医療機器の立会い基準
立会いとは
立会いとは、医療事業者が患者に対し診断や治療が行われている医療現場において無償で提供する便益労務(医療事業者にとって都合の良い利益となる労働提供)のことをさす。 医療事業者の「立会い」行為は、関連法規(医師法、保健師助産師看護師法、臨床工学技師法、労働者派遣法など)や公正競争規約などに抵触するおそれがあり、 「立会い」行為による医療事業者からの情報提供を必要としない環境を確保するよう心掛けなくてはならない。
※ 患者のいない医療現場において、医療機器の使用について医療事業者が医療担当者に取扱い説明や使用方法の説明を することは医療事業者の役割であり「立会い」の規定にはあたらない。
医療事業者から「立会い」の申し出があった場合
≪医療機関の医療担当者(臨床工学技士など)が自ら対応が可能な場合≫
申し出を拒否!!
≪医療機関の医療担当者(臨床工学技士など)が自ら対応が出来ない場合≫
医療事業者から提供される技術情報を参考又、必要な教育を受けて技術の研鑽に努めて将来的には自らが対応可能になるよう努力すべきである。
関連法規等の違反・違反危惧行為
≪関連法規(医師法、保健師助産師看護師法、臨床工学技師法、労働者派遣法など)の違反・違反危惧行為≫
患者に対しチーム医療が行われている医療現場に事業者の所属する社員が立ち入り、チーム医療の一員としてその業務の一旦を担えば、有償、無償を問わず、関連法規等の違反に問われるおそれがある。
≪医師法違反・違反危惧行為≫
看護師等の医療関係業務に関する資格のない社員が、有償、無償を問わず、チーム医療の一員として、その業務の一旦を担えば、当該社員が医師法違反に問われるおそれが高い
≪労働者派遣事業違反・違反危惧行為≫
看護師、臨床工学技士等の資格を有する事業者に所属する社員であっても、雇用関係にない医療機関において、有償、無償を問わず、チーム医療の一員として、その業務の一旦を担えば、事業者が、労働者派遣法に禁止されている医療関係業務について労働者派遣事業を行ったとして労働者派遣法違反にに問われる可能性が高い
但し、 @ 産前産後休業、育児休業又は看護休業の医療関係者の業務交代する場合 A へき地にある病院等において医師が医業を行う場合 は、規制緩和で特別に許可される
≪要約≫
医療関係業務に関する資格のない社員が、チーム医療の一員として業務の一旦を担えば医師法違反に問われるおそれがあり、例え、医療関係業務に関する資格を持つ社員であっても雇用関係にない医療機関でチーム医療の一員として業務の一旦を担えば労働者派遣法違反に問われるおそれがある(二つの特例を除く)。
制限されない「立会い」
制限されない「立会い」とは、医療機器の適正使用及び安全使用のために、目的別に定めた回数及び期間の範囲であれば、無償で行うことのできる立会いをいう。
≪自社の取り扱う医療機器の適正使用の確保のための立会い≫
立会い目的 | 無償回数 | 無償期間 |
@ 新規納入した医療機器の適正使用の確保 | 1診療科に対し4回 | 4ヶ月 |
A 既納入品のバージョンアップ等の際の適正使用の確保 | 1診療科に対し4回 | 4ヶ月 |
B 「医療機関等に対する医療機器の貸出しに関する基準」に定める 医療機器の「試用のための貸出し」※1の際の適正使用の確保 | 1診療科に対し4回 | 医療機関と取り決めた 貸出し期間(6ヶ月以内) |
C 医療担当者の交代があった際のの際の適正使用の確保 | 1診療科に対し4回 | 4ヶ月 |
D 緊急時※2又は災害時の対応における自社取扱医療機器の 適正使用の確保 | 1診療科に対し4回 | 緊急事態解消又は 災害期間終了 |
※1 「医療機関等に対する医療機器の貸出しに関する基準」に定める医療機器の「試用のための貸出し」 医療担当者が当該医療用具の使用に先立って、有効性及び安全性の評価に資するため臨床試用することを目的とする 貸出しをさし、試用限度期間は6ヶ月以内
※2 緊急時の立会い 緊急時とは、生命に係る緊急の傷病者が発生した臨機の措置を必要とする状態をいい、患者の生命に係るようなことが 生じた場合のみ、無償での立会い依頼が可能 |
≪自社の取り扱う医療機器の安全使用の確保のための立会い≫
立会い目的 | 無償回数 | 無償期間 |
@ 新規納入時における立会い終了後の保証期間内(最長12カ月) での安全使用の確保 | 月1回 | 新規納入時の立会い期間 を含め12ヶ月以内 |
A 医療機器の故障修理後の動作確認等 | 故障修理後1回 | 修理終了後速やかに実施 |
B 医療機器の保守点検業務契約に基づく動作確認等 | 保守点検後1回 | 点検終了後速やかに実施 |
上記(制限されない「立会い」)で示される立会いとは、自社の取り扱う医療機器が適正、かつ安全に使用されるための情報提供を指し、事業者は、医療機器の添付文書等に基づき、医療現場において医療担当者からの質問に対し、口頭や身振り手振りで医療機器の添付文書等に記載されている内容を補足的に説明することをさす。
有償の「立会い」
制限されない「立会い」に定めた回数及び期間の範囲を超えて「立会い」が必要となった場合、無償での「立会い」を行った場合は規約違反となるが、医療機関と医療事業者で契約を取り交わしたうえで限定的に有償で「立会い」を依頼することが可能。 但し、関係法規に抵触する「立会い」行為や恒常的に「立会い」を依頼することは認められていない。
立会い実施確認書と患者の同意
無償による立会いの際には、 医療事業者が用意する「立会い実施確認書」に署名、同意する必要がある。 有償、無償の立会いに係らず事前にインフォームドコンセントを実施し患者から医療事業者の立会いの了解得ることが必要
ペースメーカの「立会い」
≪新規納入時≫
適正使用のための立会いに同機種4個、5個目以降は、安全使用のための立会いで12ヶ月以内に月1回を限度に12回無償で立会いを依頼できる。同機種5個目以降の月2個以上、あるいは12ヶ月以降の立会いに関しては有償での依頼となる。 医療事業者の立会い行為は、医療担当者からの質問に対し医療機器の添付文書等の記載内容の口頭説明である。 無償による立会いの際には、 医療事業者が用意する「立会い実施確認書」と患者の了解が必要であり、有償による立会いの際には、 患者の了解が必要である。 但し、患者のいない医療現場において、医療機器の使用について医療事業者が医療担当者にペースメーカの取扱い説明や使用方法の説明をすることは医療事業者の役割であり「立会い」の規定にはあたらない
≪CDR認定資格取得事業者の立会い≫
CDR認定資格は、医療の国家資格ではないため立会いに関する基準の制限を受ける
≪フォローアップ時の医療事業者による設定変更≫
有償、無償を問わず医療事業者が行ってはならない行為であり、法律違反に問われるおそれがある。さらに医療事業者が無資格者であれば、医師法等に抵触するおそれがある。また、有資格者の場合には労働者派遣法に抵触するおそれがある。
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