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詩集 名前のないもの 第2章 駄荼懦惰堕 18

をのこあり


これはまた
むさくろしきをのこひとり
そのかみにジーザス・クライストのむまれたりしひに
ゆきのまちをありくあり

をのこのいはく
われはこころまずしきものなりと
まことにまことに
こころまずしきなり

いかがはせむか
みずからのなさえわすれはててけるを
ときにふとわれはこのところにて
なにごとをばしてむとていできたるかと
いぶかしきおもひおこりけるを

をのこのまたいはく
われはいとちひさきものなりと
まことにまことに
いとちひさきものなり

ひゃくしゃくのかんとうにものぼらで
いかにかみをほうげせむや
それにてもなほ
みをおほきものとおぼゆるは
げにおごりのたかきをのこなる

そのかみにジーザスのむまれたりしひにをのこ
ひとのすみをるまちをありききたりて
いとさぶしといへり

(1967.12.24)

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