静電力と電界とコンデンサー

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の電磁気学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




静電力と電界

静電気

  二種類の物体(誘電体)の摩擦によって発生する電荷の蓄積や帯電した物体との接触などによって物体(主に誘電体)に電荷が蓄えられる(帯電する)現象をいう。
電荷には、正電荷と負電荷の2つが存在する。


帯電系列

  物体(誘電体)によって帯電の度合いと極性は異なり、電荷を生じるものを右に、負の電荷を生じるものを左になるよう順序良く並べたものが帯電系列である。
例) (正電荷)  毛皮 絹 琥珀 ゴム テフロン  (負電荷)


静電力

異極性電荷(正電荷と負電荷)は、互いに引き合う力が働く
同極性電荷(正電荷と正電荷、負電荷と負電荷)は、互いに反発し合う力が働く


クーロンの法則

  距離r[m]離れた2つの点電荷Q1[C]、Q2[C]の間に働く静電力の大きさF[N]は次式で表される
   クーロンの法則
電荷間に作用する力Fは、それぞれの電荷の大きさに比例し、電荷間の距離rの2乗に反比例する。
符号がプラスであれば、反発力。マイナスであれば、引き合う力(引力)を示す。


誘電率

  電荷を置いた空間の物質(媒質)によって異なる値をもつ
真空・空気中では、ε0で表される。


比誘電率

  真空の誘電率ε0を1とした時にある誘電体εの誘電率を示したものでεrで表される。
   比誘電率
一般の媒質の誘電率は真空の誘電率より大きくなる。
例) 空気・真空 : 1  NaCl : 5.6  水 : 80  チタン酸バリウム : 5000


誘電体

  高い誘電率(比誘電率)を有する絶縁体を誘電体と呼ぶ。
例) 多くのプラスティック、セラミック、雲母(マイカ)、油、水などがある


電界と電界の強さ

≪電界≫

  静電力が働く場所を"電界"又は"電場"と呼ぶ

≪電界の強さ≫

  電界の状態(方向と大きさ)を示す言葉で、記号を"E"、単位は" [V/m]、[N/C] "で示される。
電界の強さは、単位電荷(Q=1[C])あたりに作用する力の" 大きさ "と" 方向 "をいう。
   電界の強さ
   電界の強さ
又、一様な電界E[V/m]で電位差V[V]の2点間の距離をr[m]では、以下の関係が成り立つ
   電界の強さ
電界Eは、距離rあたりに働く電圧(電位差)の大きさで表される。


電気力線

  電界の" 大きさ "は電気力線の本数で" 方向 "は電気力線の向きで示す。
電気力線は、" 正電荷 "から出て、" 負電荷 "に入り込む。


ガウスの定理

  電気力線の総数Nは、電荷Q[C]の強さとその周囲の媒質(誘電率εの誘電体)によって異なる。
   ガウスの法則


静電誘導

  安定状態の導体に、正に荷電させた物体(帯電体)を近づけると導体の帯電体に近い方に負電荷が移動し、逆に正電荷は帯電体から遠ざかり、静電導体となる。この現象を静電誘導と呼ぶ。
   静電誘導
帯電体を遠ざけると安定な導体へと戻る。
帯電体を近づけたままで正電荷付近にアースをとると導体は負電荷をもつ帯電体となる。
   静電誘導


導体殻での電磁誘導

  外部電界中に置かれた中空の導体(導体殻)は、導体殻の外表面に静電誘導が起こり、電荷の偏りが起こるため、中空部分の電界は0であるが電位は0ではない。
中空導体を接地すると、導体及び導体内部の電位は常に0に保たれる(静電シールド)。
   電磁誘導
  導体殻内部に正に荷電させた帯電体が存在すると、導体殻内表面に負電荷が移動し、導体殻外表面に正の電荷が移動し、外部に電界が発生する。
中空導体を接地すると、導体殻外表面の正の電荷は、大地に逃げ外部に電界は発生しない。
   電磁誘導



コンデンサー

コンデンサー

  2枚の導体に電荷が集まるあるいは電荷を蓄えるものをコンデンサー(キャパシタ)と呼ぶ。
静電容量は、記号を" C "、単位は" [F] "で示される。コンデンサーにどれだけ電荷を蓄えられるかを表し、コンデンサーの大きさの目安となる。


静電容量

  2枚の導体を平行に並べたコンデンサーに電圧V[V]を加える、電圧のプラス(正)とつながった導体は、正電荷+Q[C]、逆にマイナス(負)とつながっている導体は、負電荷−Q[C]をもつ。この時、V[V]とQ[C]の値は互いに比例して、その比例定数を静電容量C[F]とすると次式の関係が得られる。
   静電容量
  2枚の導体板の面積をS[m2]、導体板の間隔をd[m]とし、導体間にある媒質の誘電率をεとすると静電容量C[F]は次式で表される。
   静電容量
静電容量C[F]は、導体板の面積S[m2]と導体間にある媒質の誘電率εに比例し、導体板の間隔d[m]に反比例する。


コンデンサーの合成容量

  複数のコンデンサーを直列に接続すると導体板の面積は変化せず導体板の間隔のみが広がり静電容量は減少ため、コンデンサー(静電容量)の直列接続の合成容量値Cは次式のように表される。
   コンデンサーの合成容量
  複数のコンデンサーを並列接続すると導体板の面積が広がり導体板の間隔は変化せず静電容量は増加するため、コンデンサー(静電容量)の並列接続の合成容量値Cは次式のように表される。
   コンデンサーの合成容量


静電エネルギー

  静電容量C[F]、電位差V[V]、電荷Q[C]とすると、静電エネルギーW[J]は次式で表される。
   静電エネルギー








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