育芸術社3年)

そこで、「楽曲」中の【付点4分音符+8分音符】に
着目させ、教科書準拠の範唱CDを聴かせながら
その部分を見つけるようにしたのです。

ところが…楽譜を見ないで、耳から聴いて、この
リズムの組み合わせを見つけるのは、参観者の
私たちでも迷うことしきり…。

というのも【付点4分音符+8分音符】の形が、
スッキリと感じる箇所と、そうでない箇所がある
のです。
【付点4分音符+8分音符】をスッキリと感じる箇所
kasirizumu1

スッキリと感じない箇所
kasirizumu2

kasirizumu3

(「とどけよう このゆめを」安西薫/長谷部匡俊)

スッキリと感じる箇所は、「歌詞」の「空」が、
「リズム」に収まっているのですが、そうでない
箇所では「リズム」が「歌詞」によって分断されて
いるのです。
『夢を えがくよ』 『たかく(高く)』

ですから、この活動で【付点4分音符+8分音符】
のリズムに着目させたことはどうだったのか、
また、見つけさせるのであれば楽譜から行えば
よかったのか…など意見の出るところでしょう。
授業のねらいは「【付点4分音符+8分音符】の
リズムを感じて歌う」でした。

リズムの良さを感じさせるために、何よりも必要
なことは、歌詞の解釈を十分に行い、作品を
味わっておくことです。
「より遠くに向かって呼びかけよう」という気持ち
になったり、「弾みたくなるような気分に浸ったり」
の感情が湧き起ってくるのは、歌詞とそれに伴う
リズムがあるからなのです。

歌詞がより生きるために色々なリズムが駆使
されていると考えるのであれば、「リズム」のみ
に着目させた活動からは、学ぶものが少ないの
です。
作曲者は、作詞者のメッセージをさらに増幅
して伝えようとしています。
作詞者が書かれた歌詞を作詞者本人と同等の
レベル、またはそれ以上に作曲者が味わって
いるでしょうから…。


LIVE

講座78
「板書計画」もきっちりと!

授業で大切なのは、「指導案」…言うまでもあり
ません。
でも、授業を行う前には「指導案」の流れに沿っ
て、「板書」のリハーサルも行っておきたいもの
です。
例えば…
bansho1

ホワイトボードに掲示したところなのですが、
雑然としていて、これでは子どもたちが何に
着目すればいいのかが分かりにくいですね。
右にあるのが、「共通事項」なのですが、
肝心の文字が小さくよく分からないばかりか
絵からも判別がつかない状態です。
高学年であれば、「速度」「音色」などの文字だけ
で十分なはずでしょう。
絵を入れたことで、かえって「文字」も「絵」も
分かりにくくなり。おまけに貼るところがなくなり
肝心の楽譜も隠れてしまいます。

また…
bansho2

授業の流れの中で、楽譜を床に置いてしまうこと
になってしまいます。
これでは、見た目にも教育上もいいはずはありま
せんね。

「板書」を確認しながら、授業の流れを確かめる
ようにしましょう。

マグネットが張り紙に耐えるのかどうかも含めて
「板書計画」をしっかり立て、リハーサルを行い
万全を期して授業に臨みたいところです。

講座79
ごっこPLAYにも「ねらい」を

1年生の教材に『こいぬのマーチ』があります。
教科書の「ねらい」「指示」通りに学習したあと、
「こいぬ」を「ライオン」にかえて「ライオンのマーチ」
にしてみようか」というと子ども達は大喜び。
あまりに喜んでくれるので、ついつい調子に乗って
次は「かめのマーチ」「かえるのマーチ」「ねずみの
マーチ」などと興じることでしょう。
子どもたちは遊び感覚で楽しんでくれるのですが、
授業の活動には必ず「ねらい」があり「評価」が
伴うのです。
「評価」を考えるに当たっては、何をつかませるの
か、またどの状態までを目標にするのか、など
活動の目標にもかかわってくるので、視点に置いて
おきたいところです。

例えば、「ライオンのマーチ」にすれば、子どもたち
の歌声は大きくなるでしょう。堂々とした行進で、拍
が重くゆったりとするでしょう。
また、「かめのマーチ」になると、今度はスローにな
るだけではなく、レガートに歌うことでしょう。
「かえるのマーチ」でしたら、スタッカート気味に
短く切って演奏したり歌ったり。
「ねずみのマーチ」では歌声は小さく、速度は少し
速くなるでしょうね。

このような表現の違いはどこからくるかといえば、
1年生から6年生まで必修の「共通事項」なのです。
ですから、指導者はこの活動はどんな「ねらい」で
進めるのかをしっかり把握しておき、子ども達と
楽しみたいところです。

もちろん動物に合わせて歌詞も変わるでしょう。
よちよち「こいぬ」…この箇所に「ライオン」や
「かめ」などの名前を入れるのに子どもたちは
工夫することでしょうし、「ライオン」ではかわいい
な…は「こわ~いな…」と変えるかもしれませんね。
どちらにしても、授業の活動には「ねらい」と「評価」
を忘れないことですね。


講座80
「研究演奏」

秋は、各地で研究大会が盛んに行われています。
大会で、よく見かけるのが「研究授業」と並んで
全体会場で披露される「研究演奏」です。

地元の特徴を生かし、学校教育活動というより、
郷土の音楽を地元有志の方々に協力を求めて
行われていたり、中学校では、授業範囲外での
吹奏楽クラブによる華々しい演奏など、よく
見かける光景です。

大会に向けて、「指導案」を何度も書き直し、地道に
授業研究に臨む「研究授業」が行われている一方
で、ゲストティーチャーを招くなどして、当日いい発表
をしないと…という思いが先行し、演奏に磨きをかけ
ようとする「研究演奏」も少なくないようです。

「研究演奏」とは、日頃、指導者を含め、多くの
指導者が抱える問題点や課題を洗い出し、突き
詰め、それをどのような手立てや工夫を駆使して、
一定の成果をあげることができるのか…それは
どのような「授業」の積み上げから生まれてくるのか
という取り組みを通した演奏でなければ、本来の
「研究演奏」のあるべき姿とは言えません。

もちろん、教科書等で親しみのある楽曲でも、どう
指導すれば、こんなにも豊かな表現が生まれるの
だろうか…という演奏を目にすることもあるでしょう。
だからといって、大会までの日数で、過剰に詰め込
むのではなく、日頃の授業での取り組みによる楽曲
解釈、子どもたちの創造性の積み重ねから生まれ
る素晴らしい表現力であれば、観る者はもちろん、
指導者にとって実感を伴う価値ある研究につながる
ものです。
「研究演奏」をされる先生方…今の課題は何なのか、
常に念頭におき、ブレないで、子どもたちと課題を
乗り越えて、大会当日、素晴らしい演奏になるよう
心がけてくださいね。


講座81 「ひびく」ということ

一口に「ひびく」といっても、「心にひびく」「自分の歌
声がひびく」「合唱での複数のパートの声がひびく」
など様々ですね。
「ひびく」をキーワードに、以前紹介しました藤原
一秀先生(関西外国語大学教授)の最近の飛び込み
授業の中からピックアップしました。

h1

(2年生の子どもたちと)

「私の真似をして、こうしながら歌ってみようか!」
地声で歌っていた子どもたちに、手の動きを利用
して歌うようにさせると、とたんに透明感のある歌
声に変わりました。

フォルテは高音部を使って育て、低音部では
やわらかく、ていねいに歌うようにすると、2つの
声の重なりが「ひびき」合うのです。

また、この身体が鳴るような感覚を子どもたち
自身が身に付けることが大切なのです。

例えば、スィングする教材だったので、両手を
左右にスイスイ動かしたり、スラーする箇所では
手で音をつなげるように動かしたり…。
♪「かけあし 帰った公園で…」(織田ゆり子作詞)
ここまで歌ったあと、「ほら、今まで遊んでいた公
園で、楽しいことがあったんだよ!」と立ち止まって
声かけをすると、さらに軽く弾んだスィングで歌える
ようになりました。
指導での「立ち止まり」が大切だということです。
歌詞を追いかけて歌いっぱなしにするのではなく
指導者が、立ち止まって歌詞を子どもたちと吟味
することで、歌に表情が生まれてくるのです。

「歌声の『ひびき』は、ピアノやオルガンを使う
よりも、鉄琴の方が、子どもたちにつかませ
やすいのです」と言われ、実際にやってみると
確かに実感できました。

h2

(藤原先生の鉄琴の「ひびき」を感じ取って歌うと…)


また、「歌声を前に出すと硬くなるので、上や
後ろへ出すような意識で…」と説明を加えながら
鉄琴のひびきを聴いて歌わせます。
このことは、鍵盤ハーモニカでも同じで、強く
息を入れすぎるよりも、適度な息で吹くことで
音を出す「リード」がうまく振動するそうで、時には
2音で「ひびき」を聴き合わせるといいそうです。

合唱の指導では、指導者の前にオルガンを置
いて歌わせている場面をよく見かけるのですが
「ひびき」を味わわせたい場合には、鉄琴を
前にア・カペラで指導することも必要なのです。
ぜひ、お試しください。


講座82 歌は「かしこい」?!

h3

黒板に、このような掲示を見つけました。
どうやら、歌を歌わせるときのキーワードのよう
です。
ところで、最近どこの学校でも『ほうれんそう』
という言葉を使っていませんか?
ほうこく」「れんらく」「だん」の3語を取り
まとめた言葉ですよね。
そこで、先ほどの掲示に…
子どもたちに、さらによく分かり、覚えてもらう
ための方策として、もう一行、付け加えてみま
した。
うたのいみ」(歌の意味:歌詞内容)です。
3行にさらに付け加えるとますます覚えにくく
なると思いがちでしょう。
そこで、次のように並べ替えるのです。

 h4
 h5
 h6
 う た の い み

もう、お分かりでしょうか。
授業中に「みんな、歌うときに大切なことは?」
という指導者の問いかけに、子どもたちは
「か・し・こ・い!」
「そうですね、よく覚えてるね。本当にみなさんは
かしこいですね。」
(※意味が理解できない方のために…うたの
後のお・せい・え・み を縦に読みます)
どうですか。これだけでも授業が活気づくこと
請け合いです。
このようなキーワードをいくつか子ども達と共有
しておくと、習慣づけにもなりますね。
(この項目…ブログ「Happy Talk」の方が
似合ってましたか)


講座83 鍵盤ハーモニカと指の動き

鍵盤ハーモニカの指導で難しいのは、ブレス、
タンギング、それに指の移動でしょう。

【講座76】で、鍵盤ハーモニカの指遣いについて、
指を置きなおしてリズムをつくるのか、タンギング
でリズムを刻むのか…悩ましさが生じる要因に
ついてお話ししました。
もう一つ、指導で難しいのは指の移動でしょう。

polka1

(「小学生の音楽2」教育芸術社2年教科書)

この教材の場合、1段目()は『ソ』を③指(中指)
から始め、2段目()は『シ』を同じく③指(中指)
から始めるようになっています。
ですから、子どもたちに分かりやすくするためには、
③指(中指)を中心に説明するといいでしょう。

練習の過程では、1段目(3段目も同じ)と2段目を
2つのグループに分けて分担奏すればいいのですが、
全曲を通して演奏するとなると、『ソ』『シ』へ、
指の全体移動が必要になってきます。
これが子どもたちにとって理解しがたく難しい
のです。
また、1段目では、演奏中も③指は『ソ』の鍵盤の
上から動くことはありませんし、2段目での③指は、
『シ』鍵盤の上でやはり止まっています。
こういう説明をしても、なかなか理解してもらえない
子どもがいるでしょう。

指導者が、大きな模型の鍵盤を使って説明されても
いいでしょうが、それより、本当の動きを友だちから
間近で学ぶことで、よりやる気が起きるものです。
そこで…

polka2

(『ソ』の鍵盤の上に③指を置いて…)

理解しにくい子どもからよく見えるように、鍵盤
ハーモニカを持ち上げて吹いてもらうようにします。
こうすると、指の移動の仕方も具体的に把握する
ことができるでしょう。

また、模範演奏する子どもの③指に印をしておく
ことで、各段の演奏中に③指が動かず、その場に
止まっていること、それに段から段へ移るときの
③指の移動もよく分かるでしょう。

polka3

(③指の移動、また動きが分かりやすくするために
 印をつけています)


子どもたちにとっての、授業での「見える化」は
指導者が、子どもたちにどう「見せる化」にかかって
いるといえるのです。


講座84 「あいまいさも一つの正確さ」

こんな記事が載っていました…
oriorinouta1
(2015.9/29「朝日新聞・折々のことば」(鷲田清一)

正しいことは一つと決めすぎているきらいがあるが、
そういう思考ははやく捨てたほうがいい。
たえず移動する均衡点を、そのつど状況に応じて
外すことなく確定できるのが、まさに正確である…と。

我々、学校現場における授業に当てはめてみると
どうでしょう。
「指導案はこれでいこう!」と時間をかけて作った
指導案の流れからはみ出さないようにという思い
から、「正しい」と決めた解答が出るまで、次々と
子どもを指名したり、子どもの考えを誘導したり、
また逆に易しすぎたのか、時間が余ってしまったり
といった授業にお目にかかることもしばしばです。

「授業は生きものだ」とは、よく言われていますが、
他の学級を使った事前授業では上手くいっても、
本番の学級では同じ流れになるとは限りません。
ですから、本時のねらい、学習内容をしっかりと
把握しておき、この授業で何を学ばせるのかと
いうことを常に心に留めておきたいものです。
記事には、加減、案配、潮時などという職人や
現場の判断がそう…と書かれていますが、
私たちも、まさにその職人と同じなのです。
一人一人の子どもの学ぶ様子を見落とさず、
その時々で職人の加減、案配、潮時を見計ら
えるようなあいまいさを備えていたいものです。

関連する語句を思いつきました…Flexibleです。
「柔軟性」「適応性」、それに「しなやかな」「曲がり
やすい」などを意味する英単語です。
ただ、この単語…「おおざっぱ」だと解釈するのは
大間違いで、Flexibleにできるのは、その裏に用意
周到な緻密さ、豊富な経験量があればこそできる
技だといえるでしょう。
日々の授業の振り返りが大切なのです。


講座85 「何のために」と「何となく」

【講座84】に続いて、記事からの引用ですが…
ラグビーの日本代表エディー・ジョーンズ・ヘッド
コーチが
『「何のために」スポーツをするのかが
重要で、「何となく」やっていては成果は出ない』

とインタビューに応えていました。


『「おまつり」の気分を感じ取って、いきいきと歌う』
という授業がありました。「日本の祭り」の導入と
して、子ども達にとって身近な祭りに触れ、意見
交換をしたのですが、秋祭りだけではなく夏祭りに
までも広げたために、本題に入るまでに、すでに
20分近く経過していました。

「日本の祭り」の様子や雰囲気を共有させるために
あらかじめ用意したDVDを鑑賞。

DVDfesta

(画面に集中させるためにも、テレビ画面の周囲を
スッキリとしておきたいところです)


指導者の意図は、この鑑賞活動で、
「お囃子」に耳を傾けてほしかったのです。
それも、太鼓などが何度も同じリズムを繰り返す
ところに気づかせたかったのです。
ところが、子ども達は、鑑賞後、「みこし」「花笠」
「うちわ」など、ほとんどの子どもは画面に漲る
祭りのようすについての発表でした。

それであれば、映像を鑑賞する前に、流れている
「お囃子」をしっかり聴きとらせる指示が必要だっ
たのです。もしくは、映像を消して「音」に着目させる
ことで、本時の活動のねらいに迫れたと考えられ
ます。

授業の流れを「導入」➡(本時の目標提示)➡
「わかる」➡「できる」➡「楽しむ」➡「まとめ」とした
場合、目標に向かって活動が「できる」ためには、
「わかる」活動を徹底しておかなければなりません。

映像を鑑賞させ、「お祭り気分」に浸ったところで
『村祭』(詞/葛原しげる・曲/南能衛)を歌わせよう
とするのですが、「気分」だけでは、目標通りに
歌えないものです。
どうすれば、自分たちの気分を歌に表すことが
できるのか…リズムやアクセント、強弱といった
[共通事項]等を参考に工夫をこらすことが大切
なのです。

「何のために」鑑賞を行うのか、「何となく」その気
にさせるだけの鑑賞では成果はでないのですね。



LIVE

講座86
「イメージ」on Parade

学習指導案を書く時、よく使われる言葉が
あります。それは「イメージ」という言葉です。
熟考した結果、これしかない…と思って使われる
のならまだしも、使い勝手がいいのか、結構
思いつくままに使われているように感じます。
特に、よく見かけるのが「音楽科」ではないで
しょうか。

本時1時間の中に「イメージ」が多用されていた
指導案を例に出してみると…
学習の「ねらい」から『曲の特徴からイメージ
広げ、表現を工夫しよう』
と、学習の「ねらい」に
イメージという言葉を用いることで、授業全体に
おいて、どのよう活動を行い、子ども達に何を
学ばせるのかが絞り込めず、朦朧(もうろう)
として分かりづらい授業になります。

本時の学習内容・活動では…「曲を聴きながら
イメージする」「イメージを短い文や絵で表す」
「班で表現する
イメージをつくる」「それぞれが
考えた
イメージを持ち寄り相談する」「班ごとの
イメージを発表する」「表現したいイメージ
近づける工夫をする」

また教師の働きかけではイメージしやす
いようにCDを流す」「どのような
イメージ
したらよいか分かるように具体例を挙げる」
「旋律の重なり方や和音の響きから
イメージ
を膨らませることができる」
…となっていまし
た。
「曲を聴きながらイメージする」という活動を
一つとっても、曲を聴きながら長調と短調の
響きの違いを感じ取らせたり、和音の移り
変わりを感じ取らせるのか、カノンのような
旋律の重なりや和声的な重なりの響きや
感じ方の違いを読み取らせるのか…といった
目標が「イメージ」という言葉によって、思考
が停止し、活動の「ねらい」がかき消されて
しまっているのです。
また、指導者がイメージの具体例を挙げて
しまえば、子どもたちは、その例に縛られて
それこそイメージが浮かびません。

曲の題名や鑑賞活動から「どんな場面か、
イメージしましょう」といった指示は、かえって
子どもと音楽との距離を離してしまう結果に
なるのです。

「イメージ」に限らず、「外来語」を使用する
場合には、人それぞれの先入観があるという
ことを忘れないようにしないといけません。

指導案を書かれる機会に、「イメージ」と
いう言葉を使いたくなったら、それを日本語
や、具体的な活動に置き換えてみることで、
思考がさらに深まります。


講座87
「イメージ」on Parade❷

もう少し「イメージ」について考えてみましょう。
イメージという言葉をどんな意味合いで使用
しているのかという点において、個々それぞれ
受け取り方の開きが大きいのではないで
しょうか。
イメージという言葉の意味する幅は広く、
今まで見ていた景色の「残像」…これもイメージ
の一つなのです。
もし、授業において「想像させる」…というのを
イメージという言葉に置き換えたのであれば
最初から「想像」という言葉を使う方が、
より伝わりやすいでしょう。

話は少し変わりますが、『風を切って』という
教材があります。

kazewokitte

(教育芸術社「小学生の音楽6年」
       作詞/土肥武・作曲/橋本祥路)


学習目標は「曲想を生かして合奏しましょう」
です。
この合奏には歌詞(カッコ付歌詞)が付いて
います。
合奏曲が先に出来て、歌詞が後付けなのか
歌詞が先にあり、それに沿って合奏曲が
生まれたのかは分かりません。

この教材を2つの異なる手順で指導したことが
あります。(それぞれをA・Bとしておきます)
Aでは、先に歌詞を教え、歌ってから合奏に入り、
Bでは、歌詞を教えずに、すぐに合奏に入り
ました。

「風を切って」の情景を絵に描かせてみると、
Aの子どもたちは、歌詞に合わせるように
白い風景の中に小さくソリを描いたものや、
冒険者のソリの軌跡をかき消すかのように
風が舞う様子を描いたものがほとんどだった
のです。
ところが、Bの子どもたちは冒険者自身に
焦点を当てたものが多く見られたのです。
文章に書かせてみると、Aの子どもたちは
歌詞をもとにした内容がほとんどだったのに
比べて、Bでは「吹雪のために目が開けられ
ない。前が見えないぞ」「お腹が空いた…
息苦しい」「あきらめない、助かると信じて
前に進もう」など、自分が冒険者になりきった
感想がほとんどでした。
歌詞があると、一定の情報はまんべんなく
どの子にも情景が共有できたとも言えますし、
歌詞を与えないと、個々の子どもの独自性
がうかがえます。

言い換えれば、Aの場合には、歌詞(言葉)
から表現の仕方を考える傾向にあり、
Bの場合には、音楽を形作っている要素に
目を向けて自分達の表現に結び付けている
と言えるでしょう。
A・B…曲想にふさわしい表現を工夫させ
るには、どちらがいいのでしょうか…。

講座88
教材の学習目標と系統性

視点を《合奏》にしぼって考えてみましょう。
6年生の教科書に載っている合奏主体の教材
です。

教材①『ラバーズ コンチェルト』
lovers
(「小学生の音楽6」教育芸術社)

教材②『雨のうた』
gassou1
(「小学生の音楽6」教育芸術社)

教材③『風を切って』
gassou2
(「小学生の音楽6」教育芸術社)

授業では、活動を通して「何を学ばせるのか」
ということが何よりも重要です。
上記の[教材]を掲載順に並べてみると…
[教材①]では、各パートに楽器の指定が見られ
ません。
何故なら、各パートの役割(主旋律、飾りの
旋律、響きを豊かにする旋律、響きを支える
旋律)の役割を果たせる楽器を子どもたちが
選ぶからです。

[教材②]では、楽器が指定されています。
ここでは、和音のひびきの違いを感じたり、
旋律の重なり方の違いを見つけて演奏の
工夫をするねらいがあるので、目標に合わせ
て楽器があらかじめ指定されているのです。

[教材③]では、楽器が指定されていません。
ここでの学習のねらいは、「曲想を生かして
合奏しましょう」なので、各パートの特徴や
曲想に合う楽器を選択する活動があるため
です。

例えば…[教材②]において、「旋律を演奏
する楽器は何にすればいいですか?」という
ような[教材①][教材③]と同様の活動をする
のではなく、旋律の重なりの特徴から、カノン
の部分は出だしや、お互いのフレーズを
意識して演奏したり、和声的な後半において
はバランスに気を付けるように工夫して演奏
する活動に時間を割きたいものです。

このように、学習活動には目標に合わせた
学習内容があり、系統だった流れの中で
学習を組み立てたいところです。


LIVE

講座89
友だちから学ぶ

『山のポルカ』(チェコ民謡/2年生)を鍵盤
ハーモニカで演奏していた時のことです。
2拍子のリズムに乗って演奏した後、次は
3拍子で演奏してみよう…ということになり
ました。(正確に言うと8分の6拍子です)

その時に演奏に合わせて自然な動きを
しながら演奏している子どもが目に留まり
ました。

otehon

「全員で、◯◯さんの演奏を見てみましょう」
と言って、一人で演奏をしてもらいました。

演奏後の感想を聞いてみると…
「指をまあるくして弾いていました」
「タンギングがきつくなかったです」
「リズムに乗っていました」
「出だしがスッと出てました」など、どの子も
細かいところまで目と耳でよく観察している
のに感心しました。

「そうだよね、リズムに上手く乗っていたし、
出だしがスッと出てたよね」

〇〇さんをお手本にしたのは、身体の
わずかな揺れを伴って演奏をしていたから
なのです。
それと、1拍目の音を吹きだす直前から
身体が揺れ始めるため(指揮の予備拍の
よう)に、出だしがスッと出ているのです。

「ほら…音が出る前から音を出す準備を
しているのが分かったでしょ」というと、
子どもたちは納得し、早速真似をして…。
子ども同士で学び合わせるために、指導
者は、授業のねらいに沿って子ども達の
様子をきめ細かく観察しておかなければ
なりませんね。

講座90
  大阪府音楽教育研究大会 記念講演
 「授業デザインの提案」

【講座90】からは、2015年11月5日に行われた
「大阪府音楽教育研究大会」(豊能大会)での
記念講演で提案をした内容をお話しします。
     
kinenkouen1

~つながる楽しさ広げよう~

大会テーマ「つながる楽しさ広げよう」の「つながる」とは
子ども同士、指導者と子どもが音楽活動を進めていく
過程を通してつながり、その楽しさを共有する輪を広げ
ていくというものです。
もう一方で、「つながる楽しさ」とは、授業に参加する
ところから始まり、わかる楽しさ、できる楽しさ、そして
友だちとつながる楽しさという、一連の「つながる楽しさ」

でもあるのです。

つながりの第一歩は「コミュニケーション」です。
大人と違い、子どもたちとつながるのに、時間を要しま
せん。

一緒に歌を歌い、握手をし、目と目を合わせることだけ
でも親しくなれるから不思議です。

kinenkouen2

(『あしたははれる』(坂田修/詞・曲)を紹介しながら
 歌に合わせて会場の方々と握手を)

有名な都々逸(どどいつ)に、こんなのがあります。
「嫌いなお方の親切よりも 好きなあなたの無理が
いい」

子どもたちは、嫌いな先生から親切にされても、
「余計なお世話じゃ!」と言いかねません。
でも、好きな先生なら、少々難しい課題を出されても
頑張るものです。
好きな先生は、日頃から、どの子どもにも見合う
課題を出していて、「この先生の問題ならやれば
できるよ」という信頼関係が育まれているのでしょう。

授業に参加しないと活動は始まりません。

どの子も、興味や意欲を抱いて授業に参加したくなる
「初発の発問」がまずは授業「ねらい」のキーワード
ですね。

「授業をデザインする」話しをする前に、他のデザイン
化とともに紹介します。

◇学校デザイン
全校で気持ちよくあいさつを交わすためのデザイン、
また清掃活動を円滑に行うためのものや、職員室へ
の出入りについてのデザイン化など、学校全体で取り
組むものです。
最近は、どこの学校でも、昇降口やトイレ、職員室の
入り口などに掲示されているのを見かけるようになり
ました。視覚化に配慮した掲示が増えてきました。
「掃除道具入れの中はきちんと整頓しましょう」という
文字よりも、整頓された写真を一枚掲示する方が、
子どもにとって分かりやすくなるデザインなので、
普及しています。

◇教室デザイン
授業時に、子どもたちが目移りをして集中できない
ような掲示物をできる限り少なくし、また逆に、定着化
を図りたい事柄(音楽科での「共通事項」など)は、
いつでも見える場所に掲示するなど。
また、当たり前のことですが、子どもの視力や聴力、
集中度を考慮した座席配置など、さまざまなデザイン
を必要とします。

◇友だちデザイン

子ども同士の人間関係や理解の度合いによる配慮
から生まれるデザインです。

そして、4つめのデザインが、今回のテーマである
「授業デザイン」です。

◇授業デザイン
どの子にとっても、授業に参加でき、活動できる授業
のデザイン化です。
子ども一人一人の環境などの違いは、子どもの数
だけあるといえます。友だち付き合いの下手な子、
家庭に帰れば、母親は勤めで夜遅くにしか帰って
こない、祖父母と暮らしている子、父子家庭、金銭面
で困っている子など本当に様々です。

授業を行う上で、配慮しなければならない第一の違い
は、学力差でしょう。
どの子も楽しく活動するためには、この学力差を見え
なくすること
が求められます。
言い換えれば、楽しい授業は学力差が見えない授業
とも言えるでしょう。
その上で、「楽しさ」を求める授業デザインを行うよう
にするのです。

「楽しさ」について…
❶「わかる」楽しさ ❷「できる」楽しさ ❸「共有する」
楽しさ ❹「表現する」楽しさ
に分けて、デザイン化の
提案をすることにしましょう。

講座91
  大阪府音楽教育研究大会 記念講演
 「授業デザインの提案」

【講座90】から、2015年11月5日に行われた
「大阪府音楽教育研究大会」(豊能大会)記念講演で
提案をした内容をお話ししています。
     
kinenkouen1

    ~授業の楽しさ・「わかる」~

音楽科での、授業の楽しさについて、4つ提案します。

①「わかる」楽しさ

わかることは、誰にとっても楽しく、また次への原動力に
なります。
授業では、まず今から始まる授業の「ねらい」がわかる
こと。「授業の流れ」がわかる、活動において「歌声」や
「リコーダー」がわかる
などが挙げられるでしょう。
ここ数年、授業の中で「ねらい」を見やすく掲示したり、
授業の始まりに、授業の流れを説明する場面が増えて
きました。

ここでは、「わかる」楽しさの一つ、「階名」がわかる
楽しさ
についてお話しします。

子どもたちに、階名がわかるとリコーダーが吹ける…
という楽しさを体感してもらうために、「シーソーららら!」
(作曲/平島 勉)という教材を用意しました。
『シーソー シーソー シーソー らーらら…』と歌えば、
それがそのまま階名の「シ」と「ソ」に当てはまるという
教材です。(ここでは、「ら」は吹きません)
歌を覚えたら、「じゃあ今歌ったのをリコーダーで吹いて
みよう!」と指示すると、子どもたちは難なく吹けました。
「階名がわかるとリコーダーが吹けるね」と大喜びの
子どもたち。
歌詞がそのまま階名になっていることと、もう一つ、
使用する運指が「シ」と「ソ」の2音だけなのです。
全員がわかり、楽しむためには「学力差」を見えなくする
ことが欠かせません。
2音だけなので、どの子どもも余裕をもって取り組める
のです。
リコーダー指導の進度は一般的に「シ」➡「ラ」➡「ソ」と
進み、新出音「ソ」の学習では、上記の3音が出てくる
教材が多いのです。
それでは、スムーズに吹けない子どもが出てきかねま
せんが、2音であれば、とてもやさしくなるのです。
新しく出てきた音を、自分の指と、自分の息遣い、
そして自分の楽器で自分だけの音を出したいという
思いは、どの子も同じです。
新出音を含め、2音にすること、すなわち、学力差を
見えなくすることで、どの子も活動を楽しめるのです。

もう一つの事例を紹介しましょう。
「曲の山」がわかる楽しさです。

「曲の山」という言葉が出てくるのが3年生での楽曲、
『ふじ山』です。

まずは、【講座68】を読み返してください。

曲の山に気づかせたい「ねらい」であれば、しっかりと
「曲の山」が子ども達に見えるようにデザインしなければ
いけません。
言い換えれば、「見える化(視覚化)」の裏には、どう
「見せる化」
という指導者の工夫が必要なのです。

「曲の山」だけではありません。

「どうして音楽の授業があるの~」との子どもからの
問いかけにこたえるためには「教科」をどう見せる化、
授業での「課題」をどう見せる化、「指導者」を、「仲間」
を、それぞれどのように見せる化など、デザインできる
ところはたくさんあります。
「見える化」の工夫には「見せる化」という指導者の
手腕が問われるところです。
そのためにも、提示する課題やねらいをスリム化し、
的確に把握して授業に臨みたいところですね。

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講座92
  大阪府音楽教育研究大会 記念講演
 「授業デザインの提案」

【講座90】から、2015年11月5日に行われた
「大阪府音楽教育研究大会」(豊能大会)記念講演で
提案をした内容をお話ししています。
     


  ~授業の楽しさ・「できる」~

音楽科での、授業の楽しさについて、第2の提案は
「できる楽しさ」です。

②「できる」楽しさ

1時間の授業の流れでは、興味・意欲を湧かせる
「導入」から、本時のねらい・学習内容が「わかる」へと
活動がつながります。
教育は、子どもから引き出すばかりではありません。
特に音楽科では、教えるべき内容もたくさんあります。

どの子も「わかった」ことを踏まえ、自分または自分達
で「できる」活動へとつなげていくのです。
ですから、いい授業になるかどうかという点からも、
この「わかる」活動がとても大切になってきます。
「わかったこと」を活用して次の「できる」活動へ…
ここが授業のクライマックスと言えるでしょう。

5年生の教科書教材にフォスター作曲の楽曲が
掲載されています。
ここでの学習の「めあて」は、『「和音の移り変わりを
感じながら演奏しましょう』だとか、『和音や低音の
はたらきを感じ取って演奏しよう』です。
授業の「めあて」に『感じながら』『感じ取って』
なっているのですが、はたして、どの子どもも感じ
られたのかどうか、指導者としては、微妙な感触
になることでしょう。
「みんな、感じ取れたかな?」という呼びかけに、
「う~ん…はい!」と返事をする子どもの中には
感じたことを、単に和音が聴こえたことと捉えて
いる場合があるものです。
どう評価していいのか難しいところですよね。

そこで、出てくる和音の流れを3部合唱にして歌う
ことにしました。
『ぼくもわたしも ハモリ隊』という活動です。

hamoricard

(示された和音を展開して各声部を分けたカード)

①のソプラノから②メゾ③アルト…という風に順に
横に歌っていきます。
5年生になると、それぞれの声部をわりと簡単に
歌えます。
次に、3グループに分かれて階名で歌い、3声部
のひびきの移り変わりを味わいます。

子ども達を、6~9人グループに分け、階名を
自分達で考えた言葉に替えて歌うという活動です。

この授業に入る前に、『筑波山麓合唱団』
(歌/デューク・エイセス)の4声部でのコーラスを鑑賞
していたので、手始めに見本となる歌詞を提示
しました。(蛙の鳴き声を取り入れたもので、
カードを参照)
こうして、各グループが創作した言葉で合唱を
披露しあうという活動です。

例えば、『ぼくらの先生紹介し隊』『委員会活動
紹介隊』、中には『大阪名所案内隊』というのが
あり、前半部の終わりには「♪お腹がすいたら
くいだおれ」、また最後は「♪吉本観て帰ろ」と
いうのがありました。
言葉を当てはめる活動では、拍を意識しないと
言葉が入らないこともあわせて学んだようです。

この活動は、この後に出てくる3部合唱へと
つながっていきます。

2部合唱も危なっかしいのに、3部合唱なんて、
と思っておられるかもしれませんが、デザイン
の仕方によっては、できる楽しさを味わえる
ことになるものです。

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講座93
  大阪府音楽教育研究大会 記念講演
 「授業デザインの提案」

【講座90】から、2015年11月5日に行われた
「大阪府音楽教育研究大会」(豊能大会)記念講演で
提案をした内容をお話ししています。
     


  ~授業の楽しさ・「共有する」~

音楽科での、授業の楽しさについて、第3の提案は
「共有する楽しさ」です。

授業ではその時間に学んだことを仲間と共有することが
大切です。
特に、3年生でのリコーダー導入時期は、どの子も期待
と不安が入り混じった状態で授業に臨んでいること
でしょう。
この点については【講座70】を読み返してください。

一方、学校での「音楽」を、実社会とどう結びつけて
いくのか…ということも大切です。
学校音楽と社会とのつながりを実感できることで、
子どもたちはますます自分たちの演奏に価値を見出す
ことができるのです。
音楽科には「表現」と「鑑賞」の2領域がありますが、
鑑賞するという一方向の学習ではなく、自分達からも
楽器を手に鑑賞に参加していくこと…すなわち、コラボ
レーションすることで音楽を共有できるという能動的な
気持ちになるのです。

例えば、有名なジャズに『シング・シング・シング』という
曲があるのをご存知でしょう。
「音楽科の授業にジャズですか」って?
そうです!最近では、教科書でも取り上げられていて
幅広いジャンルの音楽との出会いが求められています。
それに、「表現」を身に付けるのであれば、「鑑賞」する
ことが欠かせません。
ジャズの歯切れよさを鑑賞することで感じ取ると同時に
自分たちの演奏に生かすことができるのです。

友だち同士での「共有」、また鑑賞曲とコラボレーション
することでの実社会との「共有」…どちらも子どもたちは
大いに盛り上がって楽しさを味わってくれることでしょう。


講座94
  大阪府音楽教育研究大会 記念講演
 「授業デザインの提案」

【講座90】から、2015年11月5日に行われた
「大阪府音楽教育研究大会」(豊能大会)記念講演で
提案をした内容をお話ししています。
     


  ~授業の楽しさ・「表現する」~

音楽科では、「表現」および「鑑賞」の活動を通して…
とあるように、「表現する楽しさ」を味わわせたいもの
です。

①「様子」を表現する
akaihusen
 (音楽物語『花いっぱいになあれ』音楽:平島勉)

このような様子を表しているような歌では、風船の
感触や飛んでいる様子を歌声で表現することで、
子どもたちの心の中に、豊かなイメージを広げる
ことができるでしょう。

最初、低学年の子どもたちが大声で怒鳴るように
歌っていたので、この作品の最初の部分の読み
聞かせをしました。
初めは、子ども達が歌ったように、大声で怒鳴る
ように読みました。すると、子どもたちは目を丸く
して大笑いをするではありませんか。
「そうだよね。今の読み方はおかしいよね。
歌う時も同じなんですよ。本を読む時のように、
どんな様子かがわかるように気持ちを込めて
歌うのですよ」
直後に歌った子どもたちの歌声は、聴いていて
とても気持ちのいいものでした。
「もっと、小さな声で、怒鳴らないで歌いなさい」
なんて言わなくても、「様子」や「気持ち」を考える
ことで歌う楽しさ、表現する面白さを味わいながら
歌声まで変えるのです。


②「気持ち」を表現する

otegami
(音楽物語『お手紙』より/音楽:平島勉)

かえるくんとがまくんが話しをしている場面での
歌なのですが、かえるくんの気持ちになって
がまくんに話しかけるように歌うところです。
旋律と言葉は決まっていますが、どのように
歌えば気持ちが伝わるのか、子どもたちは
歌いながら工夫をこらします。

山田耕筰氏が「日本語には旋律とリズムがある」
と言われ、代表的な歌曲に『からたちの花』が
あります。
「だいすきな がまくん」の旋律も、自然に歌える
ようにイントネーションに配慮してあり、子ども達
も「気持ち」を工夫することに専念できます。


③「キャラクターになりきる」楽しさ

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(音楽物語『きつねのおきゃくさま』音楽:平島勉)

音楽物語は国語科文学教材を題材にしている
ので、主人公などの登場人物(動物)が出てきます。
上の楽譜は、上段がきつねお兄ちゃん、下段が
黒くも山のオオカミの歌です。
この二人が争う場面をパートナーソングによる
二重唱にしたのですが、子ども達は、どちらの
方を歌うか、それぞれの好みで決めるのです。
オオカミは物語の中で悪役なのですが、この方を
歌いたがる子どもが案外多いのです。
きつねとオオカミになりきって歌える面白さも、
音楽をする楽しさなのです。

④やさしい合唱で「表現」する楽しさ

高学年になると、音楽物語のようなストーリーが
なくても、一つの歌に気持ちを込めて歌うことが
できるようになります。
といっても、学級全員での合唱は難しい面も
多々あることでしょう。
そこで、パートナーソングのような分かりやすい
旋律を組み合わせた合唱曲を取り入れることで、
どの子どももハモる楽しさ、ハモることができた
うれしさを味わうことができます。
「どの子も参加できる合唱曲」というキーワードで
選曲することをお勧めします。

「表現」と一口に言っても、しっかりとした「ねらい」を
もって取り組みたいところです。
表現する楽しさを実感できると、ますます「音楽」
に積極的に取り組んでくれることでしょう。

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【講座90】からの記念講演での提案を終わります。


LIVE

講座95
子どもの感想から学ぶこと


大分県竹田市立竹田小学校での合奏指導後の
6年生の子どもたちの感想です。

●授業は楽しさ

「この前は2時間、僕たちと付き合ってくれて
ありがとうございました。本当にあの2時間は楽し
かったです。」

●学んだという実感が伴っている授業

「先生が教えてくれてから歌も合奏もすごくかわり
ました。
授業はとっても楽しかったです。」

「先生来てくださった次の日に、またみんなで合わせ
ると、なんかかっこよくなったようでした。」

残念ながら、私が訪れた当日欠席されていた子ども
の感想は

「次の日に来たとき、みんながすごく上達していて、
「瀧祭」
(市内の音楽会)も成功しました。」

    

●分かりやすい指導

「すごい指揮で弾きやすかったです。」

「合奏は、どこで音を切るかなど、適切に言って
もらえて合奏が良くなりました。」

Comment:短い言葉でポイントを押さえた指導、子ども
       が困っているところを見つけ、言葉がけを
       すること。 

「私は音楽が苦手で、先生が来られた時もまだ完全
に弾けなかったんだけど、先生が来て、みんなの
雰囲気が変わってすごいなと思いました。」


Comment:下を向き、音棒を見ながら木琴を弾いて
       いた子どもに、「上を向いて指揮に合わせ
       られないかな?」と言うと、「間違えるから」
       という返事。
       「じゃあ、指揮を見ないで間違えずに弾いて
       みんなと合わないのと、少々間違えても
       みんなとぴったり合っているのとでは、
       どっちがいいと思う?」というと、納得して
       顔を上げて弾きだしました。  

合奏を楽しんだのは1時間だったのですが、子ども達の
感想の中に、「自分でも満足することができました」と
いうのがありました。どの子も、少しでも自分自身が
納得できる、満足のいく音楽をつくりたいという思いを
もっているので、短時間であっても変わることができた
のですね。

講座96
「音楽物語」の面白さ

【講座94】で、音楽の楽しさについてお話ししました。
何よりも、音楽する楽しさは「表現」にあるといえます。

「様子」を表現する、「気持ち」を表現する、「キャラクター
になりきる」、「合唱」を通して表現する…などが主要な
ものでしょう。

そのような楽しさを包含しているのが「音楽物語」です。

今回、音楽物語『アナトール工場へ行く』(イヴ・タイタス作)
を市の音楽祭や校内の集会で上演された佐賀県3年生
の子ども達の感想から音楽の楽しさについて考えて
みましょう。

アナトールが人間にお返しをするために、味見をして
カードに書き、チーズ工場の人達に喜ばれるように
頑張っているところが、私も頑張りたくなるからです。

アナトールがチーズ工場で「行ったり来たり、来たり行っ
たり…」という繰り返す姿に頑張っている様子を感じ、
同じ気持ちになったのでしょう。


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また、上のような、「ネズミ」やチーズ工場の社長さんに
なりきって歌った子どもが多かったのです。
物語に登場するキャラクターになりきり、気持ちを読み
取って表現する楽しさがここにあることが分かります。

私は、「手紙 アナトールへ」の曲が一番好きです。
アナトールへ手紙を書いたチーズ工場の社長さんが
アナトールが誰だか分からない…という登場人物の
気持ちが分かるからです。


また、曲想から「やさしさ」を読み取った子どもが
います。

社長さんが手紙を書いているところで、心の中で
やさしいって思っているところが心に残りました。

社長が歌うアリア「手紙 アナトールへ」では、歌詞の
中に「やさしい」という言葉は出てこないのですが、
曲想から、そのように受け止めたのですね。

短い感想の中に…
音楽物語の方が覚えやすいし、歌もいいですね
というのがありました。
何度も同じ歌を歌っても飽きがこないどころか
より感情が深まるのも音楽の力なのです。

低学年の間に、このような音楽物語に取り組む
ことによって、歌にはメッセージがあり、それは
すなわち歌う人達のメッセージになっていることを
自然に理解できるようになるのですね。


LIVE

講座97
教科書後半教材の扱いについて

教科書の後半には『みんなで楽しく』(教育芸術社)、
『音楽ランド』(教育出版社)が載っています。
このコーナーは、時間が余ったから…などの考えで
サラッと扱うかもしれませんが、それにしてはステキな
教材がずらりと並んでいます。
ですから、時間が余ったら…と言わずに、これらの
教材を活用できる題材に関連させ、計画的に扱うよう
にしたいものです。
そのためには、教材を見る目を養う必要がありそう
ですが…。

教科書に載っている中の、どの題材で扱うのがふさわ
しいのかによって、指導が変わってきます。

『クラッピング ファンタジー第4番』(長谷部匡俊 作曲/
教育芸術社5年教科書)を扱った授業研究会があり
ました。

「いろいろな音のひびきを味わおう」の題材で扱っ
た授業でした。
まず初めに、6つのリズムパターン(2小節)の中から、
気に入ったものを3つ選び、ぞれを持ち寄り、「問いと
答え」や「反復」、「音の重なり」を考慮しながら組み合
わせて数人でアンサンブルするという活動が事前の
授業で行われていました。

本時の授業では、リズムアンサンブルが完成したのを
確かめてから、指導者が…
「みんなが作ったリズムアンサンブルを『クラッピング
ファンタジー第4番』と組み合わせてみよう」


まさか自分達のリズムアンサンブルを『クラッピング
ファンタジー』に合わせるなんて考えてもみなかった
ことなので、子ども達から歓声というよりも驚きの
叫び?!が起こりました。

本時では「音楽のしくみ」を生かして強弱をつけよう」
というねらいで活動が進められました。
『クラッピング ファンタジー』の曲を流しながらの活動
でしたが、子ども達は曲に合わせるというよりも、
「音楽のしくみ」…問いと答え、反復をもとにしながら
強弱を付けていったのです。

この場合、思いもしなかった他の曲に当てはめるの
ではなくて、リズムアンサンブルそのものに、強弱や
速度などを工夫させる活動の方が一貫していたと
思われます。

また、題材を「曲想を味わおう」にすれば、同時に
学習した「まっかな秋」の合唱、「アイネクライネ
ナハトムジーク」の鑑賞と相まった、まとまりある
流れの授業になったかもしれません。

教科書後半の教材の扱いに、指導者の個性が
みられるのですね。


LIVE

講座98
「音楽づくり」① 何を学ばせるのか 

3学期に入り、2校の「音楽づくり」の授業研究
会に寄せていただきました。
【講座98】~【講座100】では、2つの授業研
究会から見えてくるものについてお話しします。

◆「音楽づくり」は後回しになりやすい?

2校の授業者は、「音楽づくり」をしながら、
一体何を手がかりに、どう進めればいいのか、
またどうまとめるといいのか、がよく分からな
い。
いざ取り組んでみても活動が遊びのようになっ
てしまって…と口をそろえて言われました。
さらに、評価の仕方についても悩んでおられ
ました。

「音楽づくり」については、学習をする前に、
活動を通して『何を学ばせるのか』という「学習
のねらい」をしっかり踏まえておかなければなり
ません。
また、「音楽づくり」では「どのような力をつけ
ることができるのか、つけたいのか」、学ぶ
べき事柄を明確にして、授業に臨むことが
大切です。
後回しにしないで、しっかり準備をしておき、
取り組んでみると、新たな課題が見えてくるもの
です。

3年生での授業についてお話しします。

題材『いろいろな音の響きを感じ取ろう』
教材「おかしのすきな まほう使い」

音楽づくり活動を行う場面の授業でした。

魔法使いが魔法をかけるときの音楽をつくると
いう活動で、まず初めに「まほうの音」に合う
音を各自で見つけ、「魔法の音楽のもと」を
つくりました。

本時では、各自が持ち寄った音を、グループで
重ねたり、つなげたりしていくという内容です。

wb

(授業での板書:「練習しよう」というのが少々
気にかかりました)


子ども達それぞれが工夫して見つけた「音楽の
もと」を人数分の色分けしたカードに貼っていく
のです。
あるグループは、「問いと答え」を3回繰り返す
ような仕組みを考えていました。

gw1

(グループで「音楽のもと」を組み合わせて…)

また、あるグループは、「音のないところを表し
ました」という組み合わせを考えていました。

gw2

(カードを貼っていない列を設けています)

こうして、「音楽づくり」が完成です。

このような活動での評価については、「音楽の
もと」から生まれた音や、活動中のつぶやき等
を含めた行動観察が有効な手段となります。

ところで、中には、鉄琴で音色を工夫している
子どもを見かけましたが、できあがった音や、
演奏を観ていると、全体的に、音に向き合わせる
時間が少なかったのではないかと感じました。

gw3

(マレットを替えながら気に入った音色を探して
いました)


この学習では、「音楽のもと」をつくる活動が
キーワードの一つなのです。
活動の順序としては…

①自分が考える魔法の音楽のイメージに合った
 音色の楽器を探し出す。
②選んだ楽器から、よりふさわしい音色、強弱
 等を生み出す工夫をする。

その後、それぞれが持ち寄った「音楽のもと」を
どう組み合わせるのかをグループで修正を加え
ながら組み立てる。

組み合わせる中で、「何かへん…」とつぶやいた
子どもがいましたが、「何故、そう感じたのか」
を問いかける絶好の機会になるのです。

「音楽づくり」においては、どのような過程を経
て学んできたのかを大切にしたいところです。
また、この学習では、音楽づくりの手がかりと
して、魔法の音楽を効果音として捉える子どもが
いても不思議はありません。

音楽として完成させるのは4年生でも、同じ
「ねらい」すなわち「音の特徴を生かして音楽を
つくりましょう」が出てきます。
3年生の音楽づくりは4年生とひとくくりにして
考えればいいでしょう。


LIVE

講座99
「音楽づくり」② 全学年を俯瞰して

題材『日本の音楽に親しもう』で「音楽づくり」
(3年生)を行った授業での本時のねらいは、
「ラ・ド・レの3音で おはやしのせんりつを
つくろう」というものでした。

ohayasi1

(導入として地元の祭りのおはやしを聴かせる)

親しみのある(?)お囃子を鑑賞したあと、指導
者が、お囃子づくりについての説明をしました。

ohayasiwork

(ワークシートを使っての音楽づくり)

こうして、各自で旋律づくりを始めます。

saguribuki

(リコーダーを使って探り吹きをする子も)

各自でできた2小節の旋律を、次はペアになって
4小節の旋律に拡大していきます。

1校時の授業の流れを、「導入」「分かる」
「できる」「楽しむ」(共有する)の4段階に
分けて考えると、この授業では、「分かる」部分、
すなわち旋律をつくるところで、「こうすれば
できる」という説明に終始し、「音楽としての
まとまり」「続くふし」「終わるふし」の具体的
な説明がほしいところです。

この「分かる」活動を十分に行っておくと、
子どもたちだけで、十分「できる」活動が広がり
と深まりをもって発展するものです。
「できる」活動を『アクティブ・ラーニング』に置き
換えることにもつながっていくのです。

単に「ラドレ」の3音を指定されたリズムに
振り分けるだけの作業手順の説明に終わった
ために、一見、次々に旋律を作っていくので、
活動ははかどっていくように思えるのですが、
「何を手がかりにすればいいのか」がつかめて
いないのです。
それでも、西洋音階に慣れた(?)子どもたちは、
最後を「ド」で終わらせていないのがほとんど
だったのには救われました…。

ペアになり旋律をつなぐ時に気を付けることは
何か…これも大事な視点になります。

さらに4人グループになり8小節の旋律をつくる
のですが、グループの一つが次のような旋律を
つくりました。

gakuhu1

①「レーレー/レドラ・」
②「ドードー/レドラ・」
③「欠席者」④「ラーラー/ドラレ・」)


このグループが発表したのですが、「欠席者」の
ところを指導者が子どもから言われた通りの
旋律を演奏したのです。
それはそれでいいのですが、誰が聴いても、
それは違和感のある旋律でした。
指導者が、きちんと授業のねらいを把握していれ
ば、ここのところで、「せっかくだから先生が
作ったのも演奏させて!」と、ねらいに迫れる
箇所なのです。

「①と②の旋律をつなげて感じることや思った
ことはないかな?」と問いかけると、きっと
子ども達は「レドラ」が共通していることに
気づくでしょう。
さらに、2つの旋律のまとまりを感じ取ることが
できたに違いありません。
ですから、指導者は③の旋律として例えば、①を
もう一度繰り返したとすれば、④の旋律で気持ち
よく終えることができたと考えられますし、
「繰り返すことによる全体のまとまり」について
も、つかませることができたことでしょう。

指導者は、この活動を通して、「何を学ばせるの
か」ということを常にブレずに把握しておかなけ
ればならないのは言うまでもありません。


◆「音楽づくり」でも全学年を俯瞰ふかんして!

合唱、器楽、鑑賞と同様に、「音楽づくり」に
おいても、1年から6年までを通して、この学年
のこの題材においては何を学ばせるのかを
考えて、授業に臨まなければなりません。

3年生での民謡音階を使った「おはやしづくり」
の前を見ると、『うさぎ』が出ています。(教育
芸術社)
ここでは、日本の伝統音楽の雰囲気を味わうと
ともに、「問いと答え」についても学んだことでしょう。
※『うさぎ』は民謡音階ではなく、都節音階なのですが。

さらに学年を遡ってみると、2年生では『なべな
べそこぬけ』などのわらべうたに親しんできま
した。
また、伴奏づくり活動を行ってきました。
1年生では、『ひらいた ひらいた』をはじめ、
『おおなみこなみ』『おちゃらかほい』なども
歌って遊びました。
このような活動の中で、「問いと答え」や「続く
ふし」「終わるふし」などに少しでも触れていれ
ば、3年生での「お囃子づくり」がさらに内容の
濃いものになったと考えられます。

逆に、1・2年の低学年の時期から、中高学年の
学習内容を見据えておくことが大切だといえます。

「音楽づくり」に限りませんが、全学年を俯瞰し
ておくことが欠かせません。



LIVE

講座100
音楽づくり③ 「音階」について 


「音楽づくり」は、
『「ラドレ」の3音を使って』(3年)、
『「ミソラドレ」の5音で』(4年)、
『「ミファラシドミ」の音階で』(5年)、
というように構成されています。

「音楽づくり」を、日本の伝統音楽の視点から
俯瞰してみると…(教育芸術社「音楽」教科書)
1年生で扱う「わらべうた」の多くは「民謡音階」です。
2年生で「わらべうた」に伴奏をつけるのも
「民謡音階」を用いています。
3年生での「音楽づくり」も「民謡音階」でした。
この「民謡音階」…今の時代でも親しみを持たれ
ているのでしょうか、以前大ヒットしたピンク
レディーの『ペッパー警部』をご存知でしょう。
あの出だしの部分「♪ペッパー警部…」これこそ
「民謡音階」そのものなのです。
だから大ヒットしたのかも知れませんね。

ところが、3年生では「音楽づくり」をする前に
共通教材『うさぎ』を学習します。
これは、「都節音階」と呼ばれる音の配列です。
もう少し学年を先へ進めてみましょう。

鑑賞教材に『ソーラン節』『南部牛追い歌』が
登場しますが、それぞれ「民謡音階」、
「都節音階(変種)」と言われているものです。
※参考:児島美子氏
その学習の後の「音楽づくり」は『「ミソラド
レ」で旋律をつくろう』なのですが、この音階は
「都節音階」です。
この学習を経て、日本の旋律の感じを生かして
歌うのが『さくら さくら』…これも「都節音階」です。
ちなみに「こと」で平調子というのは、「都節
音階」に調弦することです。

5年生では、「こもり歌」が登場します。
教科書見開きで、2種類の旋律が載っています。
一つが「律音階」と呼ばれるもので、他方は
「都節音階」です。
教科書には「口から口へと伝えられていくうち
に、旋律や歌詞が少しづつ変わっていきまし
た」と説明されています。
そうなのです、元々あった「律音階」が17世紀
末、江戸元禄期に都会の人達が粋いきを求めて
ある音を変化させて生まれた音階が、その名の
通り、都で生まれたので「都節音階」となったのです。
ですから、教科書の2つのこもり歌は「律音階」
と「都節音階」なのです。

この「都節音階」を使った「音楽づくり」活動が
教科書に出ています。

6年生での「音楽づくり」は一変して西洋音楽に
立ち返っての旋律づくりになりますが、歌と鑑賞
を含めた教材として『雅楽』が扱われています。
「雅楽」の音階は5年生の「こもり歌」に出てき
た「律音階」です。

教科書を通して、全学年を俯瞰してみると、様々
なことがわかってきます。
音階名など教える必要はありませんが、指導者
は漠然と理解しておくと、余裕をもって学習に
臨めることでしょう。

【講座60】も読み返してください。


LIVE
講座101
「合奏」研究① 

2月下旬に「ミニ音楽会」を控えた小学校に
お邪魔しました。

6年生4学級それぞれ違った合奏曲に取り
組んでいたので、各学級1時間ずつ聴かせ
ていただきました。
そこから見えてきた課題についてお話し
しましょう。

◆「速度」について

《ルパン三世のテーマソング》に取り組んで
いる学級の演奏を担任の指揮で聴かせて
いただきました。
あまりの悠長な演奏に思わず「ルパンって
すばしっこくないね」と感想を漏らしてしまい
ました。
この合奏では16分音符が随所に見られ、
また打楽器が16分音符で打ち続ける
(一小節に16拍)箇所もあるために、指導者
は、子ども達のできる速さで演奏していた
ようです。
一度演奏を聴かせていただいた後、指導を
任されたので、「この曲本来の速さで演奏
してみようよ」といって演奏を始めました。
中には戸惑う子どももいましたが、演奏を
終えると、子ども達の表情が一段と明るく
なったではありませんか。
「面白いね!」というつぶやきも聞こえて
きます。
そうなのです!演奏できるゆっくりの速度
よりも、少々できない箇所があっても
曲が生きる速度の方が面白いのです。

指導者は、曲が求めているものを見極め
それを子どもたちにダイレクトに伝える
ことを忘れないでください。

◆「曲想」をつける工夫を

「曲想」をつけるためには、曲から
「手がかり」を見出すことです。

《ルパン三世のテーマ》を例にお話ししま
しょう。

多くの場合…といってもクラシックなどの
ジャンルは別として、「サビ」の部分が
ありますね。
まずは、そこに目をつけましょう。

《ルパン》でいえば、最初のテーマが済み
滑らかに流れる部分が「サビ」です。
この箇所のピアノパートの和音(2分音符)
がお洒落なのです。
【7th(セブンス】や【maj7(メジャーセブン)】
などが7小節の間続くのです。

そこで、まず全員に「みんなでピアノの
和音を聴いてみよう。すっごくお洒落なん
だから!」と言って聴かせました。

「私は薄いガラスのような感じを受け
るんだけど、その上にドカンって自分の
旋律を乗せたり、ドンドンと打楽器を
打って壊してしまわないように演奏して
ほしいな。」

「それから、この部分の主旋律を演奏
する人達は、シンコペーションを十分に
味わって楽譜通りに演奏してください。」

音楽科の授業では、何とか子ども達から
意見や感想を引きだそうとして、指導者
が教えることを控える場面を見かけること
がありますが、教えるべき事柄、学ばせ
たいことについては、きちんと教えたい
ですね。



LIVE

講座102
「合奏」研究② 

【講座101】で、「曲想」をつける工夫の
視点から「サビ」に着目しました。
他にも、「曲想」をつける手がかりになる
ものがいくつかあります。

◆「記号」に着目

その一つが、楽譜に書かれた「記号」です。
「記号」には、「強弱」「アクセント」「スタッ
カート」などが重要な手がかりになります。

冒頭からff、おまけにスタッカートが付いた
旋律が出てきました。《カルメン前奏曲》です。

リコーダーや木琴はともかくとして、「鍵盤
ハーモニカ」「アコーディオン」での演奏には
技術が必要です。

出し始めの音を強く、それもスタッカートで
演奏するためには、「鍵盤ハーモニカ」では
息を吹き込んだ状態で、指を鍵盤の上に
乗せておくようにし、演奏の合図と共に、
鍵盤を押さえれば、立ち上がりのいい演奏
ができるでしょう。
「アコーディオン」では、ジャバラを開いた
状態で、「鍵盤ハーモニカ」同様に、指を
鍵盤の上に乗せ、指揮者の合図を待つ
ようにします。合図と共に鍵盤を押さえる
と立ち上がりのいい演奏ができます。

また、《カルメン前奏曲》では、随所に
「スタッカート」が出てきます。
さらに、数小節にまたがった「クレシェンド」、
16分音符での上昇する「レガート」など…
これらの「記号」を見落とさず、ていねいに
表現するよう心掛けることによって、
「曲想」をつけることができます。


◆パートの組み合わせの面白さに注目

《彼こそが海賊》(ディズニー映画『パイレー
ツ・オブ・カリビアン』主題曲)を演奏している
学級がありました。
冒頭から、8分の6拍子のリズムに乗りきれ
ないまま、演奏が始まりました。

「海賊って、海の上に居るんですよね。だっ
たら、波に乗って揺れているようにして…」
こんな、当たり前のような投げかけが案外
子ども達には分かりやすいのでしょう、
8分の6拍子が気持ちよく揺れ出しました。
しかし、まだ音を出しているだけ…の演奏
です。

そこで…
「これから、何かが始まるんだよね。だから
聴いていてドキドキ、ワクワクするように演奏
できないかな」
この投げかけで、演奏が変わり始めました。

しかし、どうもパートがかみ合っていません。
全体にぎくしゃくした演奏なのです。

その原因は、1小節を4分音符3つで打つ
旋律楽器に対して、打楽器は8分の6拍子
でカウントするところにありました。

そこで、1小節を4分音符3つで書かれた
旋律を担当するパートに、1小節2拍で
手拍子をして、そのリズムに合わせて
演奏してもらうことにしました。

「1小節を3拍で手拍子して合わせたら、
低学年の合奏みたいでしょ!」と言うと、
子どもたちはうなずいています。

「どうですか、2拍の手拍子(1小節)に
合わせて演奏するとどんな感じかな?」
と問いかけると、「モゾモゾする感じで
面白い!」

この「モゾモゾ感」こそ、この曲の魅力の
一つといえるのです。
それを味わっておくと、8分の6拍子の
リズムを聴きながら、4分音符3つ
(4分の3拍子感覚)での演奏を楽しめる
余裕が生まれるのです。

曲の持つ魅力を十分に体感させることで、
お互いに聴き合う余裕ができ、演奏全体が
引き締まるのです。


LIVE
講座103
「合奏」研究③ 

◆「指揮」の重要性について

お邪魔した学校では、音楽専科の指導、
各学級担任の指揮で「音楽会」に臨む
のだそうです。

学校の実情や、これまでの経緯の中で
普段、音楽の指導にかかわっておられない
担任が指揮をする場合もあることでしょう。
もちろん、誰が指揮をしても構わないの
ですが、指揮者の役割をきちんと果たす
重責があるということです。


どの担任も、演奏を始めるに当たって
1小節「空から振り」をされていました。
そうすることで、演奏の立ち上がりに、
緊張感がみられないのです。

子どもたちは、出だしの音を「ドン」と
置いてしまうような感じになってしまって
いたのです。

そこで、「1拍の予備拍で演奏を始める
ようにしましょう」と言って、演奏を始め
ると、音を出す前の子どもたちの目の
色が違い。真剣に指揮を見つめます。

また、指揮者は、演奏途中での「曲想」
が変化するところや、強弱、スタッカート
など、本番で緊張している子ども達へ、
合図を出すことで、安心して音を出す
ことができ、より豊かな表現が生まれる
のです。

本番前日…「明日も今日のような演奏
ができればいいね」と声をかける指導者
がいます。
そんな気持ちでは、今日の演奏の単なる
繰り返しに終わってしまい、創造的な
演奏はできません。

そうではなく、明日、さらにいい演奏が
できるようにするためには、指揮をする
指導者が、いかに指示を出すか、さらに
演奏で工夫できる箇所はないか…
新鮮な演奏を心掛けましょう。
本番では、子どもたちは、より一層、
指揮を見るものです。


私が訪れた学校の先生方、子ども達が
「どうして指揮者が変わると、こうまで
演奏が変わるのでしょうね」と驚かれて
いました。
初めての出会いであっても、音楽を
真ん中にして向かい合うと、心が通じ
合えるものなのです。


講座104
リコーダー導入指導ポイント 

新学期になり、リコーダーの指導が
始まっておられることでしょう。
先さき進みたい子どもを前にして
じっくり教えるのは難しいかもしれま
せんね。でも、この先 6年生までの
ことを考えて大切な指導が3つあります。
T楽器で長年リコーダー導入講習を
されている講師の方の講習内容をもとに
お話ししましょう。

①タンギング

3年生の子ども達には「タンギング」と
いうより「リコーダー語」という呼び方が
分かりやすいかもしれません。
どちらにしても、まず身に付けたいのが
この「タンギング」。

『ぶんぶんぶん』という曲がありますね。
原曲はドイツ(ボヘミア)民謡で、19世紀
後半に作られたようです。
話は逸れますが、ドイツでは蜂の羽音
を「ブン」じゃなくて「ズム(Summ)」という
のも、お国柄の相違なのでしょうね。

この曲、それも最初のフレーズなら、
指導者の方々もお手本として、子ども
の前でも吹けそうですよね。
「♪レドシ・ラシドラソ…」

まずは、タンギングを付けて吹きます。
「じゃあ、次はタンギングを付けずに
吹いてみるよ」
「♪フーフーフー・フフフフフー」
「どうですか?
ふんふんふん・はひはほふ…」って
なってしまうよね」
子ども達に、二つの違いをよく理解
してもらえることでしょう。

②息の強さ

吹き込む息が強すぎると音が割れ、
弱すぎると、やはり音がかすれたり
正しい音高が保てませんね。

ここで、先ほどの『ぶんぶんぶん』を
吹いて聴かせてあげましょう。
校務の合間に涙ぐましい練習を
重ねたのであれば、なおさら使わない
手はありません。
「こんなハチが飛んで来たらどう
する?恐いよ…」と言って、思いっ
きり強い息を吹き込みながら
演奏しましょう。
「ハチがすごく怒ってるみたい!」

「じゃあ、こんなハチは?」と言って
弱い息で吹くと…
「ハチがフラフラになってるみたい!」

このように、子どもたちによく分かる
指導を行うことで、6年生まで息の
強さの大切さを覚えていてくれる
ことでしょう。

③構え方(左右の手)

右手と左手…どちらを上に構えるか
子ども達の中には、どうしても右手が
上になってしまう姿を多く見かけます。
この指導は、指導者がしっかりと
子ども達を観察し、間違っていないか
慣れるまで常に気を付けます。
「右手でリコーダーの下を持って、
左手親指と人差し指でOKしてみよう」
この時に大事なことは、真ん丸の
OKをするのではなく…

eggyubi
(曲集「シングシング リコーダー」より)

たまご型にするのがポイントです。
というのは、あなをふさぐのは、指の
先ではなく、指のはらだからです。
どのあなもふさがない開放音での
練習時から、左手5音の練習に
進んでも、常に吹き始めるときには
左右の手を確認するようにします。

導入指導の3つのポイントは、常に
気を付けておきたいものです。
導入時の指導の大切さを分かって
いただけましたか。


LIVE
講座105
授業での「練習」の扱いは… 

◆「指導案」を作成する上での留意点

1校時の授業の流れにおいて「練習する」
必要が生じる場合があります。

授業研究には欠かせない「学習指導案」
にも当然「練習する」と記述するでしょう。
普段の授業では、習熟のための練習を
させることもあるでしょう。

しかし、この場合の留意点として大切な
ことは「練習」も「活動」だということです。
授業時間を割いて活動するのですから
当然、練習のめあてを記入しなくては
いけません。

ですから、例えば「工夫を生かして表現
することができるように練習する」、
「サミングの仕方を確認し、タンギングや
息のつかい方を練習する」というように、
練習のめあてを明確にしましょう。

また、「◯◯曲で高い音を練習する」…
というように練習ポイントを示すことでも
いいでしょう。

本来、普段の授業であろうと、研究授業
であろうと、きちんとめあてをもって練習
にあたるように心掛けたいものです。



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講座106
目標は学習者の「目線」で 

◆つかみにくい「目標」がもたらすもの

6年生「いろいろな音の響きを味わおう」
という題材での授業について話します。

教材の一つは『ラバーズコンチェルト』。
大まかな流れとしては…
①旋律の特徴から各パートにふさわしい
楽器を選ぶ。
②全体のバランスを工夫して演奏する。
③リズム伴奏を加え、グループ毎に発表
し、響きの違いを楽しんで聴き合う。
といったところでしょう。

ところで、①と②の間に、「各パートの
役割にふさわしい楽器を選んで、響きを
確かめよう」という「めあて」を掲げた
授業を拝見しました。

全体で演奏しながら、響きを確かめる
というのが、子どもたちにとっては漠然
としていて「ねらい」になりにくかったの
です。
選んだ楽器の響きを確かめ合うとすれ
ば、①の活動の部分で、重ねた音の
響きを確かめ合っておくようにすれば
集中して確かめることができたでしょう。

①と②の間で授業を行うとすれば、
主な旋律が十分に聴きとれるか、
他のパートとのバランスはどうかなどを
めあてとして掲げていれば、子ども
たちの活動も活発化したと思われます。

すなわち、わかりにくく、つかみにくい
あいまいな目標では、後から考えても
何を子どもたちが学び取ったのかが
見えないままに終わることになって
しまうのです。


LIVE
講座107
歌詞内容を大切にして 

◆歌詞から読み取り、「音楽」に生かすこと

3年生の教材に『とどけよう このゆめを』
(安西薫作詞/長谷部匡俊作曲・教育芸術社)というのが
あります。

二部形式で、前半と後半で歌い方に変化を
つけて楽しむ曲なのですが、『山のポルカ』
(同社3年)のように、明らかにリズムが
異なっていれば、歌い方に変化をつけること
が理解できるのですが、『とどけよう このゆめ
を』のリズムから、違いを見つけることは困難
でしょう。

では、歌い方の変化に気付くヒントになるもの
は…
一つは、
旋律の動きです。
出だしの部分を見てみると、音程の跳躍が
見られるので弾む感じになりそうです。
(ド➘ソ↗ラ➘レ…)

また、後半の部分は隣り合った音のつながり
でフレーズができているので、流れるように
歌うことが読み取れそうです。

歌い方の変化に気付く二つ目のヒントは、
「歌詞」内容です。
特によく分かるところは前半2段目の「キラ
キラ…」でしょう。朝日がキラキラ輝いている
情景を想像すれば、一か所がキラキラしている
のではなく、あちらこちらが輝いているのが
わかりますね。
ですから、前半の「あさひが」「キラキラ」は特
に弾むように歌うといいでしょう。

後半は旋律の動きと歌詞から、流れるように
歌うことが理解できます。

また歌詞の読み取りを歌声にいかに表すかが
音楽科の魅力でもあります。
1段目の「笑ってる」…この言葉を無表情だっ
たり、怖い顔をして歌うのではなく、笑顔で歌う
と、ほっぺが持ち上がり、歌声や表情がとても
やわらかくなります。

指導者は、ピアノの前で伴奏するのではなく、
子ども達の前に立ち、最高の笑顔で応える
ようにしましょう。

egao

(最高の笑顔?!で応える担任の先生)

また、歌声を意識させるためには、「空高く…」
「雲にのって」「空のかなた」などに目を向けさせる
ようにするといいですね。

さらに、「よびかける…」「届けよう…」という歌い手
の意思が表れている言葉は、より能動的・積極的に
歌うように指示をしたいところです。
「呼びかける」の「よ」、「届けよう」の「と」の歌い始め
の言葉を自分から迎えに行くように歌いましょう…と
いう指示も伝わりやすいでしょうか。


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講座108
フレーズに気をつけて

◆リコーダー…旋律のまとまりを感じながら

【講座107】での教科書教材『とどけよう このゆめを』
では、後半にリコーダーが登場します。
出てくる音は「シ」「ラ」「ソ」の3音、親指と人指し指は
離さないので、安定して演奏することができるでしょう。

fumen
リコーダーを合わせるところの歌詞が「呼びかける
風の歌…」となっています。
ですから、
赤のスラーのように二音をつなぐ気持ちで
それぞれ吹くようにします。
二つのスラーがバラバラにならないよう、
黄色のつな
がり
を併せて意識させるといいですね。

歌声どうし、またリコーダーどうしの重なりに比べて
歌声とリコーダーの重なりはつかみにくいといえます。
友だちの歌声を聴きながらリコーダーを吹きましょう…
その通りなのですが、あまり子どもたちを追い込まず
表情から見極めるようにすることも大切です。


LIVE

講座109
リコーダー指導「長休符」の扱い 

◆合唱奏「旅立ちの日に」より

【講座109】~【講座112】は「ミュージックエイト版」の
合唱奏楽譜を例に説明しています。


tabi1

上記の楽譜は、合唱奏「旅立ちの日に」のリコーダー
パートです。パート譜には、数小節、休みが続く場合が
よくあります。
子ども達に、この曲で、どこが難しいのか尋ねてみると
「Ⓐの3小節◯」だと言う子どもが案外多いものです。

無音の状態で数えながら次の入りを待っていると、
確かに難しいかもしれません。
そこで、この間に流れている(主)旋律をオルガンで弾くと
難なく入れるのです。
リコーダーパートの練習であっても、長休符の部分には
さりげなく(主)旋律を入れておくようにすると、後々合奏に
入りやすくなります。

sidou


LIVE

講座110
リコーダー指導「音高」 


◆合唱奏「旅立ちの日に」より

tabi2

リコーダーに限らず、歌でも上のような音の動きの大きな
フレーズがよくあります。

歌う場合には、ある程度意識を持って歌おうとするもの
ですが、リコーダーの場合、何気なく吹くことも多いのです。
そうなると、音程がうまく決まらずに、気持ちの悪い演奏に
なります。
リコーダーでの高音の【ミ】(サミング)は、どうしても強く吹き
がちで、その息遣いのまま【レ】を吹いてしまうと、音が
上ずるだけではなく、音色までも悪くなります。

また、【ミ】から【レ】に移る時、左手中指(2)を残して、他の
指を開放しなければなりません。サミングしたまま、右手
薬指(6)をふさぐのをよく見かけます。
息遣いとともに、運指にも気をつけたいフレーズです。


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講座111
リコーダー指導「主な旋律」「飾りの旋律」 


合唱奏「旅立ちの日に」より

子ども達に配った楽譜に【かざりのせんりつ】
【主なせんりつ】
と書き込まれていました。

tabi3


このことは、パート譜にはとても大切な情報です。

飾りの旋律が主旋律を邪魔しないように、そして主旋律は
際立って聴こえるようにしないといけないからです。

そのためには、タンギングを使い分けて演奏すること。

主旋律を際立たせたい場合には、[トゥ(tu)]でいいの
ですが、飾りの旋律を吹く場合には、主旋律より
押さえなければなりません。
弱く吹く?
いえいえ、そうすると音高が下がってしまい、貧弱な
音色になってしまいます。
そこで…タンギングを[トゥ]と[フゥ]を混ぜたようにする
のです。
ロングトーンをしながら、頬をふっくらさせて、指で軽く
つつくと、音が揺れるくらいがいいですね。

それと、息をリコーダーの吹き口(ウィンドウェイ)
の真ん中に集めるように吹き込むようにします。

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講座112
リコーダー指導「指とタンギング」 


合唱奏「旅立ちの日に」より

下のような楽譜が出てきた場合…

tabi4
tabi5
16分音符や3連符は、4分音符や8分音符より、
リズムが細かくなりますね。
このようなところでは、どうしてもタンギングより指の
動きが遅れやすいので、指を少し速めに動かすように
指示しましょう。
もごもごしないで、すっきり演奏することができるでしょう。

sidou3



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講座113
「問いと答え」の音楽を楽しもう 

「問いと答え」とは、ご存知のように音楽科における共通
事項
の一つです。

つい先日、この題材での授業を2本参観する機会があり
ました。
どちらも、2年生です。

A小学校では…

toikotae1

(使用教材「あえてよかった」(高丸とも子/橋本祥路))

既成のメロディーのリズムを、あらかじめ自分が
選んでおいたリズムに換えて受け渡しをしています。

toikotae2

toikotae3

B小学校では…

toikotae4

(リズムで呼びかけたり答えたりしよう)

toikotae5

(リズムを好きな楽器で演奏し、受け渡す)

ペアの中で、問いと答えに分かれ、提示された
いくつかのリズムカード(下図)の中から先に選んで
おいたリズムを使ってお話しをする…という授業
です。
toikotae6

A・B、2校の授業で共通しているのは、事前に
決めたリズムを使って、「問いと答え」を楽しむ
という点です。

ところで、子ども達は、これまでにリズムカードを
使って音楽をつくってきています。
おまけに「くりかえし」をうまく使う活動も十分に
学習してきました。
また、好きな楽器を選び、気に入ったリズムを
選び、「呼びかける役」「答える役」に分かれて
お話しをするようにリズムを打つ活動も経験澄み
なのです。

せっかくの問いと答えなのですから、どんな問い
かもわからないうちに事前に用意した答えを
使ってお話しをするように…と言われても、
子ども達には理解しがたいことでしょう。

少なくても答える側の子どもは、「問い」を聴いて
から、「答え」を即興で編み出したいところです。

例え、単純なリズムしか出てこないとしても、
子どもたちは、音楽の共通事項における
「問いと答え」の本来の意味を理解してくれる
はずです。

あらかじめ決めたリズムでは、「問いと答え」の
お話しをする楽しさではなく、リズムをつなぐ
楽しさなのです。
「問いと答え」の楽しさと、「つなぐ」楽しさとは、
全く質の違う活動だといえるでしょう。

おまけに、この2校の子ども達…1年生からの
積み上げができていたこともあり、授業が予想
ほどに盛り上がらなかったのも、子ども達の持つ
レベルの高さに学習内容が届かなかったと
考えるのが妥当ではないでしょうか。

講座114
「音楽づくり」のGPS 

「音楽づくり」には、3つのパターンがあります。
           
※教科書(教育芸術社)参照
①リズムアンサンブル
②無調性音楽
③調性音楽 
     の3つです。

①リズムアンサンブル
 
1年生「拍を感じて…」『名前遊び』
 『言葉で音楽づくり』などから、カードを
 組み合わせてリズムをつくり楽器で演奏(2年)。
 反復や変化を使い、“まとまり”を意識したリズム
 づくり(3年)
 「4文字の言葉」による、問いと答え(2020年:
 呼びかけとこたえ)、音の重なりでのリズム
 アンサンブル。(4年)→(中学2年では「一茶の俳句」
 でのリズムアンサンブルづくり)
 音の図形カードを使い、特徴を生かして音楽を
 つくる(4年)
 4/4・2小節のリズムパターンを使い、打楽器の音色
 や、音楽の仕組みを生かしたリズムアンサンブル。
 (5年)
 6年では、リズムカードを組み合わせ、楽器選択、
 音楽の仕組みを使ったリズムアンサンブルづくり。
 

②無調性音楽
 
いわゆる、ハ長調、イ短調等の調性のない音楽
 づくり。
 星空の様子を(夕方→夜→夜明け)鉄琴、トライ
 アングル、鈴などで表現する(1年)
 いろいろな声(上行・下降・高低・強弱)で
 かえるの鳴き声や様子を表す(2年)
 教材『おかしのすきなまほう使い』の中での
 「まほうの音楽」を音の特徴を生かしてつくる
 (3年)
 4~6年では「無調性音楽」が教科書(教芸)に
 見当たりませんが、中学1年に「いろいろな音
 を見つけて。情景を音楽で表そう」という活動が
 見られます。
 

③調性音楽 

 いくつかの音をつないでつくる「旋律遊び」が
 でてきます。(2・3・4年)
 伴奏の音楽をつくったり(2年)、3音を使って
 おはやしの旋律づくり(3年)。
 
5音を使って、おはやし旋律づくり(4年)
 日本の音階〔都節音階〕での旋律づくり(5年)
 和音に含まれる音を使っての旋律づくり(6年)。

以上のように、教科書(教芸)に見る音楽づくりは
3つのパターンに分類できるのですが、例えば、
リズムアンサンブルに『標題』をつけたものを
つくるような場合には、無調性音楽のパターンと
も考えられる場合があるでしょう。
(例)音楽を、擬音と擬態ととらえてつくる等。

音楽づくりを授業で行う場合、自分たちが行って
いるのは、広大な“樹海”の中の、どこに立って
音楽づくりを行う(行っている)のか、GPS機能を
働かせて活動を行いたいものです。

講座115
学習指導要領
2020年からの授業の在り方
 

「この事柄は、前に教えたよね!」
授業中、つい、子ども達に言いたくなる
言葉ではありませんか。
ところで、2020年からの「学習指導要領」では
子どもたちの学習課程に寄り添った表記になって
います。
着目すべき点の一つは…
「どの子も音楽を楽しめる配慮」でしょう。
子ども一人ひとりの発達をどのように支援
するのか…インクルーシブ教育の視点に立った
授業改善
が求められます。

授業力UPを図るには
①授業を始める時に、この(1コマ)授業を
通して、
子どもたちは【何を学ぶのか】、
【何ができるようになるのか】ということを
頭の中で確認
してください。
②そして、
授業が終わった時には【何が身に
ついたか】、今の授業を振り返ります。


③授業を組み立てるときには、
【どのように
学ぶのか】、【実施するためには何が必要か】
という視点で、授業の準備を行います。

どのように学ぶのか…アクティブラーニング
型授業という選択肢もあります。

「口を酸っぱくして教えるのに、理解力の
乏しい子が多くて…」と責任を子どもに
押し付けていると、先生の授業力はいつまで
たっても向上しません。


講座116
「音楽づくり」標題音楽か絶対音楽か 

第4学年:題材名「音の特徴を生かして音楽を
     つくりましょう」

教科書(教芸)では、楽器の音の組み合わせ、
音の重ね方、反復や変化を生かして、グループ
の音楽をつくる…という活動が例示されています。
すなわち、〔音楽の仕組み〕が生みだすよさや
面白さを感じ取ったり、始め方、終わり方、
曲の山、楽器の組み合わせなどを工夫して、
グループの音楽をつくるのです。
音楽をつくるときのルールとしては、音の様子を
図形で表した4種類のカード全てを使います。
card
(黒板に貼られた4種類の音の図形カード)

一方、「音楽づくり」を、よりしやすいようにと
テーマ(絵)を与え、それに即した音を見つけ、組み
合わせていく方法をとった授業が公開されました。

story
(お話に合った音楽をつくるための“絵”)

子どもたちは、提示された絵から物語を考え、それに
合う音楽をつくっていきます。
work
(絵をもとに考えたお話に合った音楽づくりをします)

『学校からの帰り道、くさりの外れた犬に追いかけ
られて…』
『木のかげからカラスが追いかけてきて…』
『突然の雨風…』などのお話が生まれます。

action
(雨、風が強くなり…:話に基づいてつくった音楽)

音づくりで、“カラスの鳴き声”“大きな木が倒れる様子”
などを表すのに苦労しています。
使用する楽器が、「鈴」「ウッドブロック」「クラベス」
「マラカス」など、限られた楽器であること、また、
指定されたリズムカードであることなどがその理由に
あげられるでしょう。

物語にあう音楽をつくるとき、子どもたちは【擬音】、
【擬態】に着目して音楽をつくります。
カラスの鳴き声は【擬音】、羽ばたきは【擬態】…と
いうように。
いわゆる「標題音楽」に当たる音楽づくりです。
一方、教科書に示されている音楽づくりは、純粋に
つくる「絶対音楽」といわれるものです。
同じ「音楽づくり」でも、目的が違うのです。

「音楽づくり」を通して何を学ぶのか…授業を始める
前に確認しておきたいところです。

講座117
「協働して音楽活動をする楽しさ」 


2020年度から始まる『新学習指導要領』の「学びに
向かう力、人間性等」の涵養に関する目標を見ると…
「進んで音楽に関わり、協働して音楽活動をする楽し
さを感じながら、様々な音楽に親しむとともに、音楽
経験を生かして生活を明るく潤いのあるものにしよう
とする態度を養う」(第3学年及び第4学年)

音楽授業の重要な存在意義についても、それぞれの
指導者が明確な考えを持つことが大切なのですが、
存在意義の一つに「協働して音楽活動をする楽しさ」
が掲げられています。

◆初めて出会った4年生との授業
    (神奈川県秦野市内小学校)

「リコーダーを吹けるようになるには、聴き覚えた
曲を“探り吹き“する習慣をつけることです」と言って
♪ソソ ドドー ドド シー…(積水ハウスの歌)を吹き
始めました。最後のフレーズになると、聴き入って
いた子どもたち全員が♪家に帰れば~セキスイハウ
ス~と歌い出しました。
このことは、この小学校に限ったことではなく、
沖縄の子どもたちまでもが同じように歌うのです。

そこで…
「今から、聴き覚えのあるこの曲をリコーダーで
探り吹きしてみよう。最初はソの音から始まるよ」

hadano1

この日、インフルエンザが猛威を振るっていて、この学校
も明日から閉鎖になる学級があったのです。
「風邪のウィルスじゃなくて、音楽のウィルスが拡がって
いくように、友達にも教えてあげましょうね」
hadano2

すると、どうでしょう。次から次へと拡がっていくのです。
中には、楽譜を書き取る子どもがいたり…。
hadano3

耳慣れた曲である上に、出てくる音がソラシドレの左手
だけの運指で吹けるので、どの子にとっても難しい課題
ではないのです。
hadano4
(個人を特定できないよう画像を加工しています)

ほんの10分間程度の活動でしたが、子どもたちは、協働
して音楽活動する楽しさを体験できたのです。

講座118
「障害のある児童への指導」 


2020年度『新学習指導要領』に、「障害のある児童への
指導内容・方法の工夫」というのが新設されました。
全国的にみても、支援を必要としている子どもの在籍して
いる割合が高く、どの子も友だちと一緒に音楽活動する
喜びを共有できることが求められています。

◆初めて出会った3年生との授業
    (神奈川県秦野市内小学校)
シラソの3音だけの楽曲で、向かいあう友達の指の動き
を見ながら演奏できる楽曲(『ふ~がっ!』)を使い、
一拍遅れで演奏してもらいました。
hadano5
(目の前の指導者の指を見ながら演奏する3年生)

演奏し終わった後に、子ども達から歓声があがります。
できた喜びが声に出たのです。
そこで…
「今は先生の指を真似て演奏しましたね。次は、ソラシ
の音の違いが聴き取れる人は、指を真似ないで、後ろを
向いて、音だけを聴いて演奏できるかな」
hadano6
(半分以上の子どもが後ろを向いて演奏しました)

ある日の授業で、隣りの子どもの指を見ながら吹いている
子どもがいました。支援を必要としている5年生男子
です。楽譜は読めません。楽譜と運指の関係もつかめて
いません。でも、友達の指を見ることで、リアルタイムで
演奏できるのです。
「そうか!友だちどうしで、吹ける子どもの指を見ながら
演奏する曲があれば、どの子もリコーダーが演奏できる」
こうして、楽譜を見ないで、指を見ながら演奏する曲が
誕生しました。(『ふ~がっ!』トヤマ出版:
「シングシングリコーダー)。

講座119
『鑑賞』におけるワークシートの活用は…


2020年度『新学習指導要領』B鑑賞では…
ア 鑑賞についての知識を得たり生かしたりしながら、曲や
 演奏のよさなどを見いだし、曲全体を味わって聴くこと。
イ 曲想及びその変化と、音楽の構造との関わりについて
 気付くこと。

という指導事項が挙げられています。

4年生の鑑賞授業を紹介しましょう。
鑑賞曲は『山の魔王の宮殿にて』(グリーグ)です。
前時に数回鑑賞し、曲を〔はじめ〕〔中〕〔終わり〕
〔コーダ〕に分け、想像した様子を発表し合いました。
本時第2時の授業の始めに子どもに配られたワークシート
と同じものを掲示してあります。
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様子の変化を表す「曲のひみつ」をみつけるために再度
鑑賞します。
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(先生が曲に合わせて主人公のペープサートを動かして…)

聴き取った「曲のひみつ」、音楽の要素をそれぞれが
自分のワークシートに書き込んでいきます。
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(繰り返しを数えているのでしょうね)
中には、聴き取りにくいと思われる打楽器の音色を聴き
取っていました。
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(「シンバルなどを入れて音を大きくしていた」)
主旋律や音色について聴き取っている子どももいます。
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(「主なふしの音が高い」)
曲全体を聴き取っている子どもは多くいましたが、授業の
ねらい「様子の変化を表す『曲のひみつ』をみつけよう」
という点に関して迫ることができる授業だったのでしょうか。
中には…
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(「強弱が変化したり、速さが変わったりするから、
いろんな様子が思い浮かべるんだなと思いました」)

という子どもがいましたが。
授業を進める中で重要な役割をもつのが「ワークシート」
でしょう。授業が始まるときに配られたワークシートには、
子ども達全員が想像した様子が指導者によって、あらかじめ
まとめて記入されたものが用意されました。
それが、かえって自分が気付いたことと結び付けにくかった
とは考えられないでしょうか。
『鑑賞』授業の指導事項を思い出してください。
イ 曲想及びその変化と、音楽の構造との関わりについて
 気付くこと。

自分のワークシートには、自分が想像した(感じ取った)様子
だけを書き込んだものの方が「感じ取ったこと(想像したこと)」
と「聴き取ったこと」をストレートに結び付けることが
できたのではないでしょうか。
本時の授業で「何を学ぶのか」「何が身に付いたか」…
では「どのように学ぶのか」ということが授業を組み立てる
上では欠かせないポイントですね。

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