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詩集 名前のないもの 第2章 駄荼懦惰堕 20

眠り


見つめようとする目の中に
チクリ チクリと突き刺さって来るトゲ
この不安の中で
眠らせないものが

もう一度見つめようとすると
やって来たのは恐怖
見つめるのがコワイ

この無価値を認めてしまえば
もう理由が無くなってしまう
方向を定めようとすれば
現在地点を確かめなければならない

現状が分かれば
この怠惰と別れなければならない

だから見つめるのがコワイ
そして忘れていたい
今日を
今を
明日を
未来を
忘れていたい
眠っていたい

眠って
眠ってそのまま死への移行は
何の憂いもないが
もし夢を見たとすれば
もし目が醒めたとすれば
それが恐怖の源

だからもう一遍
見つめなくては

でも
やっぱりコワイ
眠っていたい

(1968.1.14)

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