心電図波形
基線
複数のP波と開始点を結んだ線(又は、T波の終末部とP波の開始点までの間)
基線より上向きは陽性とし、下向きは陰性として表す。
心電図波形
洞結節から始まった興奮は心臓全体にひろがり、洞収縮一拍ごとに心電図上にP波、QRS波、T波、U波と呼ばれる一連の波形を示す。
波形 | 成因 | 正常値(成人) |
P波 | 心房の脱分極(興奮) | 幅≦1.0秒(2.5mm)、高さ≦0.25mV |
PQ時間 | 房室電導時間 | 0.11秒(3mm)≦PQ時間≦0.20秒(5mm) |
QRS波 | 心室の脱分極(興奮) Q波:QRS群の最初の下向きの振れ R波:QRS群の全ての上向きの振れ S波:Q・R波に続く下向きの振れ | QRS時間≦0.10秒(2.5mm) |
QT時間 | 心室の脱分極から再分極までの時間 (心室の電気的収縮時間) | 0.35秒≦QTc≦0.44秒
※ QTcは、心拍数による影響を除く |
ST部分 | 心室の脱分極が完了し、興奮がさめるまでの時間 |
T波 | 心室の再分極 |
U波 | 成因不明 |
四肢誘導波形と胸部誘導波形
≪四肢誘導波形≫
四肢誘導は、心臓を前額面(縦切り)でみている。
T・aVL誘導は左方向から、aVR誘導は右方向から、U・V・aVF誘導は下方向からみている。
心臓の興奮ベクトルは、左下方に向かっているため、心臓を左方向からみているT誘導と下方からみているU・aVF誘導ではR波は高く、右方向からみているaVR誘導ではQS波が深くT波も陰転する(∵ 心電図は見ている方向に近づく電位を陽性に示す)。
※ VとaVL誘導に関しては、個人差があり必ずしもR波は高くならない。
≪胸部誘導波形≫
胸部誘導は、心臓を水平断面(輪切り)でみている。
V1・V2は右室心外膜側、V3・V4は心室中隔近辺、V5・V6は左室側壁に近い位置にあり、それぞれ近接した部位の電気活動の変化を反映し易い。
心電図波形は、V1・V2・V3・V4・V5で次第にR波が高くなり、V6のR波はV5より低くなる。S波はV1・V2で深くV3・V4・V5・V6で次第に浅くなる。
V3・V4あたりでR波とS波で等しく(R波≒S波)なる。
≪心筋梗塞部位≫
心筋梗塞部位 | ST上昇誘導 | 主な閉塞枝 |
前壁中隔梗塞 | V1〜V4 | 左前下行枝 |
側壁梗塞 | T、aVL、V5、V6 | 左回旋枝 |
下壁梗塞 | U、V、aVF | 右冠動脈 |
電気軸
前額面からみた心筋の興奮による電気変化を角度で示したもの
QRS波のR波−S波が、正であれば陽性相、負であれば陰性相となる
誘導 | QRS波(R波≒S波)ゼロ | QRS波陽性相(上向き) |
T | -90° or +90° | -90° < T < +90° |
U | -30° or +150° | -30° < U < +150° |
V | -120° or +60° | -120°< V < +60° |
aVR | -60° or +120° | -60° <aVR< +120° |
aVL | -120°or +60° | -120°<aVL< +60° |
aVF | 0° or +180° | 0° <aVF< +180° |
≪電気軸の評価≫
正常軸 | : | 0°(−30°)〜+90° |
左軸偏位 | : | 0°(−30°)°〜−90° |
右軸偏位 | : | +90°〜+180° |
極度の軸偏位 | : | −90°〜+180° |
≪正常軸≫
移行帯
移行帯とは、胸部誘導にてR波とS波で等しい(R波≒S波)場所を表し、心室中隔付近を示す。
通常、V3又はV4にあり、移行帯がV5・V6にあれば心尖方向から見て時計方向回転にあり、逆に移行帯がV1・V2にあれば反時計方向回転といえる。
心拍数
≪心拍数の求め方≫
心拍数 [回/分] = 60[秒]÷RR間隔[秒]
= 60[秒]÷(RR間隔[mm]×0.04[秒/mm])
= 1500[mm]÷RR間隔[mm]
≪心拍数の推定≫
1) QRSのR波が太い線に一致する所をみつける
2) 次のQRSのR波が太い線上のR波から何番目にくるかみる
太い線 | RR間隔 | 心拍数 | 計算 |
1番目 | 5mm (0.2秒) | 300 | 60(秒)÷0.2(秒)=300 |
2番目 | 10mm (0.4秒) | 150 | 60(秒)÷0.4(秒)=150 |
3番目 | 15mm (0.6秒) | 100 | 60(秒)÷0.6(秒)=100 |
4番目 | 20mm (0.8秒) | 75 | 60(秒)÷0.8(秒)=75 |
5番目 | 25mm (1.0秒) | 60 | 60(秒)÷1.0(秒)=60 |
6番目 | 30mm (1.2秒) | 50 | 60(秒)÷1.2(秒)=50 |
※ RR間隔の秒変換=RR間隔[mm]×0.04[秒/mm] ∵ 1mm=0.04秒 |
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