最近、地域医療のことで、話をさせて頂くことが多いが、今、医療現場で起きている現状を誠心誠意伝えていくことに努めています。
特に、深刻な医師不足が叫ばれる中で、何故そう言うことに至ったのか・・・いろいろな要因はありますが、大きな要因は、医師の絶対数の不足・・・そして、それに拍車をかけ、医療格差を顕著なものにしたのが研修医制度です。
OECD加盟国中(30カ国中)27位という最低レベルの医師数が我が国の実態です。
そして、ただでさえ少ない医師数なのに、研修医制度によって、医学部を卒業した新人医師が、自由に研修先を探し、その結果、大学から研修医が少なくなったことにより、各地方に派遣していた医師を大学に呼び戻す事態になり、結果として地方の病院は深刻な医師不足になっています。
もちろん、この研修医制度によって、研修医の身分が保障(給料など)されたことは評価出来ます。しかし、研修先を自由にしたところに詰めの甘さを感じます。
国は医師過剰といいます。しかし実態はそうではないのです。まやかしに過ぎません。
そして、医師が少なくなった地方の病院では、残った医師は過剰な勤務を余儀なくされています。
それらの医師もいずれそんな激務には耐えきれず、病院から去っていく・・・そしてますます医師が不足すると言う悪循環になっているのが現状です。
国が高齢者社会や少子化を理由として、医療費が急激に増加し、その抑制が必要だという言っていますがそれは数字のマジックです。
たしかに、高齢化などによって医療費が増加していることは事実ですが、それのみをもって医療費抑制は避けられないということは数字のマジックに過ぎません。
例えば、国庫から支出される、社会保障費と公共事業費を国内総生産(GDP)で割った数値では、日本の公共事業費は「社会保障費」の倍近くの額を支出しています。
そんな国は我が国だけです。
公共事業費に対し、社会保障費はイギリスでは9倍、ドイツは7倍、フランスは3倍、米国でも2.5倍も優先されています。
ここ10年で他の先進国の中では、我が国だけが社会保障費を減額しています。
それらは医療のみならず、福祉においても同様に減額される一方です。
また、企業優遇の不平等な税制を見直し、さらに公共事業費をもっと吟味し、本当に必要な事業のみにして、その支出を他の先進諸国並みにすれば、国民医療費の約半分の「15兆円」を、医療や福祉など社会保障費に充てることが可能です。また世界有数の軍事費も削減する必要があります。
そうすれば、国民のさらなる負担を最小限に抑え、医療の質を向上させることも出来ます。
医療や福祉といった、本来必要なところにお金をかけず、軍事費という人殺しのためや、無駄な公共事業にお金をかけるという、国の施策は間違っています。
それらの施策によって地域格差はますます顕著になり、地域医療、特に救急医療や小児科医療、産婦人科医療は崩壊しかねない事態になっています。
命は何にもかえられない貴重なものです。国の勝手な都合で切り捨てられてはたまりません。
国民の命をも削り取る政治とは、いったい誰のための政治なのでしょうか。
腹立たしさを感じる今日この頃です。
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