除細動器(DC)
構造
高圧トンランス | : | 商用交流100Vを数kVの高電圧に変換。 |
コンデンサ | : | 出力エネルギーを数kVまで充電する。 |
コイル | : | 放電波形をダンピング(ローン)波形とする。 |
電極パドル | : | 成人50cm2又体内に直接通電32cm2 |
接地
・ | 除細動器の出力回路の通電電極は2線とも接地端子から浮かす(出力フローティング) |
・ | 本体の接地(保護接地)の必ず行う。 |
・ | 併用する心電図などは入力フローティングが望ましい。 |
出力の定格
最大出力電圧 | : | 5kV(JIS規格) |
通電時間 | : | 2〜5ms |
最大出力エネルギー | : | 360J |
最初の出力エネルギー | : | 心室細動 (150〜400J) 体内直接 (20〜60J) 心房細動 (50〜150J) |
出力波形 | : | ダンピング波形 |
対象疾患
主な対象疾患は、心室細動と心房細動
・ | 心室細動は、非同期通電で行う。同期通電では出力されない。 |
・ | 心房細動は、同期通電(カルディオバージョン)で行う |
≪同期通電(カルディオバージョン)≫
・ | R波発生直後の絶対不応期に通電 |
・ | 心房細動時に同期せずに行うと受攻期に通電され、心室細動を起こす危険性がある。 |
・ | 心電図は3極誘導心電図用いる。 |
合併症
≪通電不可≫
断線、充電不足、R波同期不良
≪通電不良≫
接触不良 | : | ペースト不足、押し付け不足、電極過小 →火傷
押し付け不足:電極パドルは、しっかりと強く胸壁に押し付ける(約5kg) |
短 絡 | : | ペースト過多
ペーストを胸壁全体に塗り過ぎ、胸壁表面のみに通電(短絡)し除細動効果がなくなる |
事故
≪熱傷≫
接触不良
≪電気ショック≫
・ | 漏電(機器本体のアースをとる) |
・ | 患者への通電時は、医師・介助者も含めて自身の感電に気をつける(手袋着用など) |
≪爆発≫
通電時に引火性麻酔ガスや高濃度酸素があると、爆発や引火の可能性がある。
ペースメーカ
植込み式(恒久的)と体外式(一時的)ペースメーカの違い
| 植込み式(恒久的) | 体外式(一時的) |
刺激方法 | 定電圧方式 (電池長持ち、電流不安定) | 定電流方式 (刺激が安定) |
適応疾患 | ・徐脈性不整脈 完全房室ブロック 2度房室ブロック(モビッツU型) 洞機能不全(SSS) ・頻脈性不整脈 突発性心房粗動 | ・植込みまでのブリッジ
・治療の補助(PCI・AMI・心臓手術)
・検査の補助(洞機能、伝導機能検査)
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電源 | リチウム電池 (寿命5〜10年以上) | アルカリ電池 (商用電源はマクロショックの危険) |
電極 | 単極と双極 | 双極のみ |
ICHD_code
1文字目 (刺激部位) | 2文字目 (感知部位) | 3文字目 (反応様式) | 4文字目 (プログラム様式) |
A | 心房 | A | 心房 | I | 抑制 | R | 心拍応答 |
V | 心室 | V | 心室 | T | 同期 | | |
D | 心房と心室 | D | 心房と心室 | D | 抑制と同期 | | |
O | なし | O | なし | O | なし | | |
モード
≪固定レート型ペースメーカ≫
・ | 患者の自発心拍の有無にかかわらず、設定されたレートで刺激パルスを出す方式 |
・ | 患者の自発心拍の相対不応期に刺激が加わると逆に危険な不整脈が生じる可能性がある |
・ | 電気メス使用時などに使用 |
≪ディマンド型ペースメーカ≫
● 抑制 (Inhibit)
自発心拍が出た場合には、パルスを休止(抑制)する
● 同期 (Triggerded)
感知部位で感知してから、設定時間後に刺激する。
≪生理的ペーシング≫
心房と心室が順次連動して収縮させるペーシング
例) AAI、VAI、VDD、DDDなど
≪心拍応答型ペーシング≫
体動、呼吸、血液pH、血液温度、QT時間などの生理的要求に応じて心拍数を調整
仕様
項目 | 仕様 |
電源 | リチウム電池 (寿命5〜10年以上) |
本体 | チタンやステンレス |
電極 | 単極式 : 本体の金属部分を陽極とし、先端部分を陰極とする 双極式 : カテーテルの先端から陰極→陽極の順となる |
出力 | 定電圧出力:0.1V〜10V (5V) 定電流出力:0.1mA〜20mA (10mA) |
パルス幅 | 0.3〜2.0ms |
感度設定 | 1.0〜5.0mV |
電極抵抗 | 500Ω |
合併症(機械側)
・ | ペースメーカ不全 |
・ | リード不全 (断線など) |
・ | PMT(Pecemaker Mediate Tachycardia) : ペースメーカによる心室頻拍 |
・ | ペーシング不全 |
・ | センシング不全 |
≪ペーシングフェイラー(不全)≫
● アンダーセンシング
Demand感度を高く設定しすぎることで、自己のレートを感知できずに、自己のレートに無関係に刺激を出す
● オーバーセンシング
Demand感度を低く設定することで、目的とする刺激以外にも感知をし、反応様式が抑制であれば徐脈となる
≪センシングフェイラー(不全)≫
心筋の刺激閾値が高くなったり、電極が浮いたりして刺激が弱くなることで、刺激を出しているのにもかかわらず、心筋が興奮しない状態
取扱い上の注意
≪原則的禁忌≫
電気メス、MRI、ハイパーサーミア、低周波治療機器など
※外科的に必要な電気メスを使用する場合、ノイズの影響がない様に固定レートに変更し、心電図をモニタする
※条件付きMRI対応ペースメーカに関しては、条件付きで使用可能
≪X線CT≫
十分な注意と検査後の動作確認が必要
≪携帯電話≫
ペースメーカの植込み部位から15cm以上離し使用
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