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詩集 名前のないもの 第4章 名前のないもの 10

終わりの時


硬い空気の
夕暮
シラカバの裸の梢や
カラマツ並木のぼかし模様の梢
その向こうにはめこんである空の色を
ああ
こんなに愛していたのだ

今 言葉は失われ
指と指の暖かさもないが
足跡だけ
あふれている人間の孤独な音だけ
それさえも
こんなに愛していた

今でも
たぶん愛しているけれど
それで
おしまい

(1969.2.xx)

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