正常洞調律

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  未熟な左手が作ったペースメーカ関連検定試験の正常心電図に関するよりぬきノートです。
心電図の基準値は、施設によって異なると思います。出題頻度は低いと思いますが、載せてみました。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。



正常心電図

1.調律

≪正常≫

  P-QRS-T、P-QRS-T、P-QRS-T・・・と正しくP波とQRSが対応(U誘導、V1で確認)

≪疑われる疾患≫

  心房細動、心房粗動、心室細動、心室頻拍、洞房ブロック、洞停止、房室接合部調律、心室固有調律、期外収縮


2.R−R間隔

≪正常≫

  一定である。吸気に短縮、呼気に延長するのは、呼吸性不整脈で正常

≪疑われる疾患≫

  期外収縮、洞房ブロック、洞停止、U度房室ブロック、呼吸性不整脈


3.心拍数(HR)

≪正常≫

  60(25mm)<HR<100(15mm)

≪疑われる疾患≫

頻脈洞性頻脈、発作性上室性頻脈、房室回帰性頻脈、心房頻脈、心房粗動、心室頻拍、心室細動
徐脈洞性徐脈、U・V度房室ブロック、洞房ブロック、洞停止、心房細動、心室・心房調律

4.P波

≪正常極性≫

T、U、aVF、V2〜V6陽性
aVR陰性

≪疑われる疾患≫

  異所性調律、右胸心、移動性ペースメーカー、上室性期外収縮、左房調律


≪正常幅・高さ≫

≦1.0秒(2.5mm)
高さ≦0.2mV

≪疑われる疾患≫

  右房拡大、左房拡大、両房拡大


5.PQ時間

≪正常≫

  0.11秒(3mm)≦ PQ時間 ≦0.21秒(5mm)

≪疑われる疾患≫

延長T度房室ブロック、U度房室ブロック(ウェンケバッハ型)、上室性期外収縮
短縮WPW症候群、LGL症候群、房室接合部調律、上室性期外収縮

6.QRS群

≪正常軸≫

  0°≦ 軸 ≦+90°(T(陽性) and aVF(陽性))

≪疑われる疾患≫

左軸偏位(T陰性)左室肥大、左脚ブロック、左脚前枝ブロック、B型WPW
右軸偏位(aVF 陰性)右室肥大(肺性心、肺気腫、ファロー)、左脚後枝ブロック、A型WPW、右胸心、合併症のない右脚ブロック、小児

≪正常QRS時間≫

  QRS時間 ≦0.10秒(2.5mm)

≪疑われる疾患≫

  完全右脚・左脚ブロック、WPW症候群、上室性・心室性期外収縮、心室調律、ペースメーカーペーシング


≪正常高さ≫

  V5、V6<2.6mV  SV1+RV5orV6<3.5(若年者は4.0)

≪疑われる疾患≫

  左室高電位、左室肥大、左室容量負荷、肥大型心筋症


≪正常振幅≫

  一つの肢誘導>0.5mV  一つの胸部誘導>1.0mV

≪疑われる疾患≫

  心筋梗塞、粘液水腫、心嚢液貯留、肺気腫


≪R-progression≫

  R/S比がV1(R/S比<1)〜V6にかけ次第に大きくなる。移行帯はV3〜V4

≪疑われる疾患≫

  右脚ブロック、右室肥大、poor R-progression

時計方向回転慢性閉塞性肺疾患、急性肺性心(右室の拡大)
反時計方向回転後壁梗塞、右室肥大、右脚ブロック

≪異常Q波≫

  R波の1/4以上の深さで幅0.04秒(1mm)以上。V・aVL・V1(aVR)単独は正常

≪疑われる疾患≫

  心筋梗塞


≪δ波≫

  P波の直後から始まる緩徐な傾斜をもつQRS波

≪疑われる疾患≫

  WPW症候群


≪poor R-progression≫

  V1〜V3(V4)のR波低下(消失)

≪疑われる疾患≫

  前壁中隔梗塞、拡張(肥大)型心筋症、心筋炎、肺性心、左室拡大 、両房拡大


7.ST部分

≪正常≫

  PQ部分に一致して、上昇も下降もしない。
V1〜V3などの右側誘導では正常でも0.1〜0.3mV程度のST上昇はみられる。
J波がみられ、下に凸のST上昇がみられる早期再分極症候群に病的意義はない

≪疑われる疾患≫

上昇急性心膜炎、急性心筋梗塞、異型狭心症、心室瘤、Brugada、健康若年男性(V2〜V4付近)
2次的上昇左脚ブロック・左室肥大(V1、V2)、右脚ブロック(V5、V6)、WPW(不定)
低下右室肥大(V1、V2)、左室肥大(V5、V6)、狭心症

8.T波

≪正常極性≫

 T、U、V2〜V6で陽性、aVRで陰性。若年成人ではV2、V3でも陰性T波が見られる。

≪疑われる疾患≫

陰性
(基線より0.2mV以上)
心筋梗塞、右脚ブロック(V1)、左脚ブロック(T、aVL、V5、V6)
右室肥大(V1)、左室肥大(T、aVL、V5、V6)

≪正常高さ≫

 R波の70%未満(1.2mV未満)、R波の1/10以上

≪疑われる疾患≫

増高左室負荷、異型狭心症、心筋梗塞、心膜炎、高K血症、健常者(V2 、V3)
平低低カリウム血症

9.QTc時間

≪正常極性≫

 0.35秒≦QTc≦0.44秒

≪疑われる疾患≫

延長低K血症、低Ca血症
短縮高Ca血症、ジキタリス効果

10.U波

≪正常≫

 無又は軽度陽性(T波の高さの5〜50%未満)

≪疑われる疾患≫

陰性虚血性心疾患(左室負荷、右室負荷、心筋虚血)
増高後壁虚血、低カリウム血症






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