「ハルカはどんな時にキスしたいなぁって思う?」
「頭は大丈夫か?」
男心なんて分からないから、ハルカに聞いてみた。
なのに、真剣な顔してそう返された。いつものことながら、酷い。
本カノになる条件話した時も「お前、それは遠まわしにふられてるんじゃないのか?」とか言ってきたし。
・・・そんなことないもん。
ほっぺだし、彼女になるってのは無効だろうけど、全然、欠片も眼中になかったらキスなんてしないよね・・・?
でも消毒って言ってたし・・・
暁良が何考えてるのか、分かんない。
「ハルカはさ、好きでもない子にキスできる?」
「できる」
「最低」
即答しやがった。
けど。ふむ・・・出来るのか・・・
「あたしでも?」
「・・・出来なくはないけど」
見ていた雑誌から顔を上げるてちらりとあたしを見て、そして真顔できっぱりと言った。
「したくない」
「うん。あたしもやだ」
唯一ハルカと気のあうところだ。
「で?」
「で?って?」
「んなたわけたこと言い出すからには何かあったんだろ? まわりくどい言い方してないで要点を話せ」
そう言うから、こないだの出来事を話したらまた真面目な顔で言った。
「白昼夢でも見たのか?」
「ちがっ・・・!」
何だ、その哀れむような目!!
でも、あの後も、普通過ぎるくらい普通だったし。これまでと全然態度変わらないし。
「ちが・・うもん?」
「何でそんな自信なさげなんだよ」
だって、自分でも夢だったのかなってちょっと思うことあるんだもん。
しゅんとしているあたしに向かって、ハルカは「バーカ」などとのたまった。
「相手がどう思ってようとお前は好きなんだろ? なら足りない頭で無駄なこと考えてないで今までどおりあがいてれば? どうせ考えたって碌なことにならねーんだから」
「もっと普通に応援できないの?!」
でもハルカの言うとおりだったりもする。
だって、何があっても好きだし、諦められないし。
暁良にも人には向き不向きがあるから妙なことはするなって言われたことあるし。
・・・・・・。
「あたしがんばるよ!!」
最終的にはやっぱりそういう結論に達し、握りこぶしを作ってそう宣言するあたしに向けて「おー、がんばれ」というハルカの適当な言葉が聞こえた。
「・・・単純」
さらにその後にぼそりと呟かれた言葉は聞かなかったことにしておいてあげよう。

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