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IABP (大動脈内バルーンパンピング)の原理 |
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《List》 《Contents》
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■IABP (大動脈内バルーンパンピング)の原理下行大動脈内にバルーンを挿入・留置し、心臓の拡張期にこれを膨張(diastolic augmentation)させることにより冠動脈血流量の増加、平均大動脈圧の維持を図り、心臓の収縮期にこれを収縮(systolic unloading)させることにより心仕事量と心筋酸素消費量を抑える働きをする。 バルーンサイズと留置位置≪バルーンサイズ≫ ![]() バルーンサイズは、患者の身長に合わせ、バルーン長が大動脈遠位弓部から腹腔動脈(第十二胸椎又は第一腰椎)上におさまるサイズを選ぶ必要がある。 ● 身長とバルーン容量の目安
● バルーン容量とバルーン長比較
≪留置位置≫ X線線透視下または、経食道エコーガイド下にてバルーン先端が左鎖骨下動脈から約2cm下の胸部下行大動脈内に留置 膨張と収縮のタイミング≪トリガーの選択≫ IABP駆動装置は心周期を同期させるため、心電図(R波)あるいは大動脈圧を認識しその波形をトリガーとしバルーンの膨張と収縮のタイミングの設定を行う。 ≪膨張と収縮のタイミング≫ ![]() バルーンを膨張させるタイミングは、大動脈圧波形にて大動脈弁の閉鎖時のdicrotic notch(重複切痕)、心電図波形にてT波の頂点付近で行い、収縮させるタイミングは、心電図波形にてP波の終了直後、大動脈発波形にて拡張末期圧が最も低くなるタイミングで収縮させる。
≪最適なタイミングの調整≫ IABP駆動装置とバルーンカテーテル≪充填ガス≫ 開発当初は、バルーンの膨張・収縮に炭酸ガスを使用していた。炭酸ガスは血液に溶けやすく万が一バルーンの破裂、リークした際空気塞栓を起こし難いと考え用いられていたが炭酸ガスは重く(分子量;44)応答性が悪かった。 ≪駆動方式≫ IABPの駆動方式はコプレッサー方式とベローズ方式の2種類に大別される。コンプレッサー方式は、現在の主流であり、ベローズ方式はArrow社のみ採用されている方式である。 コンプレッサー方式は、コンプレッサーで陽圧と陰圧を発生させ、陽圧と陰圧のタンクを電磁弁で切り替えることでヘリウムガスが入った容器の容積を変更しバルーン内へヘリウムガスを移動させ膨張と収縮を行う。 ベローズ方式は、ステッピング(パルス)モーターの回転によって、ヘリウムガスの入ったベローズ(蛇腹)を伸縮させることでバルーン内へヘリウムガスを移動させ膨張と収縮を行う。 ![]() ![]() バルーンカテーテル開発当初はカテサイズが大きく外科的に挿入されていたが、経皮的挿入法が開発や膜素材や加工技術の向上により、細径化が進み、8Frカテーテルが標準化し、7Fr以下のカテーテルも市販されるようになっている。又、日本人の体格に合わせた太くて短いショートバルーンやリアルタイムに正確な圧波形を得ることのできる圧力センサー内蔵のバルーンカテーテルの開発などにより、安全性と治療精度の高いカテーテルに進歩している。 ≪構造≫ ![]() バルーンカテ―テルは、先端よりバルーン部、アウターカテーテル部、分岐部からなり、カテーテル内はカテーテル内にインナーカテーテルを有する同軸型のダブルルーメン構造となっている。インナーカテーテルは、先端部まで開通しており留置時のガイドワイヤー(GW)の挿入や先端圧モニターとして利用される。アウターカテーテルは、バルーン内に開通しており駆動ガス(Heガス)の導管として使用される。 ≪細径化バルーンカテーテル≫ 現在は、8Frのカテーテルサイズが主流であるが、7Fr以下に細径化したカテーテルも登場している。カテーテルサイズを細径化は、IABP留置による下肢虚血や挿入部の出血、抜去時の止血時間の短縮など低侵襲に行える利点がある。 ![]() ≪センサーバルーン≫ 近年、カテ先に光ファイバー圧センサーや圧電トランスデューサを組み込むことで従来の水封式圧トランスデューサよりも遅れの少ない正確なdicrotic notch(重複切痕)の認識が可能なバルーンカテーテルが開発され、より至適なタイミングの調整が可能となってきている。 ≪吉岡式IABPバルーンカテーテル≫ ![]() インナールーメンを太くすることで、7Fr(6Fr)以下のガイディング挿入を可能にし、1つの穿刺部位でIABPを駆動しながら、CAGやPCIを行うことを可能としたバルーンカテーテルである。東海メディカル社より製造販売されており、7Frガイディングが挿入可能なカテーテル適応シース径は13Fr、6Frガイディングが挿入可能なカテーテル適応シース径は12Frとなっている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |